第101話いつも俺に現実に甘ったれるなと教えてくれるからさ。

  「苦しいそうよね?」宛ら興奮を覚えているような竜祥は微かに震えているような声を上げて行きながら、自分の左手を温めてくれていると同時にまるで自分に懇願しに来ているようにと痙攣している男性の腹部と、千切られていたピンク色の腸を感じつつニヤリと右側の口角を上げていく竜祥は項垂れては、額を上げて自分の顔を見る気力ですら無くしていた男性の後頭部を睨みながら喉から怒りが潜めていた声を発していく、「人に救えないぐらいの絶望に何度も追い込んでいたお前にはな?」小刻みに震えているこめかみを上げようとしている男性の紫色の髪の毛に目を細めながら胸元の奥からこみ上げて来る怒りに支配されては、思わず強く歯を噛んでしまう竜祥は猛然と左手を彼の腹部から抜け出していた。


  ”フー”血に赤く染め上げられていた左手は赤いブリッジを滴らせながら、軽く温かい手のひらにあった月の淡い光に照らされてはまったりと宙を回転させていく生き血を纏うバタフライナイフを見上げて来ている。歯を噛んでは悩ましげに目を細めている竜祥は軽く右手を自分のこめかみに添えて、宛ら屑を見ているような眼差しをバタフライナイフの絶望を漂わせるぐらいにひんやりとした感覚が体の奥から抜け出せていた事に関して、微かに生き残れる希望を見つけていたようにと辛そうに唇を開けながら自分の顔を見上げている男性の震えているような眼を獲物を狙う獣のような眼差しを向けていく竜祥、”ター”男性の喉元を睨んでいた竜祥はまるで自分の温かい手のひらに甘えに来ているようなバタフライナイフを掴んでは、軽く顎を上げていく彼は言い放った、「彼の絶望の百分の一の辛さも知らないのだろう。」


  ”グチャー”刹那、まるで自分に死を知らせに来ているような体の芯が切られていた音に見開かされては、霞んでいた視界が瞬く間に黒い靄に支配されていく男性、「うっ…」”ピチャー”左手にある赤く見えてしまう生き血に汚されていた腸を気にすることなく、当たり前のように遠くに向けて投げていた竜祥、平然としている彼は軽く右手を黒いポケットに入れて行きながら、左手にあるバタフライナイフを左右に振らして行きつつ、囁くようにと言葉を紡いでいる、「さらばだ、後であっちにある工場でお前の一歩先にあの世に行っちまった仲間たちと合流させてあげるから、」目を細めては流し目で苦しみに支配されては、骨の髄まで侵食してくる寒風に負けていたようにと無念なまでに倒れていく男性の胸元に佇んでいた青色の蝶々に一瞥した竜祥は可笑しそうに口角を上げていた、「大人しく地獄で俺を待っていろ?」


  「え…」右手をポケットから抜け出しては、真っ白なハンカチで左手にある夥しい生き血を拭いて行きながら自分に向けて歩いて来ている竜祥の存在に畏怖を覚えては、自分は決して自分に優しくしてくれて来た彼に殺されるはずがないと信じつつも、華奢な両足が痙攣しては、竜祥のまるで紫色のリーゼントの男性を殺すことを楽しんでいたような反応に目を奪われていた久守、心の芯が揺らされているように思えてしまう彼女はごくりと口内を満たそうとしているような唾液を飲み込んで行きつつ、弱っているようにと震えている肩を縮めていた久守は恐る恐ると彼の赤い瞳の中にある自分を見ていき、「えっと…」


  ”フー”まったりと自分の黒い前髪を擦っては自分の身体を攫って行こうとしている寒風に目を細めてしまう竜祥は、軽く左手で掴んでいた赤いペンキに汚されていたようなハンカチを放しては、宛ら血の雨に抱かれていたようなハンカチはまったりと宙を舞ては石ころの群れが鎮座していた地面に向けて落ちていき、自分が捨てていたハンカチを気にする事なく、ぼんやりとハンカチが落ちていた地面から流し目で久守の潤んでいる眼に目を向けていく竜祥は淡い笑みを浮かべては、軽く顎を引いていく彼は沈んでいるような声色で声を発していき、「怖いのか?」


