第58話ありがとう…私のヒーロー。

  春菜の迷宮を怖がっている姿が可笑しく見えてしまう野黒新は軽く胸を張っては、威張っているかのように右手の親指を胸元に当てて行き、「先生が入ったら出られなくなるぞと言ったのもただのはったりだと思うよ?」屈託のない笑みを自分に小首を傾げては黙々と両手を握って話を聞いてくれている春菜に向けては、言葉紡いでいる彼、「お前が入ってみたいと言うのなら、俺は大丈夫だぞ?」ニヤリと右側の口角を上げてしまう彼は右手の人差し指で鼻先を擦りながら言葉紡いでいた、「何せ俺は方向には強いんだ。」


  野黒新のやけに自信満々の声に戸惑ってしまう春菜は軽く右手を悩んでいるような頬に付けては彼に尋ねるように声を上げて行き、「そうでしたっけ?」「うん!」春菜が自分に向けて来ていた不信の言葉に向けては迷わずに強く首を縦に振っていた野黒新は、右手の親指を立てては揺るぎない声で言葉を紡いだ、「なんとなく出来る気がするから!」野黒新が自信に満ちている声で自分に向けて来ている一言に目を半開きさせてしまう春菜はぽつりと唇を開けてしまい、「謎の自信…やっぱりいいや、」軽く笑ってしまう彼女は野黒新と一緒に歩くより彼と一緒に静か場所で休んでみたいと思ってはチラッと自分の後ろにある茂みの前で鎮座していたベンチに目を向けてはゆっくりと顔を野黒新に向けて行きながら言葉を紡いでいる、「私も湖の隣りで静かに座って見たいからさ?」野黒新に決める権力を上げたいと思っている彼女は小首を傾げながら彼に尋ねるように言葉を紡いだ、「湖じゃなくてもいいけれど。」


  「うん、」嬉しそうに笑っては首を縦に振っていた野黒新、チラッと視線をベンチに向けて行く彼は春菜に長く歩かせたくないと思いつつ、軽く右手を伸ばしては彼女の柔らかい右手を握っては自分の行動に見開かされている彼女の紅潮している頬を琥珀色の瞳で映し出しながら、まったりとした歩調でベンチに向けている彼は言う、「じゃそこのベンチに座ろうか?」自分の右手を握ってくれてはまるで自分の少し冷えている右手を温めてくれている野黒新の右手の手のひらの温度に目を細めては、嬉しそうに首を縦に振ってしまう春菜、「うん。」


  軽く黒い靴底で大理石の地面を踏んでは自分の右腕を日差しから守ってくれていた白いパーカーの袖でベンチを拭いて行く野黒新、前屈みになっては真面目にベンチに拭いている彼は自分が何をしているのかと尋ねて来ているかのように小首を傾げている春菜の顔を目にすると屈託のない笑みを彼女に見せては、彼女が着こなしていた水色のロングスカートを見ながら楽しそうに声を上げていた、「新しい服を汚したくないだろう?」”ドクンー”野黒新が当たり前のように自分の事を気にかけてはしてくれていた行動に見開かされてしまう春菜、「うっ…」胸元の奥が甘い針に刺されていたような微かに苦しく感じつつ、身体がやけに温かくなれているような気がしてしまう彼女はぼんやりと緑色の瞳で自分のことを照らしてくれているような彼のことを見つめては内心で常々思っている言葉を口にしていた、「ありがとうね、新…」


  春菜が両手を握っては胸元に当てている姿を見つめては満面の笑みを彼女に見せている野黒新、右手の親指を立てている彼は元気に満ちている声を発して行き、「どうってことないさ。」「でも…」野黒新が自分の為に拭いてくれていたベンチに目を向けてしまうと、つい座るのが彼に申し訳なく感じてしまう春菜はチラッと彼が着ていたパーカーの袖に視線を向けて行き、「あなたの服は汚されてしまったんじゃ…」


  春菜が自分の袖の事を気にかけてくれていることに嬉しく思いつつ、軽く右手を上げては彼女が付けていた風に位置を少しばかりずらされていた麦わらを直していく野黒新は目を細めては微笑みながらぼんやりと自分の顔を見て来ている彼女に言う、「このベンチはそこまで汚されていないんだ、ほら、」右手の袖を彼女に見せつけているかのように上げていく彼は言う、「袖はまだ白いのままなんだ。」


