第144話もう二度と戻れなくなるかもしれませんからね?

  「は、はい…!」鬼頭焔硝が自分に投げて来ていた言葉に見開かされては、思わず猛然と背筋を伸ばしてしまう母親は宛ら黒い天井に敬意を持っているようにと顎を上げては、憧れている眼で天井を見つめては、黒い天井はカラスのマスクを付けていた埜哉様にも思えてしまう彼女は思わず幸せそうな笑みを浮かていき。母親の激昂になっている様につられているようにとぼんやりと頷いてくれている人々の事を見ては、やはり世の中には馬鹿を誑かすより簡単なことはないと思ってしまう鬼頭焔硝はチラッと自分の左側に置かれていた金色の折り紙に張り付けられていた盃に一瞥しては、ニヤリと右側の口角を上げてしまう彼は迷わずに左手で自分の左側にある盃を指しては顎を上げて行きながら、言葉を紡いでいく、「ちゃんと信仰心を捧げていき、」忽然、鬼頭焔硝が何度も繰り返していた信仰心という言葉に眉をひそめては、チラッと彼が指差している盃に一瞥してしまう竜祥は目を細めて行きつつ盃の中に信仰心があるのかと思っている。


  「聖なる薬と聖水を手に入れる事です。」軽く左手を胸元に当てて行きつつ母親のぼんやりと何度も首を縦に振ってくれている様に微笑んで行きながら、横目で自分が紡いだ言葉に頷いてくれている信者たちの行動に驚かされては、自分に尊敬している眼差しを向けて来ている我孫子真乖に一瞥しては言葉を紡いだ、「その二つのものはきっとあなたたちの助力になるのでしょう。」


  自分一人で苦難に立ち向かわないとと思っていた母親は鬼頭焔硝が自分に向けて来ていた救いにも思えてしまう一言に感動を覚えては、自分には埜哉様にずっと支えられて貰えるんだとことを知れてしまうと、つい涙目になってしまう彼女は強く両手を握っては迷わずに台の上にいる二人に向けては頭を下げていた、「はい!ありがたき幸せ!」母親が叫ぶようにと紡いだ一言に目を細められては、軽く鼻翼に力を入れてしまう竜祥は歯を噛んでは、鼻翼に力を入れて行きつつ、母親の向きになっている横顔を見ながらぽつりと渇いた唇を開けていた、「お母さん…」


  信者たちが鬼頭焔硝が紡いだ言葉を信じ切り彼に尊敬している眼差しを向けている事に見開かされては、思わずあんぐり口を開けてしまう我孫子真乖は両手で大きめの扇子を握って、軽く自分の唇を隠して行きながら、チラッと母親のゆっくりと座っていく様を見ながらぽつりと弱っている声を漏らしていき、「ただのビタミンCとコンビニにあるミネラルウォーターを上げただけだと言うのにぃ…」ごくりと固唾を飲み込んでいく我孫子真乖は思わず目を細めては、威張っているように竜祥の顔を見ている鬼頭焔硝の横顔を見てはぽつりと弱っている声を発していた、「凄いな…焔硝ちゃんは…」


  我孫子真乖が声を抑えながら自分に向けて来ていた一言に目を細めて行きつつ横目でチラッと彼の顔を睨んでいく鬼頭焔硝は軽く歯を噛んでは、右手にある扇子を上げて自分の口元を隠して行きながら我孫子真乖の事を睨み、そもそも彼が訳の分からないコメントをしていなかったら自分はわざわざいつも集会で顔を見る母親の事を呼んでは、執心な馬鹿を利用して、新規の阿保を誑かす手伝いをして貰う必要はなかったと思っている鬼頭焔硝は軽蔑しているような眼差しを我孫子真乖に向けて、ぽつりと弱っている声を発していき、「黙っていろ、阿保。」


  自分に叱れては、弱っているようにと唇をすぼめてしまう我孫子真乖を睨んでは、眉間に皺寄せていく鬼頭焔硝は軽く鼻翼に力を入れて行きつつ、ごくりと固唾を飲み込んでは、自分と我孫子真乖の会話を耳にしている信者たちのことを眺めて行きながら、まったりと左足を盃に向けて踏み出していく鬼頭焔硝は言う、「それではこの信者さまと私の会話を聞いてたら分かってくれるはずなんだけれど、」目を細めては流し目で自分の横顔を見つめて来ている信者たちを眺めていく鬼頭焔硝は母親と自分の会話を耳にしても尚、眉間に皺寄せては不満そうにと唇をすぼめている竜祥を睨んでは、軽く左手で盃を手にとって、声を発していた、「埜哉様は確実に存在するし、」宛ら自分の手のひらに微かに剥がされていたような盃を囲んでいた折り紙に目を半開きさせてしまう鬼頭焔硝は軽く唾液を飲み込んで行きつつ、ゆっくりと左手にある盃を台の下に向けて行きながら、額に皺寄せては民衆の事を眺めて行きながら、言葉を紡いでいく、「あの方の事を信じていれば、埜哉様はきっとあなたたちの事を助けに来てくれるに違いないのであろう。」


