第232話その拭くと言う曖昧な言い方をしないで貰おうか…


  竜祥が自分に何かしらの褒美を貰えていたような態度は少しばかり可笑しく思えている小夜は苦笑いして行きつつ、彼の額にある瘤を見てしまうと、自分がしていた行為は彼を苦しめていないかと不安になりつつ、大人にもなったのに少し子供みたいなことをしていたなと、内心で悔やんでしまう彼女はチラっと頑なに自分と視線を合わせようとしないでいる彼を見ていき、「他人行儀だね…まぁ…」


  まったりと視線を自分が机に置いていた鍵に向けてしまう小夜は目を細めて行きつつ、竜祥の勝手に震えているような右足を見てしまうと、つい自分なんかの為に命をかけたりしないでとこっぴどく叱ってやろうと思っていた小夜は恐る恐ると肩を縮めては、まるで自分が彼に傷を負わせていた事に怒ってしまいそうな心境を察知したようにと、捨てられてしまいそうな子犬のような潤んでいる眼で自分を見つめて来ている彼の表情に負けていたように思えては、飽きれているように軽く胸元の奥を詰まっているような怒気を吐き捨てていく彼女は言う、「さっき決めてたことなんだからさ、」ゆっくりと両手を太股の上に置いては、竜祥に自分のことを断らせる権力を奪っていこうと強く思っている彼女は補足するようにと声を上げていき、「その足と腕だとちゃんと一人で生活するのは大変じゃん?」


  「あ…」小夜が自分に知らせて来ていた彼女が自分と共に暮らすことを決断した訳を知れてしまうと、勝手に彼女が欲望に翻弄されていたんだと勘違いしていた自分のことをぶん殴ってみたくなっている竜祥は悔しそうにと軽く歯を噛んでは、額にある瘤を殴ろうとしている右手を抑えて行きながら、ぽつりと呟いていく、「そうだったのか…」「そうだったのよ?」竜祥が漏らしていた感嘆の声に困らせては、ぼんやりと小首を傾げていく小夜は苦笑いして行きながら、自分は勝手に重大なことを自分一人で決めていたんだなと内心で呟いていた彼女は微笑んで言う、「でないとどうして急にお父さんとお母さんに相談もしなで、」竜祥に負い目を覚えて欲しくないと強く考えている小夜は軽く口角を上げていき、「そんな話を決めたって言うのよさ?」


  「うん…」小夜が自分の為に勝手にマンションに住むことを決断してくれていた事に、心を温められているような気がしてならないでいる竜祥は嬉しそうにと軽く口角を上げてはぽつりと呟いていき、「ありがとう…」竜祥の自分に遠慮しているような言葉に目を細められては、彼につられているようにと口角を上げていく小夜は微笑んでいく、「どういたしまして?」小夜の言葉を紡いだ声色がやけに愛おしく感じてしまう竜祥は、照れくさそうにと軽く右手の人差し指でこめかみを掻いては、軽く額を上げては彼女の自分と同じようにハニカム姿を見つめて行きつつ、冗談交じりに声を発していた、「傷を負ったのはなんか得した気分だぜ。」


  竜祥が自分に向けて来ている自分に笑って欲しがっているような話に目を半開きさせては、彼の額にある大きな瘤を目にしてしまうと、つい何かしらの後遺症が残ったりはしないのだろうかと不安になりつつ、軽く鼻翼に力を入れてしまう小夜は切なげに眉間に皺寄せて行きながら、彼の惚けているように笑って見せてくれている表情に言う、「馬鹿かね…怪我人さん…」小夜が自分の額のことを気にかけてくれている様に苦笑いしてみたくなっては、右足の傷はともかく、脳内出血でもして仕舞ったら自分は二度と彼女に会えなくなるんじゃないかと不安に胸元の奥を満たされているように思えては、今夜は眠ったままで死んでしまわないかとぼんやりと考えて行きつつ、小夜が自分に見せて来ている困っているような姿を目にして仕舞うと、本当に救えない程の傷だったら、今更病院に行くのは少しばかり手遅れていたように感じつつ、急に手術を受けるようになってしまうと、彼女に悲しんで仕舞うのだろうなと思い。