  「うん…」両手を握っては自分の激しく鼓動を刻んでいる胸元を押さえようとしている春菜は恐縮しているようにと軽く首を縦に振っては、自分が座らなければ彼も座らないと言いに来ているような姿勢に口角がくすぐられているような気がしては、まったりと臀部を自分たちの事を日差しから隠しているかのような木々の葉の影に飾り付けられているベンチに付けて行く、「ありがとう…」軽く両手で臀部を守ってくれているかのようなロングスカートを押さえている春菜は、照れくさそうにまったりと自分の隣りで腰を下ろしている野黒新の凛とした横顔を見つめながら言葉を紡いでいる、「私の傘になってくれたり、色々お世話をしてくれてたりさ?」


  春菜が自分にかけてくれていた一言にビクッと左側の眉毛が跳ねていた野黒新、自分が無言でしていたことが彼女に気づかせてしまった事に恥ずかしく思いつつ、照れくさそうに左手の人差し指で頬を掻いてしまう彼は軽く顎を上げては春菜のことを見下ろしてしまい、「べ、別に?日差しが好きなだけだけど?」野黒新の意味もなく強がっている姿勢が可愛く見えては軽く笑ってしまう春菜、「そっか~」ゆっくりと背中をベンチの背に付けて行く彼女は自分が背負っていた熊をモチーフにしていたランドセルの右側にある袋からピンク色の魔法瓶を取り出しながら彼に尋ねて行き、「じゃお水を飲む?」繊細な左手で魔法瓶を握りながら右手で魔法瓶から蓋を手に取っている彼女は言う、「まだ温かいよ?」


  「いいよ別に、」軽く左手を上げては微笑んでしまう野黒新は蓋の黒い縁を目にしてしまうと、もし自分が春菜の水を飲んでしまったら彼女と間接キスしてしまうと思っては、つい恥ずかしい気持ちに苛まれては軽く彼女から視線を逸らしてしまう彼は渇いた唇を舐めてはぽつり声を発してしまい、「渇いてないんだ、喉。」野黒新の額にある汗の粒を目にしてしまうとつい彼の為に何かしらの事をしてあげたいと切に思ってしまう春菜は、小首を傾げながら背中にくっついていたかのようなランドセルを前に向けて行きながら彼に尋ねて行き、「クッキーを食べて見るかえ?」軽く左手を上げては自慢しているように満面の笑みを浮かべている彼女は言う、「私がお母さんと一緒に作ったんだよ?」春菜が自分に向けてくれていた一言にビクッと眉毛が跳ねては驚かされているかのような野黒新は期待しているような声を上げて行き、「本当?!」


  野黒新の自分が作っていたクッキーを楽しみにしているような姿勢に口角をつられては、嬉しそうに笑ってしまう春菜は軽く首を縦に振って行き、「うん、お母さんに教えて貰ったんだ。」春菜の嬉しそうな笑みを見ながらぼんやりと自分の腹部を見下ろしてしまう野黒新、目を細めてしまう彼は日差しに焼かれていたような思いをしていたせいでつい食欲を無くしているように思えては残念そうにぽつりと声を上げていた、「でも今はお腹は空いていないや。」


  両手を熊の頭に突っ込んでいたかのようにランドセルの中からクッキーを取り出そうとしていた春菜は、野黒新の返事に目を細めては残念そうに項垂れてはぽつりと艶やかな唇を開けてしまい、「そう…」春菜のあからさまに落ち込んでいる姿勢を目にしてしまうとつい申し訳ない気持ちになってしまう野黒新は、軽く右手を上げては自分の汗に濡らされていた後頭部を擦っては声を上げてしまい、「ごめんな?」目を細めては自分に大丈夫だと言ってくれているかのような彼女の眼差しを目にしてしまうと軽く左手を握ってはガッツポーズを取っているかのような彼は揺るぎない声を発して行き、「後でちゃんと食べるからさ?」


  野黒新が自分と約束してくれていたことに見開かされては、自分との約束は彼が出来る事なら全部叶えてくれて来たように思えている春菜は期待しているかのように強く首を縦に振って行き、「うん!じゃ、」自分の太股の上で座っていた熊のランドセルを左側に向けて退かして行く春菜は、軽く両手で自分の太股を日差しから守ってくれているような水色のロングスカートを叩いては彼に尋ねて行き、「少し眠ってみる?」


