第297話こ、これは…う、運命…?なんですか…?

  野黒新のまるで自分が彼に投げていた言葉に照れてくれているような、赤くなっていた横顔が酷く愛おしく感じている利佳、「えへへ~」まったく自分が携帯電話を通して彼女に向けていた文句を気にしていないようにと、微笑んで来ている利佳の様に目を半開きさせて行きつつ、彼女につられているようにと微かに上げている口角とくすぐられているように思えている鼻腔の奥に、苦笑いしてみたくなっている野黒新は、チラッと自分の顔を映し出してくれている彼女の瞳から目線を携帯画面に向けていき、『やべぇわ…襲われねぇかな…』携帯電話から上げている声に合わせていくようにと、軽く両腕を擦って行く彼は、横目で自分が彼女に投げていた言葉に驚かされては、ビクッと眉毛を跳ねらせている利佳の顔を見ていく、『やばいわ…』


  自分のことを怖がっているような話を投げに来ている野黒新の、まるで自分をからかって来ているような微かに上げていた彼の左側の口角に、つられているようにと笑ってしまう利佳はゆっくりと胸元を彼に近づいて行きつつ、軽く左手で彼の左腕を守っていたようなティーシャツを握っていく彼女は微笑みながら彼の顔を見上げて言う、「痛くしないから~」目を細めたままで自分のことを見下ろして来ている野黒新の態度に、屈託のない笑みを見せて行きつつ、まったりと彼の左腕から左手を引いては胸元に当てていく彼女、「全てを委ねておくれ~?」


  やけに自信に満ちている声色で自分に話しかけに来ている利佳の態度に、心をくすぐられているように思えては、まったりと胸元を彼女の方向に向けていく野黒新は軽く目を瞑っては、ぱちくりながら無言で彼女に顔を向けていた自分を、見つめてくれている彼女の繊細な左側の肩に微笑んで行きつつ、顎をまったりと彼女の肩に近づいていく彼。「ふ~」刹那、まるで自分の左耳をからかいに来ているようにと、軽く自分の左耳に温かい吐息をぶつけに来ては、無理矢理にも思えるくらいに自分の身体を跳ねらせに来ている、自分にくっついて来ている野黒新の体勢に見開かされている彼女は、思わず強く唇を開けていき、「うえっ?!」


  両足が自分にくっついて来ていた彼に困らされては、どこに置いてたらいいのかが分からなくなっているように上げたままで、まるで自分の心臓を起爆させようとしているような彼の温かい体を、呆然としている脳内で感じて行きつつ、自分がずっと慕って来ていた彼に触れられていることを思うと、ついぼんやりとしていられないんだと強く考えている利佳は、恥ずかしい思いに鷲掴みにされている喉から必死に声を絞り出していた、「ちょっ!?」


  利佳の自分に顎を肩につけられているのを恐れているような、酷く荒くなっている吐息に左耳の耳殻をくすぐられているように感じている野黒新は目を細めて行きつつ、まったりと右手にある携帯電話を上げては、ぼんやりと彼女の柔らかく思えては、自分のことを温めてくれているような香りを放っている体を感じていく彼は、軽く携帯画面を弄っていき、『んだよ、』左耳から感じて来る利佳のまるで気を失ってしまいそうなくらいに、荒くなっている吐息と、彼女の鎖骨を通っては自分を殴りに来ているような心臓の鼓動をぼんやりと感じていく野黒新は、可笑しそうに軽く笑っては、まったりと彼女の体から顎を引いていき、『余裕そうな台詞を吐いた割には全然足したことが出来なかったんじゃないのかねお嬢様?』


  頬が多分熱気を放っている自分の顔と同じくらいに、赤くなっているはずの野黒新が目を細めてくれては、ぼんやりとしている目線を視界が朧気になっていた自分に向けて来ている態度に、歯ぎしりして見たくなりつつ、不服そうにと何度も鼻翼に力を入れてしまう利佳は悔しそうに両手を握りしめては、俯いて行きながら小さな両手を握っていき、「ううっ…」宛ら決意を下しているようにと強く細い眉毛を顰めては、猛然と額を上げていく彼女は自分のことを映し出してくれている彼の眼を睨むようにと見つめ、否応なしに左手の人差し指を立てていた、「も、もう一回よ!」


