第45話ういも入学できるのかな…

  ”ドー”黒い靴底は強くクリーム色のタイルを踏んでは目を細めている斗奴雷は、ぼんやりと項垂れては自分が履いていた緑色のスニーカーを見下ろしている、軽く歯を噛んでいる彼は鼻翼に力を入れては自分の左手の手首に纏っていたテープを見つめながらぽつりと渇いた唇を開けては、軽く息を吐き出してしまい、温かい息が白いマスクに隠されては上手く廊下に触れないでいる。軽く両足の足先に力を入れてしまう斗奴雷はまるで決意したかのように右足を前に向けて踏み出しては、マスクに隠されている口角は誰にも見られるはずもないと知りながら、雨依に落ち込んでいるところを見せたくないと思ってしまう彼は迷わずに右手で軽く白い扉をノックしていた。


  「はい、どうぞ?」宛ら自分に尋ねて来ているような雨依の少し元気になれている声を耳にしてしまうと、自分も元気になれているような気がしてしまう斗奴雷は目を細めて軽く笑っては、右手でドアノブを掴んでいた。ゆっくりと自分に向けて来ている真っ白なドアを見つめている雨依、白いマスクをつけていた彼女はぼんやりと白いベッドの上に座っては、つまらなさそうに呆然と窓に目を向けていた彼女は楽しみにしているような眼差しを赤いのランドセルに向けては嬉しそうに口角を上げてしまい、「来てくれたんだね!お兄ちゃん!」


  嬉しそうな眼差しで自分の事を迎えて来てくれている雨依の楽しそうな声を耳にしてしまうと、つい目を細めてしまう斗奴雷は軽く首を縦に振っていた、「うん…」ぼんやりと体を病室の中に入れては右手でドアノブを押していく斗奴雷は軽く真っ白なドアを閉じては、嬉しそうに両肘を膝を付けて頬杖を突けている雨依が自分に向けて来ている金色の瞳の中にある自分を見てしまう彼、軽く歯を噛んでいた彼はベッドの上に座っている雨依のマスクをつけていた姿を見てしまうと思わず俯いてはぽつりと弱っている声を上げていた、「ごめんね…うい。」


  斗奴雷が病室に入って来た早々自分に謝って来ている姿勢に見開かされては思わずぱちくりしてしまう雨依は小首を傾げては彼に尋ねてしまい、「どうしてお兄ちゃんが謝らないといけないのよさ?」軽く両膝をベッドに付けてしまう彼女は斗奴雷の左手の手首を守っているような包帯を見てしまうと、つい眉をひそめては彼に心配そうな眼差しを送りながら額を上げようとしないでいる彼に言う、「なんにも悪いことをしていなかったのでしょ?」


  雨依が当たり前のように間接的に彼女を病院に送るまで苦しめていた自分の事を許してくれていることに見開かされては、思わず額を上げてしまう斗奴雷、「う、うん…」雨依が自分が紡ぐ言葉のせいで切なげに潤んでいる瞳を見てしまうと、軽く左側の口角を上げている彼はぽつりと呟いていた、「ごめん。」斗奴雷がまたしても自分に謝って来ている姿に眉間に皺寄せては、不服そうに両手を腰に当ててしまう雨依は思わず背筋を伸ばしては彼に厳粛な声を返していた、「だから、謝らないの!」


  「う、うん…」雨依のやや怒っている姿にぱちくりしてしまう斗奴雷、苦笑いしてしまう彼は風邪を引いていたせいで迂闊に、体が弱り切っている彼女に近づかない方がいいと思いつつ、軽く右手の人差し指を立てている彼は雨依が自分に向けて来ている悲しんでいるような眼差しに元気づけようとしているように話題を変えて行った、「きみが普通の病室に移ってた時からきみに会いたいって…」脳内に過っていく母親の自分の事を使えないゴミのように蔑んでいた眼差しが否応なしに過っては、思わず項垂れて仕舞いそうになっている彼はぽつりと呟いていた、「言ってたけど…」


