第102話しずくちゃんの事が好きなのにぃ!?

  久守が自分に向けて来る萎縮しているような姿に目を細めながら微笑んでいく竜祥は当たり前のようにと言葉を紡いでいた、「それはもちろんだよ、」宛ら自分がぽつりと口にしていた一言に照れくさくなっているようにと両手を引いては、胸元に当てている久守の事を見下ろしていく竜祥は軽く左手を握って、自分たちの事を鳥瞰しているような柱を睨んでいきつつ声を発していく、「君たちは全員がかけがえのないものなんだ、俺にとっては。」


  竜祥が補足するようにと紡いだ一言に見開かされては絶句されてしまう久守、紅の瞳に微かな憂いが過ってしまう彼女は切なげに自分の両手を見下ろして行きつつぽつりとピンク色の唇を開けてしまい、「そ、そうでしたね…」竜祥にとっては自分だけが他のメンバーと違っていたように思えていた自分は自惚れていたと思いつつ、自嘲気味に口角を上げていく彼女は苦笑いしながら軽く頷いていた、「うん…」


  久守の傷心に耽っているような姿に目を細めては軽く首を横に振ってしまう竜祥は左手を胸元に当てて言う、「何かがあると、ここに来るといいよ、」ぱちくりながらぼんやりと額を上げて来る久守の潤んでは微かに赤い糸に苦しめられている瞳を見つめていく彼は内心の悲しみを押し殺しては、微笑んでいた、「幹部たちの秘密基地と思ってくれていいからさ?」宛ら秘密基地という言葉に驚かされているかのようにと軽く繊細な眉毛を跳ねらせていた久守に微笑んでいく竜祥は、まったりと視線を久守の後ろで鎮座していたような工場を見渡して行きつつ声を発している、「俺は夜になると大体ここに顔を出して見るからさ。」

  

  竜祥が自分に向けて来ていた一言に見開かされては、彼は夜中で寂しい思いをしている時に、もし自分が現れてしまったらきっと甘い展開になるのに違いないと信じ込んでしまう彼女、口角は興奮に上げられてしまう彼女は汗ばんでいる両手を握っては強く頷いていた、「は、はい!わかりました!」久守が自分に見せてくれている笑みに目を細めていた竜祥、宛ら彼女の屈託のない笑顔につられているようにと軽く口角を上げてしまう彼は軽く右手をポケットに突っ込んで行きつつひんやりとした空気を吸い込んでいた、「野黒新の居場所の情報に関しては、またの日で聞こうかな?」


  まるで自分が下していた決断に驚かされているかのようにと細い眉毛を上げてしまう久守に微笑んでいく竜祥は言う、「悪いな、」軽蔑しているようにと横目で地面で倒れ込んでいた紫色の髪の毛をしていた男性を見ていく竜祥は歯ぎしりしつつ、相手のこと唾棄しているようにと声を発していく、「こんな奴がいなかったらもっと話が出来ていたはずなのに。」「い、いえ!」竜祥が自分に謝りに来ている姿勢に見開かされては、大慌てで何度も首を横に振ってしまう久守は細い眉毛に力を入れて行きつつ彼に真っ直ぐな眼差しを向けていた、「とんでもないです!わたしは平気なので!」宛ら竜祥の事を攻めていくようにと軽く右足を彼の足元に向けて近づかせていた久守は言う、「どんなことでもお聞きください!」


  久守の充血している紅の瞳に微笑んでしまう竜祥は軽く顎を引いては横目で彼女の顔を見ていき、「そうなのかな?」左手にある粘っているような感覚は汚らわしく思いつつ、右手を軽く掴んでしまう竜祥は提案するようにと右手の人差し指を立てては、久守に言い聞かせるように言葉を紡いでいた、「でもやっぱり体調を整えるのを最優先にして欲しいや。」竜祥の彼が大事に考えて来ていた作戦より自分の体調を重要視してくれている事に胸元の奥の鼓動が加速されては、体中が焼かれているような思いをしてしまう久守は両手を頬に当ててしまい、「きゃ~~優しいぃ~!」


  久守の彼女の世界に入っていたようにと両手で頬を押さえながら華奢な肩を左右に振らしていく姿に軽く口角を上げては、宛ら彼女の興奮している姿勢に興味を無くしているようにと口角を斜め下の方向に向けていく彼は前に向けて歩き出していきつつ、軽く右手でポケットに突っ込んでいた携帯電話を取り出して行きながら、ぼんやりと自分の両足に踏まれていた地面を見下ろしていく彼はぽつりと沈んでいるような声で言葉を紡いでいく、「そろそろ最強人間への改造を施す計画にうつる時が来たみたいなんだからさ。」


