第60話廊下で立って景色を見れるのも悪くないからさ。

  苦しそうに涙を零している白野は自分の鼻水で野黒新のパーカーと顔を汚したくないと思いつつ、震えているような頭を後ろに向けて引いて行く彼女は軽く唇を噛んでは痺れているような鼻を啜ってしまい、「何で…」両手で野黒新の体を抱きしめている彼女は彼の体を放してしまうと彼は消えてなくなってしまうと思っては、彼の事をはっきりと見たいと思いつつ、霞んでいる視界に苦しめられている彼女はぽつりと弱り切っている声を発していた、「何であたしの事を見つけてたの…?」


  右手にある携帯電話を落としたり壊したりしないようにと大事そうに握っていた野黒新、白野の赤くなっている頬に微笑みながら軽く左手を上げては彼女の頬にある涙を拭いて行く彼、「そりゃあ…」白野に抱きしめられている事が少しばかり気恥ずかしく思えてしまう彼は彼女から視線を逸らしてはぽつりと声を発してしまい、「デスティニー?」「えっ…」忽然、野黒新が紡いだ言葉に見開かされては、涙が無理矢理止められているような気がしてしまう白野、軽く鼻翼に力を入れては唇を噛んでしまう彼女は悩んでいるように眉間に皺寄せては、野黒新の話を耳にしていたせいで脳内に過って行く和流の事が気になり始めている彼女、「で、でも…あたしは…」


  項垂れては冷静になれているかのようにゆっくりと自分の体を解放してくれている白野の俯いては唇を噛んでいる姿に目を半開きさせてしまう野黒新、「いや…」悩まされては苦しそうに頭を抱えている彼女に軽く笑ってしまう彼は言う、「冗談だから、マジで困るのはやめて?」野黒新の呑気に紡いだ一言にビクッと左側の眉毛が跳ねてしまう白野、彼の平然としている表情を目にしてしまうと、自ずと自分は彼にからかわれていたと思っては悔しそうに歯を噛んでしまう彼女は鼻翼に力を入れては左手を胸元に当てて行き、「あ、あたしはあんたの姉さんを目指してるんだからね…!」鼻声になっている白野は野黒新に忠告するように左手の人差し指を立てて言う、「お姉ちゃんに恋いしちゃあかんで!」


  白野の涙を止めては元気になれている姿が微笑ましく感じている野黒新は流し目で彼女の事を見ながら声を発して行き、「故意ならどうだろう。」野黒新の言葉に目を半開きさせてしまう白野、鼻を啜ってしまう彼女は右手の手の甲で自分の人中を汚していた透明な液体を拭いて行きながらぽつりと声を発していた、「なに難しい事を言っているのよぉ…」野黒新のまるでいたずらっ子のように自分に見せてくれている笑みに安心感を覚えては、出口はどこにあるのかは分からないけれど、自分はもう助かったように思えてしまう白野、「でも…凄いわね…あんたって…」軽く両手を握っては暴れ回っている胸元の奥を押さえている彼女は回りを見渡して行きながら、野黒新は一体どこから出て来たのかが分からなくなってはぽつりと声を発してしまい、「この迷宮は滅茶苦茶長いんだよぉ…?」


  白野のまるで自分の事を幽霊なのかと疑って来ているような眼差しに苦笑いしてしまう野黒新は言う、「まぁ、迷宮は所詮人間が作ったものなんだから、」軽く右手で頬を掻いてしまう彼はつい白野の白皙の両手に視線を奪われては彼女の微かに膨らんでいた胸元を見てしまい、小首を傾げて自分にどうかしたのかと尋ねて来ている彼女の視線を感じてしまうと、急いでいるかのように彼女の両手から視線を逸らしては、つい友人の胸元を見ていた自分はとんだ屑野郎だと内心で自分の事を責めながらぽつりと弱っている声を発していた、「破るのも人間であるべきだろう。」


  野黒新が自分にして来ている説明をぼんやりと聞いては真面目に考えていた白野はつい戸惑っているような声を発してしまい、「何を言っているの…?」戸惑っている彼女は申し訳なさそうに頬を掻いては言葉を紡いだ、「あたしにもわかるような解釈でお願い…」白野の困っているような姿に口角がくすぐられているような気がしてしまう野黒新、「簡単な話だ、」軽く左手で後頭部を擦ってしまう彼は軽く右手の親指で自分の右側にある緑色の壁を指してしまい、「壁に登ったら、自ずと全てが見えて来るはずだからさ?」野黒新の能天気なまでの口調に絶句されてしまう白野は猛然と視線を自分の左側にある壁に向けては、緑色の壁の上にある踏まれていた葉っぱをぱちくりながら見てしまい。


