第223話これは俺の責任であり、全ての報いは俺が受けるさ。



  小夜のまるで自分がちゃんと目を瞑ってくれていることを知らせてくれているようにと両手を上げ、目元を隠しているまるで自分と隠れん坊しているような仕草に口角を軽く上げられていたような気がしている竜祥はチラッと鋭利な眼差しを自分の左手にある鍵に向けては、自分の殺意に満たされているような少しばかり橙色の光を放っているような鍵に映し出している顔を睨んでいく彼は軽く鼻翼に力を入れていき、「知っているか、野良犬は殺されるのが当たり前で、」横目でまるで自分が何をしようとしているのかを察知しているように必死に四足を動かしては鞄を退かそうとしている野良犬を見下ろしていく竜祥は、野良犬の狼狽な姿勢を嘲笑っているように強く鼻で笑っては、冷酷な口調で言葉を紡いだ、「死ぬべきなんだよ。」


  ”ヒュー”刹那、まるで黒い銃弾と化していたような黒い制服に包まれていた左手を否応なしに、野良犬の腹部に向けて突っ込んでいた竜祥、瞬く間に自分の手を温めようとしているような温かい液体と自分の左手をゆっくりと汚して来ているゴミを連れている赤い生き血を見下ろしていく竜祥は、少しばかり落ち着いていたような野良犬の様を見下ろしていく。「ぐうっ!!」突然、まるで自分に助けを求めに来ているような野良犬が上げていた辛そうな鳴き声に眉毛を軽く跳ねらされていたように思えては、思わずあんぐり口を開けていく小夜はつい視野が真っ黒になっている自分には何かしらの危険に遭わないかと思いつつ、竜祥はもしかしたら犬に噛まれていたんじゃないかと強く思っていき、「えっ?」恐る恐ると肩を縮めて行きつつ、自分の足は何かしらの痛みを与えてに来ているような攻撃を受けていない事に意識して行きつつ、ごくりと固唾を飲み込んでいく小夜は竜祥はきっと彼が自信を持てないことを自分に強いて来るはずがないんだと強く思いながら、納得しているようにとごくりと固唾を飲み込んでいく彼女は何度も震えているような鼻翼に力を入れては、恐る恐ると弱り切っているような声を発していた、「何の話…?」


  ”シュー”当たり前のようにと生き血に汚されていた左手を野良犬の腹部にぶち込んでは、自分の右手にある鞄を必死に退かそうとしていた野良犬が発狂しているようにと痙攣し始めては、段々力を無くしていく様を睨んでいく竜祥は引き攣っているような右側の口角を上げて行きつつ、チラッと自分との約束を守ってくれては両手で目を隠している小夜に一瞥していき、「いいから最後まで聞いておくれ?」まるで返事をしに来てくれているようにと軽く頷いてくれている小夜は愛おしく思いながら、歪な笑みを浮かべていく竜祥は鞄に押さえられては、自分の左手にある体を何度も浸食しては温度を奪いにいく鍵に、命を少しずつ奪われている野良犬の可哀想なまでに戦慄しながら、残されている命の時間で中で必死に暴れつつ、自分に懇願しているような鳴き声を耳にして行きつつ、もう致命傷を受けていた野良犬を放していたところで、もう二度と上手く周りの環境の中で生きて行けなくなるのであろうとぼんやりと考えて行きながら、そもそも犬と会話が出来たら、自分に押さえられている野良犬は小夜を攻撃していなかったのだろうなと思いながら、もし自分が野良犬を解放してたら。


  きっと自分どころか小夜まで被害を加えられてしまうんだと強く思っては、ちっぽけな憐れむ心より、確実小夜を守ることを優先にすべきなんだと強く思いながら、そもそも犯罪していない自分には誰にも咎められるようなことをしていないはずなんだと考えていく竜祥は、全力で暴れては自ら死へ近づいているように見えてしまう野良犬の自分の左手にある鍵に沿っては、まったりと地面に小さな深紅の水溜りを作り上げていた野良犬の腹部に一瞥すると、自分には間違いなく野良犬の心臓を狙っては、出来る限り野良犬に与えていく苦しみを最低限にしていたはずなんだと思っている彼は、鞄のもとで震えている野良犬の身体を睨んで行きつつ、未だに自分に抗おうとしている野良犬はきっと復讐のことを考えているのに違いないのであろうなと思っては、決して野良犬を生かしてはならないんだと強く考えている彼は言う、「俺が良いって言うまではおめめを開けないでね?」