  まるで自分が紡いだ言葉を信じ切っているような鬼頭焔硝の態度と、彼の右側で座っていた我孫子真乖に一瞥してしまう竜祥は歯ぎしりしながら強く両手を握っては、どうして人々の中には誰もが子供である自分ですら一発で見抜いてしまう詐欺に不満な声を上げていないのかと疑問に思っている。「ねぇ、お母さん…」忽然、まるで母親に甘えているような声色に視線を引っ張られては、思わず自分に声の主を探させてくれないでいるような逞しい背中姿をしていた男性に苛立ちを覚えつつ、声の主は間違いなく、さっき自分が小さな声で突っ込みを入れていた白いニーソックスを穿いて男の子ので違いないと思ってしまう竜祥は、思わず彼も自分と同じように台にいる二人の事を怪しんでいるなのではないかと思っては、軽く首を伸ばしているようにと何とか白いニーソックスを穿いていた男の子と彼の母親の事を見ようと考えている竜祥は軽く鼻翼に力を入れて、ごくりと固唾を飲み込んでいく。


  軽く華奢な右手で母親の左腕を引っ張られていた白いニーソックスを穿いていた男の子は、軽く横目で台の上にいる二人の事を指し、自分たちは本当に埜哉様に守られているなのかどうかを母親に確認しようと思ってしまう彼は母親の微笑んでいる表情を見つめては、ぽつりと弱っている声を発していき、「その叔父さんが言っている言葉は本当なのかな…?」白いニーソックスを穿いていた男の子が母親に向けていた一言に目を半開きさせては、彼もやはり鬼頭焔硝の話に騙されているんだと思いつつ、チラッと彼の母親に一瞥していく竜祥はもしかしら本当に自分だけが鬼頭焔硝の詐欺に気が付いているのかを確かめようとする。


  「本当なのかどうは分からないけれど、」目を細めては意味深な笑みを浮かべていく白いニーソックスを穿いていた男の子の母親は、軽く視線を台の上にいる二人から右側にあるドアに向けてはぽつりと小さな声を発していた、「もう来る必要はないみたいだわ。」白いニーソックを穿いていた男の子の母親が紡いだ言葉に眉間に皺寄せては、思わず小首を傾げてしまう竜祥はつい彼女は台の上にいる二人に何かしらの違和感を覚えているなのではないかと考えている竜祥。


  母親が自分に投げて来ていた言葉に戸惑っては、思わず小首を傾げていく白いニーソックを穿いていた男の子はぱちくりながら彼女に疑問の声を聞かせていき、「何で?」「帰ってから教えてあげるわ?」軽く左手を上げては男の子のピンク色の髪を撫でていく母親は淡い笑みを彼に見せて行きつつ、言葉を紡いでいく、「人は目の前に大きな穴があるのに、」左手を困っている表情を浮かんでいる男の子から引いて行きつつ、目を細めながら台の上にいる二人を睨んでいく母親はぽつりと声を発していた、「飛び込んでしまう人は流石に少数に限っているはずなんだからさ?」


  ”ドクンー”「あ…」忽然、白いニーソックを穿いていた男の子の母親が彼に向けていた一言を耳にしてしまうと、思わずあんぐり口を開けては、彼女の大人の対応に絶句されている竜祥は思わず母親のような骨の髄までに埜哉様なんて存在しているはずもないものを信じ切っている大人たちは多いってわけではない事を知れては、誰もがさっきの自分と同じようにわざわざ何人かが本当の信者なのかも分からない相手のホームで、相手の顰蹙を買ってしまう必要はなければ、保身のためには二度と来ない事を選ぶのが普通だと意識しては、誰もが自分のように本当に騙されている人を救おうと思っていない事に悲しい思いをしつつ、きっと大して埜哉様の事を信じていない人が殆どだと言うのに、どうして母親はそこまで埜哉様の事を信じてしまうのかが分からなくなっている竜祥は歯ぎしりしながら、鬼頭焔硝の事を見つめている母親の横顔を睨んでいた。


