第257話俺はここに立ってるんだ。



  「決定的な証拠を持っていない事だよ、」斗奴雷の勝つかどうか前にそもそも戦いになれない問題に体を投じては、輝いている彼の存在を自ら抹消しようとしている態度に目を細められては、彼を止めるんだと再び考えている竜祥、「尼姥姥は酷く打撲を負っていたってわけでもなければ、」軽く顔を彼に近づいては、右手の人差し指を立てていく竜祥は彼が頑なに尼姥姥の為に何かしらの事をしようと考えているように、自分も彼に何としても人生を台無しにするような真似をして欲しくないと考えているんだと思っている、「自分は誰かに虐められたから死にますとも書いていないんだ。」


  竜祥が自分に投げて来ていた少しばかりでも尼姥姥の遺族が学校側に勝利しては、尼姥姥を虐めていた我妻に遭うべく報いを与える事が出来ないと知らせに来ていた言葉に悩まされては、ぼんやりと俯いていく斗奴雷、「そうだけど…」横目で斗奴雷の悔やんでいる様を見て行きつつ、軽く後頭部を壁に当てていく竜祥はゆっくりと腕を組んでいき、「学校側は馬鹿正直に事件を調べて、」目を細めては斗奴雷の思考回路は彼と接触すればするほど分からないようにと感じている竜祥は言う、「それで結果を遺族に教えるはずもないのだろう。」


  軽く両腕を握っては、斗奴雷は綺麗な夢を見ているように弱いものを虐める奴は皆、罰を課せられるべきなんだと考えているのであろうなと思っている竜祥、「むしろ積極的に調べて、」横目で叱られていた子供のように俯いては自分と顔を合わせようとしないでいる彼を見ていく竜祥は言う、「証拠の隠蔽に励んでいたはずだ。」綺麗な夢を見るくらいなら、自分にだって出来る事なんだと考えては、社会はもっとも夢から離れては、夢の対義語にも言える場所であることを思うと、ついどうやって夢見がちな彼に観念したらいいのかと分からなくなっているように思ってしまう竜祥、「詰まる所、遺族はただ写真を抱えて泣くことしか出来ないわけだ。」


  竜祥のまるで未来の結果を自分にぶつけて来ていたような言葉に見開かされては、思わずあんぐり口を開けては、呆然と額を上げてしまう斗奴雷、「え…?」「尼姥姥の死はもともと自殺であって、」横目で斗奴雷のぼんやりとしている表情を見ては、彼がどうしても尼姥姥の件に関与して行くというのなら、自分にはどうすることは出来ないと思いつつ、小夜のような輝いている人間がこのまま現実に潰されるのを傍らで見ているのは嫌だと思っている竜祥は言う、「それは警察たちも知れていて、学校側は彼が学校に関わってしまいそうな死因を全部修正していたのだろう。」自分が彼の為に出来る限りの事をしては、彼が愚の骨頂な行動をしても、自分には再び現実はどうしようもないくらいのダメであることを再認識できるのであろうと思い、軽く右足で床を踏んでは、斗奴雷の為に時間を少しばかり費やすのは、例え結果は失敗だとしても、それまでに無意味な事でもないようにと自分に言い聞かせている竜祥、「肝心なのはクラスメートの中に裏切り者が出てくるのかどうかだ。」


  真面目そうにと自分の紡いでいく話を聞いてくれている斗奴雷の瞳に苦笑いしてみたくなっては、他人の為に向きになって頑張っている彼に自分の心を影響されているかもしれないと考えていく竜祥は軽く笑っていた、「普通のクラスメートなら一人二人くらい尼姥姥は虐められていたと遺族に教えようとも、」横目で斗奴雷の酷く悩んでいる様を見ながら、観念して貰いたいのに、人の為に努力している彼が尼姥姥の事を諦めると、少し自分が思うような彼ではなくなってしまうような気がしている竜祥は、自分の矛盾している思いに悩まされては、チラっと自分に目を向けて来ている彼の瞳を見つめていく、「大した証拠にもなれないのだろう。」