  息遣いが荒くなっている竜祥が自分に向けて来ている警告にも思えるくらいに厳かな口調に緊張を強いられては、心を軽く抉られていたように思えて小夜は恐る恐ると固唾を飲み込んでは、戦慄しているような顎を引いていく、「う、うん…」”シュー”「うう!!」まるで自分の左手に抉られていた腹部が立てていた小さな音の代わりに、自分にはちゃんと心臓に鍵の先を当てては心臓を破れていたんだと教えてくれているような野良犬から発して来る少しばかり可哀想にも感じている鳴き声に目を細めて行きながら、チラッと潤んでいる赤い瞳で佇んでは、繊細な体を犬が立てて来る苦しそうな鳴き声に殴られているように震えている小夜の顔を見上げていく竜祥は、つい彼女の足元に向けていく野良犬の腹部から流れていく深紅の生き血で出来上がっている水溜りに目を細められては、残念そうにと何度も首を横に振ってしまう彼は小夜が目を開けては、野良犬の無惨な姿を目にした瞬間のことを思うと、彼女はきっと落ち込んでは、下手したら吐き気を覚えるんじゃないかと不安になりつつ、悲しみを覚えていく彼は横目で痙攣している野良犬のことを見下ろしていき、「誰もがお前なんかを望んではいねぇんだよな…」


  歯ぎしりして行きつつ、自分はただ普通に小夜と仲良く暮らしていきたいだけなのに、どうして自分の邪魔をしに来るのかと、人間の言葉を分かるはずもない野良犬に投げてみたくなっている竜祥は悲憤に操られている喉から沈んでいるような声を絞り出していた、「野良犬には居場所が無ければ受け取って貰える場所もないんだ。」”シュー”強く左手にある鍵を握っては何度も野良犬の腹部にぶち込んでは、万が一狂っている野良犬が自分の身体を退かして、小夜の方に向かわせてしまったら不味いと強く思っている竜祥は、右手にある鞄で野良犬の顔面を潰そうなくらいに力を入れて行きつつ、血走っている眼でまるで液体を漏らしているような鞄の縁を睨んでいく、「なのにまだ生きたがるんだよ、」


  悔しそうにと歯ぎしりしながら、死にたくないと叫んで来ているようにと弱り切っては、まるで自分の方こそが強者である事に認識出来ているような、もう救えそうにない野良犬の腹部から飛び出て来ている生き血を見つめながら、野良犬に諭そうとに声を発していく竜祥、「何かしらのものに縋って、」眉間に皺寄せて行きつつ、小夜に危害を加えようとしている野良犬のことを唾棄しているようにと喉からしわがれている声を発していく彼、「傲慢なまでに何も持っていねぇのに、」喉元が激しく鼓動を刻んでいる心臓に殴られているような気がしてならないでいる彼は、悔しそうにと右手を握っては、迷わずに微動だにしないでいる鞄を殴っていき。


  「がるるーっ!!」宛ら自分にさっき弱っていたのは死んだ振りをしていただけで、本当は自分が力を緩めていく隙間を狙っては小夜を攻撃するんだと知らせに来ているような野良犬の無様なまでに四足を震わせては、腹部から飛び出る生き血に身体を濡らされていく様を睨んでいく彼は強く右側の口角に力を入れては、鼻で笑っていた、「まだ生きたいって、」目を細めて行きつつ、野良犬の震えている足に目を向けていく竜祥はつい野良犬が自分と遭う前に、一体どれだけの人に危害を加えて来ていたのかと想像してしまうと、ますますこいつを殺したのは正解なんだと強く思ってしまう彼は、ぽつりと怒りに満たされている声を発していた、「思っちまうんだよ。」


  竜祥の野良犬のことを懲らしめて行きながら紡いだ言葉に、心を握られているような気がしてしまう小夜は悲しそうに軽く歯を噛んでは、聡明な彼に野良犬が彼が紡いでいる難しそうな話を理解するはずもない事くらいは、誰よりも分かっているはずだと思いつつ、なのにまだ怒りに満ちている声色で言葉を紡いで来るのは、きっとかつての彼が野良犬の少しばかり汚く思ってしまう身体で見えているのではないかと、勝手にそう考えてしまう頭に心を苛まれているような気がしている小夜は、どうしても彼は自分自身のことを語っているように伝わって来ているように思い、切なげに眉をひそめていく彼女は悲しそうにと軽く頷いていく、「う、うん…」


