第212話彼だって酒ばっかり飲むような父をお断りしているはずだよ…!


  向きになっては自分が彼女に向けていた願いを全般的に断って来ている母親の姿勢に悩まされては、悲しそうにと眉間に皺寄せていく父親はつい両親を亡くしていた甥っ子である竜祥は、自分が何とか成人になるまで育てて行こうと思いつつ、母親の血走っている眼を見てしまうと、今度こそ怯んではならないと強く思っている彼は傷心に温度を奪われていたような両手を握っては、喉から声を絞り出していき、「竜祥君は無実なんだよ、」軽く左手を胸元に当てては、優しい母親はただ一時的に自分の愚かな弟がしでかしていた事を上手く飲み込めないでいるだけなんだと、強く思っている彼は言う、「彼はただあの馬鹿に脅かされてただけであって…!」何度も鼻翼に力を入れていく母親のまるで自分が紡いでいる言葉を聞く気になれないでいるようにと、腕を組んではぷいと首を横に向けている様に困らされては、切なげに眉をひそめてしまう父親は強く左手で胸元にあるカーディガンを握っていく、「誰にも危害を加えていないんだよ…!」


  「ふんっ!」父親の自分のことを説得しては貧乏だけではなく、罪まで犯していた家庭で育って来ていた子供を養っていけと、語って来ていた訳の分からないにも思えてしまう話に苛立ちを覚えては、自分たちの事はともかく、純粋な子供である小夜は殺人犯の子供とひとつ屋根の下で暮らしてたら、どんなひねくれていた子供に育ってしまうのかと思うと思わず強く歯を噛んでは、何としても竜祥と言う子供を家の泊まらせる訳にはならないと強く思っている彼女は言う、「それは!」猛然とショルダーバッグのチェーンを握っていた左手を腰に当て、前のめりになっていく彼女は当たり前のようにと右手の人差し指を立てては父親の顔を指差していき、「今、まだ!」叫んでいるようにと少しばかり痛くなっているように感じてしまう喉から声を絞り出していく母親は、まるで自分が発している大声に弱体化されているようにと軽く上半身を引いている彼の困っては泣き出してしまいそうな顔を睨んでいき、「誰かに危害を加えていないって話なんでしょ?」


  自分が紡いだ言葉を否定出来ずにいるようにと顔を自分から眼を逸らしている父親のことを睨んでは、ゆっくりと上半身を引いて行きつつ、腕を組んでいく母親は顎を上げて行きながら小夜が心身ともに健康に育って行くには、自分は決して意見を緩める訳にはならないと考えている彼女は言う、「これからはどうなってしまうのかなんて知れた事じゃないわ!」母親のまるでただただ被害を受けて来ては辛い毎日を過ごして来ていた竜祥のことを最悪の方向に向けて語って来ている姿勢に不満を覚えつつ、竜祥は決して彼女が語っているような人間になったりはしないと叫んで見たくなっている父親はつい雑だけれど、温順なはずの弟が急に嫁を殺していたことを思い出されては、自分が竜祥が百パーセント殺人犯になったりしないとは言えなくなっているように思えては、口角が斜め下の方向に固定されているような気がしてならないでいる彼は苦しそうにと軽く鼻を啜っては、例え今自分が竜祥はその様な犯罪者になったりはしないと語っても、母親は聞いてくれやしないのであろうと悔やんでいる。 


  自分に強く叱られているせいで俯いては顔を上げようとしないでいる父親の態度に負い目を覚えては、意味わかんない話をして来ては、人殺しの子供を家に引き受けようとしていた彼の方こそ間違っていて、頭が可笑しんだと思っている母親不服そうに唇をすぼめていく、「ダメと言ったらダメよ。」ひんやりとした空気を吸いこんでは、軽く歯を噛んでいる父親の頬に浮かんでいく小さな角に目を細めて行きつつ、彼に竜祥を引き受けることを断念して貰わないと、これからもずっとそのことを持ち出そうとするのであろうと思っている母親は言う、「うちの小夜がそんな人殺しの子供と一つの屋根の下で暮らすだなんて!」