  兄の困っているように弱っている声を耳にしてしまうと、つい苦い笑みを浮かべてしまう雨依は軽く右手の手の甲でマスク越しで頬を掻いてはぽつりと声を上げていた、「おかあちゃんが止めたんでしょ?」雨依が自分が敢えて口にしようとしなかった言葉を代弁してくれていた事に目を細めている斗奴雷、「うん…」雨依の前にいる時は絶対に元気をだそうと思っていた彼は母親が自分の事をこっぴどく叱って来ていた事を思うとつい俯いては、弱っている声を上げて行き、「風邪をひいててさ…風邪がうつったら大変なんだからさ…」


  「全然平気なんだよ?」斗奴雷が口にした一言を耳にしてしまうと、どうして彼は頑なに自分に近づいて来ないのかが分かってしまったように思えている雨依は軽く笑っては、きっと自分じゃ見えないところで散々母親に叱れて来ていた斗奴雷に重たい気持ちにさせたくないでいる、「おかあちゃんは心配性なんだよね?」「あはは…」雨依が母親の事を五月蠅く思っては文句交じりに紡いだ一言を耳にしてしまうと、つい雨依の悩みは贅沢なものだと思っては、母親が雨依に対する優しさを半分ぐらいでも自分にくれて欲しかったと思ってしまう斗奴雷、軽く歯を噛んでは、鼻翼に力を入れてしまう彼は潤んでいる深い紫色の瞳で雨依の小首を傾げては微笑んでいるかのように自分に目を細めている姿を映し出しながら言葉を紡いで行き、「きみのことを気にかけているんだから、いいだろう?」


  斗奴雷が自分の事を慰めて来ている口調の中に秘められている悲しみに目を細めてしまう雨依、軽く歯を噛んでしまう彼女は自分の意識が定かではない時で聞こえていた斗奴雷が母親に仇のように憎まれていたような言葉と声を思い出してしまうと、つい弱り切っている声を上げてしまい、「うん…」ごくりと唾液を飲み込んでいた彼女はチラッと斗奴雷の彼の心境を代弁してくれているかのように項垂れている左腕に一瞥しては、つい内心の好奇心を隠すことが出来なくなってしまう彼女はぽつりと渇いた唇を開けていた、「お兄ちゃん…」軽く右手を上げては彼の左腕を指差してしまう彼女は小首を傾げながら彼に尋ねていた、「その左手の傷は…?」


  「あっ、」つい雨依と母親の事を話していたせいで自分の左腕の傷の事を忘れていた斗奴雷、軽く口角を上げている彼は右手の手のひらに貼っていた大きな絆創膏に一瞥しては、雨依に右手の傷まで気づかせてはいけないと思いつつ、軽く右手を握っては人差し指で左腕の包帯を指差している彼、「これ?」平然と左腕を上げている彼は軽く両手を握っては本気の眼差しを自分に向けては頷いている雨依の事を目にしてしまうと、彼女に余計な心配をさせたくないと思っては、ふざけているかのように笑いながら言葉を紡いでいる、「ほら、ぼくってアクションゲームが好きなんじゃない?」斗奴雷がやけに元気になれている口調に違和感を覚えてはぱちくりながら軽く首を縦に振っている雨依。


  「最近ハマっているゲームがあってね、」無理矢理口角を上げては雨依に自分が嘘を吐いている事に気づかせたくないと切に思ってしまう斗奴雷、右手で後頭部を擦っている彼は急いでいるかのように声を上げていた、「その中に登場して来る奴が包帯を巻いてたから、父さんに頼んでみたんだ。」「そう…?」眉をひそめてしまう雨依は斗奴雷の言葉を聞いてしまうと、つい彼に疑いの眼差しを向けてしまい、横目で彼の事を見てしまう彼女は母親が彼にこんな浪費をさせるはずがないと思っては、彼は多分自分の事を華奢な体でおんぶしていたせいで左腕を捻っていたと思ってしまう雨依は、まるで自分と目を合わせるのを怖がっているかのように視線を逸らしていた斗奴雷の瞳を見つめている、目を細めてしまう彼女は彼のあからさまな態度に苦い笑みを浮かべては、今は多分お互いは自分の顔のほとんどがマスクに隠されている事に感謝しているのだろうと思ってしまう彼女は軽く頷いては右手の人差し指を立てながら言葉を紡いでいた、「なんか怪我でもしていたんじゃないかって思ってたけど。」