  白野と一緒に自分が壁から下りていた跡を証明してくれているような少し凹んでいた緑色の草を見ている野黒新、目を細めている彼は自分が可憐な花を踏んでいなかった事を確認してしまうと、草に申し訳ない気持ちを抱えながら、白野に自慢しているように顎を上げては軽く右手の人差し指で鼻先を擦っては言葉を紡いで行き、「俺は方向に強いんだ~」野黒新が口にしていた方法を聞いてしまうとつい彼が高い壁から転んでしまったらどうしようって脳が勝手に想像してしまう白野は目を半開きさせながらぽつりと声を発してしまい、「ほ、方向は関係ないでしょ…」野黒新の元気そうな姿を目にしてしまうと、もし彼が自分を助ける為に骨折でもしたら自分はきっと一生自分のことを許せなくなるのだろうと思いながら、彼の事をこっぴどく叱ってやろうと思っていた彼女は野黒新は自分の為にわざわざ危険を冒していたことを思うとつい怒れなくなっては、右手の人差し指で涙を拭いて行く彼女は飽きれているかのように自分の左側にある壁を見上げてはぽつりと呟いていた、「もはやずるじゃん…ってかこの壁…」横目で腕を組んでは自分に合わせているかのように花弁で出来上がっていた絨毯の上で胡坐をかいている彼を見てしまい、「二メートルぐらいがあるのにぃ…?」


 白野の自分のことを信じられないでいるような眼差しを感じてしまうと、軽く鼻で笑っては左手の人差し指で鼻先を擦ってしまう野黒新は自慢しているように言葉を紡いで行き、「へっ、物に登るのが得意なんだ。」宛ら自分の姿勢に絶句されているような彼女のことを見つめている彼、右手にある携帯電話を軽く握っては左手を地面を踏んでいる左足の太股に付けては彼女に向けて左手を伸ばして行き、「ほら、歩けそう?」


  野黒新が地面に汚されていたズボンに目を向けてしまう白野はまるで自分に向けて差し伸べてくれている彼の小汚くなっている左手に困っているように口角が斜め下の方向に向けてしまい、両足が痺れては力が入れなくなっている彼女は眉をひそめては左手を軽く引いて、ズボンで小汚くなっていた左手をズボンで拭いている彼に目を向ける事なく、自分の痙攣しているかのように震えている両足に視線を向けていく彼女はぽつりと声を発してしまい、「うう…無理…」


  白野が紡ぐ言葉にビクッと左側の眉毛が跳ねてしまう野黒新はチラッと自分のズボンで綺麗になれている左手の手のひらを見ながらぽつりと声を発して行き、「何でだよ…」彼女は自分の左手が汚されていたからと言って自分の左手を握ろうとしないでいるはずがないと知りながら、白野が自分の左手をことわっていた事に微かに不満を覚えては、文句交じりに言葉を紡ごうとしている野黒新は切なげに横目で彼女の顔を見てしまい。


  「無理なのは無理なのよ…!」自分がわがままだと知りながら軽く痙攣しているような両手を握ってしまう白野は猛然と額を上げては潤んでいる瞳を野黒新に向けてしまい、「もうずっと歩いて来てたんだからね…!」白野の頬を膨らませている姿に口角がくすぐられているように思えてしまう野黒新、彼女に自分の汚されていた左手を嫌われていないことを知ってしまうと安心している彼は微笑みながら軽く顎を引いては彼女に尋ねて行き、「おんぶする?」


  野黒新のまるで自分の事を子ども扱いしているかのようにゆっくりと自分に背中を向けて来ている姿に見開かされては、向きになっている白野はつい腕を組んではぷいと首を横に向けてしまい、「いやだよ…!」眉間に皺寄せている彼女は不満そうに彼に向けては言葉を紡いでいた、「あたしにさせなさいよ!」疲れているはずの白野が自分にかけて来ていた訳の分からない言葉に呆気に取られてしまう野黒新は猛然と胸元を彼女に向けて行き、「何でだよ!」迷わずに携帯電話を握りしめている右手を前に向けては腕を組んでいる白野のことを指差してしまう彼は不服そうな声で言葉を紡いでいた、「立つことも出来ねぇじゃなかったのかよ!」目を細めては野黒新が自分に向けて来ている正論に勝てそうにないと思ってしまう白野は唇をすぼめては軽く鼻翼に力を入れてしまい、「姉だから。」