  「そう…」自分より法律に詳しいはずの竜祥が自分が調べていた例え尼姥姥の遺族と共に我妻を告訴したところで、勝訴する可能性が皆無であることを声に乗せては知らせに来ている事に、口角を斜め下の方向に向けられているような気がしてならないでいる斗奴雷は切なげに呟いていた、「だよな…」斗奴雷の未だに尼姥姥のことを諦めたくないと語って来ているようにと両手を握りしめている様に、目を細められては軽く鼻で笑ってしまう竜祥は言う、「肝心なのはお前だけなんだよ、ううん、」自分が声に乗せていた一言に興味を引かれているようにと軽く額に皺寄せては、自分の顔を見て来ている彼の瞳を見つめて行きながら軽く右手の人差し指を立てていく竜祥、「法律上、お前が我妻を遺族と共に告訴したところで、」自分に内心の思いを看破されていたと、素直なまでに自分に心の中で考えている事を知らせに来ているようにと繊細な眉毛を跳ねらせている斗奴雷の態度に、笑って行きつつまったりと立てていた人差し指を引いて行く竜祥は、補足するようにと声を発していく、「我妻が罪を問われる可能性は低いんだ。」


  竜祥のにべもなく自分に埃くらいの希望ですら残してくれないでいる言葉に悩まされているように思えては、どうしても尼姥姥を諦めたくないと強く考えている斗奴雷は思わず目線を自分の軽く力を入れている両足に向けていた、「うう…」「何せ証拠は少ないし、」まったりと腕を組んでは斗奴雷の酷く悩んでいる様に目を細められては、軽く口角を上げていく竜祥はゆっくりと顎を上げていき、「学校側も黙って何の操作もせずにお前と遺族にやられるがままでいたりするはずないんだ。」


  チラっと横目で斗奴雷のまるで自分が紡いでいる現実を拒んで来ているように、何度も首を横に振っている様を見ていく竜祥、「知っているのか?」彼の現実を顧みずにただ尼姥姥とその遺族の事だけを見ている態度に飽きれては、軽く首を横に振っていく竜祥は軽く右足に力を入れては、背筋を伸ばしていく、「法律は決して正義の為にあるものではなく、」斗奴雷が自分の淡々と口にしていた言葉に見開かされている様を目にする事無く、目線を自分の左手に向けていく竜祥は言う、「権力者がより確実に自分の権利を守り、」ゆっくりと細長い指を曲がっては拳を握っていく彼は、猛然と夕陽の光を頼っては鋭利な光を過っていく赤い瞳を斗奴雷に向けていた、「権利を持たない者を搾取する為のものなんだよ。」


  「え?」突然、竜祥が尼姥姥のことでも学校側のことでもなく、法律について語り始めていた一言に喉を軽く殴られていたように思えては、法律の存在意義を大して考えていなかった自分に投げて来る否定できないような話に絶句されてはぼんやりと佇んでは、あまりにも突拍子のない話を自分に向けて来ているせいで頭がフリーズしたような気分になれている斗奴雷は、肩に入れていた力を解いていた。


  「安心して働ける場所を作ってやったのも、」軽く左手をズボンのポケットに突っ込んで行きながら、斗奴雷は現実をちゃんと見えていないと言うのなら、ただの愚か者でしかないと考えている竜祥、「より確実に一番順調に民衆から金を取り上げる為のものなんだ。」横目で彼の事を見抜こうとしているような眼差しを向けて行きながら、自分が現実の恐ろしさをじっくりと甘い彼に教えて行こうと思っている竜祥は言う、「俺が言いたい事はもうはっきり分かってくれていると思うけど?」ニヤリと口角を上げては、斗奴雷はきっとまだ色んな愚かにも思える質問を投げて来るのであろうと考えている竜祥は、彼の事をからかっていくようにとぽつりと唇を開けていた、「お前はどうするつもり?」


