第83話何でも相談に乗るよ?お金の話?

  和流がまるで自分が携帯電話に言わせていた言葉にからかわれているかのように微かに口角を上げている姿に目を細めては、微笑んでしまう野黒新は右手にある携帯電話を弄って、軽く携帯電話を上げていきつつ左右に揺らしている、『スマホだかんな、したが不自由なんで。』携帯電話から伝わって来ている言葉に目を半開きさせては野黒新の嬉々としている表情を目にしてしまうと、思わずため息を吐いて見たくなっている和流はぽつりと飽きれているような声を漏らしていき、「舌なのか下であるかは敢えて聞かないでおこう…」


  和流が自分とじゃれ合っていたように紡いだ一言を聞いてしまうと、彼は少しばかり元気になれているはずだと思ってしまう野黒新、目を細めている彼はぼんやりと視線を右手にある携帯電話に向けて行きながら携帯電話に声を発して貰い、『いい夢を見ることを願ってるぜ、友よ。』「うん…」まったりと両手を太股に付けては立ち上がって来る野黒新の姿勢に目を細めては、彼がいると自分と白野は多分安全でいられるはずなんだと思ってしまう和流はぽつりと感謝の気持ちを込めては呟いていた、「ありがとう…友。」


  まったりとサイドテーブルの隣りを通っては廊下に向かって歩いていく野黒新の行動に戸惑ってしまう和流は小首を傾げながら彼に尋ねていき、「お前ももう寝るのか?」『いや、』横目で和流に一瞥した野黒新は右手にある携帯電話を軽く上げていき、『電気を消すだけだ。』「え?」携帯電話の平然としている口調で紡がれていた一言に戸惑っては思わず眉間に皺寄せてしまう和流はつい間の抜けたを発していた。


  和流のまるで自分が携帯電話に言わせていた言葉の意味を理解していないように戸惑っている姿を見ながらまったりと暗い廊下まで歩いていた野黒新、『夜の蛍は綺麗よな。』「え、ええ…」ぼんやりと左手を握りながら右手を水玉のパジャマのポケットに突っ込んでいた和流は野黒新の隣りまで歩いては声を発している、「まぁ…綺麗だけど…?」目を細めてしまう彼は白い壁に付けられていたスイッチに触れようとしている野黒新の人差し指を見ながらぽつりと声を発していき、「本当はゴキブリのような形をしていたと知った時にはガッカリしてたけどな…」


  『お前…』薄暗くなっていた周りの事を右手にある携帯画面の光で照らしている野黒新は右耳に入って来ていた和流の小さな声に目を半開きさせては、携帯電話に文句交じりの言葉を言わせている、『完璧なまでに俺が言おうとしていた話を邪魔しやがったな。』「え?」野黒新の苦笑いしながら左手の人差し指で頬を掻いている姿に戸惑いつつも小首を傾げていく和流はぽつりと疑問の声を漏らしていき、「なんで?」


  『夜の蛍が綺麗だから故に、』ぼんやりと目を細めては自分が携帯電話に言わせていた言葉を聞きながら、横目で和流の戸惑っている表情を見てしまう野黒新、悔しそうに軽く歯を噛んでしまう野黒新は自分は折角格好いい言い回しを思いついたのに、和流の一言で台無しにされて仕舞ったように思えては、可笑しそうに淡い笑みを浮かべている、『人は捕まえて見たくなるもんなんだろう?』携帯電話から発している平然としている声に絶句してしまう和流、「あ…」


  あんぐり口を開けている和流のぱちくりしては自分に向けて来る申し訳なさそうな表情に軽く笑ってしまう野黒新、『だから消しておくよ?』流し目で彼から廊下の左側にくっついていたかのような階段に一瞥した彼、『部屋まで送ろうか?』「う、ううん…」右手を上げては左右に向けて振らしていく和流は苦笑いしながらぽつりと声を発していく、「いいや…俺は。」和流が自分の力を借りたくないでいる姿に目を細めては軽く口角を上げてしまう野黒新は携帯電話に言わせた、『そう。』