  ”ドクンードクンー”一階から伝わって来ている母親が酷く憤っている声色にあんぐり口を開けられているように思えては、つい頭がフリーズしているように思えてしまう小夜は呆然と自分がベッドに置いていたゲームのパッケージに一瞥しては、まるで自分に母親が紡いだ話は嘘なんだと教えようとしないでいるように、両手を握りしめては俯いている竜祥の横顔に一瞥し、口角が強張っているように感じては、自分はもしかしら竜祥と楽しみ話をし過ぎていたせいで、不味い幻覚でも聞こえてしまったんじゃないかとぼんやりと思い、きっとそうに違いないと自分に言い聞かせているようにと頷いていく小夜は引き攣っているような右側の口角を上げて行きつつ、そもそも竜祥の父親が人を殺すのは有り得ないようなくらいに現実味のない話だと思っている小夜はぼんやりと渇いた唇を開けては、酷く震えているような心臓に苦しめているせいで上手く話を紡がせてくれないでいる喉元に苛立ちを覚えつつ、何度も鼻翼に力を入れては竜祥に自分は可笑しな話を聞こえていたんだと、冗談交じりに彼に言おうと思っている小夜。


  「あり得ないわ…!」宛ら父親のことを拒んでいるようにと何度も首を横に振って行きつつ、左手にある自分の手のひらの温度で温めているチェーンを握りしめていく母親は憤怒に駆り立てられては、眉をひそめて行きながら父親の潤んでいる眼を睨んでいき、「小夜が汚されてしまうに決まってるんじゃない!」まるで自分の喉を詰まらせに来ているような母親が投げて来ていた一言に絶句されては、苦しそうにと喉から息を漏らしている父親。


  「悪い事は言わないわ、」父親も優しさ故に竜祥のことを引き受けようとしていたのであろうと思いつつ、滅多に自分に刃向かったりしないでいる彼が頑なに自分の意見を固持している態度に弱っては、横目で彼の顔を見て行きながら軽く左手にあるショルダーバッグを上げていく彼女、「成人になるまでの金は出すから、」母親がまるで打開策を講じてくれているような一言に見開かされては、微かに感動を覚えている父親は苦い笑みを浮かべて行きつつ、彼女はやはり悪い人ではないんだとぼんやりと思って行きつつ、まだまだ子供である竜祥が大人の援助を抜きにして、お金だけを持ってどうやって生きて行くんだと不安になりつつ、軽く歯を噛んでしまう父親はつい自分の姪っ子である竜祥が日常生活に何かしらの困難に遭っては怪我したり、またしても予期せぬ自分の弟のような頭を疑ってしまいそうな衝撃を与えに来るんじゃないかと思ってしまうと、畏怖に体を包まれているように感じては、どす黒い闇に飲み込まれてしまいそうな気がしてならないでいる彼は悔しそうにと歯を噛んでいく。


  父親の酷く悩んでいる様に困らされては、何としても危険としか思えないでいる竜祥を家で暮らしをさせてはならないと強く思ってしまう母親は軽く顎を上げて行きつつ、言葉を紡いでいた、「家政婦でも何でもいいから、」軽く歯を噛んでしまう母親はまるで自分にはもう相談の余地はないのかと語って来ているようにと潤んでいる瞳を向けて来ている父親の顔を睨んで行きつつ、彼がどうしても竜祥を家に泊めると言うのなら、危険を回避するためには自分は小夜と外で暮らしていこうと言う思いに苦しめられては、思わず強く歯を噛んでいく彼女は何度も首を横に振っていき、「あの子をうちから出てて貰って頂戴!」


  大きな声を発してはまるで自分が紡いだにべもない一言に絶望を覚えているような潤んでいる彼の眼を睨んでは、どうしてなんの貸しもない自分は竜祥の為に本来自分たちがあるべき平和な暮らしを潰されないといけないのかと、さっき脳内を過っていく疑問に向けて叫んで見たくなっている母親は強く右手の人差し指で父親の胸元を突いては彼の眼を見つめていく、「あんたは良い役でいいわ、」


  「え…?」母親の頑なに無辜の竜祥を家に泊めさせようとしないでいる態度に苦しめられては、小学生であるまだまだ子供の竜祥が一人でどうやって生活して行くんだと言ってみたくなっている父親は家政婦を雇ったとしても、その人が自分たちの知らない所で竜祥のことを虐めたりしないのかと、勝手に不安になっている自分は頭が少し闇に囚われているように感じては、もう二度と家族を自分のまったり知らない間で亡くしたくないと強く思っている父親は悲しそうに歯を噛んでいた。


