第145話埜哉様は傲慢な人間が大っ嫌いなものなんですぞ?

  鬼頭焔硝がゆっくりと彼の右手にある扇子を自分の頭から離れていく様に目を細められつつ、竜祥が母親に苛まれていたところを目にしてしまうと、つい彼のことを助けようと思っていた自分は間違ってはいないはずだと思いつつ、軽く鼻翼に力を入れては、自分たちがして来ていた事の真実を誰にも口にする事が出来ないと言う事に気が付いては、悲憤に苛まれては、軽く歯を噛んでしまう我孫子真乖は切なげに俯いては、ぽつりと弱り切っている声を発していた、「焔硝ちゃん…」


  我孫子真乖の悔やんでいる様につられているようにと目を細めてしまう鬼頭焔硝はチラッと自分たちの会話を聞いていたせいで、戸惑っているようにと佇んでいた母親に一瞥しては、軽く鼻で笑って、生きていくために必要のお金ならどんな手段を使おうとも、必ずしも金を手に入れて行こうと決断した鬼頭焔硝、「あなたが信者のために思ってくれるのは素晴らしい心構えだとは思いますけれども、」目を細めながら軽く笑っては、自分が紡いだ言葉の真意を理解してくれないでいるようにとぱちくりしている我孫子真乖に微笑んでは、ゆっくりと視線を両手で佇んでいた母親の腰を抱えている竜祥に向けていく鬼頭焔硝は言う、「自分たちがいなくなってしまうと、」竜祥の泣きながら母親を止めようとしている行動に悲しみを覚えつつ、自分たちにとって、まともな暮らしをするには、少しでも多く金を貰っていかないといけないんだと思っている鬼頭焔硝は、あんぐり口を開けている母親のことを睨みながら声を発していき、「それは意味のない事であるを知りなさい。」


  「もうないと言うのなら、」母親の困っているようにと小首を傾げている様に口角を上げて、横目で彼女の事を見ながら催促しては、母親に諦めさせるかどうかを彼女の決断に委ねては、竜祥に少しでも早く辛い目から離脱させてやろうと思っている鬼頭焔硝は言う、「今月の集会はお開きとするかな。」軽く左手を胸元に当てては自分が上げていた声に見開かされている母親の瞳を覗き込んでいるような鬼頭焔硝はニヤリと右側の口角を上げて、揺るぎない声で言葉を紡いでいき、「今月で永久の命を得そうな方はこのぐらいでしたのか。」


  ”ドクンー”突然、鬼頭焔硝が自分に投げて来ていた一言に心臓が強く震えていたようにと思えては、思わず大きく唇を開けてしまう母親、「放しなさい!」瞬く間に顔が焦燥感と悲憤に駆り立てられていたせいで赤くなっている母親は強く自分の腰を抱えて、自分のもとから離れようとしないでいる竜祥を睨んでいき、自分はいつまで生きて行けたら、どれだけ辛い今でも乗り越えていけるんだと強く思ってしまう母親は、自分が永久の命に触れさせてくれないでいる竜祥に苛立ちを覚えては、猛然と左手をかざしていく彼女は悲憤に満たされている声色で叫んでいき、「この不届き者が!」


  ”パー”刹那、否応なしに自分の両腕を母親の繊細な腰から剥がしに来ている、右頬に残されていく焼かれているような激痛に、必死に閉じていた瞼を開けられているような気がしている竜祥はぼんやりと自分の右耳を苦しめて来ている蝉の鳴き声に唇を開けられては、まるで自分から離れていくかのような母親の狂っている眼の中にある赤い糸に心を潰されているような気がしては、一瞬、涙を無理矢理止めようとしているように思えている竜祥は、自分の目頭を撫でて来ている感覚に心を苛まれては、口角が虚しい気持ちに斜め下の方向に向けて引っ張られていた。


  ”ドンー”左手で自分の華奢な右肩に触れたがっていたように上げていた母親は、自分に引っ叩かられては辛そうにと目を瞑ってしまう竜祥の尻餅を付いている様を睨んで行きつつ、急いでいるようにと盃に向けて走って行きつつ、竜祥の呆然としている表情で涙を零している様に悲憤を覚えては、喉から声を絞り出していき、「あなたのような私が聖人になる邪魔をするような子を産んだ覚えはないわ!」涙目になっては自分は本当は竜祥のことを引っ叩くまでに埜哉様のことを信じていたのかと一瞬疑問に思ってしまう母親、左手がまるで自我が芽生えたかのようにと、右手に握りしめられている財布から紙幣を取り出していく母親はつい偶にしか閃きのような感覚でしか感じることができない埜哉様のために自分の実の子供を叩いていた事に、自分の頭は少し可笑しくなっているのではないかと思ってしまう彼女。


