第146話私たちまで巻き込むつもりなの?!

  母親の自分に言ってくれていた言葉を耳にすると、彼女のせいで額が父親にぶん殴られては、彼女に右頬を引っ叩かれていた事を思うと、思わず強く歯を噛んでしまう竜祥は悔しそうにと鼻翼に力を入れて行きつつ、母親がいっぱい自分に悪いことをして来たのに、ハンバーガーの一つも奢ってくれないでいる態度に憤怒を覚えては、チラッとまるで瞬きすることを忘れているように自分の返答を待ってくれている彼女から、我孫子真乖が抱えていた紙幣で出来上がっていた山に一瞥していき、「ぼくは…」赤い瞳の中に生えているような金色の盃に戸惑いつつ小首を傾げていく我孫子真乖は自分の手にある盃を睨んで来ている竜祥の軽く小汚い右手を自分たちの方向に向けて来ている行動に、心臓を鷲掴みにされているようにと思えている。


  母親のまるで自分がぽつりと欲望に翻弄され、唇をこじ開けられていた弱っている声に戸惑っているようにと小首を傾げている様を睨んでいく竜祥は、鋭利な眼で母親の顔を睨みながら可笑しそうにと引き攣っているように思えている右側の口角を上げては、自分の頬から脳に登っていく激痛に耐えていく竜祥は平然とした声を発していた、「もう少し叔父さん二人と話をしてもいいのかな?」竜祥が自分たちと話したがっている態度に戸惑いつつ小首を傾げてしまう二人は宛らお互いに竜祥とは面識でもあるのかと尋ねているようにとお互いの顔を見ている。


  竜祥が我孫子真乖と鬼頭焔硝と話をしようとする姿勢にぱちくりしながら眉をひそめてしまう母親は、つい彼は何がしたいのかと思いつつ不安になっては、ぽつりと弱っている声を漏らしていた、「え?」「もちろんいいんだぞ?」”フー”楽しそうな声色で言葉を紡いで行きながらポケットから扇子を取り出していた鬼頭焔硝は、自分に強く左側に向けて押していた淡い黄色の扇子で口元を隠して行きつつ、横目で竜祥の事を見ながら、こんなどうしようもなく思えてしまう母親とこれからを暮らしていくために少しぐらいは励ましの言葉をかけてやろうと思っている鬼頭焔硝は言う、「折角の可愛いお坊ちゃんなんだから、」母親のまるで自分の声に興味を引かれているようにと自分を見て来ている様に目を細めながら、チラッと我孫子真乖のぼんやりとしている表情を見ていく鬼頭焔硝は軽く顎を引いては、彼に尋ねて行くようにと言葉を紡いだ、「少しぐらいは話をしてもいいですぞ?」


  「は、はい、」鬼頭焔硝が紡いだ竜祥と話をしたがっている一言に見開かされては、恐る恐ると頷いていく我孫子真乖はチラッと不服そうに両手を握りしめている竜祥に一瞥していき、「いいんだぞ?坊主。」「では…」鬼頭焔硝と我孫子真乖の態度にぱちくりしていた母親はついさっき何度も自分に出ていけと、言いに来ていたような鬼頭焔硝の話を思い出しては、竜祥に一人で二人と話をさせて行こうと思っている母親は軽く二人に向けて頭を下げては、ぽつりと声を発していた、「私はお暇させて貰いますね…」


  母親が急いでいるようにと足音を抑えつつ外に出ていこうとする様に目を細められては、軽く鼻翼に力を入れていく竜祥は猛然と右手を母親の方向に向けて伸ばしていき、「ちょっと待ってよ、母さん。」忽然、竜祥が自分を呼んで来ていたやけに冷めているように思えている口調に両足を止められては、ぼんやりと眉毛をひそめて行きつつ、彼に顔を向けていく母親。赤い瞳で母親を映し出しては、台の上にいる呆然としている二人に目を向けていく竜祥は軽く左側の口角を上げては、母親に二人はペテン師であることを彼女の目の前で証明してやろうと思っている竜祥は軽く顎を引いては、憤っているような声を発していた、「母さんにも聞いて欲しいからさ。」