  「わたしが娘のために悪役を貫いてやろうじゃないの!」父親の自分に叱られては上手く反論することも出来ずにいる様に向けて、強く華奢な鼻で息を吐き出していく母親は右手を彼から引いては、左手にあるショルダーバッグをソファーに置いては横目で自分の間違いを少しばかり認識出来ているような父親の顔を睨んでいく、「さっさとあの子を呼び出して来なさい!」まるで自分が叫んでいたような声色に驚かされているようにとびくっと眉毛を跳ねらせては、自分の顔を見つめて来ている父親の様を気にする事無く階段を睨んでいく母親は歯ぎしりして行きつつ、心優しい小夜に殺人犯の子供を同じ部屋で遊んで貰っていた父親は本当に狂っているように思えては、急いでいるようにと階段に向けて歩いていこうとする母親は言う、「家ではそのような手を焼く子供を泊められないわ!」


  母親のまるで部屋まで走っては有無を言わさずに竜祥を屋敷から追い出そうとしている様に見開かされては、大慌てで両手を上げては階段のもとまで走っては何とか母親に一旦冷静になって貰ってから話をしようと思っている彼は言う、「声が大きいって…!」喉から声を絞り出しては、まるで階段を塞がろうとしている自分に苛立ちを覚えているように腕を組んでは、何度も鼻翼に力を入れている頬が怒りに赤く染め上げられている母親のことを見つめていく父親、「せめて何日ぐらいの猶予をくれよ…!」引き攣っているような右側の口角を上げて行きながら合掌していく彼は必死に彼女に向けて言葉を紡いでいき、「竜祥君だっていっぱい傷つけられて来てるんだから…!」軽く震えているような左手を激しく鼓動を刻んでいる胸元に当てては、弟を亡くしては、彼が嫁を殺した後で自害していたと言うまだ事実とは判別されていないとしても、そう遠くない現状に頭をハンマーでぶん殴られているように感じては、ついどうしようもないくらいに追い詰められてはどうしたらいいのかと、誰にその質問を投げたらいいのかですら分からないでいる彼は苦しそうにと母親に言う、「言うなれば竜祥君は被害者なんだぞ…?」


  父親が酷く竜祥のことを庇っている様に苛立ちを覚えつつ、つい彼にとっては正嫡の自分より弟の子供の方が重要なんじゃないかと不安になりつつ、歯ぎしりして見たくなっている母親は眉をひそめて行きながら声を発していき、「被害者でもいつかはあの酒ばっか飲む輩のように妻を殺す可能性が出て来るんでしょ?!」強く左手の人差し指を立てては自分が紡いだ言葉に胸元を貫かれていたような父親の顔を睨んでいく彼女は言う、「もう前科持ちよ!」狂っているように嫁を殺していた父のもとで育って来ていた子供がまともなはずもないだろうと信じ込んでいる母親、「犯罪者の遺伝子を継ぐっているんだもの!」何度も鼻翼に力を入れては悲しそうにと両手を握りしめつつ、肩を縮めている父親のことを睨んでいく彼女は言う、「今度こそまともな女の子と結婚出来なくなって!」ゆっくりと顔を父親に近づいて来ては、彼はきっと訳の分からない現実に頭を狂わされているだけであって、まだ理性を保てる自分が彼の代わりにちゃんと物事の利害を教えていく必要があるんだと思っている母親は言う、「いっそうちの小夜に…!」


  ”ドクンー”刹那、自分の胸元の奥に過っていく竜祥が大人になっては誰にも相手にされなくなっては、彼と近しい存在である無垢な小夜の信頼を得ては自分の命なんかよりずっと大事な小夜に危害を加えてしまうんじゃないかと思ってしまう母親、「もうダメだわ!」頭を占拠しに来ているような竜祥が発狂しては小夜の事を無残なまでに殺していく様に胃袋がプレッシャーに押しつぶされてしまいそうに思えては、吐き気を覚えている母親は言う、「想像するだけでゾッとするから!」強く歯を噛んでしまう彼女は頭が正気ではない父親の代わりに自分が小夜を守るんだと強く思っている、「さっさとあの犯罪者の!」歯ぎしりして行きつつ、自分の娘を殺そうとしているかもしれない竜祥の事を睨むようと二階に、歪なまでに歪んでいるように感じてしまう視野の中で捉えていく母親は、娘の為なら鬼にだってなろうと思い、全身の力を振り絞っては叫んでいた、「殺人犯の子を追い出して頂戴!」