  春菜のやけに自分の為に何かしらの事をしようとしている姿に目を細めては、彼女はきっと彼女の傘になっていた自分に何かしらのお礼がしたいのだろうと思っては、チラっと彼女の繊細な両足を守っているかのようなロングスカートに視線を奪われては、軽く首を横に振ってしまう野黒新は照れくさそうに笑っては言葉を紡いだ、「ここじゃ…寝れる場所なんかねぇだろうよ…」野黒新の紅潮している横顔と自分と視線を合わせようとしないでいる姿を目にすると、彼は自分がしようとしている事に気が付いているはずだと思っている春菜は繊細な左手を胸元に当てては声を発していた、「私のひざ上で眠ったらいいんじゃないの?」


  ”ドクンー”忽然、自分の脳内で一瞬過っていた事が現実になってしまいそうな事に驚かされては絶句されている野黒新、「はっ?!」緑色の瞳の中にある自分のことを見てしまうとついぱちくりしてしまう彼は両手を握っては、やる気満々の春菜の表情を見てしまうと、ついごくりと固唾を飲み込んでしまい、「い、いや…んなことは出来ねぇよ…」俯いては軽く緊張しているせいで汗ばんでいる両手を握ってしまう彼はぽつりと渇いた唇を開けて行き、「はずいし…」


  野黒新の段々赤くなっている耳殻に一瞥しては彼のことをからかっていくかのような春菜は、左手を熱くなっている頬に当てて行きながらゆっくりと彼に近づいて行き、「あれれ?」彼の真っ赤になっている頬を覗き込んでしまう春菜は嬉しそうに口角を上げては彼に尋ねていた、「照れた?照れちゃった?」春菜が自分に向けて来ている無垢な笑みに眉毛を上げてられては、彼女の服から漂って来るラベンダーの香りに鼻腔が奪われては、心がくすぐられているような気がしてしまう野黒新、つい彼女を避けてしまう彼は仰向けになっては背中が火に焼かれているような気がしつつ恥ずかしさを隠すかのように大きな声を上げていた、「う、うっさい!」


  野黒新のハニカムようにぷいと首を横に向けては、自分と視線を重なり合おうとしないでいる姿に目を細めては左手を胸元に当てて行く春菜は言う、「お礼だと思ってさ?」屈託のない笑みをぼんやりと自分に目を向けて来ている彼に見せながら軽く右手の人差し指を立てている彼女は言う、「私の為に人型の傘になってくれてたお礼。」春菜が紡いだ言葉を真面目に聞いてしまうと左側の眉毛がビクッと跳ねてしまう野黒新は慌てて否定するようにと言葉を紡いで行き、「い、いやだからそれは別にお前の為にわざわざしてたってわけじゃないっての…!」


  野黒新が頑なに自分を無言で優しく守ってくれていたことを認めようとしないでいる姿に目を細めては、嬉しそうに微笑んでしまう春菜は軽く首を縦に振って行き、「うんうん、じゃ眠っとく?」春菜のまるで自分のことを子ども扱いしている姿に目を半開きさせては、思わずため息をつきたくなっている野黒新、「はぁ…」右手を額に当てては軽く首を横に振ってしまう彼は流し目で春菜のことを見ながら言葉を紡いで行き、「そこまでいうなら…」ぼんやりと緑色の瞳の中にある自分の姿を見ていた野黒新はつい春菜の頭上で生えていたかのような捕虫網に視線を奪われてしまい、頬が赤くなっては嬉々とした表情で緑色の壁の中に入って行くピンク色のポニーテールにぱちくりしてしまう彼は自分の視線が向けていたところが気になっては、小首を傾げている春菜のことを見ながら軽く笑って言う、「眠てみたくなくないんだけど。」


  野黒新が紡いだ言葉を耳にしてしまうと、嬉しそうに笑ってしまう春菜はゆっくりと背中をベンチに付けて行きながら彼に自分の太股まで案内しているかのように軽く左手で自分の太股を叩いてしまい、「素直じゃないな、ほら。」春菜の自分のことを受け入れてくれている姿に目を細めては、軽く笑っている野黒新は首を縦に振って行き、「うん…」目を細めてしまう彼はまったりと左頬を水色の布に向けて行きながらぽつりと唇を開けていた、「ありがとう…」ゆっくりと自分の太股の上にかけて来ている野黒新の身体の重さが心地良く感じてしまう春菜はつい目を細めては微笑んでしまい、まったりと左手を自分の左側に置いていたランドセルに向けて伸ばして行く彼女はランドセルの中に置いていた少しばかり硬い感触を掴んでは、緑色のスケッチブックを手に掴んで、両手でスケッチブックを広げている。


