第213話僕は…この家に来る時間を少し早まってただけなので。


  ”ター”宛ら階段のもとにいるのであろう二人に自分の存在を知らせていくかのようにと強く右足で床を踏んでは、潤んでは赤い蜘蛛の巣と化していた眼で戸惑っているように眉をひそめては、自分の顔を見上げて来ている叔父さんと叔母さんを見下ろしていく竜祥はごくりと固唾を飲み込んでは、ぽつりと渇いた唇を開けていた、「もういいです…」やけに憤ってはまるで人を殺めようとしているように見えてしまう竜祥の真っ赤になっていた眼に、畏怖を強いられているように思えては、彼が自分に投げて来ていた話に喉を殴られているように思えては、思わず間の抜けた声を上げてしまう母親、「え?」


  宛ら自分が彼女の両親に姿を現していた事に、驚かされているようにと震えている両手を軽く引いては、自分を止めるべきかどうかを悩んでいるような小夜の顔を横目で一瞥し、軽く彼女の弱っているような両手から右腕を引いていく竜祥は自分の行動に見開かされている彼女の表情を気にしている余裕を無くしては、彼女の泣き出してしまいそうな表情を目にすると、自分はきっと思いを揺らいでしまうんだと思っている彼は逃げているように階段にスリッパを向けて行きながら、俯いて言う、「お邪魔しました…」悲しみに心を取り付かれているように思えては、微かに震えているような両足でやけに硬く感じてはまるで自分の存在を拒んでいるような階段を踏んでいく彼は、切なげに赤くなっている鼻を啜っては、この家には自分は要らないんだと強く思っている竜祥はぽつりと渇いた唇を開いていた、「もう二度とここには来ませんので…」


  「ちょっ!」階段を下りてはまるで彼の後ろで控えている小夜の事を置いて行こうとしているような竜祥の項垂れては、玄関に向かおうとしている様に見開かされ、急いでいるように右手を伸ばしては、彼の弱っている肩を掴んでいく父親、「竜祥君…!?」泣きじゃくっていた父親の涙を流して行きつつ、怒っては竜祥の事を睨んでいるような母親の腕を組んでいる様に心細い思いを強いられているように感じてしまう小夜は、ごくりと固唾を飲み込み、まるで父親の右手を振り解こうとしているように弱っている肩に力を入れている竜祥の落ち込んでいる横顔を見つめていき、「待って…!」苦しそうにと両手を握っては胸元に当てていく小夜は自分が口にしていた一言に驚かされているようにとあんぐり口を開けて行きつつ、自分に目を向けて来ている母親の自分の頭を疑って来ているような態度に口角を斜め下の方向に引っ張っているように思い、軽く歯を噛んでしまう小夜は自分たちを守ってくれている屋敷が大雨に殴られては苦しそうに立てている音を耳にすると、とりあえず竜祥の事を泊めて行きたいと強く願っている彼女は喉から声を絞り出していた、「こんな大雨の中でどこに行くつもりよ!」


  「あ…」小夜が竜祥に向けていた話にヒントを貰えたように思い、母親から与えて来ていた悲しみに溺れているように思えては、竜祥が有無を言わさず家から出ようとしている衝撃に挟まれ、頭が真っ白になっていたような気がしていた父親は窓ガラスを叩いて来たガラスの音を耳にして行きながら、彼は風邪を引きたくないはずなんだと思っている父親は母親に叱られていたせいで項垂れていた口角を上げて行きつつ、自分たちに顔を向けようとしないでいる竜祥の汗ばんでいるような微かな光を放っている髪の毛を見つめていき、「そうだよ…!」


  ごくりと固唾を飲み込んでしまう父親は引き攣っているような右側の口角を上げて行きながら、腕を組んでは未だに竜祥を止めようとしないでいる母親の眉をひそめつつ自分を見つめて来ては、手を放して欲しがっているような様に心を苦しめられているように思いつつ、切なげに鼻を啜っていた彼は竜祥の事を慰めているようにと声を発していき、「叔母さんも一時的に受け入れる事が出来なかっただけだよ…!」