  

  まるで自分の鼓膜を貫いて来ては脳内を抉っていているような母親の声色で紡いだ一言に、絶句されているような気がしてならないでいる小夜はごくりと固唾を飲み込んでは、つい自分が耳にしていた言葉は幻聴なんかではなかったんだと教えて来ているように、俯いては苦しそうにと歯を噛んでいる竜祥の、自分たちの存在を殴りに来ているようなガラスにぶつけて来ている雨音に、体を冷やされているようにと痙攣しているような肩を見つめては、どうして彼は急に殺人犯の子供になっていたんだと訳の分からない質問に頭を支配され、上手く物事を考えられなくなっている彼女はぽつりと渇いた唇を開けてしまい、「殺人犯…の…」


  まるでゆっくりと自分の事を苦しめに来ているような小夜の萎縮しながら、戸惑っているような態度に口角を斜め下の方向に向けられているように思えては、苦しそうにと喉に力を入れてしまう竜祥、叔母さんが自分の事を殴りに来ているような声色に小夜に微かに救われていた心が再び木っ端微塵にされているようにと思えている彼は、悲しそうに眉をひそめて行きつつ、歯を食いしばっている。


  竜祥の頑なに自分と目線を合わせようとしないでいる仕草に心を不安に浸かれているような気がしてならないでいる小夜、彼さえ自分にそんな事は嘘だと言い放ってくれるのなら、自分は間違いなく彼の事を強く信じては、彼を自分の傍から追い出そうとしている母親のことを止めに行ったのに違いないのにと思っている小夜、「人殺しの子に…?」”ドクンー”小夜のまるで自分と同じように起きていた訳の分からない現実に戸惑っては、まるで自分の事を恐れているような微かに震えている声色で言葉を紡いでくれていた彼女の存在に、口角を斜め下の方向に固定されているように思えては、ずっと彼女にその事を黙っていくつもりはなくとも、ただ素直に叔父さんの願望に従っていただけなのに、自分が意識して彼女に現実を茶化しては、いつかは彼女がちゃんと自分がどうしてずっと彼女の傍にいるのかと疑問に持ち始めていた頃に、彼女に全ての事を白状していこうと思っていた竜祥。


  結局、彼女の事を騙してしまったような形になれている事に自分はやはり運命に呪われては、散々苦しい毎日を過ごして来ていた挙句、両親を奪われた最後、小夜まで自分を嫌っては、もう二度とちっぽけな自分に話をしてくれなくなり、地獄に陥ってしまう自分を見るために普通から遠ざけようとするんじゃないかと思うと、体が不安に殺されてしまいそうな気がしてならないでいる彼は気絶させようとしているような、重たいプレッシャーに肩を押し潰されているような気がしつつ、自分の返答を待っているようにと自分の横顔を見つめて来ている小夜の震えているようにも思える眼差しに、心臓を貫かれているように感じては、つい彼女と顔を合わせては、今、彼女はどんな表情をしていて、殺人犯の子供となっていた自分の事をどう思ってくれているのかを確かめてしまうと、自分は自分の訳の分からないくらいに脳内を支配しては、眼から滲み出てしまいそうな不安に完全に殺されてしまうんだと強く思っている彼は思わず両手を握りしめていた、「うっ…!」


  刹那、まるでクリーム色の風と化しているように自分の体を冷やしに来ているような香の香りが帯っている竜祥の、ドアに向かって走り出しては何も自分に説明しようとしないでいる様に見開かされては、思わずあんぐり口を開けてしまう小夜、「えっ?」体が当たり前のように彼の背中に引かれては、彼の苦しみと寂しさに挟まれてはやけに小さくなっているように見えてしまう背中姿に見開かされては、今度こそ困難の前で彼と離れたりしないと強く思いつつ、左足に力を入れては彼を放れてしまうと、彼は金輪際自分と会うことがなくなってしまうんだと強く思っている小夜は、急いで有無を言わさずにドアを引っ張っては部屋から出ようとしている彼の背中を追っていき、「ちょっと!竜祥君?!」