  白野が自分に向けて来ている一言に目を細めてしまう野黒新は困っているかのように左手の人差し指でこめかみを掻きながらぽつりと呟いて行き、「泣きべそを掻きながら寂しいよぉー~」軽く両手で携帯電話を握ってしまう野黒新はトーンを上げながら体を左右に揺らしつつ流し目で自分のの恥ずかしがっている乙女を演じている姿に驚かされている白野を見ながら言葉の後半を紡いで行き、「お兄ちゃん助けてってつったのはどこのどいつだい?」


  野黒新の自分のことを馬鹿にして来ている態度に見開かされては辱しめを受けられているような気がしてならないでいる白野、鼻翼に力を入れては猛然と左手の人差し指で彼のことを指差してしまい、”カター”忽然、自分の左手に飛ばされていたような感覚を気にする事なく野黒新のことを凝視している彼女は言う、「お、お兄ちゃんなんて言ってないでしょうが!」白野に飛ばされていた蝶々が入っていた箱に視線を奪われては、彼女の左手に退かされてはまるで解放されていたかのように箱からまったりと羽ばたいては空に向けて飛んで行く蝶々のことを見てしまう野黒新。


  「うううあ!」自分の左側から離れて行く黄色の蝶々に目を奪われては、蝶々を逃してしまったら自分は一体何のためにわざわざ迷宮に来ていたのかが分からなくなってしまうのではないかと叫びたくなっている白野は急いでいるかのように右側にある捕虫網を握りしめては、左側にある緑色の壁に咲いていた花に体を寄せている蝶々のことを睨みながら声を発して行き、「は、早くつかまって?!」


  ぼんやりと琥珀色の瞳で自由なまでに緑色の壁に生えていた色とりどりの花と戯れている蝶々を映し出している野黒新、白野が自分を呼んで来ていた一言に目を半開きさせては横目で彼女の事を見てしまう彼は飽きれているかのようにぽつりと声を発して行き、「お前…やはり和流の奴が言っていたように蝶々を捕まえる為に来ていたのかよ…」野黒新の本気で自分のことを阿保だと言ってきているような眼差しに歯を噛んでは彼を催促しているような白野は強く右手にある捕虫網を前に向けて出して行き、「い、いいから!早く捕まってって!」


  白野の切羽詰まった表情を楽しんでいるかのように軽く口角を上げては右手にある携帯電話をポケットに向かって突っ込んで行く野黒新は流し目で彼女の赤くなっては泣き出してしまいそうな顔を見ながら、提案しているようにと左手の人差し指を立てつつ声を発して行き、「じゃ助けて新お兄ちゃんって~言ったら捕まってやろう?」野黒新のまるで自分の返事を楽しみにしているかのように腕を組んでは軽く顎を上げている姿に強く歯を噛んでしまう白野、「ううう…!」悔しそうに唸り声を上げてしまう彼女は自分の左側にある蝶々を目にすると、つい蝶々を失いたくない気持ちに駆り立てられてはぽつりと声を発していた、「た、助けて…新お兄ちゃん…」


  白野にむちゃぶりを吹っ掛けては、彼女に蝶々を諦めて欲しいと思っていた野黒新は照れくさそうに両手を握っては白皙の太股に付けている彼女のハニカム姿に口角がくすぐられているかのような気がしつつぽつりと声を上げていた、「可愛い…」野黒新が自分の言葉を聞いても蝶々を捕まって来ようとしないでいる姿勢に苛立ちを覚えては猛然と右手にある捕虫網で彼の顔を指してしまう白野は叫ぶように言葉を紡いだ、「ば、馬鹿にしているんでしょ!あんたは!」


  白野の頑なに蝶々を捉えたい姿勢に目を細めては軽く首を横に振ってしまう野黒新は蝶々は長く生きることができないことを知っては、ペットとして飼う彼女は絶対悲しむのだろうと思いつつ、白野のどうしても蝶々を欲しがっている姿に負けて仕舞ったような彼は忍び足で蜜を吸っているような蝶々に近づいて行きながら軽く両手を広がっては蝶々に居場所を与えるかのようにボールを抱えている体勢で蝶々のもとまで歩いて行き。

 