  竜祥のまるで自分の耳に入っては、心臓を優しく撫でてくれているような声に恐怖を拭られていたように思えては、ビクッと体を跳ねらせてしまう久守は大慌てで声を発してしまい、「い、いえ?!す、すみません…」竜祥の潤んでいる赤い瞳を目にしてしまうと、彼はきっと本意で男性を苦しめてから殺していないはずなんだと、心が勝手に彼がしていた行為に言い訳を付けてしまう自分に飽きれつつ、恐る恐ると項垂れていた久守は微かに震えているような右手の人差し指で淡い紫色の髪の毛を引っ掛けて行きながら宛ら逃げているようにと地面に沿っては、竜祥に向けて流して来ている夥しい生き血から目を逸らしていく彼女はぽつりと艶やかな唇を開けては弱り切っている言葉を紡いでいく、「は、初めてこ、こんな場面と出くわすものでしたので…」

  

  萎縮している久守がひんやりとした風に苛めているせいで赤くなっていたような人差し指の指先を突いている姿に目を細めては、淡い笑みを浮かべてしまう竜祥は軽く首を横に振っては微かに残念そうなニュアンスを込めては言葉を紡いでいき、「これはいけないな、」宛ら自分が紡いだ一言に驚かされているかのようにと眉毛を上げてしまう久守の顔を見つめていく彼は、横目で彼女の事を見ながら右手の人差し指を立てて言う、「これからはどんな危険な奴と出くわすのが分からないものなんだからさ、」宛ら自分が紡いだ言葉に悲しい気持ちになっているかのようにと縮めていた肩を下ろしては、軽く唇を噛んでしまう久守の叱れていた子供のような態度に向けて軽く口角を上げていく竜祥は右手をポケットに突っ込んでは、ひんやりとした息を吸い込んでいく、「ちゃんとハートを磨いておくれと、」軽くリップクリームを塗っては艶やかなになれていた久守が自分の事を映し出してくれている赤い瞳に目を細めてしまう竜祥は微笑んだ、「言ったら君のような美しい少女には野暮か。」


  竜祥が自分に向けて来ている笑顔の中に隠されていた微かに残念そうな感覚に見開かされては、大慌てで何度も首を横に振ってしまう久守は急いでいるかのように両手を上げてしまい、「いえ!とんでもございません!」目を細めている竜祥のまるで自分が紡いでいる言葉を最後まで黙々と聞こうとしている姿勢を睨むようにと、見つめていく久守は細い眉毛に力を入れて行きつつ、強く左手を胸元に当ててしまい、「わたしは竜祥さまについて行こうと!」真っ白なスニーカーを履いていた華奢な両脚は激昂になっている主人の気持ちに駆り立てられているかのようにと、猛然と前に向けて一歩を踏み出しては大きな声を上げていく久守、「ネットでアジトの事を知った瞬間!」激昂になっているせいで涙目になってしまう久守は竜祥が自分に淡い笑みを見せてくれている事に感動を覚えては、彼の目の前で涙をこぼして不細工な一面を見られたくないと強く願ってしまう彼女は鼻翼に力を入れて行きつつ、何とか涙を堪えようとしている彼女は言う、「あなた様を目にしていた瞬間で!」両脚で強く石ころの群れが鎮座していた地面を踏ん張っていく久守は竜祥の淡い光を放っているような紅の瞳を見つめながら強く両手を握っていき、「全部決めましたから!」


  久守が向きになっている姿に目を細めては、嬉しそうにと軽く右手の人差し指で寒風のせいで赤くなっていた鼻先を擦っていく竜祥は、流し目で彼女の事を見つめながら言葉を紡いでいく、「そいつはいささか軽率なのではないかな。」宛ら自分が彼女に向けていた返事に驚かされているかのようにと眉毛を上げては、あんぐり口を開けている久守に微笑んでいく彼は言う、「君にも俺にもお互いの事なんて知らないんだからさ?」竜祥が紡いでいた言葉はもっともだと思いつつ、つい細い眉毛を上げていた久守は眉毛に力を入れて行きながら強く左手を胸元を鷲掴みにして行き、「わ、わたしは!」まるで自分が発していた大きな声に驚かされているかのようにと眉毛を跳ねらせていた竜祥の微かに充血している潤んでいる紅の瞳を見つめてしまう久守、「人に恋に落ちるのは一瞬があれば十分すぎるかと!思い…ますから!」竜祥に自分の恋心を断られてしまうと知ってしまと、激昂になってはつい自分は何を口にしていたのだろうと思ってしまう久守、一刻も早く竜祥に自分の気持ちや考えを伝えてやらなければと思ってしまう彼女はまるで自分たちの事を俯瞰してきているような小さな紫色の粒を体で漂わせていた柱に一瞥しては、ごくりと固唾を飲み込んでしまう彼女は強く鼻翼に力を入れて行きながら右足を軽く上げては地面を踏んでいた、「思ってます!から!」