  

  「いい?」横目で父親の真っ赤になっている眼を睨みながら眉をひそめていく母親は何度も鼻翼に力を入れて行きつつ、言葉を繰り返していき、「あんたが悪者を買って出ないと言うのなら、」猛然と左手を胸元に当てては、右手を弱くなっては階段のもとから離れようとしないでいる父親の右腕に向け、彼の事を退かしては自分が無理矢理でも竜祥を小夜から離れさせて行くんだと強く思っている母親は、何度も赤くなっている鼻翼に力を入れていき、「わたしが代わりになってやるわ!」


  宛ら自分に抗うのを観念したようにと自分の微かに力が入っている右腕に体を退かされている父親の俯いては、頑なに自分と顔を合わせようとしないでいる様を睨んでいく母親、「ふざけてるんじゃないわよ!」歯を噛んでは、自分が語っていた事を耳にしたお陰で、父親はようやく竜祥はどれだけ危険な存在なのかを察してくれているのだと思っている母親は軽く口角を上げては、強く鼻で怒りに満たされているような息を吐き出していた、「何でそんな奴と一緒に暮らしていかないといけないの!」


  母親のまるで竜祥の事を彼の父と同じように扱っている態度に苛立ちを覚えては、このまま彼女二階を上げらせてしまうと、もう既にボロボロになっていた竜祥はまたしても大きな傷を背負わされては、今度こそ生を諦めては一人で誰にもいない場所行ってしまわないかと、不安に左腕を駆り立てられているように思えている父親は猛然と振り返っては、赤いヒールでクリーム色の階段を踏んでは二階に上がろうとする母親の右手を強く握っていき、「いい加減にしないか…!」


  忽然、まるで自分の階段を上がろうとしている右足を引き摺り下ろそうとしているような、父親のやけに力を込められている左手に顔を引っ張っているように感じてしまう母親は、ぼんやりと喉から怒りに満ちているような声色を絞り出していた父親の顔に目を向けていき、「えっ?」間の抜けた声を上げている母親の顔を見上げて行きつつ、何度も鼻翼に力を入れては、例え彼女が竜祥の事を弟のせいで毛嫌いしているとしても、最低限にもちゃんと両親が目の前でなくなっていた場所ではなく、他の場所を用意するまでは彼に家で泊めていくと強く思っている彼は、まるで自分の怒っている様を恐れているようにと肩を縮めている彼女の顔を睨んでいき、「竜祥君だって…!」


  まるで自分が本気で悲しんでいることを母親に知らせていくかのような、喉から漏れている震えているような声色に眉毛を跳ねらされている彼女の顔を霞んでいる視界の中で見つめていく父親は、悔しそうにと歯ぎしりして行きつつ、いつも彼女の前で弱っている姿を見せて来ていた自分は今度こそ甥っ子の為に体を張って見せては、自分はそんな骨のない人間ではないんだと証明しては、竜祥に一時的に家で引き取って貰うんだと強く考えている父親は言う、「彼だって酒ばっかり飲むような父をお断りしているはずだよ…!」


  酷く叱られては、顔が真っ赤になっている父親の表情に驚かされ、急いでいるようにと右足をクリーム色の階段から引いては、胸元を彼に向けて、自分がもう階段を上がろうとしなでいることを知れているようにと、自分の右手を放れていく父親の叱られていた子供のように肩を上げて行きつつ、右腕で涙を拭いていく様に心を苦しめられては、彼の赤くなっている頬を甚振っているような透明なレールにつられては、涙を零してしまいそうな気がしている母親はつい自分だって小夜と彼の安全を思っていた故に下していた決断だと彼に言い聞かせて見たくなっている。


  ごくりと固唾を飲み込んでは、悔しさと悲しみに挟まれているせいでつい弱っては情けなく涙を零している自分のことを慰めようとしているように両手を上げては慌てている母親のことを睨んでいく父親は、苦しそうにと唇を尖らせていき、「なのにずっと一人で我慢していて…!」母親に酷く弱っている子供を大雨の日の中で家から追い出すような外道になって欲しくないと強く思っては、つい自分の喉元を詰まらせに来ては、上手く自分に話を紡がせてくれないでいる悲しんでいる心境に殴られているような気がしている父親、「うぐっ…!」