  忽然、霞んでいる視界の中でまるで自分のことを見守ってくれているような周りに貼られていた埜哉様のポスターの心を苛まれているような気がしては、何度も小刻みに首を横に振ってしまう母親は埜哉様は確実に存在しては、既にいっぱい埜哉様にお金を捧げていた自分にはもう埜哉様から離れてはならないと思い、埜哉様から離れていくと、自分は信者ですらなれないまま、何もでもなくなっては、ただ騙されては夫が必死に働いて来ていたお金を、殆ど現実では存在していないものに捧げて来ていた愚かを極めていた女でしかなくなるんだと思っている彼女、「私は…」


  痙攣しているような顔を左手に握りしめられている紙幣に向けていく母親はつい引き攣っているような右側の口角を上げては、自分は可笑しく見られようとも、自分は決して間違っていないんだということは、誰も信じてくれなくとも、埜哉様だけは信じてくれるんだと思っている彼女は埜哉様こそが自分の夫より息子より、ずっと自分のことを見て来ては、守ってくれている存在なんだと信じ込んでいるままでいたいと、思ってしまう彼女は迷わずに左手にある紙幣をチープな盃の中に入れていき、「私が落ち込む時に常にそばで助けてくださる埜哉様の事を…!」ぽつりと赤くなっている母親の目尻からこぼれていく涙はまったりと赤い花がプリントされていた紙幣の花に触れては、金色のベッドに体を委ねていき、「信じるわ…!」


  「おかあ…さん…」母親が発している揺るぎない声色に絶句されては、ぼんやりとひんやりとした地面で座っては、右手で自分の赤くなっては、焼かれているようにと思えてしまう右頬に当てていた竜祥は、ごくりと固唾を飲み込んで鼻水が混じっていたような唾液を飲み込んでは、母親の華奢な背中姿を見つめていき、「ぼくは…ちゃんと大人になっていっぱい稼ぐから…うっ…」悲しみにつられているような、父親にぶん殴られていた額に残されていた痣から伝わって来ている痺れている感覚に苛まれ、思わず苦しそうな唸り声を発してしまう竜祥は切なげに眉間に皺寄せて行きつつ、ぽつりと弱り切っている声を上げていた、「聖人にならなくだって…」


  「はい…」自分の後ろでぼんやりと呟いていたような竜祥の弱り切っている声色を気にする事なく、急いでいるようにと右手にある財布をポケットに突っ込んでは、両手で盃に紙幣を捧げていた母親は丁寧に盃を抱えてしまい、まるで自分の行動に言葉を紡ぐ権力を奪われていたような鬼頭焔硝と我孫子真乖の事を交互に見て行きながら言葉を紡いでいた、「これは今月の分です…どうか!どうか!」眉間に皺寄せては、自分はもう埜哉様と一緒に暮らしていく他ないんだと強く思っている母親は喉から声を絞り出していた、「埜哉様に私のこと聖人に…!」


  母親の狂っているようなぐらいに自分がでっちあげていたストーリーを信じてくれている事に微かに誇りを覚えていると同時に、少しばかりの罪悪感に苛まれている鬼頭焔硝は自分が作っていた盃の中にあるお金を目にしてしまうと、罪悪感が腹を満たすはずもなければ、自分には自分がストーリーを紡ぐ能力に誇りを持っていくべきであって、自分はただ自分の天に恵んで貰っている能力でくそみたいな世の中で暮らしていくだけの事をしては、世の中の人々とまったく変わっていないんだと強く内心で自分に言い聞かせている彼はまったりと右手にある扇子をポケットに入れては、ゆっくりと顎を上げて行きつつ、両手を母親の震えている両手に抱えられている盃を握っていき、「はいはい、ちゃんと伝わっていくから、」横目で母親の息遣いが荒くなっている様を見てしまうと、つい狂っている彼女に、自分はただストーリーを紡いだ事しかしていなかったと言うことを知らされてしまうと、彼女に八つ裂きにされてしまわないかと考えている鬼頭焔硝は眉間に皺寄せつつ、恐る恐ると横目で自分の話を待ってくれている彼女に弱っている声で言葉を紡いだ、「もう離れだっていいのよ?」