  宛ら自分の彼の肩を掴んでいた右手に抗うのを観念したように体から力を抜け出している竜祥の仕草に、彼はちゃんと家に泊まる事を考え直してくれているのではないかと思っては、少しばかり安心感を覚えてしまう父親は軽く彼の弱り切っている肩から右手を引いては、左手で胸元をなで下ろして行きつつ、懇願しているような眼を母親に向けては、彼女の不満そうに睨んで来る仕草に口角を斜め下の方向に固定されているように思えている彼は、ついまたしても大泣きしてみたい気分になれては軽く首を横に振っていく彼はぽつりと唇を開けていき、「僕はちゃんと彼女を説得して見せるから、」息遣いが乱されているように感じては、苦しそうにと鼻翼に力を入れて行きつつ、竜祥の背中を見つめていく父親は懇願しているようにと声を発していた、「僕に少し時間を…!」


  叔父さんが必死に自分のために叔母さんを説得しようとしてくれている態度に感動を覚えては、彼がどれだけ必死に物事を語ろうと叔母さんは自分の事を引き受けてくれやしないのであろうとぼんやりと、怒りと悲しみに挟まれては爆ぜてしまいそうな頭を働かせて行くように、叔父さんの努力に免じてはもう少し彼の無理な願いに付き合っていこう思ってしまう竜祥はゆっくりと、霞んでいる視界の中で叔母さんの姿を探していき、「僕は…人殺しの子だけど…!」宛ら両手を握りしめている自分に驚かされているようにと軽く眉毛を上げている叔母さんのゆっくりと両腕を解していく様を見つめている竜祥は、恐る恐ると震えている左手を胸元に当てて行きつつ、ぽつりと戦慄している声を発していた、「大事な人に手をかけたりは決してしませんよぉ…!」


  竜祥のやけに潤んではまるで生き血に囲まれているような赤い眼が少しばかり不気味にも感じては、彼の父親が彼の母親の事を殺めていたことを思い出してしまうと、そのような狂っている家庭の影響を受けて来ていた彼はそう言う大人になっても可笑しくないと思いつつ、誰かが彼の人生を補佐してももう手遅れになるんじゃないかと不安になっては、チラッと潤んでいるピンク色の瞳で自分の顔を見上げてくれている小夜に一瞥していく母親は、小夜のまるで自分に竜祥の事を引き受けて欲しがっているような態度に歯を噛んでしまっては、決して彼の人生をまともにする補佐をしていくに、小夜をかける訳には行かないと思っている母親は自分の返答を待ってくれているようにと見つめて来ている三人に、無言のプレッシャーを強いられているように思えては、ぽつりと艶やかな唇を開けていた、「それは…」まるで自分が声に乗せていた話に緊張を強いられているようにと軽く華奢な上半身を反らしては、息を吸いこんでいる小夜を横目で見てしまう母親はつい純粋な彼女に竜祥と言う危険と一緒に居させる訳にはならないと強く思っている彼女は、猛然と鋭利な眼差しを竜祥に向けていき、「誰かが保証してくれる?」


  ”ドクンー”叔母さんが自分に向けて来ているにべもない言葉に鳩尾を嬲られているように思えては、彼女が語って来ている話と態度こそが普通であり、自惚れていた自分が誰もが叔父さんと小夜のように酷い体験を経て来ていた自分に親切してくれるんだと微かに期待していた自分の方が悪いんだと思っている竜祥は悔しそうにと歯を噛んでしまい、「うっ…」母親が傷だらけの竜祥に追い打ちをかけているような態度に見開かされては、思わず強く両手を握っては涙を滲んでいく小夜は悲しそうに彼女の事を呼んでいき、「お母さん…!」


  宛ら自分の代わりに叔母さんに向けて文句を投げて行こうとしているような小夜の華奢な喉から声を発していた様と、叔父さんの悔やんでは俯いてはまるで自分に合わせる顔がないと言っているような態度に目を細められては、自分の事を憐れんでくれている二人にこれ以上悩ませては、涙を零させたくはないと願ってしまう竜祥は手のひらに食い込んだ爪が残して来ていた傷跡と、傷を刺激しに来ているような手のひらにある汗を頼っては、叔母さんの前では決して涙を零したくはないと強く思っている彼は苦しそうにと涙を我慢して行きつつ、血走っている眼で自分のことを見下ろしている叔母さんに目を向けていく、「保証は誰もしないだろうけど…」