  「それで、」屈んでは自分の前に置かれていた金色の折り紙が微か剥がれていた盃から、自分と我孫子真乖の事を見て来ている人々を眺めていく鬼頭焔硝はゆっくりと立ち上がりつつ言葉を紡いでいく、「もしもう問題がなかったというのなら、」軽く左側の口角を上げては竜祥の母親が自分に向けて来る尊敬している眼差しに心をくすぐられているような思いをしている鬼頭焔硝は言う、「ちゃんと皆様の信仰心を納めさせて貰いましょうか?」


  忽然、まるで鬼頭焔硝が紡いだ言葉に操られているようにとまったりと立ち上がっている最前列の人々が、次々と金色のように見えてしまう盃の中に紙幣を入れていく様に見開かされては、思わずあんぐり口を開けてしまう竜祥はぱちくりながら急いでいるようにと左手の人差し指で台の前で列を並んで、金を入れていく大人たちの事を指差しては、ポケットから使い古された財布を取り出している母親の横顔を見つめてしまう竜祥はぽつりと弱っている声を上げてしまい、「お、お母さん…!」母親の財布から金を取り出そうとしている仕草に見開かされては、軽く右手で彼女の左手を隠していたような袖を引っ張っては、何とか彼女を止めようとしている竜祥は信じられないものを目の当たりにしているようにと、台の前にある盃に次々と金を入れていく大人たちを見ながら震えているような声を発していき、「な、何で皆お金をあの変な盃の中に入れないといけないのよぉ…!」


  まったりと臀部を脛から離れては、左足で床を踏んでいく母親は目を細めて行きつつ、竜祥の顔を見つめていき、「それは聖杯なんだよ?」微笑みながら立ち上がっている自分から離れているようにだんだん小さくなっているように見えてしまう竜祥の困っているように眉間に皺寄せている様に微笑んで行きつつ、言葉を紡いでいく母親、「聖杯にお金を入れてしまうとね?」ごくりと固唾を飲み込んでしまう竜祥は母親が自分に向けて来ている偏執な眼差しに、心を鷲掴みにされているように思えては、軽く鼻翼に力を入れていく彼は思わず母親が紡いでいる鬼頭焔硝に洗脳されている話はどうでもよく思っては、見す見すと母親に自分たちの家のお金を訳の分からない盃の中に入れていくところを見てしまうと、それは自分が父親に殺される事を見ているように思えては、つい震え始めている竜祥はごくりと固唾を飲み込んでいた。


  「埜哉様はちゃんと自分たちのはどれだけの信仰心を捧げていたのかを分かってくださるのです。」盃の前で次々と減っていく人々に一瞥しては、最後の一人でお金を入れてしまうと埜哉様にも結構印象に残れるんじゃないかと考えている母親は、竜祥に屈託のない笑みを見せては言葉を紡いでいく、「それで、信仰心が強ければ強い程に埜哉様に愛される聖人になるのです。」母親の唇から伝わって来ている一言に眉間に皺寄せては、聞いた事のない単語の連続を自分に投げて来ている母親の話に困らされている竜祥、「え…?」「だから…」間の抜けた声を上げていた竜祥の戸惑っている様は愛くるしく思えては、軽く口角を上げてしまう母親は左手で彼の頭を撫でては、右手にある財布を握りしめていく母親は言う、「お母さんは一人前の聖人になって、」慈愛に満ちている眼で潤んでいる赤い瞳の中にある自分の事を見つめていく母親は寂しさが混じっている淡い笑みを浮かべては、軽く小首を傾げて行きつつぽつりと声を発していた、「竜祥とお父さんの事を助けてあげるね?」

  

  「いや…」母親のまるで彼女が紡いだ言葉に感動しているような表情に眉間に皺寄せては、背筋を伸ばして行きつつ両膝をひんやりとした床に付けていた竜祥は強く両手で彼女の繊細な左足を握っては、彼女の顔を睨んでいき、「可笑しいよぉ…!」母親がお金を訳の分からない奴らに渡してしまうと、自分は父親に殺されてしまうんだと強く思っている竜祥、「なんでお母さんが聖人にならないといけないのよ…!」涙目になっては思わず泣き出してしまいそうな竜祥は母親の盃に目を凝らしている様に、心臓を潰されているように思えては、つい激昂になってしまう彼は否応なしに両腕で母親の左足を抱えては、何としても彼女に金を盃の中に入れさせるわけにはいいけないと強く思っている竜祥は、母親の嫌悪感に満たされている顔を見上げて行きつつ弱り切っている声を発していき、「もうこんなぼくみたいな子供にも引っかからない詐欺から逃げて、」悲しいに霞まされている視界の中で母親の顔を見つめてしまう竜祥はぽつりと渇いた唇を開けては、彼女を懇願しているようにと言葉を紡いでいき、「お父さんにお金を返そう…?」