  

  「は、はい!」鬼頭焔硝が適当にも聞こえてしまう自分をあしらって来ていた一言を耳にすると、自分には今月もちゃんと埜哉様と繋がることが出来ていたんだと思っている母親は猛然と背筋を伸ばしては、丁寧に頭を下げていき、「ありがとうございました!」母親のやけに大きな声を発しては、まるで殴っていた自分の存在を忘れていたような態度に悲しみを覚えては、思わず眉毛をひそめてしまう竜祥は悔しそうにと頬に残されている痛みを感じては、母親が鬼頭焔硝に渡していたお金ことを思うと、自分はもしかしらまた父親に殴られてしまうんじゃないかと思ってしまう竜祥、「聖人になんか…」


  ぽつりと唇から弱っている声を漏らしては、母親が自分と父親より訳の分からない存在を選んでいたことが理解に苦しんでいる竜祥はついもし自分が素直に父親にさっきまで遭っていた事を教えてあげても、酔っぱらってしまうとただただ八つ当たりする対象を求めてしまう父親には、子供の自分ですら分かってしまう理屈は通じなくなってしまい、きっと母親だけではなく、自分にどうしてちゃんと彼女を止めてやれなかったのかと罵って来ては殴って来るのだろうと思い、ぼんやりと右手で膨らんでいるような頬を隠しているような彼は何とか母親に自分の事を信じて貰えようと思っていた一言を、最後まで言ってやろうと思っては、涙に濡らされている視界の中で母親の背中姿を見つめ、ぽつりと弱り切っている声を発していた、「ならなくだっていいのよぉ…?」


  刹那、胸元の奥を浸食しに来ている悲しみから自分に救いの手を伸ばして来ているような、青色の髪の毛をしていた女の子の存在に見開かされてしまう竜祥はぼんやりと唇を開けては、まるで自分の目の前で浮かんでいたような小夜の存在に絶句されては、ぱちくりしてしまう彼は恐る恐ると右手を前に向けて伸ばして行きつつ、小夜に触れようと思ってしまう彼は脳内で自分に微笑んでくれている小夜の笑みを見てしまうと、つい前に向けていた右手で幻の彼女に触れて、彼女が本当に自分の傍にいるかどうかを確かめに行くのが怖く思えては、もし自分が完全に右手を伸ばさないと言うのなら、彼女はいつまでも限りなく現実にいるように自分の心の中で自分の傍で守ってくれては、脳内で自分に彼女の姿を見せてくれるんだと思ってしまう竜祥、宛ら怯んでいるようにと軽く前に向けていた右手を引いては、悲しみに俯かされていた口角が微かに上げているような気がしている竜祥。


  忽然、霞んでいる視界の中でまるで鬼頭焔硝に責めているようにと激昂になっている母親の背中姿をぼんやりと見ては、彼女が現実にいる自分と父親の存在を信じないで、訳の分からない二人が適当に言っているだけかもしれないの存在である埜哉様を信じ込んでいる考えが、微かに分かって仕舞ったように思えている竜祥はぽつりと涙に濡らされていたオブラートに包まれていたような唇を開けては、呟いていた、 「あ…これが…」


  ごくりと固唾を飲み込んでいく竜祥は目を細めて行きつつ、視界がぼやけていればいる程に小夜の存在がはっきりと見えているように感じてしまう彼は軽く引き攣っているような右側の口角を上げては、幸せそうな眼差しを儚い存在である小夜に向けて行きながら、切なげに笑っていき、「そばで…助けてくれる…なのか…?」小夜が母親にぶん殴られ結局彼女にお金を訳の分からない二人に渡していくことを止められなかった自分を見守ってくれていた事を思うと、口角が斜め下の方向に向けて引っ張られているような気がしてならないでいる竜祥は、つい自分がとんでもないぐらいに惨めにになっているように思えては、切なげに項垂れていく彼は苦しそうにと鼻を啜っていた、「さよ…」  