  強く歯を噛んでは、叔母さんの目を細めてはまるで自分のことを憐れんでいるような態度に苛立ちを覚えつつ、自分には安っぽい同情より、ちゃんと生きていく為の居場所が必要なんだと叫んで見たくなっている彼は言う、「見ててください…」ごくりと固唾を飲み込んでいく竜祥は自分が喉から絞り出していた話に困らされているようにと自分に注目しに来ている三人の眼差しに、激しく鼓動を刻んでいる胸元を抉られているように思えては、ぽつりと唇を開けていき、「僕は…立派な人間に…」


  苦しそうにと項垂れていく竜祥が言おうとしている言葉に眉毛を跳ねらされているように感じては、急いでいるようにと右手で自分の瞼と目の下をピンク色にしようとしている悲しみを隠して行くように、右手の手の甲で目を擦っていく小夜は眉間に皺寄せて行きつつ、両手を握りしめては、辛そうに悲しみと戦いつつ声を発しようとしている彼のことを内心で鼓舞していき。

 

  「絶対になって見せます…」自分に上手く空気を吸わせてくれないでいるように痺れては、震えている鼻に苦しまれている竜祥は自分のことを可哀想な奴だと思ってくれているようにと切なげに眉毛をひそめている叔母さんの顔を見つめては、何度も鼻翼に力を入れて行き、「から…!」目を細めてはまるで自分が言っている言葉は何の信憑性もない空論に過ぎないと語って来ているように、自分から目を逸らしている叔母さんの態度に絶望を強いられているように思えては、ぼんやりと霞んでいる視線を自分の両足に向けていく彼は真っ黒なスリッパに目を奪われ、自分を取り込んでいた暗闇は再び蘇って来ているように思えては、軽く歯を噛んでしまう彼はぼんやりとこれが現実なんだと自分に言い聞かせては、チラッと自分と同じように叔母さんの態度に絶望を強いられているように、軽く小さな右手で口元を隠している叔母さんに眼差しを固定されているような小夜に一瞥しては、苦しそうに唇を噤んでは、何も言おうとしないでいるように俯いていた叔父さんを見てしまうと、つい本来ならまったく自分と関わらなくだっていいはずの叔父さんが不幸に取り付かれているような自分に構って来ていたせいで、暗闇に巻き込まれていたんだと思っては、彼に申し訳ない心境に体を押されているように思えている彼は残念そうにと唇を開けては、ゆっくりと背中を三人に向けていき、「それでは…失礼しました…」


  竜祥が弱り切っている声を喉から漏らしていた事に見開かされては、彼は自分に上手く嫁を説得出来ないどころか、嫁に泣かされていた自分にガッカリしているのではないかと思ってしまうと、つい潤んでいる瞳で軽く腕を組んでは項垂れている母親に一瞥していく父親は強く歯を噛んでは、もう少し頑張って行けたら優しいはずの彼女は最低限にも雨が止んでから彼に出て行って貰えるはずなんだと思っている父親は、震えては上手く力を入れることが出来ずにいる右手を戦慄している両足で玄関に向けて歩いている竜祥に向けていき、「待ってって…!」


  「そうよ…」竜祥の弱っては上手く自分たちのもとから離れていくことすらままならないでいる様に、心を引かれているように思えては、大雨の日で彼は何処に行きたいのかと彼に言ってみたくなっている小夜は急いでいるようにと彼の背中姿に向けて一歩を踏み出していく、「待っててって…!」まるで自分が力を振り絞って口にしていた言葉に動きを止められているような竜祥の項垂れては、苦しんでいる背中に微かな希望を得ているように思えては、急いでいるようにと握りしめている右手を胸元に当てて行きつつ、母親の顔を見上げていく小夜は言う、「ほら!お母さんも謝ってよ!」自分が声にせていた言葉に驚かされているようにと眉毛を跳ねらせている母親の顔を、朧気になっている視界の中で見つめて行きつつ、彼女はこんな弱っている人を甚振るような酷い人間ではないはずなんだ強く信じている小夜、「どうして竜祥君にそんな酷いことを言うの…!」