  久守の激昂になり上手く言葉を紡ぐ事が出来なくなっているような姿勢に目を細めながら微笑んでいく竜祥はまるで彼女の事を認めているようにと軽く首を縦に振っていき、「そうなか、君は健気な女性だ。」淡い笑みを浮かべている彼は自分に褒められてしまうと、無垢なまでに笑ってくれている久守の笑顔に心が微かに苛めているような気がしてしまっては、一瞬目を細めていた彼は彼女の淡い光を放っているような笑みから目を逸らしてはならないと思い、軽く右側の口角に力を入れてしまう彼は流し目で彼女の事を見つめては声を発していた、「俺は気に入っているんだぞ?」


  ”ドクンー”凛とした顔立ちをしていた竜祥の薄い唇から漏れていた淡々とした一言に心臓をぶん殴られていたような気がしてしまう久守、「おっ、」体中が胸元を殴りに来ている心臓の鼓動に温められては、ひんやりとした場所で佇んでいた自分が熱くなっているような気がしてしまう久守、「お気に入りって…」両手を強く握りしめていた彼女は自分の興奮に駆り立てられては小刻みに震えている両手を見下ろしてしまうと、思わず両脚で地面を踏まずにいられなくなり、猛然と背を竜祥に向けては自分の熱くなり痒くなっている頬を両手で押さえてしまう彼女、「きゃ~~」


  久守のまるで熱い頬を押さえるべきなのか痒く感じてしまう頬を掻くべきなのかと、悩んでいる姿勢に口角を微かに上げられてしまう竜祥、風に揺らされている彼女の淡い紫色の髪の毛に目を細めては、紅の瞳に微かな寂しさが過ってしまう彼は自分の事を否定しているようにと軽く首を横に振っては、右手をポケットに突っ込んで言う、「すまんね?」自分がぽつりと口にしていた言葉に見開かされては、ぱちくりながら自分に目を向けて来ている久守に微笑んでいく竜祥は言う、「あんな畜生を殺める場面を見せちまってさ。」


  「う、ううん!」竜祥が自分に向けて来る言葉を耳にしてしまうと、大慌てで何度も首を横に振っていく久守は両手を軽く前に向けて出しては、強くガッツポーズを取りつつ声を上げていた、「全然ですよ!あなたさまが言う通りに!」眉間に皺寄せている久守は否応なしに自分の視界に侵入して来ていた竜祥の後ろにある倒れ込んでいた紫色のリーゼントの男性の体を目にしてしまうと、竜祥が自分に向けて来ていた自分は彼に気に入られていた言葉を思い返せば、彼に気に入られている自分には何も怖くないようにと強く感じてしまう久守は左手を胸元に当てて行きながら声を発していた、「こういう場面はいち早く慣れないとですから!」


  久守の一瞬自分の後ろに目を向けていた姿に目を細めては微笑んでいく竜祥、「そうなのか、嬉しいや。」納得しているようにと軽く頷いていた竜祥は自分の話に口角をからかわれているように上げていく久守の顔を見つめながら軽く右手をポケットから抜け出して胸元に当てていく彼は首を前に向け出していた、「ところで、」自分が上げていた揺るぎない声に戸惑っているようにと小首を傾げている久守の瞳を見据えていく竜祥は声を発していた、「どうかな、」久守の顔を見つめては軽く右手を握ってしまう竜祥は本気の声で彼女に尋ねていき、「野黒新という人の居場所はちゃんと見つけ出せたのかね?」


  竜祥が彼がようやく自分に下していたミッションについて尋ねて来てくれていた事に嬉しく思えては、ちゃんとミッションを熟せた自分はきっと彼に褒められるに違いないのだろうと思ってしまう久守、「は、はい!」強く両足で地面を踏ん張っては手刀と化していた右手をこめかみに当てていく久守は教官を目の前にしていた新兵の如く、揺るぎない声を発していき、「見つかれる事はありませんでした!」強く鼻翼に力を入れていく久守は軽く顎を上げては誇りげに声を上げていた、「そして無事に彼の居場所を見つけたんです!」