  「どうか…!」両手を強く胸元に当てては潤んでは充血している眼で軽く両手を上げては、チラッと彼の足元に置かれていた盃に一瞥した表情を睨むようにと見つめていく母親は言う、「どうか埜哉様に助けてくださいとお伝えください…!」顔が悲しみに支配されては、赤くなっていた母親は悲しそうにと涙を零して行きつつ、声を発していき、「本当に…」何度も赤くなっている鼻翼に力を入れては縋っているような眼差しを鬼頭焔硝と我孫子真乖に向けてしまう母親は言う、「本当に私にはもう埜哉様しかいないのですから…!」


  やけに激昂になっている母親が自分たちに投げて来ている本気の言葉に目を半開きさせては、戸惑っているようにと軽く右手の人差し指でこめかみを掻いていく鬼頭焔硝は軽く右足で自分の足元にある盃を右側に向けてずらして行きつつ、宛ら自分の考えを分かってくれているようにと軽く頷いてくれては太い両手で盃を抱えていく我孫子真乖から母親に目を向けていく鬼頭焔硝は言う、「ちょっとしつこいぞ君は、」まったりと腕を組んでは眉間に皺寄せてしまう鬼頭焔硝は自分が発していた声に見開かされている母親の事を軽蔑しているようにと横目で彼女の顔を見ながら言葉を紡いでいき、「ちゃんと我孫子さまに伝わせると何度も口にしていたはずだが?」


  鬼頭焔硝が自分を責めて来ている一言に萎縮しては、思わず肩を縮めてしまう母親は軽く鼻水を垂らしている鼻を啜っては、軽く右手を握ってしまう彼女はつい項垂れていき、「でも…それでも…」母親の弱っている態度に目を細めつつ、チラッとぼんやりと右手で頬を押さえては母親に振り向いて欲しいと言っているように黙々と佇んでいる竜祥に一瞥しては、軽く鼻翼に力を入れてしまう鬼頭焔硝はつい大人には抗うことができない竜祥の代わりに、彼の母親に少しぐらいの意趣返しをしてやろうと思っては、ぽつりと唇を開けては声を発していた、「ところで。」


  自分が上げていた声色に顔を引っ張られている母親に目を細めて行きつつ、ぼんやりと両腕で盃を抱えていた我孫子真乖に一瞥していく鬼頭焔硝、「君は忠実な信者だ、分かるのだろうけど?」母親が盃の中に入れていた紙幣から彼女の戸惑いつつも眉間に皺寄せながら自分に本気の眼差しを向けて来ている事に、軽く右側の口角を上げていく鬼頭焔硝、「埜哉教を信仰する人には信者に隠し事はしないはずだ。」


  鬼頭焔硝が自分に尋ねて来ていた一言を耳にすると迷わずに強く首を縦に振っていく母親は言う、「はい!」我孫子真乖のまるで母親と同じように自分が何を言おうとしているのかを理解できずにいる姿に、軽く口角を上げては流し目で母親の緊張と期待が混じり合っている表情を見ていく鬼頭焔硝は軽く鼻で笑って、彼女の事を軽蔑しているような口調で言葉を紡いでいき、「今月の信仰心はいささか少なくなっているのではないか。」


  まるで自分が紡いだ一言に絶句されているような母親の事に目を細めて行きつつ、横目で彼女の顔を見てしまう鬼頭焔硝は軽く右手にある扇子をまったりと広げて行きながら、自分の口元に当てていき、「どうかしたのかな?」自分が紡いでいる言葉に喉を詰らされているようにとぼんやりと唇を開けている母親の表情に向けて、ニヤリと右側の口角を上げていく鬼頭焔硝、「埜哉様に対する信仰心が減っていることは何を意味するのか、」右手にある扇子で口元を隠しては、軽く首を前に向けて出していく鬼頭焔硝は眉間に皺寄せては、母親の事を挑発しているようにと声を発していた、「ちゃんと分かってるんだろうな?」


  「うっ…!」鬼頭焔硝が母親に投げていた言葉をぼんやりと佇んだまま聞いていた竜祥はつい強く歯を噛んでは、何度も鼻翼に力を入れていく彼はもう家にあるお金が殆ど渡してのにも関わらず母親にこれ以上の金を求めて来ている鬼頭焔硝の態度に苛立ちを覚えては歯ぎしりしつつ、愚かにも思えている母親と鬼頭焔硝の顔を交互に睨んでいく。