  自分がベッドの上でずっと眠ったままで死んでしまうのも彼女を悲しませてしまうと言うなら、わざわざ彼女に病院まで連れて行って貰っては手術室の外で、困り果ててしまう彼女に悲しみに溺れているより、ベッドで眠ったままで死んだ方が彼女に向けていく悲しみの方が少ないような気がしつつ、自分の考えは身勝手のように思えては、狂っているような気がしている竜祥は、そもそも前頭骨に脳内を守って貰っていた故に脳内出血してくたばってしまう可能性は限りなく低いはずだと、脳内で培ってきた乏しくにも思える脳内出血に関する知識を辿っていく竜祥は、殴られてから必死に後頭部を守ろうと背中で先に地面にぶつけていたのを思い返していきながら、酷い吐き気を覚える事もなければ平然と立ち上がっては、上手くマンションまで帰って来れていた自分には、多分小夜に悲しませるような事にはならないはずだと強く思い、自分の運に命をかけていくと同時に小夜に一番笑顔を保っていられる未来にかけて行こうと思っている彼は小首を傾げつつ、ぼんやりと物事を考えている自分に困らせているような彼女の顔を見つめていきながら、冗談交じりに声を発していた、「怪我人だと知りながら罵倒して来るんだね…」


  竜祥がちゃんと自分に冗談交じりの言葉を返してくれていた事に、口角を軽く上げられているように思えては、嬉しそうに微笑んでいく小夜、「えへへ…」まったりと右腕を彼の右手に向けて伸ばしていく小夜は、いつまでたっても彼に汚られていた格好でいさせたくないと思いつつ、自分に右手を握られては困っているような彼の顔を見つめていく彼女は言う、「ほら、部屋に行こうか?」


  ”ドクンー”刹那、小夜が自分に投げて来ていた一言に胸元の奥から、猛然と生臭い生き血が喉を取っては脳に辿っていたような実感を得てしまう竜祥は思わず瞼をこじ開けていき、「えっ?!」自分が発していた喉を鷲掴みにされているような声色に驚かされているようにと、眉毛を跳ねらせている小夜が自分にしてくれていた無料の脳の検査に感謝していいのかどうかとぼんやりと考えて行きつつ、勝手に彼女の胸元に目線を向けていく雄の性に苛立ちを覚えている彼は悔しそうにと軽く歯を噛んでは、急いでいるようにと彼女から顔を逸らしていきつつ、肩を縮めながらぽつりと弱っている声を漏らしていく彼、「へ、部屋にって…」


  興奮気味になれては、心臓の鼓動が五月蠅く聞こえてしまうくらいに自分の鼓膜を殴って来ているように思えている彼は、ごくりと喉に引っかかっているような唾液をを飲み込んでは恐れているようにと、平然としている表情で自分の顔を見つめて来ている彼女に言う、「お、お前…き、気が早いって…」困っているようにと眉をひそめてしまう竜祥は今度こそ自分の勘違いではないはずなんだと思っては、やはり小夜は自分の知らぬ間に性に目覚めて仕舞ったんだなと、内心でぼんやりと思って行きつつ、気まずそうにと潤んでいる瞳を彼女に向けていく、「不味いんだって…」

  

  竜祥のまるで自分と共に部屋に行きたがらないでいる態度に困らせては、ぼんやりとぱちくりして行きながら、軽く右手を放していく小夜はぽつりと渇いた唇を開けていき、「何が不味いのかな…?」小夜が自分に向けて来る平然としている姿勢に心臓を握り締められているような気がしつつ、ぼんやりと彼女が自分に向けて来る潤んでいる瞳を見てしまうと、ついどうして男である自分の方が彼女よりずっと緊張しているのかと文句を言ってみたくなっては、誰に内心の気まずい気持ちを語って行けたらいいのかが分からなくなっている竜祥はごくりと固唾を飲み込んでは、何度も赤くなっている鼻翼に力を入れて行きつつ、無邪気な小夜は多分彼女が自分としようとしている事の重大さを考えていないはずなんだと思っては、一時の快楽の為に彼女の人生を台無しにして仕舞うかもしれないことを強く思ってしまうと、自分がちゃんと彼女の将来を考えては、彼女が一番無難に幸せになれそうな道に、導て上げるべきなんだと強く考えている竜祥は叱られているようにと肩を縮めて行きながら、彼女に伺っているようにと彼女の顔を覗き込んでいく、「だ、だってさ…」