  久守が自分に言いに来ていた言葉を耳にすると、ニヤリと口角を上げていく竜祥は嬉しそうにと笑みを浮かべては潤んでいる赤い瞳で久守の緊張しているような表情を映し出している、「そうだったのか、」右手を上げては久守の淡い紫色の髪の毛に向けようとしていた竜祥は彼女が自分に向けて来る微かに期待しているような眼差しを感じてしまうと、軽く繊細な鼻翼に力を入れてしまう彼は自嘲気味に口角を上げては、右手を引いていた、「でかしたぞ、久守君。」


  竜祥が自分の事を褒めてくれていたことに口角をくすぐられては、嬉しそうに微笑んでしまう久守は軽く右手を下ろして行きつつ幸せそうな笑みを浮かべていき、「へへへ…でも、彼だけではなく、」眉毛に力を入れては、本気の眼差しを竜祥に向けていく彼女は真面目に声を発してしまい、「もう二人がいました、二人の男女が。」久守が補足しに来ていた一言に目を細めては、軽く右側の口角を上げてしまう竜祥、「ほほぉ…」


  意味深な声を発していた竜祥の事を見つめては、宛ら自分がさっき紡いだ言葉を認めているようにと軽く頷いていた久守は唾液を飲み込んで行きながら彼の顔を見つめて言う、「もしかしたらわたしは彼に気づかされていて…」目を細めてしまう久守は脳内に過っていく自分は上手く竜祥が自分の事を信頼してくれていた故にくれていたミッションをこなす事が出来なかった事を思うと、悔やんでいるようにと項垂れていく彼女は唇をすぼめていた、「彼はわざと自分に間違っていた居場所を知らせて来ていたのではないかと…」


  軽く右手を上げては顎に当てていた竜祥は久守の落ち込んでいるような姿勢に向けて軽く首を横に振っていた、「いや、そっちではないのだろうな。」宛ら竜祥が自分に向けてくれていた言葉が希望のようにと聞こえてしまう久守は縋っているような眼差しをチラッと彼に向けては、彼に尋ねている、「と言いますと?」久守が素直に自分に聞きに来ていた言葉に口角を上げられては、目を細めてしまう竜祥は軽く右手の人差し指を立てていき、「強化者は今は宝物のように普通の人に求められてしまうんだ、」ぼんやりと顎を上げては空を見上げていく彼は紅の瞳で満天の星々を目に収まっているような気がしてしまう久守は軽く両手を握っては、竜祥の星空を見上げている姿は途轍もなく格好良く思えている彼女は陶酔しているようにと頷いている。


  「考えるまでもない、」ゆっくりと瞬くような星空を跨ぐ流れ星から遠くにある柱に一瞥した竜祥、強く鼻翼に力を入れてしまう彼は胸元の奥からこみ上げて来ている怒りに苛まれては、軽く右手を握りしめていく彼は自分に熱気を放ってくれていた眼差しを向けてくる久守の事を意識してしまうと、無理矢理引き攣っているような口角を上げて行きながら右手を胸元に当てていた、「その男女は彼に守って貰っているのだろう。」


  竜祥が自分が紡いだ一言でまるで自分が見ていた光景を言葉で再現しているような気がしてしまう久守、竜祥の分析の強さに絶句されては見開かされている彼女は強く首を縦に振っていき、「は、はい!そうなんですよ…!」両手を握りしめてしまう久守は眉毛に力を入れて行きつつ、彼の顔を見つめては脇を締めていた彼女は軽く右手の人差し指を立ててしまい、「少し疲れていたような感じだったんだし、あの二人だけでなく、」竜祥が自分の言葉に眉をひそめては真剣に自分が紡いでいる言葉を聞いてくれている姿に心をくすぐられては、背中は焼かれているような気がしている久守はぽつりと艶やかな唇を開けていき、「野黒新という人も少しばかり疲れていた様子をしてました…」


  久守がぽつりと呟いていたようにと声にしていた言葉に目を細めていく竜祥は軽く視線を地面に向けてしまい、「そっか…うん、」右手で軽く顎を擦ってしまう竜祥はチラッと自分に見捨てられていたようなリーゼントの男性に一瞥しては、野黒新に関して集めていた情報を思い出してしまうと、ぽつりと声を上げていた、「こいつのおかげで、彼は精神的な病を抱えても全然おかしくないからね…」