  「は、はい…」鬼頭焔硝が自分に投げて来ていた言葉に弱らされては、恐る恐ると肩を縮めたまま人差し指を突いてしまう母親はチラッと盃の中にある赤い紙幣に一瞥しては、軽く右手の人差し指で頬を掻いていく彼女、「で、でも…旦那が昨日切れちゃってて…」眉をひそめてしまう彼女は父親が自分の事を本気で殺そうとしていた態度を思い出してしまうと、つい心が冷め切っていたように思えては、ごくりと固唾を飲み込んでしまう彼女は痙攣しているような両手を握って行きつつ、額に皺寄せながら鬼頭焔硝の目を細ている様を見上げていく、「少しは信仰心を彼に与えて…」弱っている声を発しては、眉をひそめて鬼頭焔硝と目線を合わせる事ができずにいる母親は後ろめたい心境に苦しめられては、ぽつりと呟いていた、「悪魔の影響から救い出せたらな…なんて…」


  「それはいけませんね~?」母親の父親の事を恐れている様に口角をくすぐられているように思えては、不満そうにと母親の背中姿を睨んでいる竜祥に一瞥した鬼頭焔硝は軽く顎を上げて行きながら、母親の自分が上げていた起伏している声色に見開かされている様を睨んで行きつつ、ニヤリと右側の口角を上げていく彼は言う、「君はもう聖人になっているつもりでいるのかえ?」”パー”猛然と右手にある扇子を左手の手のひらに向かって叩き付けていく鬼頭焔硝は、自分の言葉に見開かされている母親の瞳の奥を覗き込むように凝視しながら言葉を紡いでいる、「埜哉様は傲慢な人間が大っ嫌いなものなんですぞ?」

  

  「うっ!」鬼頭焔硝が自分に向けて来ていた一言を耳にすると、もう埜哉様にしか、全てを委ねられるものがないはずの自分が、鬼頭焔硝が言っているように埜哉様に嫌われて仕舞ったら自分にはもう生きていく価値も意味もなくなってしまうと強く思っては、体中が冷えているような思いをしている母親は、猛然と額を台に向けては大きな声を発していき、「す、すみません!」強く両手を太股に当てては何としても鬼頭焔硝に自分のことを許して欲しいと強く思っては、埜哉様に嫌われたくないと思っている母親は叫んでいき、「ごめんなさい!」


  母親の静まり返った環境の中で響いている声をぼんやりと聞きながら、唇を微かに開けていた竜祥は思わず母親にとっては必死に謝るぐらいに、変なポスターが彼女にとっては重要な存在なんだと思ってしまうと、涙目になっていた彼はつい母親の現実を見分ける事ができない様が醜く思えては、苦しそうにと右手で熱気を放っているような右頬に当てたまま顔を彼女の背中から逸らしていた。軽く腕を組んでは右手にある扇子を強く握っていく鬼頭焔硝は竜祥の母親を見なくなっているような横顔を見てしまうと、思わず彼は優しい子で、訳の分からない自分たちに訳の分からないことで謝っている自分の母親は可哀想な存在だと思っているのだろうと思っている鬼頭焔硝。


  「来月はもっと!」鬼頭焔硝が自分に何も言わないでいることに不安を覚えては、猛然と両手を前に向けて伸ばしていく母親は強く彼の胸元にある服を握っては、自分がしている行動に見開かされている鬼頭焔硝の顔を睨んでいく彼女は、強く鼻翼に力を入れては叫ぶように言葉を紡いだ、「もっとお金を!今月分のもまとめてあげますから!」ごくりと固唾を飲み込んでいく彼女は猛然と顔をぱちくりしつつ自分を向けて来ている我孫子真乖に向けて言う、「どうか埜哉様に嫌わないでって…」息遣いが荒くなっている母親は辛そうにと大きく唇を開けては、詰まっているような鼻腔に苛立ちを覚えながら、泣き崩れてしまいそうな彼女は懇願しているようにと言葉を紡いでいく、「伝えてください…!」