  まるで自分が彼に向けていたリクエストに驚かされているように、ビクッと眉毛を跳ねらせていた彼の事を見つめて行きながらごくりと固唾を飲み込んでは、恐る恐ると両手を萎縮しているようなくらいに、緊張に嬲られているような気がしている胸元に当てていく彼女は、ぱちくりながら彼の顔を見つめていき、「さ、さっきは心の準備は出来なかったから!うん!」自分が急に紡いだ自分も半ば疑ってしまいそうな言葉に、納得しているようにと強く頷いては、急に体を自分に近づいて来ていたせいで酷く温かく感じていた野黒新の逞しく思えては、硬い胸元に脳内を真っ白にされているような気がしている利佳、「そう!」強く両手を握っては彼にもう一度そのまま昇天して仕舞っても、可笑しくないくらいの高揚感を与えに来て欲しいと、強く思ってしまう利佳は眉毛に力を入れて行きながら、強く両手を握っては顔を彼に近づいていき、「ほ、ほら!来い!」


  自分に彼女の口の中から零れて来る甘い香りを味わって欲しがっているような利佳の、期待に満たされている眼に目を細められては、彼女に顎を触れていただけで愛おしく感じてしまう彼女を壊してしまいそうなくらいに、抱きしめてやりたいと言う内心の思いに怯んでは、思わず自分に少しばかり血走っている眼を向けに来ていた彼女から逃げて見たくなっている彼は、不服そうな振りをして行くようにと何度も赤くなっていた鼻翼に力を入れては、右手にある携帯電話を弄っていた、『しないよ、』まったりと腕を組んでは上半身を起こしていく彼は、携帯電話から発していた平坦な声に見開かされている利佳の顔を見つめていき、『チャンスは一度きりだと思え?』


  ぼんやりとぱちくりながらもう一度自分にくっついてくれないと、語って来ていた故に感じていたショックに耽っていた自分に、酷く重たく思える台詞を投げに来ていた野黒新の頑なに自分と目線を合わせようとしないでいるハニカム姿を、こっそりと堪能して行くように繊細な両手を握っては軽く顎を引いては、横目で彼のことを見つめてしまう利佳、「深いことをさりげなく言ってくるね…」まったりと右手の人差し指を立てて行きつつ、彼のせいで酷く痒くなっているように感じているこめかみを掻いていく彼女は、彼のことを見つめたままでぽつりと呟いていき、「キミって。」


  『まぁな、』彼女が自分に投げて来ていた一言に目を細められているように思えては、ぼんやりとしている目線をサイドテーブルの上に置かれていた手紙と画帳に向けてしまう野黒新、『人生今まで積んで来た教訓さ。』携帯電話が上げていたやけに平坦な声色と、彼の目を細めている横顔に帯びている憂いに心を引かれているように感じつつ、彼が自分の知らない時に、自分には想像すら付けない程の傷を負っていたんだなとぼんやりと考えては、胸元の奥からこみ上げて来る傷心に脳内を狂わされてしまいそうな気がしている利佳は、ぽつりと呟いていた、「そう…なんだ…」


  利佳の自分が適当にも思えるくらいに携帯電話に読ませていた言葉に悲しみを覚えては、項垂れていく様に微笑んでしまう野黒新はまったりと黄昏のようなタオルに、隠されていたような左手を上げては彼女の頭を擦っていく、『暗い顔をするんなや。』自分よりずっと傷を負っていたはずの彼がちゃんと自分を励ましてくれている様に、口角が斜め下の方向に固定されているような気がしてならないでいる利佳は、つい上手く彼の心の傷を癒してやれないでいる自分の無力さに悔やんでは、辛そうにと軽く鼻を啜っては恐る恐ると頷いていた、「うん…」利佳の上手く自分のことを見れなくなっている態度に、苦笑いしてみたくなりつつ、ゆっくりと自分の手のひらに甘えに来ていたような彼女の柔らかい髪の毛から左手を引いては、ぼんやりと何かしらの物を無くしていたような眼差しをテレビを乗せていたカラスのマスクを付けていたフィギュアに向けては、切なげに軽く歯を噛んでしまう彼はごくりと固唾を飲み込んでは、右手にある携帯電話をソファーに置いて、まったりと右手で自分を見守ってくれているような向日葵がプリントされていた画帳に向けていき。