  「小夜…」自分の娘が既に竜祥と言う子に取り込まれては、自分に敵対しているような態度に心を苦しめられているように感じては、思わず悲しみと歯を噛んでしまう母親は眉をひそめて行きつつ、彼女のまるで自分を拒んでいるようにと顔を、竜祥の彼女の言葉に止められていた背中に顔を向けている様に心を苦しめられているように思えては、恐る恐ると戦慄している両手を彼女の繊細な肩に向けて行きながら屈んでいく母親、「どうしてあんたまでその子の味方に…」小夜の自分を嫌っているようにと眉をひそめている様に苛まれては、自分は間違っていないんだと何度も内心で自分に言い聞かせていく母親は悲しそうにと喉から声を絞り出していた、「わたしはあなたのためを思って…!」


  母親が自分のもとから竜祥を追い出そうと語って来ている言葉は、自分のためだと言ってきている態度に眉毛を上げられているように感じてしまう小夜は悔しそうにと何度も鼻翼に力を入れて行きつつ、自分の顔を潤んでいる瞳で映し出してくれている彼女のことを見つめていく小夜は急いでいるようにと左手の人差し指で佇んでいる竜祥の背中姿を指差していき、「わたしの為に思ってくれるのならちゃんと彼を住まわせて!」自分が発している大きな声に唇をこじ開けられている彼女の顔を睨みながら、散々傷だらけになっていた竜祥を地獄に陥れようとしていた言葉を紡いだ母親は正気ではなくなっているんだと思っている小夜は悔しそうに叫んでいた、「そして彼を馬鹿にしていたことを謝って…!」


  無言で小夜に背中を向けていた竜祥はつい自分の両足を止めに来ていた彼女の一言に悲しまされては、自分の為に母親に刃向かっている彼女に向けて首を横に振って見たくなっては、自分なんかの為に幸せな家庭を諦めるなと言ってみたくなっては、叔母さんがしている事こそが正しんだと彼女に教えて見たくなっている竜祥はつい段々胸元の奥から込み上げて来る苦しみに、打ちひしがれてしまいそうな気がしては辛そうにと軽く額を上げていき、「うぐっ…」


  俯いていた竜祥の彼の為に頑張っている小夜の言葉に感動されていたように、唸り声を発していた様をぼんやりと見つめては、呆然と自分の悔しい心境に駆り立てられては握りしめていた両手を見下ろしていく父親は、つい小夜の微かに震えているような肩に目を細められては、彼女は弱い自分よりずっと立派な人なんだとぼんやりと思っては、何も出来ないでいる自分の弱さに苦しめられては、悲しそうに俯いていた。


  小夜の潤んでいるピンク色の瞳の中にある自分の絶句されてはあんぐり口を開けている姿に見開かされては、本気で自分に謝っては竜祥を屋敷の中で泊めて上げようとしている小夜の態度に、自分が彼女に裏切られていたような気がしてしまう母親はつい切なげに眉間に皺寄せて行きつつ、ゆっくりと体を起こして行きながら俯いていき、「わたしは…」ごくりと固唾を飲み込んでいく彼女はチラッと小夜に止められていた竜祥の弱り切っている背中姿に一瞥しては、彼が危険なんだと、父親から彼の父の話を耳にしていたせいでどうしても無実である竜祥は犯罪者のように思えては、悔しそうにと強く歯を噛んでしまう彼女は苦しそうに小夜の弱っている両肩を強く握って行きつつ、何度も鼻翼に力を入れていき、「ただリビングで話をしていただけだわ…!」軽く顎を上げては自分が紡いだ一言に困らされているようにと眉毛をひそめている小夜の顔を見つめていく母親は、喉を詰まらせに来ているような唾液を飲み込んでは、自分には絶対無垢な小夜を危険な存在になり兼ねないでいる竜祥から離れて貰わないとと強く思っている彼女は言う、「彼が勝手に盗み聞きして、」