  竜祥が紡いだ一言に困らされているようにと眉間に皺寄せている母親がドアフレームのもとで佇んでは、自分と我孫子真乖に顔を向けて来ている様を横目で見ては、右手にある扇子で自分に向けて風を送って貰っている鬼頭焔硝は顎を上げて行きつつ、まだまだ子供である竜祥には大した話をしてくれるはずもないと思えては、彼の母親に聞かされて不味いような内容はないはずなんだと思っている鬼頭焔硝は自信に満ちている声で言葉を紡いでいた、「まぁ、いいのでしょ。」鬼頭焔硝が自分に三人の会話を聞いてもいいと言ってくれていた台詞に感動を覚えては、恐る恐ると両手を握ってしまう母親は眉毛をひそめて行きつつ、多忙な二人に迷惑をかけている竜祥に微かな不満を覚えては、彼は一体何を話したいのかとほのかに気になっている母親。

 

  軽く歯を噛んではぼんやりと自分と台の上にいる二人を交互に見てくれている母親から、揺るぎない眼差しを鬼頭焔硝と我孫子真乖に向けていく竜祥は顎を上げて行きつつ、まるで自分の事を見下ろしているような鬼頭焔硝に目を細めていく、「なぁ、鬼頭と言う叔父さん。」「何かね?」まったりと両膝を畳みに付けては、くつろいでいるようにと脛に臀部を付けていく鬼頭焔硝は右手にある扇子で自分の唇を隠して行きつつ、流し目で竜祥の顔を見て行き、「坊屋は埜哉様になんかお願い事でもあるのかな?」ニヤリと右側の口角を上げては、竜祥のまるで自分の事を恨んで来ているような眼に目を細めて行きつつ、母親の金を騙していた自分に慰められてしまうのも、彼にとっては皮肉にしか思えないのだろうと考えてしまう鬼頭焔硝は、値踏みしているようにと竜祥の事を見つめながら言葉を紡いでいく、「叔父さんは特別に一回だけ我孫子真乖さまを頼って埜哉様に聞いてあげちゃいますよ?」


  ぼんやりと豚足のような両腕で盃を抱えていた我孫子真乖は鬼頭焔硝が紡いでいる言葉をぼんやりと耳にしながら、彼が紡いだ言葉を認めているようにと軽く頷いていく我孫子真乖。鬼頭焔硝の自信に満ちてはまるで自分が彼を論破することなんてできやしないんだと言っているような態度に苛立ちを覚えては、軽く歯を噛んでしまう竜祥、「埜哉様は、」チラッとまるで自分たちの話を聞いているような壁に貼られているカラスのマスクを付けていたポスターに一瞥していく竜祥は軽く鼻翼に力を入れて行きつつ、鬼頭焔硝に尋ねていき、「なんだって出来たりするのかな?」


  「ええ、」軽く目を瞑っては、竜祥が向けて来ていた当たり前のようにも思えてしまう一言に首を縦に振っていくく鬼頭焔硝はゆっくりと瞼を開けて行きながら竜祥に言う、「それは聞くまでもなく、」軽く右側の口角を上げてしまう鬼頭焔硝は眉間に力を入れている竜祥の頑張って自分が作り上げて来ている設定を打ち破ろうとする態度は滑稽にも思えては、彼のことを嘲笑っているようにと鼻で笑っていく鬼頭焔硝は言う、「当たり前のことなんですよ?」


  鬼頭焔硝が自分に向けて来ている言葉に目を細めつつ、チラッと両手を握っては自分が何がしたいのかが分からないでいる母親に一瞥していく竜祥は軽く首を横に振っていき、「ううん、」繊細な顎を上げて鬼頭焔硝の顔を睨んでいく竜祥は軽く右手の人差し指を立てては彼に尋ねていた、「ちゃんと言ってくれるのかな?」竜祥がやけに自分に自分が紡いだ設定について聞き出そうとしている話に戸惑いつつも、眉間に皺寄せてしまう鬼頭焔硝は右手にある扇子を下ろして行きつつ、軽く扇子で竜祥の事を指していき、「ですから、埜哉様は全知全能の存在であることを、」軽く左手を胸元に当てては流し目で竜祥の事を馬鹿にしているように見ていく鬼頭焔硝は言う、「私は前々から言ってきたはずなのでしょ?」鬼頭焔硝と竜祥の話をぼんやりと耳にしつつ、母親と同じように困惑気味になれている我孫子真乖は呆然と目線を自分の両腕を引っ張っているようなぐらいに重たく感じてしまう盃に目を向けて行きつつ、まるで自分に手招きしているような紙幣の群れに口角を上げられ、興奮気味になれている彼は幸せそうに笑っていた。