  ”ドクンー”忽然、竜祥が自分が父親の給料を勝手に持ち出していた事を踏まえていた言葉に、心臓が一瞬止められていたような気がしている母親、瞬く間に目が震え始めているように思えている母親はつい竜祥に全ての事を父親に言いふらされて仕舞ったら、自分は果たしてどんな目に遭ってしまうのかを思ってしまう母親はごくりと固唾を飲み込んでは、ぽつりと弱っている声を上げていき、「何を言っているのだい…?竜祥?」


  母親の震えているような声と見る見るうちに力が抜けていく左足を抱えていた竜祥は、母親はやはり家の金を勝手に使って来ていたんだと強く思っては、左手を母親から離れては自分の目から滲み出てしまいそうな涙を拭いて行きつつ、チラッと彼女の右手にある財布を見ては、ぽつりと弱っている声を発してしまい、「そのお金…全部お父さんから盗んで来ていたのでしょ?」宛ら自分に図星を指されていたようにと強く歯を噛んでしまう母親の横顔を睨んでいく竜祥は軽く鼻翼に力を入れて行きつつ、ぽつりと声を漏らしていき、「隠さなくだっていいよ…」目を細めながら母親のまるでもう自分の話を聞きたくないと言っているように、台のもとから次々と立ち去っていく人々の事を見つめて様に悲しみを覚えては、つい大泣きしてしまいそうになっている竜祥、「お母さんは働いていないんだもの…」眉間に皺寄せつつ、母親に言い訳ができないようにと言葉を紡いでいけば、彼女は何とか馬鹿馬鹿しいことを止めてくれるんじゃないかと考えている竜祥は、ぽつりと声を発していき、「お金が入って来るはずないでしょ…?」 


  突然、竜祥が自分に投げて来ていた一言に背中を焼かれているような気がして仕舞っては、大慌てで震えているような眼を彼に向けていく母親、「ち、違うわ!」何度も強く首を横に振っていく彼女は右手にある使い古された財布に一瞥しては、軽く歯を噛んでいく彼女は何とか取り繕おうと思っては揺るぎない眼差しを可哀想に鼻を啜って、叱れているようにと唇を噛んでいく竜祥に向けては、迷わずに言葉を紡いでいた、「これは埜哉様が私にくれていたお金で、」


  母親が言い切っていた一言に絶句されては、彼女は一体何を言っているのかがまったく理解出来ないでいる竜祥。「私が聖人になるための投資が!」右手にある財布を強く握っていく母親は眉をひそめつつ本気の眼差しを竜祥に向けていき、「埜哉様自ら下さってたのよ!」宛ら自分の言葉を鼓舞しているようにと何度も首を縦に振っていく母親は言う、「うん…!きっとそうに違いないわ!」


  母親の自分で自分を騙している姿にあんぐり口を開けられては、彼女はどうしてそんなにも埜哉様と言う存在を信じてしまうのかを理解できずにいる竜祥、「だったら…!」彼女が紡いだ言葉を否定できずにいる彼は思わず自分が彼女に向けていた猜疑は、すべて間違っていたなのではないかと思っては、彼女は本当に訳の分からない存在に支えられているのではないかと考えてしまう竜祥、ごくりと固唾を飲み込んでいく彼は眉をひそめて、揺るぎない眼差しを自分の両腕から左足を抜け出そうとしている母親を睨んでは、声を発していた、「どうして埜哉様はお母さんは直接聖人にしていないのよさ…!」母親を止めていたはずの両腕を離しては、母親に自分の話をちゃんと聞くようにと左膝を床から引いては、迷わずに立ち上がっていく竜祥は母親の事を睨みながら大きな声を発していき、「そんな分かりやすい事も見抜けないの?」

  