  竜祥のまるで地面を見据えては、熱い眼差しで地面を穿とうとしている姿に戸惑ってしまう久守は小首を傾げて行きながら軽く右手の人差し指で頬を掻いていき、「最強人間なんですか…」寒風に刺されているような気がしてしまう鼻先が赤くなっては、思わず軽く鼻を啜ってしまう久守はぱちくりながら彼の真剣な横顔を見つめては、ぽつりと声を発していた、「やっぱり竜祥さまは本当に人間には神様に勝てると思っていらっしゃるのですか?」

  

  恐る恐ると自分に質問を投げて来ていた久守に一瞥した竜祥、目を細めていく彼は体の芯を冷やして来ているような冷たい風に苦しまれているような気がしながら、強く白い歯を噛んでしまう彼は恨みに詰まっている眼をまろやかな月の光に照らされ、より綺麗に見えては、現実とは思えないぐらいに美しい柱を見上げては、軽く口角を上げていく彼は柱の事を馬鹿にしているようにと強く鼻で笑っては、不敵な笑みを浮かべていき、「どうだろうな、勝てるかどうかじゃなく、」右手にある携帯電話を軽く握っては血塗れになっていた左手の人差し指を立てていく竜祥はまるで自分の顔を映し出す為だけに存在していたような久守の紅の瞳を見つめては、揺るぎない声を上げていた、「勝つにいくか、何もしないままで、無念にこの胸を満たせるがままに死んでいくのかだ。」


  竜祥が自分に投げて来ていた平坦な声の中に溢れそうなぐらいに悲壮感を漂わせているニュアンスに心を引かれては、彼のまるで自称神のシルエットに立ち向かっては、命を落としても何とも思わないでいる姿勢がやけに眩しく見えては、綺麗に思えてしまう久守はぽつりと呟いていく、「竜祥さま…」久守が自分に投げて来ている憧れの眼差しに目を細めて、自嘲気味に笑ってしまう竜祥は軽く顎を上げて行きつつ言葉を紡いでいく、「人間が勝つと知ったらあの神もこんな馬鹿げた真似をしなかったのだろうな。」眉をひそめながら真剣な表情で自分が紡いでいる言葉を耳にする久守に一瞥した彼は苦笑いしながら何度首を横に振っていた、「人事を尽くすという諺は嫌いなんだ。」


  竜祥が紡いだ言葉に戸惑っては思わずぱちくりしてしまう久守は小首を傾げて行きつつ彼に尋ねていく、「どうしてなんですか…?」ぼんやりと瞼に狭まれているような視界の中で久守の凛とした顔立ちに目を向けていく彼は携帯電話を握っている右手を上げて行きつつ、人差し指を立てていた、「天命を待つ、と後半の言葉があるからだ。」宛ら自分の唇から飛び出ていた言葉を恨んでいるような彼は歯ぎしりしながら寒風に赤く染め上げられていた繊細な指先で空を指差して行きつつ、言葉を紡いでいく、「俺は神も宗教なぞ信じらないんだ、」自負しているようにと歯を噛んでは繊細な眉をひそめていく竜祥は揺るぎない眼光をぼんやりと唇を開けては、自分を見上げて来ている久守に一瞥して言う、「俺が求めるものなら必ずしも手に入れて見せるし、」軽く顎を引いていく彼は久守の眼を見つめては言い放った、「天命に従うなんぞ笑止千万の極みだ。」


  竜祥が紡いだ天に抗おうとしていた言葉に心を強く打たれては、神ですら恐れていない彼の事を思ってしまうと、道理で彼はこんなにも魅力的で、自分の心を簡単に支配できていたように思えてしまう久守はぽつりと唇を開けていた、「格好いい…」久守が紡いだまるで自分の事を応援しようとしてくれている一言に口角を上げられてしまう竜祥は照れくさそうにと軽く右手の人差し指で微かに痒く感じてしまう頭皮を掻いて行きながら彼女に尋ねていく、「そうなのかな、怖く思わない?」


  「ううん!」竜祥が微かな不安が混じっていた一言を耳にしてしまうと、何度も首を横に振ってしまう久守は決意に満ちている眼光で彼の顔を見つめては揺るぎない声を発していた、「あなたのようなお方の方がリーダシップがあって、」前屈みになってしまう彼女は繊細な両手を握りながら彼の事を鼓舞しているようにと声を発していく、「困っている皆を束ねるには一番向いているのではないかと思います!」