  「全知全能ってのは、」我孫子真乖の彼が手にしていた金に向けて笑みを零している態度を横目で捕えてしまうと、彼らは間違いなく詐欺師に過ぎないのだと確信している竜祥は左手をポケットに突っ込んで行きながら軽く顔を前に向けていき、「すべてを知り、すべてが出来てしまうということですよね?」「ええ?」竜祥のまるで何かしらの証拠を掴んでいたような態度に不安と不満を覚えてしまうと同時に、自分が紡いだ設定だから、いくらでも変えっていく余地が残されていると思う鬼頭焔硝は当たり前のように声を発していた、「もちろんですとも?」


  「じゃ、」自信に満たされている揺るぎない声を発しては、母親の眉をひそめては焦燥感を覚えているような表情から鬼頭焔硝に鋭い眼光を投げていく竜祥、「どうしてお金を貧乏な信者たちからかっさらおうとする?」言葉を紡ぎながら左手をポケットから抜け出してくれては我孫子真乖が抱えていた盃を指差して来ている竜祥の仕草に見開かされては、思わず間の抜けた声を上げてしまう鬼頭焔硝、「え?」


  忽然、竜祥が紡いだ核心について触れてしまう疑問に眉間に皺寄せられては、軽く視線を戸惑っているような表情を浮かんでいる鬼頭焔硝に向けていく母親は、きっと埜哉様が存在している所は、凡人である自分たちとは違っていて、もし簡単にこっちの世界に触れてしまうと、世界の秩序が崩壊してしまうかもしれないと考えては、心優しい埜哉様は自分たちの事を思ってくれているお陰で、わざわざ自分たちに干渉しに来ていないんだと強く信じている母親。


  鬼頭焔硝が自分に見せて来ている困っているようにと軽く歯を噛んでは、自分がしていた質問は少しばかり手強いと思っているように目を細めつつ、自分を警戒し始めている態度に向けてニヤリと右側の口角を上げていく竜祥は、目を細めながら右手の人差し指でドアフレームの前で佇んでいた母親の事を指差していき、「どうして埜哉様の事を信じる人々を直ちにに助けて上げないの?」まったりと鬼頭焔硝と鬼頭焔硝が上手く自分の質問に答えてくれると信じ込んでいる我孫子真乖を目掛けて歩いていく竜祥、「どうしてすべてが出来ると言うのに、」小首を傾げて行きつつ流し目で鬼頭焔硝の歯ぎしりしている表情を凝視していく竜祥は言う、「まだぼくたちを苦しめるような存在を活かしていく?」竜祥が自分が家で彼に答えて上げていたはずの質問を次々と口にしている様に目を細められては、軽く歯を噛んでしまう母親はつい彼が出しているシンプルな質問はお二人にとっては失礼のように思えている。


  ”パー”竜祥がまるで機関銃の如く自分に向けて来ている質問の数々に口角を上げられては、強く左手で扇子を叩いては、扇子を閉めていた鬼頭焔硝は惚けているようにと朗らかな声を発していき、「あはは~」微かに引き攣っているような笑い声を上げている鬼頭焔硝の態度に眉をひそめては、思わず横目で彼に警戒する眼差しを向けていく竜祥。「これはこれは質問の多い坊屋だね?」ニヤリと右側の口角を上げて行きつつ竜祥がどれだけ現実的に自分が紡いだ設定についてぼろを見つけようとも、原作者とも言える自分にはいくらでも設定の補足していけるんだと考えている鬼頭焔硝、「埜哉様は全知全能ではあるけれど、我々人間に関しては、」残念そうにと肩をすくめながら首を横に振っていく鬼頭焔硝は自分の話を論破していたつもりでいる竜祥の事を見つめつつ、残念そうにと言葉を紡いでいた、「そこまでの事ができなかったりするんだぞ?」


  鬼頭焔硝が自分が紡いだ言葉をはぐらかして来ている態度に眉をひそめて行きつつ、チラッと横目で母親のまるで鬼頭焔硝の言い分を信じているようにと頷いている姿に歯を噛んでは、軽く鼻翼に力を入れていく竜祥は鬼頭焔硝が紡いだ言葉についてこれ以上尋ねていても、彼の話を潰せても、母親が納得しないと言うのなら、自分にとっては無意味のように思いつつ、母親が彼の話に納得した以上、彼女が納得していくうちに矛盾している所を探しては、彼女に自分は詐欺に遭っているだけなんだってことを知らせてやろうと考えている竜祥、「大した事ができない、何もできないのに。」