  「それは…!」まったく自分たちの会話に関心を持っていないで、次々と信仰心を盃に捧げていく人々の行動に心が無数の蟻に噛まれているように思えては、自分はきっと埜哉様に助けて貰って来た故に、辛い毎日の中で生きて来られていたんだと思っている母親、「埜哉様が私は本当に聖人に相応しい存在なのかどうかを測るために、」忽然、脳内で閃いた思いは間違いなく埜哉様が下さっていたものなんだと考えてしまう母親はやはり自分は埜哉様に守られていて、自分ははっきりと感じることができないけれど、ちゃんと聖人になれば、きっと埜哉様と会話出来るんだと思っている母親は揺るぎない眼差しを竜祥に向けては、大きな声を発していた、「下してくださった試練なのよ!」


  まったりと腕を組んでしまう鬼頭焔硝は最後列で佇んでいた母親と竜祥のことを眺めて行きつつ、軽く顎を上げては横目で言い争っている二人の事を横目で見て行きながら言葉を紡いでいく、「もう信仰心を捧げる人はないのかね?」宛ら自分が上げていた声に顔を引っ張られているようにと竜祥から自分に目を向けて来ている母親の態度に向けて、ニヤリと右側の口角を上げてしまう鬼頭焔硝は軽く顎を引いて行きつつ、右手にある扇子で自分の口元を隠して行きながら、目線で人々が離れていた盃を指していき、「我孫子真乖さまに一人一人の名前を埜哉様に伝えていくのにはかなり体力を消費するものなんだぞ?」


  鬼頭焔硝が自分に投げて来ていた催促しているような声色に見開かされては、大慌てでまるで自分の行動を予測していたようにと迷わずに両腕で再び自分の左足を抱えて来ている竜祥に見開かされては、右手にある財布を強く握っていく母親は眉間に皺寄せつつ、潤んでいる赤い瞳の中にある自分の顔を睨んで行きながら、声を発していき、「ほら!早く放しなさい!」まるで自分の胸元で暴れ回っている猪のような母親の左足に苦しめられては、何とか彼女に諦めて欲しいと強く願ってしまう竜祥は屈んでは、何とか彼女の事を止めようとする、「お母さん…!」苦しそうにと涙を零しつつ自分の顔を見上げて来ている竜祥の悲しんでいる顔に眉間に皺寄せては、軽く歯を噛んでしまう母親はつい弱っては、左足に力を入れなくなっている。


  「もうないと言うのなら、」まったりと屈んでは台のもとにある盃を手に取ろうとする鬼頭焔硝は流し目で母親の顔を睨みながら、喉から出来る限り平然とした声を発していき、「今日の集会はもうお開きにしましょうかね?」”ドクンー”突然、鬼頭焔硝が紡いだ一言を耳にしてしまうと、心臓が強く跳ねていたような気がしている母親はもし自分が大人しく信仰心を埜哉様に捧げて行かないと、埜哉様はきっと自分のことを忘れては、そばで支えてくれなくなってしまうと強く思っている母親、「い、いえ!」急いでいるようにと胸元を鬼頭焔硝に向けては眠たがっているようにと目を細めつつ項垂れている我孫子真乖のことを目にすると、思わず我孫子真乖は疲れては、間もなく埜哉様との連絡を途絶えてしまうんだと強く思ってしまう母親は自分の行動を止めに来ている竜祥に苛立ちを覚えては、思わず歯ぎしりしてみたくなっている彼女は迷わずに左足を前に向けて出して屈んでいる竜祥を連れても、必ずしも盃の中に信仰心を入れてやろうと思っている彼女は猛然と左手をかざしていき、「まだ私が!」


  「うう…!」宛ら狂っている牛の如く自分の華奢な体を前に向けて引っ張って来ている母親の左足に苛まれては、大して力を持っていない自分には到底力で母親に打ち勝つこと何て出来ないのだと思ってしまう竜祥は、潤んでいる眼で母親のヒステリックな顔を映し出して行きつつ、嗄れているような声を発していき、「お母さん…!やめよう?!」両腕に強く力を入れてしまう竜祥は眉間に皺寄せながら、まるで敵を睨んでいるような眼差しを自分に投げて来ている母親に苛立ちを覚えつつ、もし父親に殴られたり、とばっちりを食らったりしないとと言うのなら、母親がどれだけ訳の分からない二人に騙されたっていいと思ってしまう竜祥は猛然と首を横に振っては、自分は母親と同じように父親に支配されているように、金を稼げている彼に縋って生きていかないといけないんだと思っては、強く痺れているようにと思えている鼻を啜っては母親のことを見上げて言う、「こんなのって可笑しいよぉ…!」母親のまるで自分の話なんて興味を持っていないと言っているように無理矢理自分の身体を左足で引っ張っていく様に見開かされ、踏ん張っていたはずの両足が否応なしに前に向けて傾かされている竜祥。