  小夜の自分が野良犬に向けていた話を聞いては、返事しに来ている様に見開かされては思わずあんぐり口を開けていく竜祥はぼんやりと彼女の悲しそうに軽く鼻を啜っている様に目を向けては、切なげに口角を上げてしまう彼は小夜は多分野良犬のことを自分だと思っているのではないかとぼんやりと考えて行きつつ、目を細めていく彼は自分に抗う気力を徐々に無くしては、大人しくなっている野良犬の姿を睨んでいき、「だけど全ての野良犬は全部こいつのように、」まったりと左手を温めてくれているような犬の腹部から抜け出して行きつつ、自分のペンキに塗りつぶされていたような左手に目を向けていく彼は言う、「狂っては人様に危害を加えようと考えていなかったりするんだよ。」


  竜祥が紡いだ意味深な一言に眉をひそめられているように思えては、ごくりと固唾を飲み込んでしまう小夜はぼんやりと佇んだまま、息遣いが荒くなっている彼と野良犬の消えてしまいそうなくらいに弱っていく鳴き声を耳にしている。小夜の鞄に押さえられていた野良犬に感染されているようにと震えている白皙の膝元に目を細められては、悔しそうにと強く歯を噛んでいく竜祥はつい小夜に怖い思いをさせていた野良犬への悲憤に頭を支配されては、脳が沸いているような気がしてならないでいる彼は軽く顎を引いては、充血しては瞬きを忘れていたような眼で鞄を睨んでいき、「ちゃんと訓練を受けては、主人を守れる番犬になれる奴もいたりするんだ。」


  竜祥のまるで彼は人生を破棄しては誰かを襲って、一緒に道連れにするような輩ではないんだと語って来ているような一言に悔しさを覚えては、彼に自分のことを野良犬だと思って欲しくないと強く考えている小夜は、まるで自分の返事を待ってくれているように言葉の続きを紡ごうとしないでいる竜祥に頷いていく、「うん…」小夜の自分が怒りに狂わされていた頭に支配されていた唇から飛び出ていた言葉を真面目に聞いてくれては、頷いてくれている態度に口角を軽く上げられているように感じてしまう竜祥は小刻みに空気を蹴っている犬の存在を気にする事無く彼女に目を向けていき、「こいつはあからさまに俺みたいな番犬ではないみたいだぞ?」


  「えっ?」突然、竜祥がまるで自分が考えていた通りの言葉を自分に向けて来ていた事に、眉毛を軽く跳ねられていたように思えては、ごくりと固唾を飲み込んでいく小夜は目を瞑ったまま、軽く左手を引いては自分の熱くなっているこめかみを掻いて行きながら、惚けているようにと言葉を紡いでいく、「竜祥君って…いつ犬になってたの…?」小夜のあからさまに震えている声色で紡いだ言葉に口角を撫でられているように思いつつ、彼女は多分自分が考えていたような事を思っているはずだと思いつつ、彼女が惚けると言うのなら最後まで付き合っていきたいと願っている竜祥は微笑みながら、右手で強く鞄を地面に向けて押して行きつつ、彼女の顔を見つめていく、「お前に拾って貰った瞬間からだよ、」小首を傾げて行きながら緊張に体を嬲られている彼女のことをからかっては、リラックスさせていこうと思っている彼は言う、「わんわん~?」


  ”ドクンー”突然、真っ黒な視界の中で聞こえて来る竜祥の小型犬の真似をしていたような可愛らしく聞こえて来る鳴き声に、口角を斜め下の方向に固定されているような気がしてならないでいる小夜はごくりと固唾を飲み込んでは、脳内に浮かんで来る自分の周りで、はしゃいでいる小型犬と化していた彼の姿に心臓が興奮に撃ち抜かれていたような気がしながら、まったりと脳内で屈んでは、小型犬と化していた彼の体を抱えて行きつつ、大事そうにと頭を撫でていく彼女、「ううう…」ごくりと固唾を飲み込んでしまう彼女はつい竜祥が紡いだ可愛らしく聞こえて来る言葉の中には、彼が卑屈になっている思いが秘められている事を思うと、何度も首を横に振っていく彼女は言う、「な、なんか可愛いけど…」強く両手を握っては竜祥にちゃんと自分に自信を持って欲しいと強く考えている彼女は、竜祥の声がしていた方向に向けて軽く左手の人差し指を立てていく、「ダメだよ、ちゃんと人でいて?」