  母親のまるで自分が来ていた服装を剥がして来ているような姿に見開かされては、彼女の顰蹙をこれ以上買ってしまうと、自分たちは危険なんだと思っている鬼頭焔硝、仰向けになっていた彼は引き攣っているような右側の口角を上げて行きつつ、母親の事を慰めるようにと言葉を紡いでいく、「よ、よろしい、」ごくりと固唾を飲み込んでしまう鬼頭焔硝はまるで自分が上げていた一言に微かな安心感を覚えてくれているようにと、両手を緩ませている母親の事を見つめつつ、軽く両手で何とか自分を真っ裸にしようとしているような彼女の両手を解して行きながら、言葉を紡いでいる、「君はやはり立派な信者さんである事を、」チラッと自分と同じようにと戸惑っているようにぱちくりしている我孫子真乖に一瞥した鬼頭焔硝は無理矢理口角を上げて行きつつ、震えているようにと思えてしまう視線で、まだ自分の服を完全に諦めてくれないでいる母親に苦笑いして行きながら、声を発していた、「我孫子さまに伝わって貰いましょう。」


  「は、はい…」鬼頭焔硝が自分に商談してくれていた一言に見開かされては、感動を覚えてしまう母親は猛然と彼の胸元から両手を離しては、強く額を地面に向けていき、「ありがたき幸せ…!」強く訳の分からない鬼頭焔硝に頭を下げている母親の激昂になっている様に心が冷めているように感じては、つい母親は信者ではない自分には見えないし、感じない埜哉様の事を実際に見えていて、感じているんじゃないかと疑い始めてしまう竜祥は呆然と佇んでは、自分の石を入れられていたように膨らんでいた右頬に右手を添えていた。


  母親の頭を下げたまま、まるで自分の許しを得ないと離れてくれないでいる態度に目を半開きさせては、自分にとっては彼女はただ無言で金を貢いでくれるだけの存在でいいと思っていた鬼頭焔硝は母親に困らされては、ぼんやりと右手にある扇子をポケットに入れて行きながら、弱っている声色で言葉を紡いでいた、「もう帰っていいぞ?…」鬼頭焔硝が自分に聞かせて来ている震えているような声に見開かされては、大慌てで額を上げてしまう母親、「は、はい…!」


  大きく瞼を開けては、潤んでは充血している眼で鬼頭焔硝の事を見つめていた母親は大慌てで振り返っては、呆然と佇んでいる竜祥に向けて軽く左手で手招きしていき、「ほら、竜祥…!」宛ら糸が切断されていた操り人形の如くぼんやりと自分に目を向けて来ている竜祥の無言で涙を流している様に心を苦しめられているように思えては、思わず目を細めていた母親は、つい彼の充血している赤い眼から目線を逸らしては、軽く歯を噛んでしまう彼女は申し訳なさそうにと左側の口角を上げて、再び彼に目を向けてしまい、「家に帰るぞ?」

  

  母親が自分に向けて来ている申し訳なく思ってくれている態度に苛立ちを覚えては、既に金を渡した以上いくら申し訳なく思っても意味がないと思い、頬が強く引っ叩くかれていた痛みに耐えて行きながら歯を噛んでしまう竜祥は軽く鼻翼に力を入れては、自分の脳内に残してくれている小夜の存在に目を細めては、ぽつりと弱っているような声を発してしまい、「なら…」ごくりと固唾を飲み込んでいく竜祥は猛然と揺るぎない眼差しをぼんやりと自分の事を見て来ていた鬼頭焔硝に向けては、沈んでいるような声を上げていた、「助けて貰おうか…」


  独り言を呟いているような竜祥の態度に眉間に皺寄せられては、彼はきっと彼の顔を引っ叩いていた自分の事を恨んでいるのだろうなと思ってしまう母親は軽く唇を噛んでは、右手をポケットに当てては、チラッと潤んでいる眼を竜祥に向けて、ぽつりと弱っているような声を上げていき、「ファストフードで丁度食べかけていたものを見つけてたら…」母親が申し訳なさそうにと紡いでいる不思議にも思えている一言に見開かされては、呆然と彼女に顔を向けていく鬼頭焔硝と我孫子真乖は宛ら約束したようにと同時にぱちくりし始めている。


  向きになっていた自分に耐えて来ていた竜祥には少しでも褒美を上げようと思っている母親は、横目で彼の顔を見ながらぽつりと声を発していた、「食べてもいいんだよ…?」母親が自分の子供に人様の食べかけてを食ってもいいと口にしていた言葉を耳にした瞬間、思わず自分の耳を疑ってみたくなっている鬼頭焔硝はつい鳩尾がぶん殴られているような気がしては、ぽつりと間の抜けた声を漏らしてしまい、「えっ?」

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