  引き攣っているような口角を上げて行きながら、小夜が自分に向けて来るやけに魅力的にも思える誘いのせいで勝手に彼女の胸元に向けてしまう目線に苛立ちを覚えつつ、本能に翻弄されているような気がしてならないでいる彼は悔しそうにと軽く歯を噛んでは、小首を傾げつつ自分の言葉を待ってくれている小夜の顔を見つめては、自分がちゃんと彼女がしようとしている事の利害関係を知らせてやらねばと強く思っている彼は苦しそうにと、自分の熱くなっている頬に温められているようなような息を吸いこんではぽつりと渇いた唇を開けていた、「ま、まだ高校生だぞ…?」


  竜祥がやけに恥ずかしくなっている態度につられているように、心の鼓動が少しばかり加速されているような気がしている小夜は彼が紡いだ言葉は一理あるように思いつつ、少しばかり違和感を覚えてしまう彼女はぼんやりと右手の人差し指を頬に当てて行きながら、彼に尋ねていく、「確かに高校生になってからは不味いけどさ…」戸惑っているようにと軽く眉毛をひそめていく彼女はぼんやりと彼の瞳を見つめていき、「まだって?」


  「え…?」小夜が自分に向けて来ていた高校生なら誰でも愛し合う事が当たり前のようにと語って来ている話のニュアンスに違和感を覚えては、ごくりと固唾を飲み込んでいく竜祥は軽く熱くなっている両手を握って行きながら、小夜は自分が知る限りそう言う事には疎いはずなんだと思ってしまう竜祥は困惑気味になれている彼女につられているようにと小首を傾げて行きつつ、ぽつりと彼女の価値観を確かめてみようと思っている、「何か…」


  自分の言いづらそうにしている態度に微笑んでくれては、まるで自分にどんなことを言っても大丈夫なんだぞと教えてくれているように小首を傾げてくれている小夜の笑みを見つめては、口角が彼女が自分が思っていた彼女とは違っていて、とんでもないくらいにオープンな女の子なのではないかと言う思いに斜め下の方向に向けられているような気がしてならないでいる彼は、再びごくりと固唾を飲み込んでは、小夜が自分の知っているあの無邪気な女の子ではなくなっているかもしれないと言う恐れに、震わされているような右手の人差し指を立てていく彼はぽつりと声を発していき、「話が噛み合っていないような…」苦笑いしながら軽く右手で後頭部を擦っていく竜祥は自分の言い淀んでいる態度に文句を向けたがっているようにと、腕を組んでは目を半開きさせている小夜の顔を見つめて言う、「気がするけどさ…?」


  竜祥が自分が彼の身体を部屋にまで歩くのを手伝っては、彼の汚されていた身体を拭いてやることを拒んでいるような態度に戸惑いつつ、自分たちの話には食い違う要素は一つもないような気がしている小夜はぼんやりと間の抜けた声を発していた、「ふん…?」小夜が浮かんで来る無垢な態度に心を叱られているように思えては、きっと心が汚れ切っている自分が単純に彼女のことを、自分の汚らしい妄想の中に引きずり込んでいただけなんだと強く思っている彼はぽつりと渇いた唇を開けていき、「一応聞くけどさ…」


  自分に話をしていいよと、何度も言い淀んでいる自分を叱って来ているようにと眉毛をひそめている小夜の顔を見てしまう竜祥は引き攣っているような口角を上げては、これなら絶対勘違いするところのない質問を向けてやろうと思い、内心で考えている少しばかり赤裸々にも思える言葉に恥ずかしくされているように思えては、ぽつりと渇いた唇を開けていく竜祥は出来る限りさり気なく冗談交じりのニュアンスを込めて、言葉を紡いで行こうと強く思っては、右手の人差し指で痒くなっている頬を掻いていく、「裸を…見せる奴だよね…?」


  「ええ、」竜祥が彼に質問に向けて軽く頷いていた自分に驚かされているようにとあんぐり口を開けている様を見つめて行きつつ、やはり彼は自分のことを分かってくれているんだなと思っては、もしかしたら彼はただ大人になり、裸を自分に見せられるのを恥ずかしがっているだけなのではないかと考えてしまう小夜は、潤んでいるピンク色の瞳を彼の右足に向けては、自分の為に傷を負っていた彼にもう無理をして欲しくないと強く思ってしまう小夜は家族同士と言うことを、彼に意識して貰ったらそこまで気まずい思いをしないで済むはずなんだと思い、屈託のない笑みを浮かべて行こうと思っている彼女は迷わずに右手の人差し指を立てては、少しばかり震えているような視界の中で彼の顔を見つめていく、「裸を見せるやつ。」