  母親が竜祥に投げていたように自分に向けて来ていた返事にあんぐり口を開けられているような気がしては、喉を殴られていたような気がしてならないでいる小夜、「なっ…!」自分が紡いだ言葉を当たり前だと思っているように微動だにしないでいる竜祥の背中姿を警戒するように見て行きつつ、母が目の前で父に殺されていた場面を目の当たりにしていた彼がまだ平然としていることを思うと、頭はきっと可笑しくなっているのに違いないんだと思える母親は補足するようにと言葉を紡いでいきは、「勝手に怒っているだけじゃない、」軽くひそめていた左側の眉毛を上げては自分の言葉を耳にしては、抜け殻としているようにと自分の顔を見上げて来ている小夜の両肩を強く握っては、彼女に彼女の安全を重んじている自分のもとから離れさせようとしないでいる母親は言う、「謝るところなんて一つもないわ。」


  母親のまるで竜祥が全般的に悪いと語って来ている態度に苦しめられては、彼女には竜祥が遭っていた苦しみを少し知れているはずなのにも拘らず、彼に酷い言葉を投げている態度に心を苛まれているように思えている小夜はぽつりと弱っている声を漏らしていた、「どうして…」まるで自分の気持ちを代弁してくれていたような話に口角を斜め下の方向に固定されているように思えては、自分には娘を通してでしか母親と会話出来ないような腑抜けになっていたような気がしている父親は悔しそうにと軽く歯を噛んでは、何度も鼻翼に力を入れて行きながらチラッと竜祥の呆然と顎を上げたまま何も言おうとしないでいる態度に苛まれているように思い、彼はきっと否応なしに家まで連れて来たのに、急に我が儘にも思えるくらいに、彼に家から出て貰っている自分たちの存在を少しばかり恨んでいるのであろうと考えてしまう父親は、切なげに鼻を啜っては決断するようにと強く両手を握っていき、「君も知っているんでしょ…?」


  まるで自分が紡いだ言葉に対して何がと聞きに来ているようにと眉をひそめている母親の不満そうな表情に、怯んでしまいそうな気がしてならないでいる父親は萎縮しているようにと軽く肩を縮めて行きながら震えている右手の人差し指を立てていき、「父さんと母さんの体では自分たちがちゃんと生活出来て病院に入らずに済むならそれだけでありがたい事なんだから…!」急に両親の話を持ち出している自分が紡いだ言葉に困らされているように、首を傾げている母親の顔を見つめていく父親は言う、「彼の母の両親はもう他界してたんだから…」ゆっくりと視線を肩が酷く震えているように見えてしまう竜祥に向けては、勝手に彼を家に連れて来ていた責任を最後まで取ろうと強く思っている父親は、ぽつりと戦慄しているような喉から声を絞り出していく、「もう彼を引き取って上げれるのは僕らしかー」


  「もういいです…」眼が酷く疼いているように感じつつ、小夜の為に思ってくれては自分のことを追い出そうとしている叔母さんのことを思うと、つい彼女に怒れないでいるように思えている竜祥は自分の為に、嗚咽まじりに叔母さんのことを説得しようとしてくれている叔父さんと小夜の存在に感謝して行きつつ、まったりと真っ赤になっていた目を三人に向けていき、「僕は情けない人だけど…」無理矢理強張っているような口角を上げては、潤んでいる瞳で自分のことを憐れんでいるようにと軽く眉をひそめては、逃げていくようにぷいと首を横に向けていた叔母さんに苦笑いして見たくなっている竜祥は言う、「自分を思ってくれる人を何度も泣かせながら誰かに願いをさせるよになるまでは…」自分の潤んでいる視界の中で無理矢理視界の動かされては、上手く表情を見れないでいる小夜の青色の髪の毛に目を向けていく彼は残念そうにと微笑んで行こうとする、「情けない人間になれたつもりはないので…」


  ごくりと固唾を飲み込んでは結局のところ両親が貧乏だから故に世間に馬鹿にされては、愚かな故にちゃんと物事を考えることを諦めては、酒を頼って惨めな結末に至っていたんだと、割れているような苦しみに纏われている脳内で分析して行きつつ、自分には二人が残して来ていた最悪とも言える始まりを恨むより、何とか上手く社会のルールを理解しては、前向きに考え、ちゃんと小夜のもとに居られていて、誰にも文句を言われる事無く、誰にも批判される事無く、自分に少し手を伸ばせば走ったら届けそうな距離にいる彼女を、ずっと傍に泊めてあげられるんだと思っている竜祥は、つい自分にはそのような事を成せそうにないように思い、苦しそうに喉から弱っている声を漏らしていた、「ありがとうございます叔父さん、僕は…」