  「どうするのって…」竜祥のまったく関係していない話を語って来ている口調に、少しばかり苛立ちを覚えつつ、彼に怒ってもまったくと言って良いほどに意味のない事であるのを知りながらも、心に纏って来ている苦しみが消えてなくなってくれないでいる事に、頭の奥をぶん殴られているような気がしている斗奴雷は悔しそうにと両手を握りしめて行きつつ、潤んでいる瞳を彼に向けていく、「彼が死んでいたんだぞ…」歯ぎしりして行きながら、無理だと知っていても、やはり遺族の心を慰める事くらいはするべきなんだと、強く考えている斗奴雷、「心を痛んでいる遺族の味方になるのは…」何度も鼻翼に力を入れては例え失敗したとしても、せめて遺族に勝手に亡くなっていた尼姥姥の為に出来る限りの事をしたと言う心の慰みを得て欲しいと思っている斗奴雷は、戦慄している声で言い放った、「当たり前の話だろうが…!」

  

  斗奴雷の少しくらい現実の溝よりずっと臭く思える臭いを嗅いだとしても、やはり自分が思っていた通りの返答を向けて来ている様に口角をくすぐられているような気がしてならないでいる竜祥は、まったりと目を瞑っては何度も首を横に振っていく、「言い当ててみようかな?」まるで自分は何が言いたいとのかと尋ねて来ているようにと細い眉毛をひそめている彼の、少しばかり充血している眼を睨むようにと見つめている竜祥は、上半身を彼に向けて近づいて行きつつ声を発していた、「最近担任に電話をかけられていなかったのか?」”ドクンー”忽然、竜祥のまるで自分の言えで両親の会話を聞いていたような一言に見開かされては、彼は本当に超能力を持っているんじゃないかと不安になりつつ、恐る恐ると戦慄している両足を後ろに向けては、目の前にいる彼がどうして異物のように感じている斗奴雷は、恐る恐ると畏怖に操られては戦慄している両手を握っていた。


  斗奴雷がやけに素直に自分の話に返答をしてくれている様に口角を上に固定されているように思いつつ、軽く鼻翼に力を入れてはゆっくりと背筋を伸ばして行きながら、補足するようにと自分の存在に緊張を覚えている彼の顔を見ていく、「それもお前が家にいない時に。」「えっ?」何もかも見えているような竜祥が言い当てて来ていた話に、頭の奥が起爆されているような気がしてならないでいる斗奴雷は、思わずぼんやりと唇を開けては、魔性にも感じている彼の赤い瞳を見つめていた。


  「図星みたいね。」斗奴雷が抜け殻となっているような態度に笑って行きながら、まったりと左手をポケットから抜けて腕を組んでいく竜祥、担任の教師が彼にしていた行動は自分が思っていたよりずっと子供のいたずら程度である事に安心している竜祥は、チラっと漠然と自分のことを見て来ている彼の顔を見て行き、「ちなみに、」自慢しているようにと軽く白皙の顎を上げては、左手を胸元に当てていく竜祥は補足するようにと声を発していた、「俺はなかった、」


  竜祥が自分に投げて来ていた一言に左側の眉毛をビクッと跳ねらされていたような気がしている斗奴雷は、ぱちくりして行きつつ、彼が電話をかけられていないのは教師は賢い彼が学校側を裏切るような事をしないと踏んでいる故の事であろうと考えている斗奴雷。彼のまるで自分が電話をかけられていないからと言って何かしらの事を証明するのは、力不足だと語って来ているにと自分に疑っているような眼差しを投げて来ている事に、口角をくすぐられているように思えては、軽く首を横に振ってしまう竜祥は言う、「我妻もなかった、」またしても自分の言葉に殴られているように、あんぐり口を開けていく斗奴雷の態度に笑って行きながら、まったりと目線を自分たちと別れを告げようとしているように沈んでいる夕陽に向けて行く竜祥、「他の学生もないはずだろうな。」