  ”ドクンードクンードクンー”小夜が自分に向けて来る少しばかり無理して背伸びしようとしているような笑顔に、瞼をこじ開けられているように思えては、彼女のまるで彼女が口にしていた言葉を恐れているような微かに震えている人差し指を目にすると、彼女はきっと学校で何かしらのいけない女に煽られては、高校生にでもなって大人の階段を登らないのは可笑しいとか仄めかされていたのに違いなんだと強く思い、悔しそうにと歯ぎしりしてみたくなっている竜祥はつい自分の小夜を汚していた奴をボコボコにしては、うちの小夜に変なことを吹き込まないでと、存在しているかどうかも定かではない頭の可笑しく思えている連中に文句をぶん投げてみたくなっている彼は、急いでいるように右手を彼女の繊細な肩に向けていき、「い、いやっ!」


  緊張のあまり喉がまるで自分を裏切っては、荒れ狂っている心境を小夜に伝えていくかのようにと裏返して仕舞った声を気に掛ける余裕を無くしては、小夜の身体を痛くしないようにと気を付けて行きつつ、無理矢理彼女に体を近づいていたせいで右足が酷く疼いているように感じている竜祥は苦しそうにと歯ぎしりして行きつつ、何度も赤くなっている鼻翼に力を入れては向きになっている自分の態度に驚かされている小夜の顔を見つめて言う、「落ち着いていこうぜ…!?」無理矢理笑いながら彼女に冷静になって貰っては簡単に人と人を一番原始的な繋がりを果たして欲しくないと強く思っている彼、「な?別に無理してそんな事に慣れようとしなくなっていいんだぞ?」宛ら自分が必死になって紡いでいる言葉に文句を言いたくなっているようにと眉をひそめている小夜の事を見つめていく彼は言う、「ね?人にはそれぞれのペースってもんがあるんだからさ?」


  「え…?」竜祥がやけに激昂になり自分に向けて来ている微かに違和感を覚えてしまう言葉に目を細めて行きつつ、何度も鼻翼に力を入れては、軽く鼻を啜っていく小夜はチラっと彼の右足に視線を落としていき、「うん…確かにそうかもだけどさ…」竜祥はやけに自分に遠慮しに来ている態度に眉毛を軽く跳ねらされているように感じては、彼が自分が彼の裸を見てしまうのを恥ずかしくなってしまわないかとと配慮してくれているのだろうと考えては、やはり彼は自分に酷く優しんだと思ってしまう小夜はゆっくりと潤んでいる眼を赤面になっていた彼に向けて行きながら、彼の為なら少しくらいは恥ずかしい思いをしてもいいように思えては、顔が真っ赤になっている彼はもしかしたら自分より、身体を拭く事に関して恥ずかしく思っているのではないかとぼんやりと考えていく小夜はごくりと唾液を飲み込んでは、自分の為に身体を張ってくれていた彼の世話をするには当たり前のように思えては、揺るぎない眼差しを彼に向けていく彼女はまったりと両手を胸元に当てていき、「でも、やっぱ慣れていた方がいいかなと思うの、」自分のかけていた決意に満たされている話に見開かされては、あんぐり口を開けている竜祥のことを見つめていく小夜は軽く眉をひそめていき、「何回も拭かないといけないと思うんだしさ…」


  小夜が自分に向けて来ている話に心臓が痛くなっているように思えては、彼女はやはり純粋な子だと思いつつ、自分の身体が弱っていることを知れてしまうと、直ぐに身体を張って癒そうとしている彼女は天使のように思えては、自分が天使の純白の羽根を潰してしまう業火のように感じてしまう竜祥はぼんやりと自分が彼女の肩にかけていた右手を引いて行きつつ、ぽつりと弱っている声を発していく、「そ、そ、そうよね…うん…」口角が照れくさい気持ちに斜め下の方向に向けられているような気がしている彼は何度も鼻翼に力を入れては、チラっともうことを決めた以上やる事を変える気になったりしないと知らせに来ているような、彼女が握っている小さな右手に目を向けていく彼、「そうだもんね…?」