  まるで自分の頬を枝と葉っぱの間にある日差しから守ってくれているかのような緑色のスケッチブックに目を細めては、ぱちくりながらスケッチブックにプリントされていたアニメのキャラクターのことを見ながら内心に疑問に唇をこじ開けられている野黒新は彼女に尋ねてしまい、「何をしているのかな?」「約束したんだ、鷹くんと。」スケッチブックの中に挟んでいたペンを手に取ってしまう春菜は軽く野黒新のことを見せないでいるスケッチブックを退かしては、彼のことを覗き込むように言葉を紡いでいた、「ここの景色を見せるって。」春菜が自分に向けて来ている淡い笑みに目を細めてはぼんやりと横目で彼女のことを見ている彼はぽつりと提案していくかのように声を発して行き、「写真を撮れば?」


  野黒新が自分に向けて来ている言葉を耳にしてしまうと、寂しそうに目を細めては軽く首を横に振ってしまう春菜はぽつりと唇を開けてしまい、「写真を撮るにはスマートフォンかカメラが必要なんでしょ?」軽くスケッチブックを自分の右側に向けて行く彼女はぼんやりと自分のことを見て来ている琥珀色の瞳の中にある自分に苦笑いしながら言葉を紡いでいた、「お母さんが持たせてくれなかったりするんだ、」宛ら自分にどうしてだと尋ねて来ているかのように繊細な眉毛を上げている野黒新の顔を見ている春菜はぽつりと補足するように左手の人差し指を立てて言う、「貴重だから、あんたにはまだ早いって。」春菜が紡いだ言葉を耳にすると、彼女のお母さんが言っていた言葉はもっともだと思う野黒新は納得しているように目を細めては声を上げて行き、「そっか。」


  「うん、」軽く首を縦に振っては、野黒新に屈託のない笑みを見せている春菜は左手をスケッチブックに添えて行きながら声を発している、「でもこれはこれでいいや、」ゆっくりと真っ白なページから自分の目の前で広がっていたかのような緑色の壁を見ながら微笑んでしまう春菜は言う、「私は絵を描くのが好きなんだしさ?」チラッとぼんやりと自分の太股の上で横になっていた野黒新の横顔を見てしまう彼女はつい彼の微かに赤くなっている白皙の頬が気になっては、軽く人差し指を彼の柔らかい頬に付けて行き、「それに、」指先にある指を包んでくれるような感覚に微笑んでは、自分の行動に驚かされているかのようにビクッと眉毛が跳ねていた野黒新が自分に向けて来ている戸惑っているような視線に目を細めてしまう春菜は言う、「新が太股の上で寝ている気分をゆっくりと景色と一緒に味わいたいし。」


  自分の右頬に付けて来ていた春菜の微かに冷たく感じてしまう指先に目を半開きさせてしまう野黒新はぽつりと声を上げていた、「変態かね…」野黒新がこっそりと呟いていた一言を聞いてしまうと軽く肩をすくめてしまう春菜、「さぁね?ほら、」左手の人差し指を彼の紅潮している白皙の頬から離れて行く彼女はチラッと視線を緑色の壁に目を向けて行きながら言葉を紡いで行き、「早く眠った眠った、私は真面目に絵を描くんだから。」真剣な表情を真っ白なページに向けて行く春菜は視線をスケッチブックに凝らしてはぽつりと声を発してしまい、「ちゃんと約束を守るんだ。」


  春菜が自分のことを鼓舞していたような一言を耳にしてしまうと、つい切なげに目を細めてしまう野黒新、軽く歯を噛んでしまう彼は自分がいつの間にか握りしめていた右手を見つめては、自責しているかのようにぽつり声を発してしまい、「約束を…守る…か。」野黒新が喉から声を絞り出しているような一言に小首を傾げてしまう春菜はつい彼のやけに深刻そうな表情の奥に隠されていた事が気になっては彼に尋ねて行き、「どうかしたのかな?」春菜が自分に向けて来ている潤んでいる緑色の瞳を目にしてしまうと、軽く口角を上げては首を横に振ってしまう野黒新、「ううん、何でもない。」切なげに唇を軽く噛んでいた彼はぽつりと声を上げて行き、「お休み。」


