第259話僕は…勝って見せるよ…この現実に。


  

  向きになっている子供のようにも思えてしまう自分の現状を見ていない態度に飽きれつつ、自分が紡いだ向きになっていた言葉を撤回する事はしたくないんだと思っている斗奴雷は、ゆっくりと重たい現実に震わされては上手く動かす事が出来ずにいる右手を胸元に当てていき、「僕は…自分を曲がったりしないぞ…」斗奴雷のちゃんと彼は今どんな状態に置かれているのかを知れている様に、口角を上げられているように感じつつ、彼の現実の大変さを知りながらも、やはり立ち向かおうとする態度は馬鹿だと言えないでいる自分も大概なもののように思えている竜祥は言う、「滑稽な人間のことを意識して苦悩する必要はないんだぞ?」軽く顎を上げては学校側を紹介していくようにと胸元を彼に向けたままで両手を上げていく竜祥、「社会と言うビッグなコロシアムの中で、」まったりと左手を胸元に当てて行きつつ、激昂になっては息遣いが少しばかり荒くなっている斗奴雷の顔を見つめて行きながら、ニヤリと左側の口角を上げていく竜祥は軽く顎を引いていき、「自分が観客席に座っていて、」右手の人差し指を立てて行きながら、深い紫色の瞳に映し出している歪んでいるようにも思える自分の顔を見つめていく竜祥、「馬鹿どもが殺し合うのを見ているだけでいい存在に、」横目でまるで自分に思いを見せてくれないでいるようなやけに鋭く思えては、自分の存在を退かそうとしているような彼の瞳に鼻腔をくすぐられているように感じては、ゆっくりと体を引いていく竜祥は困っているようにと彼に尋ねていく、「どうしてならない?」


  「どうして…」竜祥が自分に紡いで来ていた酷く残酷にも思える話を耳にして行きつつ、当たり前のようにとそのような話を紡いだ彼は尼姥姥と言う犠牲者が既に出ていたのを間近で見ても尚、彼の人の道を違えているような思いを変えようとしないでいる態度に、悩まされているように思えている斗奴雷は悔しそうにと強く歯を噛んでは、ぽつりと戦慄している声を発していた、「君は殺し合う彼らの事を救おうと思わない…?」斗奴雷が自分に向けて来ている反論にも聞こえないでいる質問が根本的に、理解できないでいる竜祥は可笑しそうにと鼻で笑っては冷酷な声を上げていた、「俺とどんな関係をしている?」


  ”ドクンー”竜祥が自分に返して来ていた惨い一言に口角を一瞬にして斜め下の方向に固定されては、心臓を嬲られているような気がしてならないでいる斗奴雷、「うっ…!」苦しそうな唸り声を漏らしていた斗奴雷の戦慄している顎を引いては、右手で激しく鼓動を刻んでいる胸元に当てては、冷静を取り戻そうとしている態度は面白く思えている竜祥、「赤の他人が生きようが死のうが、」気怠そうにと左手を上げては何度も自分の胸に向けている竜祥は、軽蔑しているように偽善にも思える斗奴雷の事を見下ろしていき、「俺の定まっている目標に関わって来ない以上、」強く鼻で笑っては他人の為に一秒の時間も使いたくないと思って来ていた自分が、長く他人であるはずの斗奴雷と話をした現実に胸元の奥に疑問が過っているように感じては、ゆっくりと両手を下して行きつつ、目を細めていく竜祥、「俺にとってはどうでもいいことなんだし、」軽く鼻翼に力を入れては意味もなく斗奴雷にやけに話をしていた自分は、間違いなく頭の何処かで彼のことを利用するのを期待していた故に、こうして話をしているのに違いないんだと強く考えている、「目にする事もしたくないよ。」


  竜祥が紡いだ言葉は間違っていないのだろうと思いつつ、尼姥姥とその遺族の為にそしてクラスの中で、自分以外の犠牲者が現れないために努力しようと考えている自分も間違ってはいないはずだと、自分に言い聞かせている斗奴雷は何度も鼻翼に力を入れていく、「僕は…助けるぞ…」「ふん~」斗奴雷の本気で彼が口にした話を実行しようとしている様に目を細められては、軽く口角を上げていく竜祥は目を細めて行きつつ、どうしてもただの偽善者はここまで人の為に悩んだりはしないと思っている竜祥は、斗奴雷の事を理解するには、彼の人格を受け入れて行かないととぼんやりと考えている、「善良なる心って奴かね?」横目で眉間に皺寄せては自分が彼の事をからかっていくように、微かに起伏してはふざけているような声を気にしないでいる彼の瞳を見つめていく竜祥、「小夜がよく言う主人公のような、」ニヤリと口角を上げては正義感に頭を翻弄されている人間を馬鹿にしているようにと、大きな声を発していく彼、「この社会ではただの馬鹿でしかない存在になる?」