  雨依が素直に自分が口にしていた話を信じてくれていた事に見開かされて、思わずぱちくりしてしまう斗奴雷、「ぜ、全然だよ、」つい雨依に不意を突かれてしまったように思えてしまう彼は取り繕うかのように左手を上げながら自分は嘘をついていないぞとアピールしているような言葉を紡いだ、「今でも包帯を外してもいいぐらいなんだぜ?外してみるか?」軽く顎を引いては横目で雨依に尋ねている斗奴雷、軽く固唾を飲み込んでいた彼は補足しているような一言を足していた、「ちょっときつく巻いていただがな。」


  斗奴雷の額から微かに滲んでいる汗を目にしてしまうと、もう答えを得ているように思えてしまう雨依、彼が自分の事を気にかけてくれているせいで嘘を吐いている姿に口角が自然と上げられている彼女は軽く首を横に振っては声を上げていた、「ううん、いいよ。」軽く右手で自分の右側にある椅子を叩いている雨依は呆然と突っ立ている斗奴雷の事を見つめながら声を上げている、「ここに座ってよ、お兄ちゃん。」  


  雨依が自分の事を誘って来ている姿を見てしまうと、つい断れなくなってしまう斗奴雷、目を細めている彼は自分の風邪は既に治っていたと思っては、お互いマスクを付けているんだし、少しぐらい雨依に近づいてもいいんだろうと思いながら軽く雨依に向けては右足を踏み出していた、「うん…」「あのね…」恐る恐ると自分から少し距離を置いては自分と距離を保とうとしている兄は自分のことを大事にしている故にそうしているんだと知りながら、自分のわがままのせいで叱れていたのにも拘らず自分を守ってくれて来た彼ともう少し近づいてみたいと切に願ってしまう雨依、斗奴雷の背中にあるランドセルに邪魔されていたせいで自分にもう少し離れる事が出来ずにいるのは微かに嬉しく思っては軽く口角を上げている彼女、「今日はおかあちゃんにお願いして…」軽く右手の人差し指で頬を掻いてしまう彼女はぱちくりながら自分のことを見つめて来ている斗奴雷に言う、「お兄ちゃんを呼んできたのはね…?」


  「うん、」雨依が言いづらそうに言葉を紡いでいる姿勢に戸惑っては軽く首を縦に振っている斗奴雷、右手の手のひらにある傷跡を雨依に見せないようと強く握っている彼は彼女の事を鼓舞しているように両手を握っている、「ちゃんと聞いている。」目を細めては斗奴雷の左腕にある包帯に視線を向けてしまう雨依、軽く歯を噛んでいた彼女は悔しそうに鼻翼に力を入れては猛然と彼に向けては頭を下げていた、「ごめんなさい…!お兄ちゃん!」


  「え?」急に大きな声声で自分に謝って来ている雨依の姿に見開かされては、思わずぱちくりしてしまう斗奴雷はつい間の抜けた声を発していた。「えって…」自分が真面目に謝っていたはずなのに兄が戸惑っているような声で返してくれていた事に困ってしまう雨依、苦笑いしてしまう彼女は小首を傾げては、自分が何を言っているのかが分からないでいる彼に説明するように言葉を紡いで行き、「ういのせいなんでしょ?」切なげに渇いた唇を噛んでしまう雨依は項垂れては斗奴雷の左腕に目を向けて行き、「風邪をひいてたのも、その左手…あっ…」忽然、ぽつりと自分の唇から漏れていた一言に見開かされては猛然と額を上げてしまう雨依は自分と同じように自分の言葉に見開かされている斗奴雷を見てしまうと慌てて首を横に振ってしまい、「ううん。」