  宛ら自分にもうこれ以上何も聞くなと言ってきているかのように目を瞑って行く野黒新の向きになっている姿が微笑ましく感じては、軽く首を縦に振ってしまう春菜、「うん、」寂しそうな笑みを浮かべてしまう彼女は野黒新が気になっている事が少し分からなくもないような気がしつつ、無意識のうちに彼に思わせぶりな言葉を紡いだ事に申し訳なく思っては屈託のない笑みを彼の横顔に向けて行く彼女は言う、「いい夢を見れるといいね?」真っ黒な視界の中で春菜のまるで自分の世界に色を付けてくれているような声色をぼんやりと聞いている野黒新、宛ら彼女の声に口角が操られているような彼は幸せそうに笑ってはぽつりと唇を開けてしまい、「うん。」


  真っ黒な世界は宛ら体に纏いつく鎧と化していたかのように、彼の左腕に過っては破られていた布の如くまったりと散っていく様をぼんやりと見ている赤い髪の毛の少女。体中を汚して来ている銀色の光が水のように彼女の暗闇に縛られていた四肢を食らいつくそうとしている、吐き気を催す鼻に突く悪臭に苦しめられ、呪いのせいで体に力が入ることが出来なくなっていた彼女は自分の無力さを恨みながら真っ黒な聖なる剣を手にしては、まるで暗闇に影響されては蝕まれていたかのように自分に向けて酷く重たく一歩を踏み出している彼のことを見上げている、黒に浸食される琥珀色の瞳はまるで宝石の如く神秘である彼に心を奪われている少女。


  体が銀色の光を放っているような濁っている呪いに侵されては、四肢を失っていたかのような感覚に神経を逆撫でされている気分を味わっている少女は苦しそうに歯を噛む気力すら無くしている感覚に侵されたまま、潤んでいる瞳を自分の前まで歩いては立ち止まっている彼に向けている。懇願しているような瞳を彼に向けている少女は体が呪いに食らいつくされている気分に苦しめられてはぼんやりと唇を開けて、彼に自分のことを助けて欲しいと神に祈りを捧げる少女のように願っている。


  ”グジャ!”まるで自分の身体を割らして来ているかのような一撃に見開かされている少女は、呆然と自分の両足を囲んでは嬲っているような黒き樹海が白い星を放つ魔術に苛まれていた両足の冷え切っていた感覚を取り戻しつつ、呆然と自分の両腕から剥がれて行く銀色の呪いを見てしまう彼女は胸元が強く殴られてるような感動に視界が霞んでは、自分に微笑んで来ていた彼の顔を見上げている、口元が上げている彼女は幸せな表情を浮かべ、彼女を見つめている彼に内心の言葉を声に乗せて行く、「ありがとう…私のヒーロー。」瞬く間に体が円やかな月の光に囲まれている彼女は真っ白なウェディングドレスを着ては自分に黒い手袋に包まれていた右手を差し伸べて来る彼の手を取り、潤んでいる眼が彼に固定されている彼女。

  

  「彼女は彼に思いを告げている…」ぼんやりと自分が携帯電話の中にある内容に足す言葉を小さな声で呟いている赤い髪の毛をしていた女の子、宛ら黄色の星を封じたかのような銀色の瞳が潤んでは、白皙の両手で握っていた携帯電話の中にある文字を映し出している彼女は軽く右手を携帯電話から離れては、自分が書いていた文章に感動を覚えつつ、軽く痺れている鼻を啜ってしまい。


  「みんな揃ったわね?」”ドクンー”忽然、否応なしに感傷に耽っていた自分が想像していた世界から自分を現実まで奪い返して来ていた教師の声にビクッと体が跳ねてしまう赤い髪の毛をしていた女の子、「うっ!」ごくりと固唾を飲み込んでいた彼女は急いでいるかのように右手にある携帯電話をポケットに向かって乱暴なまでに突っ込んでは軽く鼻翼に力を入れては、迷わずに視線を自分の右側にある座席に向けてしまい、ゆっくりと自分に近づいて来ているかのような教師の足元に心臓が握り潰されてしまいそうな気がしては、彼女に自分の夢を文字として書いていた物をばれないようにと、携帯電話を没収されたら自分はもはや転校するほかないと考えている彼女は歯を噛んでは、項を濡らしているような汗に耐えている。