  無言で自分たちの体を部屋の外から内側まで入りたがっているような雨音から、守ってくれているような黄昏のような毛布を動かしていた野黒新の、丁寧に両手に少しばかり使い古されたようにも感じてしまう向日葵がプリントされていた画帳を見下ろしていく、憂いに曇らされている顔と懐かしそうにと上げていた彼の口角に、心を嬲られているように思えては、軽く歯を噛んでしまう利佳は彼が一人の世界に耽ってみたいと言うのなら、自分は彼の邪魔をしてはならないんだと強く思い、何度も鼻翼に力を入れては、まるで自分の心にある向きになっている思いに引かれているようにと顎を引いていた彼女。


  自分の両手に乗せていた画帳が気になりつつも、向きになっている子供のように画帳を見ようとしないでいる利佳の様に、口角を上げられているような気がしてしまう野黒新は軽く首を横に振って行きつつ、手のかかる子供を家に招いたように思えては、ゆっくりと目線を自分に開かれていた画帳に向けては、利佳にちゃんと画帳を残していた主人を紹介していこうと考えている野黒新は、呆然と自分の眼を濡らしに来ているような綺麗な文字を見つめている。


  今日も晴れの日だ。まったりと自分に挨拶を交わしに来ているような、少しばかり霞んでいたような灰色の文字に左手を添えては、軽く春菜が残していた文字に親指を添えて行きつつ、呆然としている瞳を彼女が残していた絵日記に向けていた彼。


  私は相変わらず心臓病のせいでで家にいてアニメを見る事しかできないままでいる、さっきは母さんの服を掴んで、私は皆と一緒に遊びたいよと言ったけど、母さんはいつも通りの返事をくれた。あなたは体が弱いのだからちゃんと家にいてなさいと。棚にあるアニメと漫画はもう何回も見たから、面白いそうな小説を母さんに読んでもらいたいけど、母さんはお料理を準備するから、読んでくれなかった。


  私は絵日記を描き始めた、最初はこの画帳を絵で埋めてやるって思ってたけど、やっぱり絵だけだとなんか寂しい気がするから、別に絵で全部の空白を埋めるのは面倒くさいとかは、ちょっとだけ、ほんのちょっとだけしか思っていないんだ?ちょっとだけね?本当に、ちょっとだけ。いっぱいちょっとだけ書いてこのページを出来る限り埋めていくつもりよ?だから、変な順番になるかもだけど、まぁ自分しか見ないだろうから、いいかな?うん…しんに、見てもらいたいかもね…でもいっぱいちょっとだけ書いたから、雑な奴に思われないかな…本気で書くよ?本気で、うん、本気で。ちょー本気で。いくよ?


  あまりにも雑に見えてしまう春菜が、彼女が画帳にある紙に残されていた文字のように、空白を全て鉛筆の灰色で埋めようとしていた時の事が、目に浮かんでいるように感じては、思わず可笑しそうにと軽く口角を上げていた野黒新は、チラッとページの隣りにある彼女のわざとらしく大きく書いていた文字に目を向けていく。私はずっとアニメの世界に入ってみたいって思ってて、絵はあんまり上手くないけど、描くのは好きなんだ…あとは…何を書けばいいのかな…


  目を半開きさせて行きつつ、日記なのに酷く悩んでいた彼女の思いに、鼻腔の奥をくすぐられているように感じては、チラッとまるで自分が画帳に耽っている様が酷く気になっているようにと、唇を尖らせている利佳に一瞥していく野黒新は軽く口角を上げては、ゆっくりと左手を彼女の左肩に向けて行きつつ、自分の両足の上に置かれていた画帳を捲って行きながら、少しばかり無邪気な雰囲気を与えてくれている絵に添えていた文字に視線を落としていく。


  私は幼稚園に入ったんだ、結構前の事なんだけど、幼稚園でやくろしんって格好いい男の子がいて。「うっ…」忽然、自分が適当に捲っていたページに残されていた自分の脳髄に刻み込んでいたかのような絵と、文字に口角が否応なしに斜め下の方向に向けられているように思えては、思わず強く歯を噛んでしまう彼、何度も鼻翼に力を入れては利佳の前で慌てているところを見せると、彼女はきっと酷く不安になってしまうのに違いないんだと強く考えては、自分の左手に左肩を引かれるがままに、恐る恐ると自分の顔を見つめてくれている彼女に淡い笑みを見せては、軽く目線で画帳を指して行きつつ、少しばかり黄ばんでいた紙に残されていた顔が円盤のような自分たちを見下ろしていく。