  久守が自分の冷酷にも思えてしまう顔を映し出してくれている紅の瞳に目を細めてしまう竜祥、彼女のあまりにも純粋に思えてしまう眼に自分の心の汚さが映し出されているような気がしてならないでいる彼はまったりと背筋を伸ばして行きつつ、彼女の潤んでいる無垢な瞳から目を逸らして行きながらぽつりと唇を開けてしまい、「そうだな、ああ、」目を細めている彼は軽く首を縦に振っていき、「従わない強化者を粛清し、」軽く歯を噛んでしまう竜祥は横目で柱に一瞥してしまっては、自分には迷う資格はないと思い込んでいる彼は強く血痕に汚されていた左手を握りしめては、喉から仄かな悲憤が纏っていた声を上げていき、「その力を手に入れる。うん、」強く首を縦に振って一回振っていく彼は自分が紡いだ言葉を同意しているようにとニヤリと左側の口角を上げていた、「合理的なんだよ。」


  竜祥の左手を握りしめている姿に困っているようにと繊細な眉毛をひそめてしまう久守、軽く白い歯を噛んでいた彼女はチラッと倒れ込んでいた男性の夥しい深紅の血液の上で寝込んでいたような姿勢に一瞥しては、ぽつりと艶やかな唇を開けてしまい、「粛清…」久守のまるで自分が口にしていた言葉はまったく正しいとは思えないでいるような眼差しをぼんやりと見ていた竜祥、軽く鼻翼に力を入れていく彼は久守の切なげに眉間に皺寄せていた横顔を見つめては、軽く左手を彼女に向けていき、「いいか?久守君、」竜祥が真剣なトーンで自分の名を口にしていた事に驚かされては、思わず眉を上げてしまう久守はつい大きな声を上げては猛然と胸元を彼に向けてしまい、「は、はい?!」


  まったりと寒風に撫でられては宙を舞いてしまう淡い紫色の髪の毛に右目をくすぐられているような久守の、否応なしに自分に微かに浮いている淡い紫色の髪の毛の繊細な指先で押さえている姿を凝視していく竜祥は言う、「目標って物は常に明白でなければならないのだ。」”ドクンー”忽然、竜祥が平然とした口調で紡いだ言葉の奥に隠されていた彼の決意に驚かされては、宛ら自分の事を恨んでいるようにと強く歯を噛んでいた竜祥の、目の前にいる自分以外の誰かと話をしているようにゆっくりと自分が履いていた真っ白なスニーカーから徐々に視線を上に向けている眼を見つめてしまう久守は、つい苦しそうに瞼に力を入れては、瞬きしようとしないでいる彼に何かが遭っていたのかと不安になりつつ、彼の不安を自分で拭いであげたいと切に思っている。


  「その目標のために何かを見捨てるのか、」軽く鼻翼に力を入れていく竜祥は紅の瞳で満天の星々を収まるようにと繊細な顎を上げて行きつつ空を見上げていく、「何を諦めるのか、」まったりと左手を上げていく彼は自分の血痕に汚されていた指の間を跨ぐ流れ星はやけに綺麗に思えながら、まったくと力を入れているせいで微かに震えている左手を掴んでいく彼、「全てを最初の前から決めて、」軽く歯を噛んでは、ゆっくりと白皙の顎を引いていく竜祥は自分の握りしめていた左手を見下ろしてはチラッと獲物を狙っているような獣のような眼差しを久守に向けていた。「そこから行動することだ。」


  まるで自分が紡いだ本気の言葉に絶句されているようにとあんぐり口を開けては、上手く言葉を紡ぐことが出来ずにいる久守の自分の事を畏怖しているような姿に軽く口角を上げては、淡い笑みを見せていく竜祥は彼女に怖がらせるような思いをさせたくないと強く思いながら微笑んでき、「アクセルを踏み倒していたワゴン車が鼻先まで来ていたら、」目を細めている竜祥はぼんやりと自分が紡ぐ言葉を耳にしている久守の事を紅の瞳で映し出して行きながら声を発していた、「全てが遅いんだ。」