  「うん…」軽く頷いては渇いた唇を舐めてしまう和流、俯いてしまう彼は野黒新はずっと自分たちの為に夜で寝ずに見守ってくれていたことを思ってしまうと、つい渇いた喉のことを気にしていられなくなり、猛然と額を上げていく彼は真剣な表情をスイッチを押そうとしないでいる野黒新の暗闇に浸食されているような瞳を見つめては声を上げていた、「なぁ、俺が囮になってもいいんだぜ…?」宛ら自分に何を言っているのかと聞きに来ているような野黒新の顔を見つめている和流は左手を胸元に当てては、提案しているようにと右手の人差し指でさっき座っていた場所を指差して行きながら声を上げている、「もし誰かが襲って来るのなら、」軽く歯を噛んでは野黒新に自分たちのことを完全に任せるのは彼のことをいじめているように思えている和流、「いっそ危害を一人にまとめてた方がましだろう?」目を細めながら自分の話を黙々と聞いてくれている野黒新のことを見つめては、軽く鼻翼に力を入れてしまう和流、強く汗ばんでいる右手を握っていく彼は何とか白野のことを守ってあげたいと強く思っては、迷わずに言葉を紡いでいた、「俺はなんも出来ないからさ…?」呆然と携帯電話を見下ろしている野黒新の顔を見つめている和流は強く胸元に当てている左手を握ってはパジャマのひんやりとした感触を感じながら大きな声を発していた、「だからそこで電気を付けて待っていればー」


  『万が一相手はわざわざ電気を付けて待っているお前の事が自分の実力に自信があると思い込んでいて。』否応なしに自分が言おうとしている言葉を遮って来ていた携帯電話から発していた声に見開かされては、思わず間の抜けた声を発してしまう和流、「え?」目を細めている野黒新は和流が自分に向けて来ていた言葉を考えてしまうと、つい彼は純粋な男だと思っては、白野と同じように彼のことを失いたくないと強く思ってしまう野黒新は急いでいるかのようにと右手の親指で携帯画面に残像を残していき、『そこで敢えて二階に行ったりとかしてたらどうする?』


  「うっ…」携帯電話から発している野黒新の考えを否定することが出来ずにいる和流、軽く歯を噛んでしまう彼は自分が浅はかだった考えをいざ実行して仕舞ったら白野に危険に晒してしまう事を思うとつい弱っている肩を縮めてしまい、「そ、それは…」『余計な事を思わなくだっていいんだぜ、』目を細めながら軽く口角を上げていく野黒新は軽く左手を和流の弱っている右肩に置いては切なげに眉をひそめている彼のことを元気づけてあげたいと思っている、『俺はここにいられるのはお前たちのおかげなんだからさ、』軽く左手を和流の弱っている肩から引いては胸元に当てていく野黒新は自信に満ちているように微笑んでは携帯電話に声を発して貰っていた、『このくらいは俺に任せておけ?』


  野黒新が無理矢理自分為に口角を上げている姿に目を細めてしまう和流、軽く唾液を飲み込んでは熱くなっている喉が微かに冷やされているように思えてしまう彼はぽつりと渇いた唇を開けてしまい、「うん…すまん…」和流の辛そうに項垂れては自分の無力を恨んでいるかのように強く両手を強く握っている姿に微笑んでしまっては、彼に重たい心境になって欲しくないでいる野黒新は携帯電話に平然とした声を上げて貰っていき、『いいってことよ。』


  ぼんやりと俯いていた和流はマホガニー制の床見下ろしながらまったりと背中を野黒新に向けては、まるで自分のことを迎えているような暗い階段に向けて、右足を前に向けて歩き出していた。忽然、宛ら重たい黒い鎖に体を雁字搦めにされているような感覚に大きく唇を開けてしまう和流。暗闇に飲み込まれているような黄色の瞳で真っ黒な湯気のように自分の周りで漂っているものに否応なしに眉毛を上げられては、体が鎖に締められているせいで上手く動くことが出来ずにいる彼は絶望に体の芯を侵されてはつい畏怖に満ちている声を漏らしていた、「いやだ…」


  「だから!」突然、まるで自分の身体を殴ってきているような男性の憤っている声色に見開かされては、猛然と歪んでいる視界を自分の周りに向けてしまう和流。「何度も言ったろうが!」急いでいるかのようにと真っ赤に感じてしまう怒りに満ちている声色を探そうとしていた和流、忽然、まるで自分の顔を固定して来ているかのような体中が焼かれているような思いに眉間に皺寄せてしまう彼は辛そうにまるで自分の体を溶かして来ようとしている真っ赤に燃え盛っている鎖のことを見下ろしてしまい。