  雨依がやはり自分の左腕の傷は彼女と関わっていたんだと知れていたのだと知ってしまうと猛然と背筋を伸ばしていた斗奴雷、「だ、だから…!」強く鼻翼に力を入れてしまう彼は眉毛に力を入れては強く両手を握っては、両手の痛みに耐えながら言葉を紡いでいる、「左手は別にきみのせいなんかじゃないって…!」「う、うん、」斗奴雷が急に取り乱している姿を見てしまうと、彼は本気で自分が何も気がついていないんだと信じてくれていた事を知れている雨依、「分かってる、しっかりと分かってますよ?」軽く右手を伸ばしては彼の力が入っている左肩を掴んでいる彼女は小首を傾げながら潤んでいる金色の瞳で彼の事を映し出している、「雷隊長さん?」


  雨依のまるで子供を宥めているような口ぶりに不満を覚えつつ、軽く鼻翼に力を入れては唇をすぼめている斗奴雷はぽつりと声を上げていた、「ならいいけど。」彼の拗ねている姿に軽く口角を上げては、兄が自分なんかよりもずっと幼くなっているように思えている雨依、「へへ…」つい笑い声を零してしまう彼女はゆっくりと自分の脛に座って行きながら申し訳なさそうにチラッと横目で腕を組んでいる彼の顔を覗いているように見てはぽつりと渇いた唇を開けてしまい、「そして…おかあちゃんにこっぴどく叱れていたのも。」


  雨依が母親が自分に対して来ている態度を気に病んでいることに目を細めては軽く自分の両足に目を向けてしまう斗奴雷は首を横に振ってしまい、「う、ううん、」自嘲気味に笑ってしまう彼は雨依が既にこんなにも苦しまれて来たんだと思っては、自分の苦しみまで彼女に背負わせたくないと思ってしまう彼は軽く握っていたままの右手を胸元に当てては苦しそうに眉をひそめている雨依の瞳を見つめて言う、「全然、ぼくが勝手にやっていたことなんだからさ、」軽く左手を上げては雨依に触れて見たくなっている斗奴雷、病気は治っていたとは言え、自分にはまだ風邪のウィルスを持っているかもしれないと思っては、軽く上げていた左手を握ってしまう彼は寂しそうに言葉を紡いでいた、「きみが負い目を感じる必要はないんだよ。」


  「違うでしょ?」斗奴雷が一人で全ての苦しみを抱えようとしている姿に眉をひそめては、彼が自分を仲間はずれしているんだと思ってしまう雨依、悲しく思えている彼女は左手を胸元に当てながら言葉を紡いでいた、「ういが無理矢理お兄ちゃんを連れ出そうとしていたから、」軽く前のめりになっては付けていたマスクを斗奴雷にぶつけようとしている雨依は、彼の自分の姿勢に驚かされている姿を見つめながら言葉を紡いだ、「おかあちゃんに叱れてたんだよ?」


  雨依が誰かが間違っていたのかと言う罪状を自分から奪おうとしては激昂になっている姿が可笑しく感じては、つい苦笑いしてしまう斗奴雷、「あはは…お母さんの事はもう…」母親の事を言うとつい母親に心が粉々になるまで散々酷い言葉を言われて来ていた事を思い出しては、悔しそうに俯いては歯を噛んでいた斗奴雷はぽつりと呟いてしまい、「いいかな…?」斗奴雷が上げている弱り切っている声に目を細めてしまう雨依、軽く唇を噛んでしまう彼女は切なげに鼻を啜っては、申し訳なさそうに左手を伸ばしては斗奴雷の強く握っている右手の手の甲に触れては自分の冷たい指先に驚かされているかのように額を上げている彼の深い紫色の瞳を覗き込んでは、ぽつりと声を上げていた、「ごめんね…ちゃんとおかあちゃんに説明してたんだよ?」