  担任の教師が自分の両親にだけ電話をかけて来ていた事をぼんやりと考えて行きつつ、竜祥が紡いでくれていた言葉は事実なのかどうかはまだ分からないでいるけれど、担任の教師が自分のいない時に母親に電話をかけていたのを言い当てていた彼が紡いだ言葉は、十中八九間違っていないだろうと考えている斗奴雷は悔しそうにと軽く歯を噛んでは、不満そうに震えている声を渇いた喉から絞り出していた、「どうして…?」斗奴雷のまるで現実の重たさと彼がしようとしている事の大変さに頭を嬲られては、上手く物事を考えられなくなっている様は、少しばかり滑稽に感じてしまう竜祥は軽く鼻翼に力を入れては迷わず言い放った、「お前が遺族の味方になるのが当たり前だと思っているからだよ。」


  竜祥が担任の教師の思いを語って来ている一言に悩まされては、漠然と眉毛をひそめてしまう斗奴雷は胸元の奥にある段々激しくなっている鼓動に頭を殴られているような気分を耐えて行きながら、ぽつりと弱っている声を発していく、「え…?」「手紙の中に確実にお前の名前を出されていた、」斗奴雷のまるで自分に言うがままに何もかも受け入れてくれる人形となっている様に、心をくすぐられているように感じている竜祥は言う、「それで遺族は死に物狂いでお前を探して彼は一体どんな目に遭っていたのかを問い詰めに来るのだろう。」横目で頭が現実から感じて来るプレッシャーに真っ白にされても、彼はまだ諦めるつもりはないと知らせに来ている彼の顰めている眉間に一瞥していく竜祥、「気づいていないのか?」斗奴雷がどうしても素直に諦めようとしないでいる様に困らせては、ゆっくりと彼が体験している事の中に隠されている意味を知らせて行こうと思っている竜祥は、軽く顔を彼に近づいていく、「お前を意識して、」唇から飛び出る声に合わせて行きつつ、斗奴雷の衰弱しているような胴体を指差していく竜祥、「わざとこんなゴミを捨てて来いだの、」


  自分が紡いでいる言葉で少しくらい担任の教師が一体どんな思いをして彼の事を利用しているのかを分かっているような、彼の潤んでは極限なまでに追い詰められている眼を睨んでいく竜祥はニヤリと右側の口角を上げていた、「ちょっと手伝ってくれだのを言ってきていたのは一体何のためだと思っているのかな?」竜祥が平然としている声色で自分に向けて来ている言葉は、皆等しくプロのボクサーが重たいパンチで自分のこめかみを殴り込んで来ているよな気がしつつ、上手く物事を考えられなくなっているくらいに、ダメージを負っているような気がしている斗奴雷は、ぽつりと粘ってはくっついていた唇を開けていた、「それは…」


  困り果ててはもう何もかも考えたくないと語って来ているようにと叱られていた子供のように俯いては、軽く戦慄している両手を握っている彼の顔を覗き込んでいく竜祥、「お前を人混みから消して、」声を発して行きながら、横目で橙色に染め上げられていたガラス越しで校門の方向に赤い瞳を向けていく竜祥は言う、「一体誰かが斗奴雷なのかを知らせないためにだよ。」自分の瞳に光っているような橙色を添えようとしている夕陽は少しばかり殺風景のようにも感じている竜祥は、軽く鼻翼に力を入れてはひんやりとした空気を吸い込んでいる、「学校の近くにいると門衛にあしらわれた遺族に会わせない、」軽く左手の人差し指を立てては撃沈されているようにと項垂れている斗奴雷の汗ばんでいた額に目を向けていく彼、「それが担任がしていた事の本当の訳さ?」


  竜祥が自分に知らせて来ている母親のせいで日々沈んでいるような気分を味わえて来ている自分が、勉強に励んでいく際に起きて来ていた事を逐一に分析してくれている言葉に、口角を斜め下の方向に向けられているような気がしつつ、尼姥姥の遺族を本気で亡くなっていた家族に向ける思いを潰そうと、学校側は考えているんだと思っている斗奴雷、「そう…だったのか…」ぽつりと失望に満たされているような声を発しては、もう腐り切っている自分の両足に踏まれていた学校から逃げ出したいと強く思っては、多分遺族にとっての最後の希望にもなっている自分が逃げられないように思えている斗奴雷、「学校側は…」