  「何でお前はいつも俺の言うことを聞かないんだ!」宛ら自分のことを睨んできているような真っ赤に燃えては、充血している不気味な眼は鎖の中から浮かんで、自分の開けている唇を無理矢理閉ざしている。「いいでしょうが!」忽然、まるで自分の身体を燃やしてしまいそうな真っ赤な鎖から救いに来るような寒風に眉をひそめてしまう和流、自分の両足を凍り付いてきているような青色の氷が否応なしに自分の前に向けて出していた両足を氷の彫刻にしては、自分の心臓に向けて徐々に両足に沿って浸食しに来ている事に絶望を覚えている彼。


  「別にお金を友達に借りてあげてただけでしょ!」両膝を潰してしまいそうな冷え切っている青色の氷から女性の悲憤に満ちている表情を見てしまうと、宛ら両足を奪って来ている氷より女性の眉間に皺寄せながら大きく唇を開けつつ飛沫を散らしている姿勢の方がずっと怖いと言っているように、勝手に小刻みに左右に振らしてしまう首に心の防波堤が瞬く間に潰されて仕舞ったように思えてしまう和流は弱り切っている声を上げていき、「嫌だ…」


  「家計の問題についてちゃんと相談しろって!」まるで青色の氷より先に自分の心を潰そうとしている熱さに胸元の奥が強く震えては、体中が汗で洗われているような気がしている和流はつい感覚が狂ってしまいそうな苦しみに打ちひしがれては唸り声を上げていた、「うっ!」徐々に体を縛るだけではなく皮膚に食い込んで来る燃え盛っている鎖は自分の肌に食い込んでは、黒い煙を立たせながら狂ったように大きな声を上げていた、「何回言ったらこの豚のような頭が理解してくれる!」


  ”パリンー”宛ら弾丸が真っ黒な世界に割り込んでいたかのように目の前にある黒い湯気に真っ赤な罅をつけていた男性の声に心臓が抉られているようにと感じている和流。「豚ですって…!」自分に息継ぎをさせるチャンスを与えようとしないでいる冷え切った青色の氷に両足が完全に奪われては下半身の存在を感じることが出来なくなっている和流。「このあほ!ドアホ!」燃えている鎖を叱っている氷に腹部の奥が支配されているような気がしては、体が冷え切っている氷と燃え盛っている火に挟まれ、思わず泣き出しては二人にもうやめてくれとお願いしてみたくなっている和流。


  「もういい!離婚だ!」”ドクンー”突然、まるで全ての味わった事のない苦しみを止めに来ているような燃え盛っている鎖が自分の心臓を貫いて来ていた一言に、汗に濡らされている眉毛を上げられてしまう和流。「お前なんかとこれ以上一緒に生活してたらいつ何億の借金を背負っても可笑しくないぜ!」和流の胸元の奥をコントロールしていたような燃え盛っている鎖は追い打ちをかけるかのようにと猛然と彼の腹部に沿っては青色の氷に向かっては夥しい火花を飛ばしていき、「阿婆擦れが!」


  「この…!」自分たちに挟まれては言葉を紡ぐ気力を失っている和流のことを気にすることなく、自分に火花を飛ばして来ている燃えている火に苛立ちを覚えている青色の氷は猛然と和流の両足を奪っていた自分の身体を上げていき、「いいわ!離婚よ!」宛ら和流の身体の半分を巨大な拳と化していたような氷は和流の胸元にある燃えている火の塊を指差しながら叫んでいた、「あんたとなんか一緒にいた方が心臓に悪いわ!」


  ”ジーンー”「うう…」忽然、まるで火から自分を奪い返すようにと当たり前のように胸元の奥に向かって刺して来ていた冷え切っていた氷の感覚と燃えているような心臓が混じり合っている感覚に唇をこじ開けられている和流、「ううああ…!」まったりとピンク色になっている目尻から救いを求めているような透明な涙の粒は急いでいるかのようにと主人から離れていき、苦しそうに涙をこぼしてしまう和流は火と氷から逃げたくなっているように身体を暗闇に包まれている空に向けて出していきつつ声を発している、「離婚…」痙攣しているような喉から声を絞り出していく和流、鼻の奥が痺れているような苦しみを味わっている彼は鼻を啜ってしまい、「しないで…うぐっ…」