  竜祥が歪んだまでに自分の事を持ち上げて来ては雨依を亡くしては、両親にも毎日のように小馬鹿にされて来ている自分は、輝かしい主人公になれるはずもなければ、主人公のように格好いい出来事を成そうとも思わないでいる自分に困らされているようにと目線を床に向けていき、「善良ではないんだ…」軽く鼻翼に力を入れては主人公のように訳の分からないくらいに、できっこない事を上手く解決して来たいと心の底から祈りつつ、そのような人物が現れてはクラスメートたちも自分も含めて救って欲しいと願ってしまう彼は、自分の子供の時でも分かる叶える事のない願い事に苦笑いしてみたくなっては、ぽつりと渇いた唇を開けていた、「下心満載だよ…僕も、」ごくりと固唾を飲み込んでは、自分は諦めたくはないんだと思いつつ、主人公のように物事を解決出来なくとも、現実に屈しては、これから今日の出来事を思い出す度に、常に悔やんでしまう未来に辿り着く事は嫌なんだと強く考えている彼、「自分が巻き込まれたくないから、」軽く歯を噛んでは現実を変えることが出来なくとも、せめての事を頑張って見ようと強く思っている彼は、潤んでいる瞳を竜祥に向けていき、「コロシアムのような環境を変えていくつもりだ。」


  斗奴雷の環境を変えていこうと語って来ていた一言に眉毛をビクッと跳ねらされていたような気がしつつ、ごくりと固唾を飲み込んでいく竜祥はつい彼は彼が語っていた言葉の意味を分からないで、そのまま思い付けた話を向けて来ていた可能性はないはずだと考えては、水面の上で月を手に掴もうとしているくらいに彼がやっている事には結果を得れるはずもないと思っては、やけに儚い泡沫のような彼の思いに感動されているような気分になれている竜祥。


  「虐められる人がいるのは見たくないけど…」軽く歯を噛んでは眉毛を顰めて行きながら、もしクラスメートたちが自分の事を嫌っていて自分に意地悪するのなら、甘んじて受け入れては、皆の安全を保って行こうと強く思っている斗奴雷、「ある程度でなら、許すつもりだよ…」強く両手を握っては、眉間に皺寄せて行きながら歯を噛んでいく斗奴雷は揺るぎない眼差しを赤い瞳に向けていた、「けどこのままだと、彼のような死んでしまう人はいっぱい出て来るんだ、」困り果てているような目線を竜祥の後ろにある壁に飲み込まれていたようなスライドドアに向けていく斗奴雷は、悲しそうにと声を発していき、「それは君にだって知っているはずの事だろ?」


  「ふん…」斗奴雷の本気で自分以外の下種にも思えるクラスメートたちの事を思っては、自分が置かれている危険を考えるより、どうしようもない屑たちの事を考えている様がどうしても理解できないように感じつつ、現実に泣き出されそうになっているのにも関わらず現実を抱擁しようとしている彼のことがどうしても神話の中でしか出てこない英雄のように感じている竜祥は、彼の事を馬鹿にしていた自分を嘲笑っていくようにと鼻で笑っていた、「格好いいね、残念だけど、」まったりと左手を胸元に当てて行きながら、彼の瞳を見つめていく竜祥は彼に心の中で脱帽しているように思いつつ、彼が成そうとしていることは百パーセントと言って良いほどに成せないのだろうと思っている竜祥は微笑んだ、「嬉しいよ、雷。」


  「うっ…!」宛ら自分の事を説得できないでいる故に、心に気持ち悪い思いを強いてくる作戦に変えていたような竜祥の自分を呼んで来ていた様に、眉毛をひそめられているように思えてはごくりと固唾を飲み込んでしまう斗奴雷は、ぼんやりと嫌悪感が帯びている横目で彼の顔を見ていき、「気持ち悪い呼び方するなよ…お前。」自分を拒んで来ている斗奴雷の態度に心を微かに傷つけられているように思いつつ、人格が真逆なまでに違っているようにも思える彼が、自分を退かすのも無理はないように思えている竜祥は言う、「残念だね、」軽く右手の人差し指を頬に当てては横目で彼の顔を見ていく竜祥、「好きなのにさ?」