  「うん!」竜祥の少し自分に体を拭かれるのを認めてくれているような態度を感じてしまうと、強く両手を握ってはガッツポーズを取っていた小夜は強く一回首を縦に振っていき、「したことはなかったけど、頑張って見るよ!」小夜のやる気に満ちているような態度に、自分はもしかしたらとっくに脳内出血しては死んでいたんのではないかと思い、今目の前にいる小夜は小夜の形をしていた自分の考えてもいなかった煩悩を解決しに来ている天使なのではないかとぼんやりと考えては、まるで天使を拒んでいるようにと小刻みに首を横に振っていく竜祥は軽く歯を噛んでは、揺るぎない眼差しを彼女に向けていき、「が、頑張るって…お、お前な…」小夜がやけにアクティブに自分を攻めて来ているせいで思わず彼女の産まれたままの姿を想像してしまいそうな自分の頭に、悩まされてしまう竜祥は苦しそうにと歯を食いしばっては何度も首を横に振っていく、「ううう…」困り果てているようにと軽く両手を握ってしまう彼は恥ずかしそうにと潤んでいる眼を決意した彼女に向けていき、「ほ、本気かよ…?」萎縮しているようにと軽く身体を引いていた彼は丁重にピンク色の瞳の中に閉じ込められていたような自分の顔を見つめていく、「いとこ同士だぞ…?」


  竜祥が自分に向けて来ている当たり前のような話に困らせては、彼はもしかしたら自分のことを誰の体でも拭いてやるような大胆な人と勘違いしているのではないかと思っては、自分だって彼の態度を間近で見ていたせいで段々心の奥にある羞恥心がエスカレートしているような気分を味わっている彼女は、不貞腐れるようにと軽く唇をすぼめていき、「いとこ同士じゃなかったら!」軽く鼻翼に力を入れては彼に甘えているようにと右手の人差し指を立てていく小夜は赤い瞳の中にある自分の顔を見つめて行きつつ、丁重に声を発していた、「知らない男にはそんな事しないわよ!」


  「ああ…」小夜が自分に向けて来ていた一言に大分安心感を覚えてしまうと同時に、自分が従兄じゃなかったら彼女は自分に興味を無くしてしまうのかとぼんやりと考えては、自分が彼女の従兄である事に喜んでしまうのは久しぶりのように思いつつ、かなり複雑な甘い果実を無理矢理食わされてしまいそうな予感をしている竜祥、「あ…あ…」小夜の頑なに自分の体を大人の意味で拭こうとしている態度に悲しみと同時に、ピークに達しているような喜びを味わってしまう竜祥は酷く悩んでいるようにと右手を上げては、軽く自分の恥ずかしさと悩ましい心境に焼かれているような額を撫でていき、「どうなってんだ…俺の小夜は…」


  まるで自分のことを無くしていたような態度で、言葉を紡いでくれていた竜祥の口調に悩まされているように思えている小夜は、ぼんやりと小首を傾げて行きつつ、ぱちくりして行きながら、軽く右手の人差し指で熱くなっていた頬を掻いていく、「うん…?あなたこそどうなってたのよさ?」竜祥が自分に体を拭かれてしまうと、自分の純潔を無くしてしまいそうなくらいに、大袈裟な口調で物を語って来ている態度は些か可笑しく思えている小夜は、ぼんやりと叱れているような眼で自分を見て来ている彼に尋ねていく、「何でそんなデレデレしているのかな?」困り果てて思わず唇をすぼめてしまう竜祥はそんなにも自分に身体を見せたくないのかと不安になってしまいそうな気がしている小夜は、ぷいと首を横に向けては横目で彼の顔を見つめて行きながら、拗ねているようにと呟いていく、「体を拭いて上げるだけなのにさ…?」


  「ええ…」小夜の子供のように拗ねている態度を見てしまうと、従兄の自分と大人への階段を踏みたいと何度も彼女に言われて来た以上、自分にはもう引いてはならないようにも感じてしまう竜祥は悔しそうにと強く歯を噛んでは、身体が嬲られていたせいで少しばかり不自由になっているような気がしている彼は自分が上手く階段を踏めるのかどうかを悩んでしまっては、上手く小夜をリードしていかないとと強く思っている彼は決意したようにと強く右手を握って言う、「分かるよ…全部分かったから…」軽く歯を噛んでは揺るぎない眼差しを小夜に向けていく竜祥は、自分が彼女のことを勘違いしている可能性はもう皆無に等しくなれているように思いながら、もう直ぐ大人になってしまう以上、ちゃんと階段と向き合わないとと強く考えている彼は、ピンク色の瞳の中にある自分の顔を見つめていく、「その拭くと言う曖昧な言い方をしないで貰おうか…」