  軽く鼻翼に力を入れて行きつつ、母親にとっては埜哉様は人々を苦難から救い出す存在なんだということを思い出しては、歯を噛んでいく竜祥はゆっくりと台に向けて近づいて行きながら鬼頭焔硝の自分に不快を覚えているようにと眉毛をひそめている様を睨んでいき、「まともにご飯も食べられないぼくたちから金を取り上げようとするその埜哉様は本当に人の事を助ける程にいい神様なのかな?」


  憤っている竜祥が紡いだ切実な一言に見開かされては思わずあんぐり口を開けてしまう我孫子真乖は、竜祥の窶れている顔と油に塗られていた髪の毛に見開かされつつ、チラッと歯を食いしばっては眉間に皺寄せながら不満に苦しめている母親の過ちを認めようとしないでいるようにと俯いている姿勢を凝視しては、目を細めている鬼頭焔硝のまったく竜祥に論破されるつもりがないでいる様を見ていく我孫子真乖、軽く歯を噛んでしまう我孫子真乖は竜祥のような幼い子供にせめてのご飯を食えるような暮らしをさせて上げたいと思っては、辛そうにと俯いていく我孫子真乖は竜祥が上手くご飯を食べられない根本的な原因は多分彼の母親ではあるけれども、自分たちもそれに加担していたのだろうと思い、大した事ができない自分たちも、ちゃんと飯代を稼がないといけないと思っては、竜祥に申し訳なく思いつつ、例え自分たちが彼の母親を騙していかなくとも、他にも色んな人が彼女の事を騙すのであろうと歯を噛んでは、無理矢理自分に納得させていく我孫子真乖は汗に濡らされていた鼻翼に力を入れていた。

  

  「そもそも人間に対して干渉できないと言うのなら、」鬼頭焔硝が自分が紡ぐ話に返事をしようとしないでいる様に苛立ちを覚えては、軽く歯を噛んでしまう竜祥は眉間に皺寄せつつ、チラッと母親のまるで自分にもうこれ以上失礼な言葉を言わないでと言いに来ているように、歯ぎしりしている様に目を細めつつ、彼女はまだ実在しているか否かの埜哉様を信じ切っている様に憤怒を覚えては、猛然と視線を自分を見定めに来ているようような鬼頭焔硝に向けていく竜祥、「どうしてお金を求めてしまう?」


  ゆっくりと右足を台のもとに付けていく竜祥は鬼頭焔硝の歯ぎしりしている様を睨みながら彼の眼の中にある自分の凛とした表情を見つめていく、「ぼくは信じたのに、全然助けてもらっていないじゃない、」右手を握りしめつつ、猛然と左手を胸元に当てていく竜祥は我孫子真乖が抱えていた紙幣の山を目にしてしまうと、つい母親が今まで散々訳の分からない二人にお金を捧げて来ては、今、我孫子真乖が抱えている量の分も上げていたなのではないかと強く思っている彼は悔しそうにと鬼頭焔硝の顔を睨んでいき、「これはただのインチキなのではないのか!?」


  「ちょっと…!」竜祥のまるで顔面を鬼頭焔硝にくっついて行こうとしている様に見開かされては、大慌てで彼のもとまで走っては、どれだけ彼に苦難は埜哉様が自分たちに下していた試練なんだと言い聞かせても、彼は納得してくれないでいる態度を思うと、思わず彼は阿保な子供なんじゃないかと強く思ってしまう母親は大慌てで両手で竜祥の肩を掴んでは、鬼頭焔硝に怒らせてしまうと、万が一我孫子真乖が何かしらの悪いことを埜哉様に伝えて上げたら、竜祥は苦しめられてしまうんじゃないかと一瞬思っては、壁に貼られていた埜哉様からは竜祥の失礼な行動はどう見えているのかを思うと、つい不安に胸元の奥を満たされているように感じては、まるで自分の両腕から抜け出そうとしているようにと両肩を左右に動かしている竜祥の抗っている態度に不満を覚えている母親、「りゅ、竜祥!」


  「どうなるのよさ…!」母親の無理矢理自分を鬼頭焔硝と我孫子真乖から離れさせようとする行動に苛立ちを覚えつつ、歯ぎしりしていく竜祥は平然としている表情で自分を見て来ている鬼頭焔硝を睨んでいき、「叔父さん!」「失礼な坊屋だね。」ニヤリと右側の口角を上げては横目で母親の申し訳なさそうにと項垂れては、自分と我孫子真乖に謝っているような仕草に心をくすぐられているように思えては、自分で自分を騙したがっている人間を事実に顔を向かせることなんて、本人以外の誰にも出来ない事なんだと思っては、歯ぎしりしている竜祥のまるで怒っている小型犬のような態度を目にすると、つい母親に自分の代わりに彼のことをこっぴどく叱って上げて欲しいと思っている鬼頭焔硝はぽつりと声を上げていき、「知っているのかな?」