  からかって来ているようにと自分に告白しに来ている竜祥の様に目を半開きさせて行きつつ、彼の脳内に腐女子でも住んでいるのではないかと一瞬思っては、彼のようなイケメンに告白されると、ついどうして彼が女の子に生まれて来なかったのかと内心で悔やんでは、悔しそうにと歯ぎしりして行きつつ目線を左側に向けては、脳内で竜祥の事をこっそりと女体化していこうと思っている斗奴雷はぽつりと呟いていた、「要らないよ…」斗奴雷の怒っているように自分から目を逸らしていく様に目を細められては、ゆっくりと右手の人差し指を頬から引いて行きつつ、真面目な話をしていこうと考えている竜祥は言う、「なぁ、斗奴。」


  自分が発して厳かな声に戸惑ってはぼんやりと眉毛を顰めて行きつつ、自分に顔を向けて来ている彼の瞳を見つめていく竜祥はニヤリと左側の口角を上げていた、「お前が勇者になると言うのなら、」まったりと左手を胸元に当てて行きながら、自分は何を言おうとしているのかを考えているような彼の顔を睨み付けるようにと凝視していく竜祥、「俺はこの世にある怪物を全てを支配する長になるぞ?」自分が少しばかり怒っているようなニュアンスが込められていた声に、驚かされているようにとあんぐり口を開けている彼の瞳を見つめて行きつつ、真顔で自分の上げている左手に目線を向けていく竜祥、「弱く、この世で自分を守る事も出来ないみすぼらしい存在より、」強く歯を噛んでは猛然と左手を握っていた竜祥は深い紫色の瞳に映し出している自分の顔を見つめては、迷わずに言い放った、「俺は確実に弱い邪悪を支配する魔王になる方を選んだぞ?」


  竜祥のどうして中二病に聞こえて来る言葉を、担任の教師が自分に向けて来ていた話と交互に考えては、彼もきっと担任の教師が自分に投げて来ていた心に黒い靄を強いて来ていた話を意識しながら、そのような突拍子もなく聞こえる言葉を投げて来ていたのであろうと思っている斗奴雷は軽く歯を噛んでいき、「勇者なんかになるつもりはないよ…」何度も鼻翼に力を入れてはひんやりとした空気を吸い込んでは、誰も居そうにない廊下で急に姿を現していた時の竜祥の足音が自分に植え付けに来ていた恐怖に、口角を一瞬斜め下の方向に向けられていたように感じては、恐る恐ると唾液を飲み込んでいく斗奴雷、「ただ夜になると、」


  軽く畏怖に震わされている両手を握っては、死んでいた尼姥姥は我妻を狙うのは当たり前のように思いつつ、わざわざ遺書に名前を残していた自分にも何とか会いに来ては、謝ってくるんじゃないかと酷く不安になりゆっくりと震えている両腕を抱えていく彼は、再び喉に引っかかって来ているような唾液を飲み込んで、周りの景色を見ていきつつ、チラっと横目で竜祥の無言で自分の話を耳にしている様を見ては、もしかしたら彼は尼姥姥が化けていた偽物なんじゃないかと不安になりつつ、そもそも利己主義の竜祥が自分にこんなにも話をして来るのは可笑しく思えている斗奴雷は、前のにいる竜祥の事を警戒するようにと一歩を引いていた、「彼が出て来た時に顔を向けないようじゃ嫌なだけだよ…」


  怖がっている斗奴雷の青ざめた顔色に口角をくすぐられているように感じては、流し目で恐怖心を刺激されているよう彼の顔を見ていく竜祥はニヤリと右側の口角を上げて行きつつ、提案するようにと右手の人差し指を立てていた、「俺が添い寝しようか?」竜祥が自分に投げて来ていた言葉に目を半開きさせて行きつつ、ゆっくりと右手を臀部に向けていく斗奴雷はぱちくりながら、彼のからかいに来ているような笑みを見つめて行きつつ、ぽつりと文句交じりの声を発していき、「だから要らないつったろ…?」