  彼はあんまり人と話さないけど、私と同じアニメが好きなんだ~!彼のリュックには私の好きなキャラクターがプリントされてたんだ、それで私は話しかけてみたんだけど、彼はあんまり私とお話をしたくないみたいなんだ、このアニメは好きなのかって、リュックを指して彼に聞いても、彼は凄く速さで瞬きをするの。緊張していたせいなのかもしれないけど、後でちゃんとお話が出来るようになったんだ~


  ぼんやりと青色の瞳で見ているだけで酷く温かい気持ちを与えてくれるような、画帳の主人が残していた絵と可愛く見えてしまう文字にぱちくりして行きつつ、こっそりと赤い髪の毛をしていた顔が丸い女の子の絵を見つめ、多分彼女が書いていた文字を黙読すると、つい安心感を覚えては、野黒新はもしかしたら画帳の主人にまったく興味を持っていないんじゃないかとぼんやりと考えている利佳は、ごくりと固唾を飲み込んでは、悲しそうにと画帳を見つめている彼に引かれているようにと目線を再び紙に向けていた。


  彼は不思議な人でね、なんかぼんやりとしているけど、どこかほっとけないって感じがしてたり。幼き頃に残していた文字が酷く温かく感じては、何度も目にしても胸元の奥が春菜が書いていた拙く感じてしまう文章に抉られては、苦渋な思いを抱えられてしまいそうに感じている野黒新は、切なげに鼻を啜っていた。私とあんまり話したくないのかな、何て思ってたら急に、私にヒロインにならないとか言ってきたりするの。


  忽然、黄ばんでいた紙の上に描かれていた二人が隣同士に座っていた絵と文字に、目を細められているように思えては、どう見ても酷く幼い頃の話でしか思えないけれども、胸元の奥を焼いて来ているような嫉妬に、唇をすぼめられているように感じてしまう利佳は不服そうにと眉間に皺寄せては、何度も鼻翼に力を入れては、温かい空気を吸い込んで行きつつ、自分は勝手に紙の上にある赤い髪の毛をしていた彼女の日記を覗き見している事を思うと、自分には彼女に嫉妬するどころか、ちゃんと謝らないといけないんだと心の中で自分に言い聞かせている利佳はぱちくりながら、まるで自分の内心で決めていたちゃんと冷静な態度で赤い髪の毛をしていた女の子の日記を見る事を、見ているようにとまったりとページを捲ってくれている彼の細長い指に目を細められては、素敵な彼が自分の知らない時に出会えた女性を思うと、つい子供でもやきもちを焼いてしまう自分はしょうがないくらいに醜くなっているなと、内心で考えてしまう利佳はごくりと固唾を飲み込んでは、青色の瞳で悲しそうにと青色の粒を緑色の瞳に添えていた赤い髪の毛をしていた女の子のことを映し出していく。


  きっと、私が困らされている事があるからと彼に教えていたせいだろうけど、優しい男の子なんだ、彼は、でも、私には、きっと彼のヒロインにはなれないんだ、だって、成人まで生きていけたら奇跡だって…お医者さんに言われてたんだもの。”ドクンー”刹那、まるで自分の心を嬲りに来ているような、微かに主人の悲しんでいる心境に影響されていたかのように、少しばかり震えていた文字と、まるで文字に感動されては、泣かされていたような起伏していた紙と文字に見開かされている利佳、「えっ…?」


  春菜が自分たちのもとにいない訳を垣間見えているような利佳の、酷く悲しんでいるようにと潤んでいる眼を自分に向けて来ては、辛そうに歯を噛んでくれている様に微笑んで上げてみたいと願いつつ、春菜が病気のせいで静かな死に方を迎えられたら、自分はそれで幸せにも思えたはずなのにと、死に行く彼女の汚されていたシチュエーションを思い出していくと、つい悲憤に背中を焼かれているように思えては、苦しそうにと強く歯を噛んでしまう野黒新は、内心にある憤怒を必死に抑えては、ぼんやりと霞んでいる瞳を捲っていたページに向けていた。彼はなんか、今までのお友達と違っていて、彼は何もないっていうか、普通っていうか…普通じゃなかったりもしたりすんだよ?やっぱり、あんな本気の目でヒーローになりたいって、言わないかな、なんて。