  歯ぎしりして行きつつ、ただの一クラスメートでしかない自分ですら追い詰められては、何もかも上手く考えられなくなっている以上に、尼姥姥の遺族は困り果てては、下手したら彼の後を追ってしまうかもしれないと考えては、学校側は人命を弄んでいるようなやり方に頭を爆ぜらさせてしまいそうな気がしてならないでいる斗奴雷は、強く手のひらに食い込んでくる爪が残して来ている痛みを感じて行きつつ、自分は負けてはならないんだと強く考えている彼はゆっくりと怒りに満たされているような眼を、廊下の向こう側に向けて行きながら、沈んでは怒涛の如く荒れ狂っている声を発していた、「こんなことを…!」


  「ううん、」斗奴雷の酷く怒っている様に苦笑いしてみたくなっている竜祥は、まだ現実に不満を覚えてしまうだけではなく、声を上げるまでに怒っている彼は現実にまだ酷く期待している事が垣間見えているような気がしている竜祥は、眉毛をひそめて行きつつ悲憤に挟まれては涙を零して仕舞いそうな彼の顔を見て行き、「学校側ではないんだ、」横目で彼が睨んでいた廊下の向こう側を見ていく竜祥は軽く鼻で笑っては声を発していた、「担任のショーだよ、これは。」


  竜祥のまるで学校側を庇っては全ての責任を担任の教師に擦り付けようとしているような一言に困らせては、ぼんやりと鎖となっていたらような眉間を解している斗奴雷、「え…?」斗奴雷のまるで自分が紡いでいる言葉に操られているように、怒ったり呆然と間の抜けた声を上げて来ている様に、鼻腔の奥をくすぐられているような気がしている竜祥、「学校側がそんなことをしたのがばれてたら、」右足で軽く胴体を支えて貰っては、自分に殆どの人類を最悪以上の方向で考えていた方がいいと知らせに来ている疼きを感じて行きつつ、まったりと背中を壁に預けていく竜祥、「こんな三流な策の道連れにされてしまうのだろう?」


  横目でまるで自分の言い分について考えに耽っているようにと、顎を引いている斗奴雷の顔を見ていく竜祥は軽く左手を胸元に当てて行きつつ、担任の教師の子供のような策を小馬鹿にしているようにと地面を見下ろして行きつつ、声を発していた、「俺だったら簡単にお前とどこの学校の交換学生にしていたけど、」軽く後頭部を壁に当てては、他人の為に頭を爆ぜて仕舞いそうなくらいに悩む必要はないんだと考えて行きつつ、斗奴雷はいつ諦めてくれるのかをぼんやりと脳内で考えている竜祥、「あの担任はそこまでの人望がないのが垣間見える話になるな。」

  

  「うっ…」竜祥が自分に向けて来ている間接的に担任の教師が、自分に尼姥姥の遺族と手を組ませない方法はまだいくらでもあると知らせに来ているような言葉に、口角を強く斜め下の方向に向けて引っ張られているように感じては、苦しみにと何度も鼻翼に力を入れていく斗奴雷、「僕は…」斗奴雷の尼姥姥の為に何かしらの事をしようとしても無駄である事に察している様に、目を細められては横目で彼の顔を見ていく竜祥は迷わずに声を発していた、「何もするな。」軽く眉毛を上げていた自分と同じように自分が平坦な声で紡いだ一言に驚かされている斗奴雷の顔を見ていく竜祥、軽く歯を噛んでしまう竜祥はつい斗奴雷に人生を台無しにして欲しくないと言う思いに心を苛まれていたせいで、ぽつりと口にしていた言葉に悩まされては辛そうにと強く歯を噛んでは目線を床に向けていた、「お前が悔しがっているのは重々承知だけど、」