  竜祥の真っ赤になっている瞳で自分を睨む様に目を細められては、まだ幼い彼にちゃんと世の中はどれだけ理不尽なのかを知らせては、ちゃんと困難の中で踏ん張って生きて欲しいと思うと同時に、「埜哉様は人の事を悪く思っている人間は嫌いなんだ。」万が一竜祥は狂っている母親に苛まれては、死と言う窮地にせがまれていた時、自分たちは関係していないように思いつつ、「負の思いに体を満たされる人間には、」赤糸に囲まれていた赤い瞳の中に映し出されている自分の姿に微笑んでは、竜祥に恨むのなら自分の母親を恨んでいけと言いたくなっている鬼頭焔硝は冷酷なまでに言葉に紡いでいた、「天国に、埜哉様の元には行けないんだぞ?」


  ”ドクンー”刹那、竜祥が鬼頭焔硝に刃向かっているせいで死んでも地獄のような現実に苦しめられないと行けなくなる言葉を耳にしてしまうと、つい眉毛を跳ねらされては、彼の両肩を強く握っていた母親は、弱り切っては震えているようにも思えてしまう両手を竜祥から離して行きつつ、左手で自分の大きく開けている唇を隠して行きながら驚愕に体中を支配されては、小刻みに首を横に振ってしまう母親は竜祥にちゃんと鬼頭焔硝と我孫子真乖に謝って欲しいと思うと同時に、竜祥の傍で暮らしていく自分にも何かしらの影響を受けては、彼と同じように幸福に満ちている世界に行けなくなるんじゃないかと強く思っている母親。


  母親のまるで竜祥を完全に見捨てようとしているように自分の子供から目を逸らしている様をぼんやりと目にしていた我孫子真乖、「ちょっ…!」思わず大きく声を発していた我孫子真乖は強く自分の両手にある盃を抱えては鬼頭焔硝の目を細めつつ、彼のことを睨んでいる竜祥に威張っているような眼差しを向けている様を見ては、軽く左手を盃から離れていく我孫子真乖は鬼頭焔硝の黒い袂を握って行きつつ、彼に彼が紡いだ設定を言い直して欲しいと切に思っている我孫子真乖、「いくらなんでも子供相手にそれは言い過ぎだよ…!」歯を噛んでは、異常なまでに鬼頭焔硝が紡いで来たストーリーを信じてくれている竜祥の母親は竜祥が自分たちに刃向かって来ているせいで、彼のことを殺してしまうんじゃないかと不安に体中を襲われているように感じては、辛そうにとごくりと唾液を飲み込んでいく我孫子真乖は喉から声を絞り出していた、「焔硝ちゃん…!」


  自分に言葉を撤回して欲しいと言っているように何度も強く自分の右腕を引っ張って来ている我孫子真乖の行動に目を細めながら、既に口にしていた設定を母親の目の前で言い直していくのは、彼女の異常なまでな頑固な信仰心に傷をつけてしまうんじゃないかと考えている鬼頭焔硝は、冷めているような眼差しで我孫子真乖のことを見ては、ぽつりと声を発していた、「お前は黙ってろ。」


  ゆっくりと冷気を漂わせているような眼差しを自分に見開かされている我孫子真乖から竜祥に向けていく鬼頭焔硝は、悔しそうにと歯ぎしりしている竜祥の赤い瞳の中にある自分を見つめながら、ニヤリと右側の口角を上げていく彼は歪なまでの笑みを浮かべては、さっきまでに自分に噛み付こうとしている竜祥は母親が彼より自分の適当な言葉を信じていることを知らせては、悲憤に苦しめられ、歯ぎしりすることしか出来なくなっている彼を挑発していくようにと声を発していき、「どうするのかな?」まるで自分に形勢逆転だと言いに来ているような鬼頭焔硝の態度に苛立ちを覚えつつ、母親が自分なんかより存在しているはずもないポスターを信じ切っている瞬間から、自分には鬼頭焔硝に勝てるような未来は残されていなかったようにと思えている竜祥。