  竜祥が自分に向けて来る説明のような例えにぱちくりしつつ、彼が言っている言葉は確かに一理あるように思えては、人を殺すことを実行することに躊躇いのない彼は少しばかり怖く思いつつ、彼は現実にせがまれているせいでこうしないといけなくなっているんだと信じ込んでいく久守は唯々諾々と頷いていく、「そ、そうですよね…」久守の目を細めてはぼんやりと自分の足元を見てくれている姿に微笑んでは、まったりと視線を右手にある携帯電話に向けていた竜祥は言う、「言うなれば、俺たちに加えない強化者はいつかは民衆に危害を加える存在とみなした方がいいのだろう、」神と民衆の話に顔を引っ張られているかのようにと自分の事を本気の眼差しで見てくれている久守に淡い笑みを見せていく竜祥、「一人の民衆がアジトで危害を加えられてしまったら、」右手にある携帯画面に浮かんでいた野黒新の顔の写真を気にする事なく、人差し指を立てていく彼は彼女に軽く顔を近づかせて行きつつ言葉を紡いでいた、「彼らが俺への信頼は一瞬で崩れてしまうんだ。」


  汗ばんでいる両手を握りしめては、竜祥は自分がぼんやりと過ごして来ていた時間の中でちゃんと色んな起こってしまいそうなシチュエーションを考えてくれていたことを思うと、つい彼のことを尊敬せずにはいられなくなっている久守、民衆と強化者である自分たちの事を束ねている竜祥はきっと自分が思っているよりずっと重たい責任を担いでいるのだろうと考えては、ごくりと固唾を飲み込んでいた。


  「そうなると民衆を保護するのも、」冷酷な表情を浮かんでしまう竜祥はまるで久守の事を忘れていたかのようにと、自分の血痕を纏っていたような左手の人差し指に視線を落としていき、「神へ立ち向かう事も、」軽く左手の繊細な人差し指を立てていく竜祥はゆっくりと鋭利な刃の如く光を過っていた瞳を久守に向けていき、「全てが邪魔されてしまうんだよ。」自分の眼光に見開かされては、大きく唇を開けてしまう久守の姿を気にする事なく、軽く左手の人差し指で遠くにいたリーゼントの男性の体を指差していく竜祥は言い続けていく、「だから従わない奴は全員敵なんだ。」竜祥が本気で言葉を紡いでいる姿は途轍もなく格好良く思いつつ、真面目な話をしている彼を目の前にして、口をはさむのは失礼極まりない行為なんだと自分に言い聞かせている久守は佇んでは、彼の体中から滲み出て来る自信に酔いを覚えていく。

  

  自分が紡いだ言葉を耳にしているせいで言葉をどうやって紡ぐのを忘れていたかのような久守に軽く微笑んでは、今はまだ彼女に余計なプレッシャーを感じて欲しくないと思ってしまう竜祥は携帯電話を掴んでいた右手の人差し指で深い青色の空を指差していく、「単純過ぎる思考回路だと思うけど、」自嘲気味に笑ってしまいそうな彼は自分たちの事を俯瞰していた柱を赤い瞳で映し出してしまうと、一瞬にして気分がどん底まで陥ってしまったように感じている彼は悔しそうにと歯を噛みしめていた、「これほどにも残酷な環境に陥ってしまったらそうなるのも正しかろう。」


  竜祥の繊細な喉仏をぼんやりと見ては、格好良く言葉を紡いでいる彼の話を独り占め出来ているだけではなく、こっそりと彼の喉仏まで間近で見れては、説明してくれている事に夢中になっていた彼に少しばかり申し訳なく思いつつ、胸元の奥の段々強くなれている鼓動に行動を支配されては、彼の白皙の肌から目を逸らすことが出来なくなっていた久守は恐る恐ると彼に一瞥していき、「竜祥さまは…」竜祥のまるでモデルのような体型を目の前で見ては脳に刻み込んで行こうと思っていた久守、自然と上がってしまいそうな口角を必死に我慢していく彼女は恐る恐ると潤んでいる瞳で彼の顔を見上げてしまい、「どこまで見えているのですか?」


  ぼんやりと自分のことを見上げてくれている久守がぽつりと唇を開けては、自分に尋ねて来ていた一言に口角を上げられているような気がする竜祥は微笑んでいた、「うん?」目を細めてしまう竜祥はぱちくりしながら赤い瞳で自分の事を映し出してくれている久守から視線を遠くにある柱に向けては、軽く血痕に汚されていた左手をかざしている、「この満天の星々と、」人差し指に力を入れていく彼は柱を睨みながら喉から声を絞り出していき、「あの死にぞこないの柱。」宛ら自分が発していた怒りに満ちていた声と言葉に驚かされているようにとビクッと肩を跳ねらせていた久守に向けて淡い笑みを見せていく竜祥はまったりと左手を引いていては、淡い笑みを紅の瞳に見せて言う、「と、君ぐらいかな。」