  宛ら独り言を呟いているような竜祥が紡いだ言葉に戸惑っては思わず小首を傾げてしまう久守は軽く右手の人差し指を頬に当てて行きつつ彼に尋ねている、「精神的な病と…」竜祥が倒れていたリーゼントの男性に目を向けていた事につられては、チラッとリーゼントの男性に一瞥した久守、生き血で両膝を洗っていたような彼の死に様に心臓を握り潰されてしまいそうな気がしている彼女はごくりと固唾を飲み込んでは、恐る恐ると自分に目を向けて来ていた竜祥の事を見てはぽつりと疑問の声を発していた、「そのリーゼントさんと何か…?」


  久守が自分に投げて来ていた一言に目を細めては、微笑んでいく竜祥は何度も首を横に振っていき、「ううん、君が知れてもいいけれど、」横目で心臓の鼓動が止まっていたリーゼントの男性の体に一瞥していた彼は唾棄しているような眼差しを彼に向けては、喉から微かな怒りが混じっていた声を上げていく、「あまりにも残虐な出来事なんだからさ?」自分が真剣に紡いでいる言葉に眉をひそめては、宛ら物事の重大さに気づいているような久守に微笑んでいく竜祥はまったりと右足を彼女に向けて踏み出していた、「君に聞かせてしまうのは心苦しいよ。」


  ”ドクンー”刹那、まるで自分の風に冷やされていた左耳を温めてくれているような竜祥の指先に胸元の奥が強く震えられていたようにと感じてしまう久守、「うっ!」軽く生き血に汚されていなかった右手で久守の繊細な耳殻に触れていた竜祥は、目を細めながら自分に耳殻を撫でられているせいで思わず肩を縮めていた久守の紅の瞳を見つめては軽く首を傾げてしまう彼は言葉を紡いでいく、「このお耳に汚らわしい物を一切聞かせたくないんだからさ?」


  竜祥に自分の耳を撫でられている事を意識してしまうと、心臓の鼓動が段々加速しては思わず地団駄を踏んでしまいそうになっている久守は大慌てで両手で自分の大きく開けていた唇を隠していき、「うううわはぁ…!」久守の見る見るうちに赤くなっている耳殻に目を細めては、ゆっくりと右手を引いている竜祥は軽く視線を遠くにある道に向けて行きながら声を発していく、「場所を変えてみようかな、」軽く右手の親指で後ろにいたリーゼントの男性の死体を指差していく竜祥は久守に微笑んでいた、「そんな奴の体をこれ以上君に見せたくないからさ。」


  竜祥が自分に気を付けてくれている事を知れてしまうと、ぼんやりと佇んでは、身も心も既に彼に奪われていたような気がしてしまう久守は彼が言う言葉を抗うことが出来なくなっているような気がしてしまっては恐る恐ると頷いている、「は、はい…でも竜祥さまは足の傷は…」自分の返事に微笑んでは、まったりと自分の右側を通っていく竜祥のすらりとした両足を見つめてしまう久守は困っているようにと眉をひそめつつ彼に尋ねていく、「大丈夫なんですか?」


  「ええ、」久守が自分に投げて来ていた言葉に目を細めては、ぼんやりと右足の膝にある鈍い痛みを感じている竜祥は軽く顎を上げては、右足の痛みは精神的に負っていた傷と比べては、全然大したことはないと思いながら恐る恐ると自分の右側まで歩いて来ていた久守に一瞥していき、「大丈夫さ、」右手を胸元に当てていく彼はチラッと自分の右足に一瞥してはぽつりと渇いた唇を開けていた、「いつも俺に現実に甘ったれるなと教えてくれるからさ。」


  竜祥が彼の世界に入っていたようにと呟いていた一言に感動を覚えては、戦慄している両手で唇を隠していく久守はごくりと固唾を飲み込みながらぽつりと声を上げていた、「よくわかりませんが…格好いいです!」強く両手を握っている久守が自分に向けて来ていた感銘を受けているような一言に口角をくすぐられては、照れくさそうに微笑んでいく振りをする竜祥は軽く右手で後頭部を擦っていき、「あはは、そいつは恥ずかしな。」軽く鼻翼に力を入れていく彼は久守が自分に投げて来る潤んでいる赤い瞳に目を細めながら自分の微かに動きがぎこちなさが残されたいた右足を見下ろして行きつつ言葉を紡いでいる、「でもあの柱も不便って言うべきか、便利って言うべきか…」