  右足を前に向けて踏み出しては両腕をバスの座席の背に付けている教師はバスの中に座っていたクラスメイト達のことを見ながら声を上げて行き、「自分の隣りに座っていた子はちゃんといるのかな?」教師が自分の携帯電話のことを気が付いていないことに安心感を覚えては軽く左手を胸元に当てては、安堵の吐息をついてしまう赤い髪の毛の女の子、突然、教師が紡いだ言葉をよくよく考えて見るとついバスに乗って学校から公園まで来た時に、自分の右側に座っていた白野が居なくなっていた事に見開かされては、自分の夢を書くのに夢中になっていた彼女は白野の存在を忘れていたことに申し訳なく思いつつ、委員長である自分はちゃんと教師の補佐をすべきだと言う責任感に駆り立てられている彼女は恐る恐ると左手を上げて行き、「あの…」携帯電話を没収されないようにするには黙っていた方が一番だと思いつつ、白野がこのまま自分が声を上げていないせいでバスに乗り遅れるのは嫌だと思っている彼女、教師の顔を見つめては声を発していた、「先生、」ぼんやりと何かしらの事を自分に伝えようとしているかのように猛然と立ち上がっては、窓に視線を向けている和流に戸惑いながら自分のことを呼んでくれていた赤い髪の毛の女の子に目を向けて行く教師。


  恐る恐ると人差し指を突いてしまう赤い髪の毛の女の子は震えているような両足で上半身を支えては教師の瞳を見つめながら声を発して行き、「白野さんはまだ来てないんですけど。」バスの後ろの席に座っていた和流は赤い髪の毛の女の子が口にしていた言葉を聞いてしまうと、やはり白野はまだ戻っていないことに苛まれているような気がしては強く噛んでしまい。和流の自責しているように項垂れている姿勢に眉間に皺寄せては、つい白野のことが気になり始めている野黒新は自分の右側で座っては両手をガラスに付けて、白野の姿を探している春菜の後頭部に目を向けていた。


  「えっ?」赤い髪の毛の女の子が自分に向けて来ている畏怖しているような眼差しに見開かされては、急いでいるかのように彼女のもとまで駆けつけて行きながら声を発している教師、「そうなの?」軽く首を縦に振ってしまう赤い髪の毛の女の子のことを見ながら彼女の右側にある空いていた席を目にしてしまうと思わず眉間に皺寄せてしまう教師は困ったように腕を組んでは軽く右手で顎を擦ってしまい、「もう直ぐ出発時間なのに…」


  教師の項垂れては対策を考えている姿を見つめては強く両手を握ってしまう和流は歯ぎしりしながら俯いてはぽつりと唇を開けていた、「白野…」宛ら和流の内心にある焦燥感につられているような野黒新は思わず貧乏ゆすりし始めては強く両手を握ってしまい、「どうなってんだ…」軽く鼻翼に力を入れている彼は切羽詰まったような表情をガラスに向けて行きながらぽつりと声を発してしまい、「あいつは。」


  両手をひんやりとしたガラスから離れて行く春菜は心配そうに両手を握っては自分の胸元に当てながらぽつりと不安に満ちている声を上げてしまい、「雫ちゃんはどうかしたのかな…?」軽く首を横に振っている野黒新の悩んでいる姿に目を細めては、ゆっくりと視線を窓に向けて行く春菜は再び右手をひんやりとしたガラスに付けて行き、「心配だわ…」”パパー”「取り敢えず、」一番後ろに座っていた二人と彼らの斜め前の席に座っていた和流の悩んでいる姿とクラスメイト達が討論し始めていることを見ながら軽く両手を叩いていた教師は、左手を穿いていたジーンズのポケットに突っ込みつつ言葉を紡いでいる、「みんなは大人しくバスに乗ってて?」和流たちが自分に向けて来ている不安な表情を見つめている教師は軽く笑っては彼らに心配させないようにしながら、左手で握っていた携帯電話を自分の左側で佇んでは自分に策を問いで来ている赤い髪の毛の女の子に向けて行きながら言葉を紡いで行き、「私が探して行くからさ。」両手を握ってはぱちくりながら自分の顔を見て来ている赤い髪の毛の女の子に微笑む教師は言う、「ほら、委員長?」

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