  ”ドクンー”忽然、竜祥の微かに充血している眼で自分の顔を見てきては、心が彼の固まられているような気がしてならないでいる久守、宛ら痙攣しているような両膝を押さえてみたくなっては思わず内股になっていく久守は、つい照れくさそうな唸り声を発していた、「ううっ!」久守の自分が紡いだ一言に頬を赤く染め上げられている姿に目を細めていく竜祥は微笑んでいた、「そろそろ今日のミニ会議を解散するか、送ってやるよ?」「はっ、」竜祥が平然としている態度で紡いだ一言に心臓を強く殴られていたような気がしてしまう久守、恥ずかしさに苛まれては、思わず目をつぶっていた彼女は彼の平坦な声と言葉に猛然と心臓をぶん殴られていたような気がしてしまっては、ビクッと背筋を伸ばしていき、「はい!」猛然と手刀と化していた右手をこめかみに当てていく彼女は丁重に竜祥に向けて大きな声を発していく、「ありがとうございます!」


  自分に敬礼しに来ていた久守の姿が可笑しく思えては、自然と上げてしまう口角に白皙の頬には小さな笑窪が浮かんでしまう竜祥、久守の元気そうな姿に目を細められてしまう彼は、口角は上げているのに心はまったく笑いたくないなと思いつつ、俯いてしまう彼はぽつりと呟いていた、「大袈裟だな…」久守のまるで自分が発していた声にからかわれているように笑い声を漏らしていた事に心を苛まれているような気がしてしまう彼は、ぼんやりと自分の右手にある携帯電話を見下ろしては、携帯画面を占拠していたような野黒新の横顔を見つめていた。高い鼻梁に視界を固定されては、白いシャツを着ていた彼は白皙の鎖骨を人々に見せつけているようにと襟にあるボタンを外していた。


  ぼんやりとすらりとした右足を前に向けて踏み出していき、顔色が優れない野黒新が気怠そうな体勢で、前方に向けている揺るぎない眼差しに瞼を落としてしまう春菜、ぼんやりと頬杖を突いてみたくなっていた彼女は自分の左側の窓口から差し込んで来ていた橙色の光に紅の髪の毛を照らされつつ、急いでいるかのようにとクラスの入り口で控えていた白野と合流しては、大慌てでリュックを背負いながら廊下に向けて歩き出していく野黒新の背中姿を見ていた。


  元気が出せないでいるような野黒新が自分に目を向ける事も挨拶を交わすこともなく教室から離れていたことを思ってしまうと、つい拗ねている子供のようにと唇をすぼめてしまう春菜は軽く鼻翼に力を入れて行きつつ、不貞腐れるようにと視線を自分が穿いていた深い青色と白で紡いだ格子のスカートを見下ろして行きながら残念そうにため息を吐いてしまい、「はぁ…」憂いに侵されているような春菜の横顔に小首を傾げてしまう和流、青色の帯に肩を掴まられていたような白いシャツを着ていた彼は春菜の残念そうにと俯いていた姿勢に向けて軽く口角を上げては、自分を親切に接してくれて来た彼女の悩み相談ぐらいはしてあげたいと思ってしまう彼は彼女に尋ねていき、「どうかしたのかな?」自分が上げていた声に視線を引っ張られては、唇を開けていた春菜のまるで拗ねている子供のような姿勢に眉毛を上げられてしまう和流は苦い笑みを浮かべながら軽く右手の人差し指で頬を掻いていき、「そんなにも重たいため息を吐いててさ?」


  「秋人君…」自分の席の右側で佇んでくれていた和流の襟元にあるボタンを外していたことを気にすることなく、彼が自分の事を心配になっていたせいで尋ねてくれていた言葉に口角を軽く上げられては、次々とリュックを背負っては教室を後にしていくクラスメートたちの背中姿に一瞥した春菜、「ううん、」軽く首を横に振っていく春菜は野黒新が白野と一緒に帰る時の揺るぎない眼差しを思い出してしまうと、自分には彼から離れる時が来ていたなのかもしれないと考えている彼女は軽く額を上げては、自分の顔を見下ろして来ていた和流に向けて言う、「大したことはないわ。」