  ふとした瞬間、まるで自分に溺死の気分を味合わせて来ているような鼻腔の奥の麻痺されては、脳が辛辣なまでの痛みに侵されている感覚に閉じていた目がこじ開けられている和流、「ああ…」鼻梁を撫でているような冷たくなっていた涙の粒の感覚と自分の枕を濡らしていた涙を目にしてしまうと、体が汗だくになっている感覚に苛まれている和流はぼんやりと左手を柔らかいベッドに付けては、ゆっくりとやけに重たく感じてしまう体を起こして行きながら宛ら全てを失って仕舞ったように思えている彼はぼんやりと充血しては、赤い糸に苦しめられている黄色の瞳で自分の体を温めてくれていた緑色の布団を見下ろしつつ、軽く鼻翼に力を入れてしまう彼は右手を上げては自分の汗ばんでは、冷たくなっていた額を支えて、ぽつりと声を発していた、「夢…だったのか…」自分がさっき見ていた夢のことを思い出してしまうとつい自嘲気味に笑ってしまう彼はぽつりと声を発していた、「もう…遅いか…」


  宛ら重たい心境を振り解こうとしているような和流は大きく息を吸い込んではごくりと唾液を飲み込んでしまい、軽く右手の手の甲で額の汗に濡らされていた前髪を拭いていく彼はぼんやりと自分の左側にある水色のカーテン越しでまるで自分に挨拶を交わして来ているような弱い日差しに目を細めては、つい今の時間が気になってしまう彼はぼんやりと視線を左側にあるサイドテーブルに向けていきつつ、ゆっくりと左手を伸ばしては携帯電話を掴もうとしている。


  自分に元気をつけてくれているかのような灰色の髪の毛が付けられていたアヒルの玩具に目を細めてしまう和流、青色のサイドテーブルの上に置かれてた赤い縁の星の形をしていたサングラスをかけていたアヒルの姿を黄色の瞳で映し出してしまうと、気分が優れないでいた彼はまるでアヒルの存在に口角がくすぐられているように思えてはぽつりと声を発していた、「おはよう。」軽く左手を携帯電話を手にとってしまう彼は首を横に向けて振りながら、もはやただの玩具に挨拶を交わしてしまう程に自分は落ちぶれていたのかと思ってしまうと自嘲気味に口角を上げていた彼は自分の浮かない表情を照らして来ているような携帯画面を見ながらぽつりと声を発していた、「六時か…」まったりと悲しみに鷲掴みにされているような胸元の奥からこみ上げて来るまったりとした温かい気分に唇を開けれている和流は背筋を伸ばして行きながら伸びをしている、「うう~」体が柔らかくなれているような気がしてしまう彼は目を細めながらぽつりと呟いていた、「まだイベントに行くのは早すぎるか…」


  独り言を呟いてしまう和流は憂いに満ちている眼を自分の水色の枕に向けては、宛ら暗い太陽を枕に作り上げていた水の跡に目を細めてしまう彼は思わず苦笑いしては、憂鬱に耽ってしまい。”ブーブー”突然、猛然と自分の左手の中で暴れ回ってはまるで自分の左手から逃げ出そうとしている携帯電話に細い眉毛を上げられてしまう和流は思わず大きな声を上げてしまい、「ううあ?!」ぱちくりしてしまう彼は心臓が殴って来ていたような携帯電話のバイブレーションに苛立ちを覚えてはつい眉間に皺寄せてしまい、「誰だよ…もうー」


  忽然、携帯画面に浮かんでいた雫の名前に見開かされては思わず間の抜けた声を発してしまっては、ごくりと固唾を飲み込んでいく和流、「あっ…」白皙の喉仏は頷いているようにと上下に動いていた彼、「あ、ありがとう…」携帯画面に表示されていた名前を目にした瞬間、心が一瞬にして救われているような気分を味わっている和流は自然と上げている口角につられているかのようにと額を上げては、白い天井を見上げてしまい、「神様…この哀れな僕に救いを…」軽く右手を天井に向けては白野が電話をかけてくれていた事に奇跡にすら思えてしまう和流、「いや…」左手にある自分の手のひらでダンスを踊っているような携帯電話の感覚に目を細めては、急いでいるようにと左手で携帯画面を弄っていく和流、「んなことを言っている場合じゃないや…」ぽつりと呟いていた彼は慌てて左手にある携帯電話を耳に当てて行きながら弱っているような声を上げていた、「もしもし?白野?」