  小夜の自分が冗談交じりに紡いだ言葉を真に受けてくれては、真面目に自分に言い聞かせて来る話が少しばかり面白く感じてしまう竜祥はまったりと右手を軽く離れては、野良犬がこれ以上自分に抗うかどうかを見定めていこうと思っている彼は、野良犬の姿を観察して行きながら言葉を紡いでいく、「お前がそう言うのならそうしようか。」竜祥が自分に可愛がって欲しい子犬ではなくなってしまう事を思うと、つい少しばかり残念にも思えてしまう小夜、「うっ!」好きな人に自分に可愛がって欲しい子犬だと思いこもうとしていた自分の思いは歪んでいるんだと、強く心の中で何度も自分に言い聞かせていく小夜は照れくさそうにと軽く右手の人差し指を握って行きつつ、軽く肩を上げては頷いていた、「う、うん…」


  「けどこいつは死ぬべきだ、」まるでもう上手く自分に歯向かうことが出来なくなっているように、生き血で出来上がっていた絨毯の上で倒れ込んでは、虫の息となっている野良犬のことを睨んでいく彼は何度も鼻翼に力を入れて行きながら声を発していた、「今度は俺が上手くお前を守れるのはまぐれであり、」悔しい心境に駆り立てられては思わず強く歯を噛んでいく竜祥は、自分の脚くらいの大きさをしていた野良犬のことを睨み付けては、万が一小夜が自分が傍にいない時にこのような野良犬と出くわしてしまったら、きっと大怪我してしまうのだろうと思いつつ、自分がちゃんと小夜の事を守れなかったら彼女はもう野良犬の食い物にされていたことを思うと、つい立ち上がっては野良犬の顔を鞄抜きで踏み潰してみたくなり、苦しそうにと歯を食いしばっていく彼は何とか胸元の奥からこみ上げて来る悲憤を我慢して行きつつ、もう死にそうな野良犬にそのようなことをする必要はないんだと思っている彼はぽつりと声を上げていた、「次はただロリポップを舐めている無実の女の子に危害を加えてしまっては、」目を細めて行きながら瞬きを忘れていたせいでずっと開けていた瞼の少しばかり麻痺していたような感覚を感じて行きつつ、自分の汚れていた左手に視線を落としていく竜祥は指先に付けられていた黒いゴミを気にする事無く言葉を紡いでいく、「何もかも手遅れになっちまうからよ。」


  竜祥が自分に向けて来ている話に悩まされているように思えては、思わず眉をひそめてしまう小夜はつい彼が紡いでいる野良犬は死んで当たり前のような言葉に反論することが出来なくなっているように思いつつ、野良犬は可哀想だと一瞬思っては、もし自分たちではなくただ公園に遊びに来ていた子供だったら、もう発狂していた野良犬に殺されていたのに違いのであろうとぼんやりと考えている小夜、「そう…だよね…」


  竜祥に守られて貰う一方で、あまつさえ彼に汚れ仕事を強いていたような弱い自分に不満を覚えている小夜は悲しそうにと軽く歯を噛んでは、ぽつりと内心を潰しに来ていたような黒く感じてしまうくらいに深紅色の恐怖から抜け出せていたような言葉を紡いでいき、「怖い…ううん…」竜祥がちゃんと自分の傍にいてくれることを思い出すと、ついどんな恐怖も自分の存在を奪えてしまう程のものではなくなっているように思えて小夜は、軽く戦慄している左手を胸元に当ててはぽつりと震えているような声を発していた、「怖かったよ…」


  左手にある鍵に付けていた深紅の血肉と自分の手のひらに粘って来ているような深紅の鮮血に一瞥していく彼は軽く口角を上げては、小夜の認めを得ると、自分は心置きなく微かな息が残っていた野良犬を地獄に送っていけるんだと思っている彼、「だろう?」流し目で自分の言い分に納得しているようにと頷いてくれていた小夜の姿を見ていく彼は微笑んだ、「だから俺が止めを刺すんだ。」軽く顎を引いては、右手にある鞄を押さえて行きつつ、動くのが段々辛くなっているような野良犬の四足に視線を落としては、左肩を限界なまでに後ろに引いていた彼は歯を食いしばっていた。