  斗奴雷のあからさまに自分の事を拒んで来ては、冗談ですら聞きたくないでいる態度に口角を上げられているように感じては、まったりと目を瞑っていく竜祥は軽く右手の人差し指を口角に添えては流し目で彼の顔を見て見ていく、「本当に残念だな、」まるで自分が口にしていた言葉は彼を抱きしめたいと勘違いしているようにと、眉間に皺寄せていく彼の表情に口角をくすぐられているように感じては、まったり右手の人差し指を下していく竜祥は言う、「二人目になる時は、ちゃんと顔を合わせて、」自分が淡々と語り始めている言葉に絶句されているようにと潤んでいる眼で自分の顔を見つめて来ている彼に、近づいて行くようにと白皙の首を伸ばしていく竜祥は横目で彼の顔を見ていた、「抱擁でもしてやるよ?」


  死んでも自分に抱きしめられたくはないと、主人の代わりに自分に自分が紡いだ冗談交じりの誘いの話を、拒んで来ているような彼の斜め下の方向に向けていく口角に目を細めては、まったりと彼の後ろに向けて歩いて行こうとする竜祥は残念そうにと横目で彼の顔を見て行きつつ、ぽつりと声を発していた、「それじゃ、達者でな。」まるで自分とはもう二度と会えないと語って来ているように、自分の顔を見ようとしないでいる竜祥の自分の右側を通っていくに連れて、自分の鼻腔の奥をくすぐりに来ているようなほのかとした薄荷の匂いに目を細められているように思えている斗奴雷は、ぽつりと渇いた唇を開けていく、「竜祥…」


  無理矢理自分の両足を止めに来ているようにも感じてしまう斗奴雷が自分の名を口にしていた様に、背中を引かれているように思えては、ぼんやりと顎を上げて行きながら、少しばかり憤っていたような声色で自分を呼び止めて来ていた彼は決して自分の仲間になると知らせに来ているのではないんだと、内心で自分に言い聞かせて行きつつ、残念そうにと軽く鼻で笑っていく竜祥はつい未だに綺麗な水晶のような無垢な存在である彼が、小汚い自分の仲間になってくれるのを期待している事に飽きれては、チラっと横目で決意したようにと自分の背中に胸元を向けて来ている彼の事を見ていく竜祥は言う、「何?」


  「僕は…」歯ぎしりして行きながら、ただただ何もかも流されるがままに受け入れて行くのなら、自分が生きていく意味なんてないんだと強く思っている斗奴雷は、強く喉に引っかかってはまるで自分に上手く愚かにも思える台詞を紡がせてくれないでいるような唾液を飲み込んでは、自分の言葉を期待してくれているような潤んでは、夕陽に照らされている赤い瞳を睨んでいく斗奴雷は沈んでいるような声色で言い放った、「勝って見せるよ…この現実に。」


  まるで既に勝っていたようにと酷く格好良く伝って来ている言葉を向けて来る斗奴雷の様に、少しばかり感動を覚えてしまう心に目を細められては、軽く口角を上げていく竜祥はまったりと憤っている彼から顔を廊下に向けていき、「強いんだね…」淡い笑みを浮かんで行きながら、斗奴雷がもしどうしようもないくらいに汚い現実を変える事が出来たら、自分の方が彼に従っていては、仲間になって行こうと思っている竜祥はそのような事は決して起これないのだろうと内心で自分の空想にも近いと感じている考えを否定していた彼は、ぽつりと声を発していた、「期待しているよ。」


  本気で自分に期待しているような声色で言葉を投げてくれていた竜祥の話に、目を細められているように感じては、自分を守る為に人を盾のように使っている彼は間違っているようには思えないでいる斗奴雷は強く歯を噛んでは、いざ自分が盾になる日が来ると、これはどれだけ恐ろしい事なのかを身をもって知らされるのだろうと考えて行きつつ、竜祥の考え方を変えるのは多分無理だと思いながら、自分は彼と同じ道を歩みたくはないと強く考えている斗奴雷はぽつりと声を発していき、「見ていろ…」