  「う、うん…」ぼんやりと椅子に座っては机に右手をつけていた白野は流し目で自分の左側にある分厚い黄色のカーテンに一瞥しては申し訳なさそうに声を上げて行き、「ごめんね?邪魔してたのかな…」軽く右手を上げては痒くなっている頬を掻いてしまう彼女はぽつりと呟いていた、「眠ってたよね…?」宛ら眉をひそめているような彼女が自分に向けて来ている弱っている声色に自然と微笑んでしまう和流、「ううん…」白野の声を聞いたおかけで体が元気になれているような気がしている彼はまったりと両足をベッドから離れて、床にあるスリッパに付けて行きながら声を発している、「全然…」チラッと横目で涙に濡らされていた枕に一瞥した彼は苦笑いしながら右手で痒くなっている頬を掻いてしまい、「むしろ早くかけてくれた方が助かるかな…」


  「なによ?」和流の濁っているような声で紡いだ言葉を耳にしてしまうと思わず彼のことを心配になっては、横目で分厚いカーテンを見てしまう白野は両足がカーテンに引き寄せられているような気がしては真剣な表情を浮かんでいた、「悪夢でも見ちゃったわけ?」白野がまるで答えを言っているような質問を耳にしてしまうと思わず苦笑いしてしまう和流、「あ、あはは…」渇いた笑い声を上げていく彼は軽く右手で後頭部を擦りながらぼんやりとカーテンの前で佇んでは、目を細めてしまい、カーテンを開けたら白野に自分が泣いていた顔を見られてしまうと思うと、彼女に自分の苦しみに巻き込んで欲しくないでいる彼、軽く歯を噛んでしまう和流は首を横に向けて振っては無理矢理項垂れている口角を上げていきつつ、元気そうな声を上げようとする、「そ、それより、なんかあったのかな?」電話越しで感じている白野が上げている不満そうな唸り声を耳にしてしまうとつい弱ってしまっては、肩を縮めている和流はぽつりと声を発していき、「こんな朝早くから…」


  「どうしたの?」和流が自分が彼に向けていた質問をあからさまなまでに回避していたことを思うとますます彼のことが心配になっている白野は眉間に皺寄せながら彼に尋ねていき、「最近見かけていないから、なんか遭ったの?」「い、いや…」白野が執拗に自分には答えたくない質問を投げて来ている事に苛まれているような気がしつつ、自分はとんだ幸せものように思えてしまう和流は軽く口角を上げてはぽつりと呟いていた、「だから別に何もないって。」


  「本当に?」和流の濁っているような声色の中で微かに彼が泣いていたような気がしてしまう白野は横目で携帯電話を見つめては、何度も彼のプライバシーに関して尋ねてしまう自分は小うるさく思えてても、やはり彼のことを心配になっている彼女は右手で携帯電話を握っては不安な声を発していき、「何でも相談に乗るよ?お金の話?」「いや…」白野の本気で自分に向けて来ているひっかけ問題ですら呼べない質問に目を半開きさせてしまう和流は苦笑いしながら声を上げていた、「何で金の話になるのかな…?」


  「こ、こ…」和流が自分と同じようにお年頃である事を思ってしまうとつい彼には好きな人でも出来ていたのかと思ってしまっては、前のめりになっている白野は左手で携帯電話を隠しながらぽつりと声を発していた、「恋の話だった…?」まるでいけないことを聞きに来ているようにと声を抑えている白野の口調に目を半開きさせてしまう和流、「まぁ…」ぼんやりと顎を上げては息を吸い込んでいく彼は夢で遭っていた事を思い出してしまうと、白野は間違っていないように思えてはぽつりと弱り切っている声を上げていた、「恋の話じゃなくないな…あながち…」


  携帯電話越しで聞こえて来た和流が自分が彼に投げていた質問を認めてくれていた一言にビクッと繊細な眉毛が跳ねてしまう白野は言う、「へ、へ…」口角が引き攣っているように思えてしまう彼女は苦笑いしながら左手でやけに疼く胸元を握りしめては横目で携帯電話を見ていき、「どんな子に惚れたのかな?」ごくりと固唾を飲み込んでしまう白野は和流が素直に自分がしていた質問を答えないと言うのなら追い打ちをかけてやろうと思い、恐る恐ると声を発していく彼女、「や、やっぱり…春菜ちゃん…?」