  野黒新が捕虫網を受け取る事なく蝶々を自分の代わりに捕えようとしている姿に戸惑いながら彼は両手で蝶々殺してしまうんじゃないかと、懸念している白野はぱちくりながら猛然と両手を蝶々に向けて襲って行く野黒新の姿に見開かされてしまい。あんぐり口を開けている白野は呆然と目を細めては自分の左手に飛ばされていた箱に向けて歩いて行く野黒新のことを見てしまい。自分の両手の中で暴れ回っている蝶々の体から放つ鱗粉を感じながら軽く左足を地面に向けて近づいて行く野黒新、自分の両手を慣れているかのようにまったりと手のひらをくすぐってきているような感覚に目を細めては軽く口角を上げている彼は両手を箱の中に入れて行きながら軽く両手を解している、宛ら自分に負けていたかのような黄色の蝶々は箱の透明な壁に体を預けては箱の中から出ようとしないでいる、「ほらよ。」


  軽く箱の蓋を閉じては蝶々と共に自分に向けて歩いて来ている野黒新の姿に見開かされている白野。「もう少し話をしておく?」白野の絶句してはぼんやりと両手を上げつつ自分から蝶々を受け取ってくれている姿勢を見ながら彼女に目を細めてしまう野黒新、白野の額にくっついていた汗の粒を見てしまうと、彼女はきっと酷く疲れていたのだろうと思っては、彼女にもう少し休んで貰おうと考えている野黒新は右手をポケットに突っ込んで行きながら鱗粉にくすぐられているような手のひらで携帯電話を握ってしまい、「メールを送った方がいいのかな…」白山が教師に携帯電話をこっそりと持っている事をばれたくない事を思い出してしまうと、つい軽く唇を噛んでしまう彼はぽつりと声を上げていた、「先生にばれてしまうかぁ…」


  野黒新の独り言を言っているような姿を見ながら自分の両手の中にある箱を見てしまう白野は恐る恐ると彼に目を向けて行き、「あ、ありがとうね…」野黒新が自分に見せて来ていた技に絶句されていた彼女は箱の中にある黄色の蝶々を見つめてはぽつりと声を上げていた、「まさか素手で出来るとは…」白野が自分の行動に驚かされている姿に向けては屈託のない笑みを浮かべている野黒新は言う、「何とかできる気がするから、」軽くの親指を立てている彼は燦爛な笑みを浮かべている、「やってみたんだ~」


  野黒新の元気に満ちている姿に口角がくすぐられては嬉しそうに微笑んでしまう白野はぽつりと声を発してしまい、「何それ…」両手で大事そうに箱を抱えている彼女は野黒新が右手にある携帯電話を見つめては宛ら迷っているような彼の行動に戸惑いながら眉をひそめてしまう彼女、「ってか、携帯じゃん…」ゆっくりと携帯画面から自分に目を向けて来ている彼の琥珀色の瞳の中にある自分を見ている彼女は小首を傾げながら彼に尋ねて行き、「どこから貰ってたの?」


  「ああ、」右手にある携帯電話を軽く握っている野黒新は自分の手のひらにある鱗粉を見てしまうとつい自分はもしかしら白山の携帯電話を汚してしまったのではないかと懸念してしまい、「これは白山の奴が貸してくれてたんだ。」「ほほぉ…」野黒新の口から飛び出ていた一言に目を半開きさせてはニヤリと口角を上げている白野は言う、「柚尹(ゆい)さんね…」右手にある箱を地面に置いては腕を組んでいる白野の軽く首を縦に振りながらもったいぶっているような眼差しを自分に向けて来ている姿に目を半開きさせている野黒新は不満そうに声を上げて行き、「なんだよ。」野黒新の何事も気付けていない姿に目を細めてしまう白野は右手の人差し指を頬に当てて行きながら声を上げていた、「女殺し。」白野が紡いだ言葉を耳にしてしまうと彼女を助けに来ていたはずなのに彼女に侮蔑されていたことに戸惑っては思わず眉間に皺寄せてしまう野黒新はつい怒っているような声を上げてしまい、「はぁー?」


  野黒新の本気で怒っている姿に口角がくすぐられては軽く笑ってしまう白野、ぼんやりと花弁の絨毯の上で座っていた彼女は右手の人差し指を立てて行きながら言葉を紡いでいる、「だって、あんたはいつもこうじゃない…?」微かに弱っている自分の口調が気になっては小首を傾げている彼の瞳を見つめている白野、「必要になるときは勝手に出てくるからさ。」白野の話を耳にすると自分は彼女にとっては一体どういう存在なのかを分かったような気がしている野黒新は目を半開きさせながら言葉を紡いでいた、「どんだけ便利なんだよ…俺…」