  ”ヒュー”「がああうっ!!」血走っている赤い瞳で空気と戯れていたようにと全力で空気を蹴っては、まるで全ての力を使い果たされていたようにゆっくりと四足を引いていく野良犬の体を抉りに行った左手をまったりと引いていく竜祥は、まるで野良犬の代わりに自分をこっぴどく叱って来ていたような生臭い温かい生き血に目を細めていく。「うああ…」ぼんやりと両足で逞しい枝を挟んでは、右手にある携帯電話で少年の死神のような形相を記録していく男性は、ついいとも簡単に野良犬の命を奪っていた少年はとんでもない人物だと思いつつ、弱くなっていた野良犬を甚振っていたような彼はもしかしたら頭が可笑しな奴なのではないかとぼんやりと考えて行きつつ、頭の狂っている少年と付き合っている少女は可哀想だと考えてしまう男性はつい野良犬を無惨なまでに殺していた少年が自分に向けて来ていた衝撃に唇をこじ開けられているように感じつつ、上手く口から言葉を紡ぐ事が出来ずにいる彼はぼんやりと震えているような視線を少女に向けていた。


  「えっ?!」宛ら自分の心を潰しに来ていたような野良犬の惨い鳴き声に体を跳ねらされていたように感じては、口角が強く斜め下の方向に向けて引っ張られているような気がしてならないでいる小夜は必死に目を瞑っては、何とか竜祥に自分が見えない間に一体どんなことが起きていたのかと彼に尋ねてみたくなっている、「さっきの鳴き声って…!」

”ピチャー”まったりと細長い指先から滴り落ちは深紅の海のような地面に体をぶつけていく赤い雫に目を細めて行きながら、軽く左手にある尖っては赤い血肉が微かに纏っていた銀色の鍵をぶら下げていく竜祥は、戦慄している左手の人差し指を立てて行きつつ、自分の渇いた唇の前に飾り付けていき、「しー。」


  まるで子供を宥めているようにとやけに冷静に伝わって来ている竜祥の声色に、口角を斜め下の方向に固定されているような気がしてならないでいる小夜はごくりと固唾を飲み込んでは、恐る恐ると肩を縮めて行きつつ、どうしても竜祥が発していた静かにして欲しがっている声は、自分の心を弄んでいるように思えている彼女は艶やかな唇を噤んで、叱られているようにと唸り声を漏らしていく、「ううう…」


  小夜の怖がりながらも自分との約束を守ってくれている律儀な姿勢に口角をくすぐられている思いつつ、軽く顎を上げては横目で自分の皺寄せていたコーヒー色の鞄を見ていく竜祥は気怠そうにと顎を小夜の足元に向けたまま、まったりと左手の人差し指を引いて行きつつ、左手を下ろしながらぽつりと声を上げていき、「君は目を瞑っているだけでいいんだよ、」まるで目を瞑っている彼女に自分が仕上げていた野良犬を紹介しにいくようにと軽く左手を外側に向けて行きつつ、右手で鞄の取っ手を握っていく竜祥は微笑みながら、自分の声しか聞こえないでいる彼女の嵐のようなくらいに不安に嬲られては荒れているはずの心に、安らぎを持たしていこうと思っては、冗談を語って行くようにと微かに起伏しているような声を上げていき、「俺が全て上手くやっとくからさ?」


  竜祥が発している安心感を与えてくれては、眠りにつかせようとしているくらいに心地良く伝わって来ている声色に、恥ずかしさを植え付けられているに思えては、照れくさそうにと軽く左手の人差し指で青色の髪の毛を引っ張っていく小夜、「ううう…」目を瞑っているせいで彼が自分にかけて来ている声はやけに格好良く思えては、胸元をくすぐられているような気がしてならないでいる小夜は何度も鼻翼に力を入れて行きつつ、恥ずかしそうにとぽつりと唇を開けていき、「わ…分かったわ…」ごくりと固唾を飲み込んでは不安そうにと軽く眉間に皺寄せていく彼女はつい、全てのことを竜祥に任せるのは申し訳なく感じては、叱られているように恐る恐ると肩を縮めていく彼女は畏怖しているようにとぽつりと弱り切っている声を漏らしていく、「よろしく…って言えばいいのかな…?」