  切なげに唸り声を上げては急いで右手で眼から零れている涙を拭いていく父親の本気で泣いている態度に、心を縮められているように思えては切羽詰まった心境に苛まれて、彼のもとまで駆けつけては、竜祥の事はどうだって良く思えている母親、「ああ…!」父親の泣いている姿に声を震わされているように感じては、どうやって彼の事を慰めたらいいのかと不安になり、自分は間違っていないはずのにと思うとつい涙を零してしまいそうな気がしている彼女は軽く膝裏を曲がっては、子供を慰めているように父親の震えている両腕を握っていき、「あなた…」宛ら自分に泣いているところを見せたくないと語って来ているようにと、自分が発していた声を拒んではぷいと首をソファーの方向に向けている父親の赤くなっている鼻を啜りながら、唸り声を上げている様を見つめて行きつつ、怒涛のような心境に苛まれては、微かに震えているような両手を彼の悲しみに焼かれている頬に向けていく彼女はぽつりと弱っているような声を発していた、「な、泣くのは…」


  ”ドンドンドンー”宛ら困り果ててはどうやって泣き出している父親の事を慰めたらいいのかと言う思いを、遮断しに来ているような外にある大雨の如く足音に戸惑っては思わず眉間に皺寄せていく母親はぼんやりと体を起こして行きながら、自分の耳を殴って来ているような足音を沿っては、今にも自分たちの目の前に現れてしまいそうな二階の壁に隠されていたものに視線を向けている彼女。


  「りゅ、竜祥君!」強く両手で竜祥の右腕に掴んでは、まるで狂っている牛のように自分の体を引きながら階段を下りようとしている竜祥の様に眉をひそめられているように感じては、母親が彼がちゃんと彼女と父さんの話を聞いていた事を知らないでいる故に紡いだ言葉は、本人にとっては傷を残していく鋭い刃物以外の何物でもないように思えている小夜は悔しそうにと軽く白い歯を噛んでは、向きになっている彼に懇願しているようにと喉から声を絞り出していた、「待ってってば!」


  小夜の自分の体を止めようとしている仕草に心を苦しめられているように思いつつ、彼女に向きになっている自分の体に傷つけられて欲しくないと願っている竜祥は右腕に力を抜けて行きつつ、悔しさに噛みしめられていた唇を放していく彼は何度も鼻翼に力を入れて行きつつ、叔母さんがしていた反応は自分が予想していたとは大して離れていないことに安心しつつ、自分が彼女の立場だったら、小夜に自分のような奴と一緒に居させたりはしないのであろうと思っては、叔母さんが居れば自分が離れても小夜はある程度守られるんだと思っている竜祥は苦しそうにと喉から嗄れていた声を発していた、「止めるな…!」


  「落ち着いてって…!」竜祥の歯ぎしりしながら喉から絞り出していた一言に驚かされては、彼はこのまま二度と自分に会いに来なくなってしまうんじゃないかと思うと、つい胸元の奥から込み上げて来ている切羽詰まったような心境に涙目にされているように感じてしまう小夜は眉間に皺寄せて行きつつ、憤っている彼に説明するようにと声を上げていき、「お母さんだって本当にあなたの事を嫌っているってわけじゃないと思うんだよ?!」


  小夜が自分に向けて来ている慰めに来ているような話を気にする事無く、叔母さんが自分の事を嫌っていると言って来ていた以上、親切に自分を引き受けようとしてくれている叔父さんにこれ以上辛い目に遭わせたくもなければ、ようやく両親から毎日嫌われて来ているような日々から抜け出せていた自分が、もう二度と誰かに馬鹿にされながら毎日を過ごしたくないと思っては、その様な環境でしか生きることが出来ないと言うのなら、せめて自分にとって一番大事な小夜の目の前で誰かに毎日馬鹿にされているように過ごしたくないと強く思っている竜祥は悔しそうにと歯を噛んで、切なげに眉をひそめている彼は強く右足を階段の方向に向けては、昔は両親のせいで世間に馬鹿にされて来ていた自分には、現実に抗う事は出来ないけれど、今は自分だけで、ちゃんと人に認められるように、立派な人間としてこれからの日々を過ごして行きつつ、小夜を迎えに来るんだと強く思っている。

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