  「うん。」斗奴雷のあからさまに自分自身が紡いだ話を疑っているようにと、少しばかり震えているような声色で投げて来ていた話に口角を上げられているように思いつつ、心をくすぐられているように感じては、ゆっくりと胸元を彼に向けていく竜祥は微笑んだ、「ちゃんと耐えて見せろよ?」まったりと左手の人差し指を立てては目の前にいる肩に力を入れては、全身全霊で自分の存在を拒んで来ている彼の事が、どうしても幼い子供でしか見えないでいるように思えてしまう竜祥は、彼にヒントを与えて行くようにと彼の瞳を見つめて言う、「お前の次になるのは、」自分が紡いだ言葉を警戒しているようにと眉間に皺寄せていく彼の顔を凝視して行きつつ、腕を組んでいく竜祥、「折尾だからね。」


  竜祥のまるで自分が尼姥姥のように限界なまでに追い詰められては、自ら人生と言う道を断っていく未来を見えていたと語って来ているような言葉に唇を無理矢理こじ開けられているように感じてしまう斗奴雷、「なっ…!」「その次になるのは、」軽く左手を上げては顎を擦っていく竜祥は、またしても自分に殴られていたようにと絶句されては、上手く声を発することが出来ずにいる斗奴雷の瞳を睨むように見つめていく、「ちょっと今だと見え辛いけど、」ニヤリと右側の口角を上げて行きつつ、自分がクラスが向かっていく行く末を全部見えないと思っているように微かに渇いたピンク色の唇を開けては、安堵の吐息を吐いて行こうとする斗奴雷の微かに膨らんでいる胸元に一瞥していく竜祥、「そろそろクラスメートたちがパニック状態を突破して、怒って、」自分の上げていた左手に注目しては可笑しそうにと軽く笑っていく竜祥は、特別な問題が起こらない限りは、クラスはきっとこのまま自分が思っているように動いて行くのであろうと考えている、「我妻を蝕む時が来るはずなんだからね。」


  宛ら自分が手下のような存在である我妻を見捨てていくのかと、怒って来ようとしているようにと眉間に皺寄せていく斗奴雷の顔を凝視していく竜祥は、つい自分が彼が二番目の犠牲者になることを教えていく時より、我妻が犠牲者になるのを怒って来ているような彼の様が酷く面白く感じては、理解できないと思いつつ、軽く左手の人差し指で彼の顔を指差していき、「君には見えないだろうけどさ?」


  「お前は…」竜祥のまるで未来の事を全部目にしているような言葉に、唇を無理矢理閉ざされていたように思いつつ、ごくりと固唾を飲み込んでしまう斗奴雷はつい彼が自分に知らせに来ている未来は本当にそのまま起きて仕舞うように感じながら、目の前にいる奴は本当に人間なのかと漠然と考えてしまう彼は、ぽつりと弱り切っているような声を発していた、「どこまで見ているんだよ…」


  斗奴雷が自分に投げて来ていたシンプルな質問に目を細められているように思えては、ぼんやりと顎を上げて行きつつ、自分たちの事を見下ろして来ているような天井を見上げていく竜祥は、ぽつりと声を上げていき、「ざっと高校生活が終わるまでくらいかな?」”ドクンー”淡々とまだ始まって少ししか経っていない高校生活を、もう既に結末まで見えていたと語って来ている竜祥の一言に、心臓を起爆されているように感じては、尼姥姥の死を言い当てていただけではなく、クラスと我妻を上手く支配して来ていた彼が紡いだ言葉は強ち嘘でもないように思いつつ、つい歯ぎしりして見たくなっている斗奴雷はどうして彼にはそのような常人と異なる知恵を持っているのに、もう少し本気で悔やんでは、死んでも可笑しくない尼姥姥のような弱者を助けていないのかと考えて行きつつ、悔しそうにと歯を噛んでは、彼がどうやって彼の知恵を使うのかは彼の勝手であり、自分には何も言えないように思えている斗奴雷は、残念そうにと軽く痺れているように思えている鼻を啜っては、悲しそうにと俯いていた。


  斗奴雷のまるで撃沈されていたような態度は少しばかり可哀想だと思いつつ、ゆっくりと手摺に向けて歩いて行こうとする竜祥は、彼といっぱい他愛のない話をしていたせいで小夜に待たせているのではないかと不安になりつつ、一刻も早く家に戻っては、ちゃんと彼女に会えて、今日もこの汚らしい社会の中で無事にやってこれていたことを自分の目で確認していかないとと強く思っている竜祥は、軽く右手でひんやりとした手摺を握っていきつつ、右足を大理石を敷いていた階段に向けて踏み出している。