  まるで自分たちに元気づけようとしているようにと、濡らしに来ては何度も乾いていた黄ばんでいた紙の上で右手を腰に添えては、左手の親指を立ててくれている少し舌を出していた赤い髪の毛の彼女の、酷く健気に思える絵と言葉に悲しみを覚えては、口角が悲しみに斜め下の方向に固定されているように思い、辛そうに歯を噛んでは、赤くなっていた鼻を啜ってしまう利佳は軽く汗ばんでいる両手を握っては、彼女の隣りにある白い輪っかに包まられていた文字に視線を落としていく。だから、ちょっと内気な彼の助けになりたいんだ、少しでも彼の夢に、彼が近づく事が出来たらな、なんて。

  

  会ったことのない赤い髪の毛をしていた彼女が野黒新を応援していた言葉と、彼女がさり気なく書いていた酷く重たく感じてしまう一言に、心が憂いに侵されているように感じては、恐る恐ると潤んでいる瞳を野黒新に向けていく利佳は軽く歯を噛んでは、もうこれ以上悲しむような画帳を見ないで行こうと、彼の潤んでいる瞳を見つめては、きっと今まで何度も画帳を見ては、画帳の黄ばんでいた紙を起伏させていたのだろうと内心で考えて行きつつ、ゆっくりとページを捲っていく彼の手に困らされては、彼がまだ女の子が残していた、彼への切ない思いを見たいと言うのなら、好奇心としょうもないくらいの嫉妬で、女の子と彼を悲しませていた自分はちゃんと責任を取っては、彼と共に最後まで画帳を見ていこうと強く考えている利佳は何度も鼻翼に力を入れては、胸元を膨らませては、自分に冷静になって貰いたいと切に思いながら、左手の人差し指を立てていた赤い髪の毛をしていた女の子が書かれていたページに目線を向けていく。


  私は彼に提案してたんだ、英雄になる為のイメージトレーニングをしないかって、ほら!次のページで彼が描いてくれていた私が待ってるんだ!って…なんか自分しか読まないのに…一人で盛り上がっているみたいで恥ずかしい…やっぱりしんに見て貰った方がいいかもしれないね…同じ恥ずかしいけどさ…赤い髪の毛をしていた女の子の悩んでいた態度に目を細められているように思えては、ぼんやりとしている目線を彼女が残していた言葉に合わせて行くようにと、ページを捲っていた野黒新の繊細な指先に目を細められているような気がしている利佳。


  まったりと自分を迎えてくれているような深い青色の空と、体が小さくされていたような二人が楽しそうに背を草原にしているのか、草原の上で立っているのかが分からない絵に戸惑いつつ、まるで両手を広げては星空を抱擁するのか、手をつなごうとするのかは良く分からない二人の間を邪魔していたような、ページとページを繋がらせていた白い金具に目を細められては、二人の仲を両断していたようにも見えて来る金具に少しばかり苛立ちを覚えてしまう利佳は悔しそうに軽く歯を噛んでしまい。


  ごくりと固唾を飲み込んでいく彼女はぼんやりと目を細めて行きつつ、さっきまでにやきもちを焼いていたはずなのに、どうして急に恋敵になっていたかもしれない赤い髪の毛をしていた女の子を応援しようとしているんだと内心で呟いては、チラッと赤いクレヨンに書かれていた番号に青色の眼を向けては、ぼんやりと小首を傾げていく利佳は深い青色の空に添えていた奇妙な文字を声に乗せていた、「助けたいナンバー2?」利佳が自分に向けて来る少しばかり困っているような声色に、口角をくすぐられているように感じてはぼんやりと彼女の真っ白な髪の毛を見つめていく野黒新は軽く唇を噛んでは、霞んでいた視界を画帳に向けて行きつつ、ゆっくりとページを捲っていた。


  呆然と小首を傾げてはまるで自分に紹介してくれているような灰色の文字に、添えていたような少しばかり違和感を感じさせに来ている赤いクレヨンに描かれていた”3”のもとにいるお爺さんの海を眺めていたように、岸に佇んでいた絵を目にして行きつつ、まるでお爺さんは大して見る必要はないと知らせに来ているようにと、急いで少しばかり戦慄している右手で再びページを捲ってくれていた野黒新の指先に戸惑ってしまう利佳。