  「ちげーよ、」白野が自分が彼女以外の誰かに恋をしていた事を思っている事に苛立ちを覚えしまう和流は、つい不貞腐れるかのようにと唇を尖らせてはぷいと首をサイドテーブルに向けていき、「別の人の恋の話だ。」「そ、そうだったんだ…」和流はまだ誰かと恋をしていないことを聞いてしまうと、暴れているような胸元の奥の鼓動が大人しくなれているような気がしつつ、軽く胸元をなで下ろしていく白野はぽつりと安堵の声を漏らしてしまい、「良かった…いや…」大慌てで首を横に振っては和流が気に病んでいたぐらいの事が良いはずがないと思っては、補足するように言葉を紡いでいた、「全然良くないわよね…?」辛そうに目を細めてしまう彼女は項垂れてはぽつりと声を上げていく、「夢の中で出てくるぐらいに大切な人なんでしょ?」軽く震えているような左手を握ってしまう彼女は眉間に皺寄せては切なそうな眼差しで携帯電話を見てしまい、「もしかして新と春菜ちゃんのことを夢に見てたのかえ?」

  

  白野が上げていた微かに震えているような声色に目を半開きさせてしまう和流は思わず苦笑いしてしまい、「なんでいちいち俺の夢にそんなに興味を持ってしまうのかな…」軽く右手の人差し指で頬を掻いてしまう彼は流し目で携帯電話から水色のカーテンに視線を向けていき、「君は…」軽く鼓膜にノックして来ているような和流が文句交じりの言葉にビクッと細い眉毛が跳ねてしまう白野、「だ、だって、」思わず唇を尖らせてしまう彼女はぱちくりながら不満そうな眼差しをカーテンに向けてはぽつりと声を発していた、「し、知りたいじゃない?」


  「面白い話でもなければ…」白野が自分に向けて来ている好奇心に苦笑いしてしまう和流は困ったように目を細めながら言葉の続きを紡いでいき、「夢の話はどうにもならんだろうが…」「それもそうね…」和流が口にしていた言葉を聞いてしまうと、彼が少し元気になれているような声色に口角がくすぐられているような気がしてしまう白野、彼の声を聞いていれば安心できるように思い、もう少し彼の声を聞いて見たくなっている彼女はぽつりと声を発してしまい、「まぁ、電話をかけて来たのは…」ぼんやりと机を見てしまう彼女は自分の泳いでいるような視線に心が揺れていることを否応なしに知らされているように思えては、申し訳なさそうな声を発している、「大した話はいないんだ…」白野のまるで誰かに叱れていたような口調を耳にしてしまうと軽く笑ってしまう和流は彼女の声が愛おしく思えてはぼんやりとカーテンに向けて上げていた右手を引いては、まるで自分のことを見守ってくれているような灰色の髪の毛をつけていたアヒルの玩具に目を向けていた、「そう。」


  「かけて来るな!」強く両手を握っては肩を縮めていた白野は和流の声を真似しては恐る恐ると横目で携帯電話を見ていき、「とか…言わないんだね?」白野の怖がっているような口調を耳にしてしまうと可笑しそうに微笑んでしまう和流は小首を傾げながら彼女に尋ねていき、「なんでそんな風に言う?」「だ、だって…」和流が上げていた平然としている声色を耳にしてしまうと、不満そうに眉をひそめては唇を尖らせてしまう白野、「まだ朝六時なんだし…」軽く鼻翼に力を入れてしまう彼女は和流は無理して自分に怒らないでいるのかと思ってしまうと、ますます彼に負い目を感じてはぽつりと呟くようにと声を発してしまい、「何の用もないのに電話をかけるのは非常識でしょ?」


  白野のまるで叱れていた子供のように畏怖しているような口吻に苦い笑みを浮かべてしまう和流は困ったようにと右手の人差し指で軽くこめかみを掻きながらぽつりと声を発していき、「知っているのにかけて来るんだな…君って。」「うう…!」和流が自分に文句を言って来るのは当たり前だと思いつつも、彼に文句を言われていたことに不満を覚えてしまう白野は悪態をつくようにと横目で携帯電話を見ていき、「悪い?」


  「悪くないよ?」白野の無邪気な子供のように素直な態度が愛おしく思えている自分は変のだろうかと思ってしまう和流は、右手で後頭部を擦りながらぼんやりとカーテンを見つめて、カーテンを捲ったらもし向こう側にはカーテンが閉めているところを目の当たりにしてしまったら自分は変に意識しては再び悲しみの海に沈んでしまうのだろうと思ってしまう彼は寂しそうに目を細めながら言葉を紡いだ、「どうせ新と春菜と一緒にイベントに行くのが楽しみにしてたから夜は眠れなかったのだろう?」

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