  野黒新の飽きれているかのような姿に笑いながら言葉の続きを紡いでいる白野、「それこそお呼びじゃない時だって、」目を細めてしまう彼女はチラッと野黒新が緑色の壁に残していた足跡に目を向けて行き、「出て来たりしたじゃない?」眉間に皺寄せている彼の不服そうな姿を深いピンク色の瞳で映し出している白野は証拠を挙げるように軽く首を前に出して行き、「あたしと秋人が授業中でこっそりと話をしてた時とかさ?」


  白野が鼻声で紡いだ言葉を聞いては、彼女の渇いた唇に視線を奪われてしまう野黒新はぽつりと唇を開けて行き、「まぁ…」改まって過ぎていたことを口にする事はないだろうと思いつつ、白野のことを警戒しているような彼は腕を組んでは軽く右手の人差し指で熱くなっている頬を掻いてしまい、教師にこっぴどく叱れていたことを思うとつい恥ずかしい気持ちに苦しめられてしまう彼はぼんやりと自分の足元にある花弁を見下ろしていた。


  「何で…」眉をひそめてしまう白野はつい野黒新がいつも自分たちの事を守ってくれていたことを思い出しては、二人きりになれている今でしか彼に聞ける話じゃないかと考えている彼女は強く両手を握っては、彼に懇願しているような眼差しを彼に向けて行きながら声を発してしまい、「どうしてそんなことをしたのかな?」野黒新の目を細めては黙り込んでいる横顔を見つめてしまう白野は視線を地面に向けてはぽつりと声を発してしまい、「あんたとは関係ない…って言い方は悪いけどさ…」


  白野のどうやって自分に質問を投げて来たらいいのかと悩んでいる姿勢に軽く笑ってしまう野黒新、「別にいいよ、」白野の質問を答えるのは恥ずかしいと思いつつ、右手にある携帯電話に一瞥していた彼はぽつりと声を上げて行き、「意思が伝えるのならそれで。」「じゃ、」軽く両手を握っては太股の上に置いてしまう彼女は小首を傾げながら彼に尋ねてしまい、「何であんたはそんなバカな真似をしてたの?」


  野黒新にカバーされていたことを思い出すたびに彼に申し訳なく思えてしまう白野は切なげに眉をひそめて彼のことを凝視している、「先生、本気で怒っちゃってたよ?」白野のまったく言葉を選ぼうとしないでいる姿に目を半開きさせてしまう野黒新はぽつりと声を上げて行き、「バカって…まぁ、」恥ずかしさに温かくされているようにと感じてしまう左頬を繊細な指先で掻いてしまう野黒新は横目で彼女のことを見ながら声を発して行き、「簡単な話だろう?」まるで自分の返答に疑問を持っているかのように小首を傾げている彼女に淡い笑みを見せている野黒新は左手の人差し指を立てては当たり前のように言葉を紡いでいる、「二人に立って貰うより、俺一人で立ってた方が、」胸元の奥からこみ上げて来ている温かいものに苛まれているような彼は照れくさに左手で後頭部を擦りながら声を発していた、「なんか得する気分になるからさ?」


  野黒新の言い方を聞いてしまうと、つい彼が言っている言葉が正しく聞こえてしまう白野、自分のせいで関係しなかった彼を巻き込んだように思えては、つい彼が言っている事はただの詭弁でしかないと思ってしまう彼女、野黒新が自分たちの事を守るためにわざわざ言い訳をしているようになっている事を思うとつい彼のことを叱れないでいる白野は、不満そうに唇をすぼめてしまい、「あたしたちが上手く先生の質問に答えられたら座って貰えたのに…」白野の俯いては軽く人差し指を突いている姿に目を細めてしまう野黒新はぼんやりと空を茜色に染め上げている夕陽を眺めながら声を上げていた、「答えれなかったら?」


  野黒新が自分の胸元に突き刺して来ていた一言に見開かされては絶句してしまう白野、「そ、それは…」軽く歯を噛んでしまう彼女はつい自分が立っていても、わざわざ野黒新にただでさえ彼のことを快く思っていない教師に叱れたくないと思ってしまい、自分も立つのがいやのはずなのにと思ってはつい矛盾に陥ってしまいそうな気がしている、軽く歯を噛んでは、自分も野黒新もお互いのことを自分より重要に思えていないのかと考えている。