  軽く両手を握ってはぽつりと声に乗せていた自分の思に、目を細められているように感じつつ軽く唇を噤んでいく竜祥は、つい抑えて来ていたはずの感情に翻弄されていた事に苛立ちを覚えつつ、チラっと潤んでいる瞳を斗奴雷の無垢な眼に向けていく彼は言う、「名門校に泥を塗る真似をしたとなると、」潤んでいる深い紫色の瞳がどうしても小夜が困り果てている時に、自分を頼って来ているように見えては、小夜と同じような純白の存在である斗奴雷に危険だけではなく、まったくと言って良いほどに意味のない事をして欲しくないと強く思っている竜祥、「社会に出ても少なからず支障が出て来るのだろう。」


  竜祥が自分に投げて来ていた赤裸々な言葉に眉毛を跳ねらされているような気分になっている斗奴雷は何、度も鼻翼に力を入れて行きつつ悔やんでいるようにと歯ぎしりしていく彼は、つい自分が今まで必死に努力して来ていた結果は尼姥姥の為に潰されてしまうかもしれないと思っては、辛そうにと強く喉に力を入れていく彼、「いや…だよ…!」胸元の奥からこみ上げて来ている自分の思いに驚かされつつ、苦笑いしてみたくなっている斗奴雷はつい向きになっているような自分が声に乗せていた一言が、撤回する気になれないでいる自分は愚かだと思いつつ、尼姥姥の事を諦めたら何もかも終わると言うのなら、自分は多分諦めていたのであろうと思っている彼は、何度も冷たくなっているような鼻翼に力を入れて行きながら、霞んでいる視界の中で竜祥の顔を探して行きつつ、左手を酷く震えているような胸に当てている彼、「僕は…」


  尼姥姥の死がもし学校側からかけて来ているプレッシャーで何事もなかったようにされると、他のクラスも、そしてこれからの学校に入ってくる後輩が二人目の犠牲者にならない事は誰もが自分に保証してくれないんだと思っては、自分がしようとしている出来事は決して尼姥姥とその遺族の為だけではなく、次の犠牲者が現れてしまう前に、用心深い竜祥のように未来の事を考え、自分は何とか次の悲しみが生んでしまう前にそれを防いで行くんだと強く考えている斗奴雷は、揺るぎない眼差しを竜祥に向けていた、「彼の為にー」


  斗奴雷の頑なに意味のない事に人生をかけていく様は愚かに感じつつ、彼の頭が正義感に潰されているのではないかと不安になっている竜祥は、自分を説得しようとしている彼の話を遮断しに行くようにと声を発していく、「お前にだけ言っていたのではないんだ。」冷酷にも思える自分の態度に見開かされては、ぼんやりと開けていた唇を閉じていく斗奴雷の顔を見つめながら、まったりと背中を壁から離れては、彼の足元に向けて歩いていく竜祥、「これは最後かもしれないぞ?」


  軽く両手の人差し指で自分の足元を指差していく竜祥は叱られていた子供のようにと眉間に皺寄せつつ、自分の顔を見つめて来ている彼に言う、「わざわざここでお前を待っていたのは、」目を細めては深い紫色の瞳に映し出されている自分の姿を睨むようにと凝視していく竜祥は、軽く鼻翼に力を入れていた、「全ての事を知らせて、お前に観念させるためだけに、」声を発して行きつつ、自分の話を拒んで来ているようにと軽く首を横に振って行こうとする斗奴雷の顔を見つめている竜祥は、強く左手を胸元に当て、声を発していく、「俺はここに立ってるんだ。」

  

  竜祥が自分のことを待ってくれていたと語って来ていた態度に見開かされては、自分を待つ事で彼に何かしらの利益が得るのかとぼんやりと考えていく斗奴雷は、思わず赤い瞳で自分の顔を射抜こうとしているような彼の瞳に怯んでしまいそうに思いつつ、ぽつりと間の抜けた声を発していた、「えっ…?」「さっき泥を塗ると言ったのは、」呆然と佇んでいる斗奴雷の顔を睨みつけて行きながら、中々観念しないでいる彼を見れば見るほどに焦燥感を感じては、苛立ちを覚えている竜祥は思わず少しばかり彼に顔を近づいては猛然と両手を上げては、彼の華奢な肩を掴んでいく、「お前にだけじゃなく、このクラス全員に向ける話だ。」


  


  

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る