  春菜の憂いに支配されては微かにひそめていた眉毛に目を細めていく和流は小首を傾げながら、もう一度彼女に尋ねてみた方がいいのだろうと思いつつぽつりと唇を開けていた、「そう?」和流のまったく自分が紡いだ一言を信用していない姿勢に項垂れていた口角を軽く上げてられては、自嘲気味に笑ってしまう春菜は自分の事を信頼しては、悩みを教えてくれていた和流の悩みを聞いていただけで、自分の事を知らせないのは少しばかりずるく感じてしまう彼女はぽつりと唇を開けてしまい、「ただ…ずっと仲良くして来たはずなのに、」引き攣っているような右側の口角を上げていく春菜は微かな不満が潜めていた眼差しをまったりと腕を組んでは、自分の事を見つめて来ている和流に向けていた、「もう付き合っていたことがバレバレでも、」内心で気に病んでいる事を言葉にしてしまうと、つい不満そうに教室の正門に一瞥した春菜は軽く鼻翼に力を入れていた、「素直に自分に全てを打ち明けようとしない幼馴染はどう思う?」


  春菜が紡いだ言葉に困らされてしまう和流はぱちくりながら小首を傾げて行きつつ彼女に尋ねてしまい、「何の話だ…?」和流が素直なまでに自分に投げて来る疑問の声に目を半開きさせてしまう春菜は軽く鼻翼に力を入れては、彼に自分で悩みを当てて欲しいと思っては、素直に自分の悩みを口にしてしまうと、恥ずかしく思ってしまう春菜はあからさまに彼が向けて来る困っている眼差しから目を逸らして行きつつ、ぽつりと唇を開けていた、「昔はそんな子ではなかったのにな…」目を細めてしまう春菜は軽く両手を机に付けて行きながらチラッと教室のドアに一瞥しては、ぽつりと声を発していき、「高校に入って、大きくなったな…」


  春菜が紡いでいた抽象的な台詞を呆然と耳にしながらなんとか彼女の悩みを理解しようと思っていた和流は、彼女が口にしていた言葉に目を半開きさせては軽く右手の人差し指で頬を掻いていき、「いや…誰でもそうだろ…」宛ら自分が紡いだ言葉を上手く理解ことが出来なくなっているようにとチラッと自分に目を向けて来ていた春菜に苦笑いしてしまう和流は軽く右手の人差し指を立てて言う、「いつまでも子供のままの方が怖くないかな…?」


  和流がぽつりと口にした一言に眉毛を跳ねらされているような気がしてしまう春菜、「あはは…それもそうよね。」思わず渇いた笑い声を発してしまう春菜は自分が仄めかしていた二人の事に感づいてくれていない和流の困っているような姿に目を半開きさせては、思わずため息を吐いてみたくなる春菜はいつまでも白野に気持ちを伝えようとしないでいる鈍感な彼の内心の葛藤を少しばかり垣間見えているような気がしてしまっては飽きれているようにと右手の人差し指を立てていた、「ほら、」和流のまるで自分の悩みを聞き出すまでは帰ろうとしないでいる姿勢に口角を上げられているような気がしてしまっては、微笑んでいく春菜は彼の真心に負けていたようにと大人しく内心に纏ってくる悩みを口にして行こうと思っていた、「しずくちゃんと新は付き合っているようになったんじゃない?」


  忽然、春菜が口にした意外過ぎる言葉に絶句されては、思わず繊細な眉毛を上げてしまう和流、「えっ?」間の抜けた声を上げてはぱちくりながら自分の事を見下ろして来ている和流の困っているような姿に驚かされては、思わず猛然と背筋を伸ばしてしまう春菜は軽く首を前に向けて出してしまい、「分からなかったの?!」軽く左手をドアの方向に向けていく春菜は本気の眼差しを和流に向けて行きながら少しばかり大きな声を発していた、「しずくちゃんの事が好きなのにぃ!?」


  ”ドクンー”「うっ?!」刹那、声が裏返ってしまいそうな春菜が自分の胸元の奥を貫いて来ているような一言に絶句されては、心臓の鼓動が瞬く間に早くなれている和流は大慌てで教室を見渡して行きながら、誰かが春菜が紡いだ言葉を聞いていたのではないかと思ってしまう和流、刹那、褐色の瞳の中に映し出されていた自分と春菜の夕焼けに照らされていた顔を睨んでしまう和流、ダークグレーの髪の毛をしていた男子生徒が自分たちの事を見ては、使い古されたリュックを背負っていた彼はきっと自分たちの会話を聞いていたに違いないと思ってしまう和流、胸元の奥からこみ上げて来る緊張に歯を揺らされているような気がしてならないでいる彼はごくりと固唾を飲み込んでは軽く鼻翼に力を入れていた。

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