  自分の少しばかり震えている右手に何かしらの違和感を感じているように、呆然としている眼光を自分に投げに来ている利佳の潤んでいる青色の瞳に、口角が一瞬斜め下の方向に向けられているように感じては、爺さんに描いていた海と春菜と自分の間にある金具の事を思うと、思わず自分は画帳に呪われているような思いに脳内を苦しめられては、急いでいるように軽く首を横に振っていた野黒新は軽く鼻翼に力を入れては、きっと春菜が自分にちゃんと爺さんの事を大切にして欲しいから、画帳でかつての自分に何かしらのヒントを与えようとしてはずなんだと、脳内で自分に言い聞かせて行きつつ、幸いとは言えないけれども、白野と和流も画帳に描かれていた事を思い出していくと、つい自分には二人の絵まで見てしまうと、つい利佳の前で泣き出してしまったらどうしようと考えてしまう彼は、軽く歯を噛んでいた。


  野黒新の酷く苦しんでいるような態度に、眉間に皺寄せられているように感じては、つい彼の暗闇に飲み込まれているような瞳に体を吸い込まれてしまいそうに感じては、恐る恐ると軽く左手を彼の左腕に添えていく利佳、「大丈夫…?」まるで自分は大丈夫なんだと教えてくれているようにと、軽く首を縦に振ってくれている彼の瞳に目を細められては、自分の人生を根本から狂わせに来ていた柱を思い出してしまうと、彼が救いたかった二番の赤い髪の毛をしていた女の子も、三番と描かれていた爺さんもきっと上手く助けることが出来なかったのだろうと、内心で悔やんでしまう利佳はつい彼の苦渋な思いに心を嬲られているように感じては、自分はどうしたらいいのかと悩んでしまう彼女は、思わず霞んでいた視線を彼の自分に見て欲しいと待ってくれているようなページに向けていた。


  ”ドクンー”忽然、まるで自分の眼を奪いに来ているような真っ白な髪の毛をしていた女の子の右側の頭に添えていたベージュ色のクレヨンで描かれていた”1”の番号に、眉毛を跳ねらされているように感じては、唇がぼんやりと開けられているような気がしている利佳、「あっ…」宛ら自分が発していた驚かされているような声色で、自分には何を言いたいのかを分かってくれているようにと自分に目を向けてくれては、淡い笑みを浮かべてくれている野黒新の潤んでいた瞳を見つめて行きつつ、恐る恐ると両手を握っては華奢な肩を縮めてしまう彼女、「い、一番って…」自分はもしかしたら野黒新と魂の縁があるんじゃないかとずっと思って来ていた自分に、証拠を添えてくれていたような画帖に描かれていた自分にそっくりだと思い込ませに来ているような、真っ白な髪の毛をしていた女の子の絵に一瞥しては、興奮気味になれているせいで鼻息が少しばかり荒くなっている利佳は、彼の瞳を見つめて行きながら、軽く興奮に震わされている左手の人差し指で自分の顔を指差していく、「ボク…?」


  ぼんやりと淡い笑みを浮かべたままで、まるで自分に質問の返事をしようとしないでいるような彼の態度に戸惑いながら、何度も彼の瞳に映し出されている自分の顔と、画帳に残されていた白いクレヨンに描かれていた女の子の髪の毛を交互に見てしまう彼女、「ぼ、ボク…よね…これ…?」肩を縮めて行きつつ、自分に否定するような言葉を向けようとしないでいる野黒新の態度を目にすると、もしかしたら彼は単に自分との訳の分からない所での繋がりを認めるのを、恥ずかしがっているだけなのではないかとぼんやりと考えては、胸元の奥にある激しい鼓動に口角を上げられているような気がしてならないでいる利佳は、思わず再び自分の喉に募って来ているような唾液を飲み込んでは、ぽつりと弱っているような声を発していく、「こ、これは…う、運命…?」自分がぽつりと幸せに満たされているような声色で呟いていた言葉に、ハニカムようにと戦慄している両手を猛然と上げては、自分の真っ赤になっているのに決まっているんだと、思わせに来ているような燃えているような感覚を残して来ている頬を感じてしまう彼女は、潤んでいる青色の瞳を彼に向けていた、「なんですか…?」

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