  何度も赤くなっている鼻翼に力を入れては、涙が止まっていたはずの竜祥の悔しさに苛まれては、徐々に涙を滲み始めている姿は少しばかり可愛く思いつつ、軽く右耳を彼に向けては、悔しい気持ちを抑えているようにと強い雨に打たれている子犬のような唸り声を上げている竜祥に顎を軽く上げていく鬼頭焔硝は言う、「今、謝るのなら特別に我孫子さまに埜哉様にさっきの疑いは全部子供の戯れだと伝えさせておくが?」


  「あ、ああ…!」鬼頭焔硝が紡いだ一言を耳にしてしまうと、彼は慈悲深い方なんだと強く思っては、この千載一遇のチャンスを手放してしまったら竜祥は永久に苦しめられてしまうんだと考えている母親は迷わずに両手で竜祥の肩を握っていき、「ほら、早く謝りなさい!」猛然と屈んでは、懇願しているようにと眉間に皺寄せている顔を、踏ん張っては体中が怒気と悲しみに焼かれているような竜祥に見せていく母親は言う、「でないと埜哉様は怒ってしまうよ…!」


  母親の自分の華奢な肩を握り潰そうとしているように握りしめながら、前後に振らして来ている態度に歯ぎしりしてみたくなっている竜祥、「もう…」脳内で浮かんでしまう小夜の存在に苦しめられては、小夜との始めての出会いは、汚い父親が来ていた服で、自分の足のサイズに全然合っていないスリッパで、何よりのは、酔っ払いの父親のために酒を買いにいた帰り道である事を思い出してしまうと、小夜のような女の子とはもう少し普通に出会えたかったと思いながら、自分のことを散々苦しめて来ている母親の自分に訳の分からない二人に謝れと言いに来ている言葉に、彼女を救うと同時に自分にも父親の暴力から抜け出せたらと思っていた竜祥はぽつりと声を上げていき、「とっくに呪われてるよ。」


  ”ドクンー”竜祥の項垂れては、まるで自分に失望しているような態度に見開かされつつ、彼が沈んでいるような声色で紡いだ一言に心臓が強く跳ねていたようにと感じてしまう母親は思わず震えているような声を漏らしていた、「えっ…?」「ぼくは、」ごくりと自分の喉を焼いて来ているような苦しみを飲み込むようにと、唾液を飲んだ竜祥は霞んでいる視界の中で母親の顔を見定めては、ぽつりと声を発していた、「産まれた瞬間から。」


  竜祥の自分を軽蔑して来ているような態度に見開かされ、思わず強く歯を噛んでしまう母親は猛然と右手を上げていき、「竜祥っ!」”パー”刹那、まるで空気を引き裂いていたような裂帛の音とともに自分の左耳に襲って来ていた音と、母親が自分の脳内で鳴り響く蝉の鳴き声を前にして叫んでいた名前に苛まれては、自分はそのような名前ではなければ良かったと思っていた竜祥は昨日、小夜が名前を褒めてくれていたことを思うと、つい名前を捨てたくないようにと思えていた彼。


  「うっ…」体を右側に向けて倒されていたような衝撃に苛まれていた竜祥は強く右足で地面を踏ん張っては、軽く震えているような左手を上げて行きつつ自分の母親に引っ叩かれていた左頬に添えていき。母親のまるで竜祥を襲っている獣のような態度に見開かされては、つい抱えていた盃から左手を離れては、自分の唇を隠してしまう我孫子真乖、「ああ…」ぼんやりと我孫子真乖が発している驚かされている声を聞きつつ、まったりと腕を組んで行きながら竜祥の母親を睨んでいる横顔を見つめている鬼頭焔硝、母親にぶん殴られても尚、自分の思いを諦めようとしないでいる竜祥の事を微かに尊敬してしまいそうな気がしている鬼頭焔硝は残念そうにと首を横に振っては、もし竜祥はまともな家庭にさえ産まれてこれたら、きっと貧乏に苦しめられている自分たちとは違って、立派な人間になれるはずなのだろうと考えている。


  「早く謝って!」瞼をこじ開けては宛ら眼を目から弾き出そうとしているようなぐらいに憤っている母親の行動に見開かされては、思わずあんぐり口を開けてしまう鬼頭焔硝はごくりと固唾を飲み込み、軽く歯を噛んでしまう彼は黙々と悔しそうに歯を食いしばっている竜祥に一瞥していた。竜祥の左手を赤くなっている頬に当てては、歯ぎしりしながら俯いている様を睨んでは、自分の命令に従ってくれないでいる彼に悲憤を覚えてしまう母親は狂っているようにと猛然と左手で彼の右耳を握りしめては、憤怒に満たされているような声で叫んでいた、「私たちまで巻き込むつもりなの?!」

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