  竜祥が自分に投げて来ていた訳の分からない言葉に困らされては、彼の身体を拭くと語っていた自分にはもうこれ以上ないくらいに、はっきりと言葉を紡いだつもりではいるんだけどと、彼に語ってみたくなっている小夜、「うん?」純白の少女の華奢な肩を撫でていく青色の髪の毛から漂って来る彼女の香りがやけに扇情的に感じては、自分は一体どうしたらいいのかと悩んでしまう竜祥は悔しそうにと歯を噛んでは、自分にはまだ全然小夜を養っていけそうなお金を稼げていないと言うのにと悩んでは、もし彼女が子供が欲しいと言うのなら、まだちゃんと種を厳選する金を稼いでいないと言うのにと内心で叫んでみたくなっては、ごくりと固唾を飲み込んでしまう竜祥は思わず両肘を太股に付けてしまいそうになり、自分の考えは汚れ切っているようにも思いつつ、小夜がわざわざ大人の階段を遠回りに拭くと言う単語で語って来る気持ちは、何となく理解できたようにも思えては、苦しそうにと緊張に握り締められているような喉から声を絞り出していく竜祥、「人生これから拭くと言う単語を直視出来なくなっちまうからさ…」


  竜祥はもしかしたらわざと自分に悩ませに来ては少しでも長く時間を稼いで、自分に裸を見せる時間を後回しにしたがっているなのではないかとぼんやりと考えている小夜は、彼の本気で悩んでいる様をぼんやりと見て行きつつぽつりと渇いたピンク色の唇を開けていく、「曖昧な言い方って…」軽く右手の人差し指で痒くなっている口角を掻いては、彼がそんなにも恥ずかしくなっていると言うのなら、同じように恥ずかしく思っている自分にも少し時間を残しては、お互いに心の準備をさせて行こうと思っている彼女は言う、「じゃどう言ったらいいのよさ?」


  小夜が自分に投げて来ているストレートな言葉に見開かされては、思わずあんぐり口を開けてしまいそう竜祥は猛然と背筋を伸ばしては、自分のことをずっと支えて来ていた彼女が何時の間にか人のことを焦らすような小悪魔になっていたのかと、内心で高ぶっている思いに口角を無理矢理上げられているような気がしてならないでいる彼はごくりと固唾を飲み込んでは、彼女の瞳を見つめて言う、「そ、そんな隠語を使ってないで…」悔しそうにと強く歯を噛んでしまう彼はぼんやりと小首を傾げている彼女の本当に分からないでいる表情に、口角を斜め下の方向に向けられているように感じつつ、自分が彼女に少しばかりよろしくなくもない言葉を教えてあげたくないと強く思いつつ、もう高校生にもなってはそのような正式的な名称も知らないでいるのは、少しばかり危ないんじゃないかと思っている竜祥は矛盾しているような心境に駆り立られるがままに、自分の何時の間にかくっついていた両膝に目線を向けていく、「し、したいなら…ううっ…」胸元の奥に宿っている恥ずかしさに殺されてしまいそうな気がしてしまう竜祥は羞恥心に苛立ちを覚えつつ、不服そうにと眉毛をひそめていく彼は猛然と微かに怒気が宿っている眼を小夜に向けては、必死に強張っている喉から声を発していた、「そのまませ、せ…せと言う単語を使いなさい!」


  竜祥のまるでアニメの中にあるヒロインのようにやけに顔を赤くしては軽くトーンを上げて来ている態度は、少しばかり可愛く思いつつ、鳥肌が少し立っているようにも思えている小夜はつい彼が自分に向けて来ていた訳の分からない話を脳内でぼんやりと分析していき、「隠語…?せ?」呆然と眉毛をひそめて行きつつ、天井を照らしてくれているようなまろやかな月のようなライトを見上げて行きながら、彼の話を考えている小夜、「なんの…」突然、脳内に過っていく竜祥は背後から自分の身体を抱えてくれては、自分とじゃれ合って来ているようにと、軽く自分の首筋を甘噛みしに来ているシチュエーションに見開かされてしまう小夜、「え…?」


  やけに弱っている間の抜けた声を上げていた小夜の態度を見て行きながら、軽く強張っているような口角を上げて行きつつ、彼女の声で”せ”の後ろに付けてしまう発音は聞きたくないと思いつつ、共に階段を登っていく以上、もう彼女にそんな純白だと言うイメージをずっと押しつけに行ったような考えをしてはならないと強く思っている竜祥は肩を縮めて行きながら、彼女に尋ねていた、「わ、分かったろ?」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る