  突然、まるで自分が小夜への思いを無理矢理遮断しに来ているような、右足の膝からゆっくりとこみ上げて来ている鈍い痛みと心を殴り込んで来ているような違和感に、眉間に皺寄せられては、思わず強く歯を噛んでしまう竜祥は歯ぎしりして行きつつ、自分の階段を踏んでいた右足を睨んでいき、強く鼻翼に力を入れていく彼はつい傷心を覚えては、糸の切れていた操り人形と成っていたかのようにと、佇んでは廊下から離れようとしないでいる斗奴雷の落ち込んでいる顔に一瞥しては、つい捨てられては酷い雨に打たれている子犬のような彼の様に、同情心を刺激されているように感じつつ、彼が自分の人生観を変えて貰えるかもしれないとぼんやりと叶えるはずのない期待を頼っては、現実に失望している彼が右足に傷を負っては、警察に馬鹿にされていた時の自分と重なり合っているように思えている竜祥は、ぽつりと渇いた唇を開けていく、「君の考えは正しいよ、」


  既に階段に飲み込まれては一階に行ったんじゃないかと思っていた竜祥が、急に再び自分に曖昧な希望を与えてに来ているような言葉に戸惑っては、縋っているようにと彼の声がしていた方向に顔を向けてしまう斗奴雷、「えっ…?」「物事を変えるには、環境を作るんだ。」またしても斗奴雷に声をかけていた自分も、彼と同じように無理だとしながらも、つい頑張ってしまう少しばかり頭の可笑しな人間なんだと考えている竜祥は目を細めて行きつつ、斗奴雷から視線を壁に貼り付けていたタイルに向けて行きながら、軽く口角を上げていた、「でも俺はただこの自然のルールに従って行くだけで、」チラっと横目で斗奴雷の戸惑っているような表情を確認しては、淡い笑みを浮かべていく竜祥はぽつりと声を発していき、「逆らうつもりはないぞ。」


  竜祥のまるで自分にヒントを与えに来ると見せかけて来て、実際には、更に自分を絶望に満ちている地獄に叩き落そうとしているような話に困らされては、軽く歯を噛んでいく斗奴雷はぼんやりと目線を床に向けて行きながら、まるで自分の返答を待っているようにと階段の上で佇んでいる竜祥の顔を見ていく、「人間は…自然に従って行くだけのようじゃ、」ごくりと固唾を飲み込んでは、自然に従っていくままだと、そもそも人間は学校と言うシステムを作っていないはずだと考えては、学校の中で学生に知識を教えていく事も、そして自分たちが踏んでいるタイルも、人間が自然に少しずつ抗って来ていた成果なんじゃないかと思っている斗奴雷は、困り果てているような眼差しを竜祥に向けていた、「僕らはとっくに滅んでいたんじゃないのか…?」


  斗奴雷のまるで眼で彼が語って来ている言葉に秘められていた思いを伝えに来ているようにと、周りを見渡していく様に口角を上げられているように思いつつ、自然に抗っていく人間が今の社会のざまあになっているのが見えていないのかと、尼姥姥のためにまだ何かしらのことをしようとしている彼の希望を完膚なきまで叩きのめすのは、嫌だと考えている竜祥は目を瞑っては軽く鼻で笑っていき、「そんな大昔の事は俺とは関係ないんだよ、」まったりと左手を胸元に当てて行きつつ、他人がどうなろうと自分とは関係していないように、斗奴雷のことを傍らで闇に落ちていくのをゆっくりと見ていこうと考えている竜祥は、猛然と鋭利な眼差しを彼に向けていた、「俺は自分が、小夜が、」左手で胸元の奥にある何としても小夜を守っていく思いを鷲掴みにしているにと、左手で制服を握っていく竜祥は言う、「まともにやっていけたらそれでいいからさ。」


  自分が紡いだ言葉に反論する事が出来ずにいるようにと、歯を噛んでは項垂れている斗奴雷のことを見て行きつつ、軽く笑っては、ゆっくりと振り返っていく竜祥は左手を上げて行きながら声を発していた、「それじゃあ、せいぜい足掻いて見せろよ?」竜祥が自分に残しに来ていた一言は、挑発なのかそれとも本当に自分に期待しているのかを呆然と考えては、格好いい台詞を彼に向けていたけれど、現実はただ格好いい台詞を残すだけでは、上手く解決していけるはずもないんだと考えて、酷く重たくなっているような気がしている両足で床を踏んでいく彼はごくりと固唾を飲み込んでいた。


  


  

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