  軽く歯を噛んでは何度も赤くなっている鼻翼に力を入れていく彼は自分が紡いだお礼の言葉に見開かされては、びくっと肩を跳ねらせていた叔父さんと叔母さんの事を気にする事無く、ゆっくりと玄関に振り返っては、小夜がちゃんと自分の事を待ってくれては、見つめてくれているのに、勝手に人生を諦めてたまるものかと内心で強く叫んでいる彼は無力にも思える拳を握りしめては、重りを掛けられていたような両足を前に向けて踏み出していき、「この家に来る時間を少し早まってただけなので。」


  切なげに鼻を啜ってはまるで小夜から離れたくないと語っているようなドアに近づけば近づく程に、重たくなっている両足に心を苛まれているように思えてしまう竜祥は項垂れて行きつつ、握りしめていた右手を太股に触れて行きながらぽつりと呟いていく、「それでは…」猛然と右太ももから込み上げて来ている痛みに見開かされては、苦しみに麻痺されていたような右足を引き攣っていくようにと、前に向けて踏み出していく彼は言う、「もう探しに来ないでください…」


  「ちょっと…!」竜祥のまるで両足に傷を負っているような仕草に心を苛まれているように感じては、思わず強く両足で床を踏んでは、彼に向かって走っていた父親は否応なしに左手で彼の華奢な左肩を握っては、自分の左手に両足を止められている彼に諭すようにと声を上げていく、「子供一人でどうやって生活していくつもりよ…!」宛ら竜祥にもとに行かせてくれないでいるような自分の肩を強く握って来ている母親の両手に苦しめられては、強く両手を上げては何とか母親の繊細な両手を退かして行こうと強く思っている小夜は竜祥の背中姿を見つめて行きながら喉から声を絞り出していき、「そうよ!」


  自分の両腕と戦っているように強く自分の肩を握ってくれては、放そうとしないでいる母親の向きになっているようにと眉をひそめている様に苦しめられては、絶望を覚えてしまう小夜は悲しそうにと潤んでいるピンク色の瞳で彼女の歯を噛んでいる様を映し出しては、苦しそうに鼻を啜っては自分と同じように父親の手を抗おうとしているような竜祥の向きになっている背中姿に心を苛まれているように思い、ぽつりと渇いた唇を開けていき、「お母さんもそんな悪い人じゃないんだよ…」ごくりと固唾を飲み込んでしまう小夜は自分の事を大切にしてくれて来た母親を説得してみようと思っては、悲しそうにと潤んでいる眼で彼女の顔を見上げて行きつつ、声を上げていた、「せめて落ち着いてから話をしよう?」無言で自分の願い事を拒んで来ているように弱っているような視線を自分から離れている母親の行動に苦しめられているように感じては、懇願しているようにと自分に目を向けていた父親に止められている竜祥の後頭部に向けていく彼女、「ね…?」


  小夜の自分に離れて欲しくないと語って来ていた一言に口角を斜め下の方向に固定されているように思えては、辛そうにと強く歯を噛んでしまう竜祥は何度も鼻翼に力を入れて行きつつ、ゆっくりと彼女に目線を向けていき、「僕は…」まるで自分の目尻を撫でているような温かい粒に苦しめられているように思いつつ、少しばかりはっきりとなっている視界の中で小夜の顔を見つめていく彼は悔しそうにと歯を噛んでしまい、「君の前まで惨めなところを見せてしまったら…」


  竜祥の辛そうにと声を発して行きつつ、未だに自分の左手に抗おうとしている態度に叱られているように思えては、もし自分が手を放れてしまうと、彼はきっとこのままドアから出て行くのであろうとぼんやりと思っては、自分が無理矢理彼の事を止めたところで、母親が彼を引き受けようとしないと言うのなら、自分にもどうしようもないように思いつつ、自分の左手の手のひらに放して欲しいと懇願しに来ているような彼の弱っている肩に苦しめられては、自分が一体何のために竜祥のもとまで駆けつけては、彼の事を止めていたのだろうかと思ってしまう父親。


  

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