  「俺は別にいいよ?」白野の苦しそうに眉をひそめては左手の人差し指で眉間を指している姿に目を細めては、達観したような野黒新はぼんやりと空にある赤い色のオブラートに包まれていたかのような雲を見上げては話の続きを紡いでいた、「授業はつまらないんだし、」軽く笑ってしまう彼は白野に心配されないようにと口角を上げて行きながら深いピンク色の瞳の中にある自分を見つめている、「廊下で立って景色を見れるのも悪くないからさ。」


  野黒新が紡いだ言葉の中に微かに残念そうに聞こえて来る口調に目を半開きさせては、彼は自分に心配されたくない故にわざわざそう言ってくれてたんだと思えてしまう白野はぽつりと渇いた唇を開けて行き、「あんたね…」「白野さん!」忽然、否応なしに自分たちの耳を殴って来ている教師の声にビクッと眉毛を上げては宛ら約束したかのように猛然と自分たちの後ろに視線を向けて行く二人。「監視カメラで見ているからね!」やけに大きな声が自分の脳内で鳴り響いているような気がしてしまう野黒新は軽く歯を噛んでしまう彼は急いでいるかのように右手で強く握っていた携帯電話をポケットに突っ込んで行き。


  「早く野黒くんと一緒に迷宮から出るように!」ぼんやりとあんぐり口を開けている白野は自分のことを叱って来ているような教師の声を聞きながらぱちくりしつつ、監視カメラの居場所を探している。「道がわからないと言うのなら先生が今にもスタッフさんたちと一緒にそっちにいくからね!」教師の切羽詰まったような声をぼんやりと空を見上げながら聞いている野黒新、彼女の声に満ちている不安を心で感じてしまうと、やはり彼女はいい先生だと思っている。「待ってなさい!」今にも自分たちのもとまで駆けつけて来そうな大きな声に口角がくすぐられては軽く笑ってしまう野黒新、「あちゃ、タイムリミットかな?」右手をポケットに突っ込んだまま両手を握っては緊張しているような白野の顔を見つめている彼は言う、「いけない事をする時にお巡りさんに現行犯で逮捕される気分だぜ。」


  教師にこっぴどく叱れてしまうと思いつつ、野黒新が自分の隣りにいたせいで自分はまたしても彼のことを波及してしまったと思うとつい悔しそうに歯を噛んでいた白野はまったく教師の言葉を気にしていないように顎を上げている野黒新のことを見ながらぽつりと声を発してしまい、「奇妙な例えね…」チラッと自分の左側に置いていた眠っていたような蝶々を封じていた箱に目を向けて行く白野は軽く口角を上げて行き、「それじゃ、行こうか…」左手で箱を握っては右側に置いていた捕虫網を握ってしまう彼女はゆっくりと地面に靴底を付けて行きながら声を発して行き、「もう十分休んだし。」白野の充血している瞳がもう涙を滲むことなく自分の事を映し出してくれていることに強く首を縦に振っては嬉しそうに返事をしていく野黒新、「うん。」


  自分はちゃんと和流が託してくれていた事を果たしていたと思っている野黒新は視線を白野が抱えていた箱に目を向けていき、琥珀色の瞳で透明な箱の中でまったりと微かな黒い紋様に飾り付けられていた羽根を振っている蝶々を映し出している野黒新。自分の体を揺らして来ているような感覚に目を細めては、軽く口角を上げている野黒新は項垂れては春菜の隣りに座っては両手にある箱を抱えている白野に一瞥していた。


  軽く歯を噛んではピンク色の包みを握っている春菜が自分に向けて来ている淡い笑みを目にしてしまうと、自分が何とか話題を切り出そうと思っている白野はぽつりと唇を開けて行き、「あの…」白野の声を上げては唇を噤んでしまう姿に目を細めては、自分に何かしらの事を伝えようとしている彼女に言いやすくさせるようにと自分から何かしらの事を言おうと思っている春菜、「クッキーを、」白野が無事で自分たちのもとまで戻ってこれている姿に目を細めては口角を上げている春菜は両手の上に乗せていたクッキーを前に向けて出して行きながらチラッと自分たちの前に座っていた野黒新と和流に視線を向けてしまい、「一緒に食べようか?皆で。」

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