  小首を傾げながら自分が口にしていた言葉を上手く理解することが出来ずにいる久守に一瞥した竜祥は思わず苦い笑みを浮かべていき、「昔の傷は治してくれないんだよな。」まったりと前に向けて両足を踏み出していく竜祥は顎を上げては海原のど真ん中で佇んでいた柱に恨んでいるような眼を向けている、「神の奴も適当に説明してくれたくせして、」シルエットの事を思い浮かんでしまうと、思わず右手を握りしめては歯ぎしりしてみたくなっている彼はぽつりと喉から悲憤に満ちている声を上げていた、「肝心な細部な事を知らせてくれちゃいなかったや。」


  竜祥の憤っている姿勢に見開かされては、思わずぱちくりしてしまう久守は軽く鼻翼に力を入れて行きつつ、ごくりと固唾を飲み込んでしまい、「そ、そうだったのですね…」「ええ、」久守が発していたまるで自分の事を怖がっているような口調に微笑んでいく竜祥は頷いて行きつつ右手を胸元に当てて言う、「体の自然回復のペースを上げていただけなんだ。」竜祥が紡いだ言葉を聞いてしまうとつい彼の右足に視線を向けてしまう久守、彼は具体的にどんな傷を負って仕舞ったのかは分からないけれど、彼の右足の傷はもう治れそうにないことを思うと、つい悲しい心境になっては、人々の為に何処までも尽くして来ていた善良な彼は酷い目に遭わされているのを考えると、涙をこぼしてしまいそうな気がしまう彼女はぽつりと呟いていた、「そうなんでしたか…そ、そいえば…」軽く右手をポケットに当てては、杖を使っていた竜祥も少なからず傷の事を快く思われていないはずなのだろうと思っていた久守は彼に機嫌を直して欲しいと思いつつ、自分がコッソリと下心が混じっていた言葉を彼に向けている、「わたしはまだ竜祥さまとアドレスを交換していませんでしたよね…?」


  ぼんやりと右足を止めては、華奢な両手で携帯電話を握っていた久守が自分に向けて来る姿勢に目を細めていく竜祥は、淡い笑みを浮かべながら恥ずかしい思いをしているせいで両膝をくすっているような久守の事を黙々と凝視していく。「折尾さんとはしましたけど…」言葉を紡いでいた久守は竜祥と携帯番号を交換することを考えてしまうと、つい背中が焼かれているような思いをしては、思わずごくりと固唾を飲み込んでいく彼女はぱちくりながら潤んでいる赤い瞳で彼の事を見上げて行きつつ、ぽつりと声を漏らしている、「ここに来いって言ってくれたのも彼女でした…」竜祥が自分にだけ微笑んでくれては自分が紡いでいる言葉を聞いてくれている今と言う瞬間に幸せを覚えてしまう久守は、軽く口角を上げて行きつつ横目で彼の顔を見つめながら弱っている声で言葉を紡いでいた、「野黒新という人の居場所を見つけていた時で何とかお知らせしようと思っていたけれど…」


  「うん、」生き血に汚されていた左手は血痕に引っ張られているような気がする竜祥は自分がぽつりと上げていた肯定する返事に見開かされては、あんぐり口を開けている久守に微笑んで言う、「後で君に教えるよ、でも何かのメールを送ったらそのアドレスを消した方がいいよ?」戸惑っては眉間に皺寄せている久守は自分が紡いだ言葉に納得していなくとも頷いてくれている事に微笑んでは、軽く右手の人差し指を立てていく竜祥は彼女に説明しているようにと声を上げていき、「万が一誰かが俺の事を快く思っていなかったら、俺と関わっていることを知らせてしまうと、」真剣な表情を浮かんでは軽く顔を呆然としている久守に近づかせている竜祥は声を発していた、「君にも危険な目に遭ってしまうからさ?」


  竜祥が自分に向けて来ていた一言を聞いてしまうと、思わず細い眉毛を上げてしまう久守はぱちくりながら強く汗ばんでいる両手を握っていき、「は、はい…!」鼻翼に力を入れてしまう彼女は竜祥は何処まで自分の事を思って作戦を下してくれている事に感激を覚えては、自分はとんでもないの幸せ者なんだと信じ込んでいる彼女は自分の事を殴りに来ているような胸元を両手で押さえながらぽつりと呟いていた、「心配してくださるのですね…」

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