  小夜のまるで自分に全てのことを委ねていいのかどうかを悩んでいる様に目を細められているように思えては、チラッと横目で瞼を微かに閉ざしていた野良犬の少しばかり凹んでいたようにも見えてしまう死に顔に添えていた赤い生き血に目を向けていく竜祥、「何も言う必要はないよ、」軽く口角を上げては小夜にこのようなゲテモノを見せてはならないんだと強く考えている彼は、迷わずに右手にある鞄を少し自分の胸元に寄せて行きながら、生き物を殺めていたやけに興奮を覚えさせて来ている高揚感に口角をまったりと上げられているように思えては、自分は野良犬を殺していた事に興奮しているのか、それとも小夜を上手く守れていた事に高ぶっている心境になっているのかをぼんやりと考えて行きながら、とりあえず小夜にもうこれ以上心配させたくないと強く思っている彼はまったりと立ち上がって行きつつ、横目で野良犬の死体を見下ろして行きながら、自分が責任を持ってゴミ箱に野良犬の身体を捨てていかないとと思っている竜祥は言う、「これは俺の責任であり、全ての報いは俺が受けるさ。」


  まるで自分が紡いだ言葉を快く思ってくれないでいるようにと眉をひそめている小夜の軽く艶やかなピンク色の唇をすぼめている様に、口角をくすぐられているように思えては、胸元の奥にある高揚感はどうでも良く思えては、彼女が無事でいてくれるのなら自分なんかがどうなってもいいように思えている彼は口元が生き血に飾り付けられていた野良犬の無惨な姿を見下ろしては、一件落着とぼんやりと考えている彼は野良犬の身体を小夜から一定の距離を取ってから、彼女に目を開けて貰おうと考えていき、「さらばだ、野良犬。」


  少年のまるで野良犬を弔っているようにと軽く両手を合わせている様をぼんやりと眺めては、あんぐり口を開けていた男性はごくりと固唾を飲み込んでいた。自分の右手にある携帯電話に一瞥しては、軽く右手にある携帯電話を黒い机に置いては、視線を薄暗い環境の中で自分の顔を照らしてくれているようなモニターに向けていく黒いパーカーを着こなしていた男性は深紅の瞳で、楽々花日芽は自分の嫁だと言うハンドルネームをしていた自分のアカウントがチャットに上げていた動画とメッセージを映し出していき、『それで、俺はこの格好いい黒い頭をしていた野郎を懲らしめて見ようって、思うわけだよ。』


  『いいんじゃないの、協力するぜ?』ポジティブに自分がかけていたメッセージに返事をしに来ていた青色に包まれていた文字に、唇を開けられているように思えている鼻先が褐色の黒子が生えていた男性、「おお…」思わず感嘆の声を漏らしてしまう彼は急いでいるようにと顔をモニターに近づいては、胸元の奥からこみ上げて来る高ぶっている心境に口角を上げられているようにと感じている彼は、急いでいるようにと視線を青色の文字がかけていた続きに視線を向けていき。


  『可哀想なワンちゃんを苛める野郎は許せない質で。』ぼんやりと眉毛をひそめて行きつつ、真面目そうなメッセージを送ってくれていた青色の文字に目を半開きさせて行きながら、軽く左手の人差し指でこめかみを掻いていく男性は呆然と小首を傾げて行きつつ、ぽつりと弱っているような声を漏らしていき、「まぁ、確かに可哀想だけど…」まったりと腕を組んで行きながら、汚されていた木製の椅子に背中をかけていく男性はゆっくりと小首を傾げていきつつ、モニターに向けて小さな声を漏らしていき、「あの格好つけてた奴がいなかったら、」ぼんやりと言葉を紡いは、まるで自分のことを見つめて来ているような赤い瞳に目を向けていく男性、ぼんやりと目を細めて行きつつ、モニターの中にあるまるで自分に竜祥の事を紹介してくれるようなプロフィールの中に貼られていた竜祥の写真に一瞥していく彼、困っているようにと軽く右手の人差し指と親指で顎を擦っていく男性は眉間に皺寄せて行きながら、自分に自分がずっと求めているような可愛い女性と付き合えていたんだぞと、わざとらしく自分に見せつけるために鞄の向こう側でキスしていた竜祥の事を思い出してしまうと、確かに彼は嫌な奴なんだと思ってしまう男性はぽつりと呟いていき、「俺が見込んでた可愛い女の子も危ない目に遭ってたんだろうし…」 

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