  ”ドー”右足を重心にしているようにと強く右足で履いていた使い古されたスニーカーの底で地面を擦っては、猛然と自分の体を押して来ているような感覚を与えて来ている母親の力に苦しめられては、繊細な両膝が強く小汚い地面にぶつけられては、微かな痺れているような痛みに眉間に皺寄せられては、歯を食いしばっていく竜祥、「うっ…!」苦しそうな唸り声を発してしまう竜祥は自分が倒れている事に関心を持っていない、と言っているように盃に向けて歩いている母親に憤怒を覚えては、何度も鼻翼に力を入れていき、「ぼ、ぼくは小学校に入ってたらいっぱい!」


  まったく自分の話に興味を示さないでいる母親の自分の両腕の中にある左足を使っては、左足の太股が自分の身体から離れていて、だんだん彼女に置いて行かれているようにと思えている竜祥、両膝からゆっくりと自分の脳に浸食しに来ている激痛に歯を噛むことで何とか我慢しようと思っている彼は、自分の皮が擦り剝けられている事にも振り向いてくれないでいる母親は、決して自分と父親を救うためにお金を埜哉様と言う訳の分からない存在に上げているのではないと強く思っては、猛然と渇いた唇を開けていく彼、「いっぱい勉強するよ…?」母親のまるで進むマシンと化しているように自分に目を向ける事無く、自分の徐々に倒れているような体を前に向けて行きながら、自分が着ていた小汚いシャツを踏んで来ている事に傷心を覚えている竜祥、「今のように毎日図書館に行って!」母親の左足を強く抱えていた両腕が自分の身体を連れて倒れ込んでは、左腕が地面に付かれてしまいそうなっている仰向けの竜祥は、苦しそうにと切羽詰まった涙を零しながら母親に懇願していき、「立派な大人になるからさ…!」


  「ああ…」竜祥の地面に倒れされているような場面に見開かされては、ついまだ幼い彼にこんな酷い仕打ちをかける母親のことは酷いと思っては、慌てて右手にある扇子を隣りに置いては両手を上げてしまう我孫子真乖は、潤んでいる瞳で自分と鬼頭焔硝に近づけて来ている母親に向けて弱っている声を上げてしまい、「もう…いい…もういいって…!」竜祥の苦しそうな表情で唸り声を漏らしている様に心を苦しめられているような思いをする我孫子真乖は軽く黄色の歯を噛んでは、ぽつりと弱っている声を発して仕舞い、「ただのアニメキャラにそこまで信仰心をー」


  忽然、竜祥が母親に苛まれている姿に悲しみを覚えている我孫子真乖が唇をこじ開け紡ごうとしている一言に見開かされては、大慌てで右手にある扇子を握っては、迷わずに彼のもとに向けて一歩を踏み出していく鬼頭焔硝、”パー”刹那、一瞬にして自分が紡ごうとする言葉を遮って来ているような痛みと扇子から立てていた裂帛の音に見開かされている我孫子真乖、自分の脳を叩いて来ていた扇子に驚かされては、ぱちくりして仕舞う彼は恐る恐ると右手を伸ばして来ては、自分の頭を扇子で殴っていた鬼頭焔硝のことを見上げていき、「焔硝ちゃん…?」


  「これはいけませんよ、」目を細めながら自分に疑問の眼差しを向けて来ている我孫子真乖の事を、睨むようにと見つめていく鬼頭焔硝は軽く顎を斜め下の方向に向けて行きつつ、声を発していた、「我孫子さま?」宛ら自分が発していたやけに深刻そうな声色に行動を止められているような我孫子真乖と母親の事を交互に見ては、母親の左足を抱えては何とか立ち上がろうとしている竜祥に興味を無くしているようにと冷や汗を滲ませている我孫子真乖の事を睨んでいく鬼頭焔硝は言う、「もう一人の信者が信仰心を捧げるかどうかでいつまでも埜哉様と繋がってたら、」ゆっくりと流し目で我孫子真乖の緊張を覚えては、ごくりと固唾を飲み込んでいく様を見つめては、どれだけの馬鹿であろうとも、我孫子真乖も自分も簡単に金が入って来る生業を無くしたくないはずなんだと信じている鬼頭焔硝は、警告しているような眼差しで彼の顔を睨み付けては沈んでいるような声を発していき、「もう二度と戻れなくなるかもしれませんからね?」


  

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