  眉をひそめている雨依は自分のせいなのに、兄に罪を被らせるのはずるいと思っては顎を引いては、自分が気を失っていた時から、母親が自慢して来ているように目が覚めていた自分に彼の事を叱っていた事を教えてくれる前までは、ちゃんと説明しなかった自分が間違いを犯していたと思い、彼に申し訳ない気持ちが段々心から込み上げて来ている彼女は呟いていた、「ういが悪いって…」雨依が自分に謝って来ている姿に目を向けては、本当に自分に謝るべきなのは母親のはずなのに、どうして悪くもない雨依が謝らないと行けないのかと不満を覚えては軽く首を横に振ってしまう彼はぽつりと声を上げていた、「うん…いいんだよ。」

  

  兄がもうこれ以上母親について語りたくない事に彼はどれぐらい母親に傷つけられてきたのかが垣間見えているような気がしてしまう雨依、切なげに目を細めては軽く鼻を啜っていた彼女はぽつりと声を上げて行き、「うん…」まるで自分につられているかのように項垂れている斗奴雷に一瞥した雨依は軽く口角を上げては、何かしら楽しそうな話題を変えようと思いながら声を発していた、「お兄ちゃんは一人で来てたの?」小首を傾げてしまう彼女は自分の声に額を上げられている斗奴雷の事を見つめながら言葉を紡いでいた、「バスを一人で乗ったのかお兄ちゃんは。」


  雨依が自分が一人で病院に来ていた事に驚かされているような姿勢が微笑ましく思えては、いざ自分が一人で来ていた原因を思ってしまうと思わず俯いてしまう斗奴雷、「うん…」目を細めてしまう彼は苦笑いしながら自分の握りしめている右手に目を向けて行き、「父さんは仕事で、母さんは家事で忙しくて、」視界の下の部分にある白いマスクが自分の口角を隠してくれている事に感謝を覚えてしまう斗奴雷は自分の話を耳にしていたせいで、繊細な眉毛をひそめてしまう雨依の事を見つめながら声を発して行き、「連れてくれなくてさ?」軽く左手を上げては人差し指で頬を掻いてしまう彼は気まずそうに雨依から目を逸らしてはぽつりと温かい息でマウスを殴っていた、「ういに会わせない為だろうけど。」


  兄が自分が言っていた言葉を自嘲気味に笑っている姿を目にしてしまうと、居たたまれない気持ちになっている雨依は悔しそうに歯を噛んでいた、「そう…なんだ。」軽く渇いた唇を舐めていた彼女は項垂れては軽く首を縦に振っている斗奴雷の事を見つめては、どんな話題をしても母親が必ず出てしまうような感覚に畏怖を覚えては、つい苦笑いしてしまう彼女はチラッと斗奴雷背中にくっついていたランドセルに目を向けては寂しそうに目を細めては、軽く口角を上げている、「ランドセルは…格好いいね。」


  雨依が急に話題を変えていた事に眉毛を上げられては軽く自分の体をずらしては彼女に自分の背中にくっついていたかのようなランドセルを見せている斗奴雷はぽつりと弱っている声を上げていた、「これ…?」羨ましそうな眼差しを自分のランドセルに向けて来ている雨依の憧れの眼光に心が苛まれては、彼女が上手く退院出来るかどうかが気になりつつ、ちゃんと手術を受けれるのかも気になっている斗奴雷、項垂れている彼はぼんやりと自分の太ももを見下ろしながら声を発していた、「夏休みが終わったんだから、入学してたんだ。」軽く鼻翼に力を入れては切なげに眉をひそめてしまう彼はぽつりと独り言を口にしているかのように呟いていた、「家には…帰らずに来てたんだ。」


  斗奴雷の口調の中に秘められている悲憤と虚しさを心で感じ取れているような気がしてしまう雨依、彼はよっぽど母親に会いたくないのだろうなと思ってしまう彼女は軽く唇を噛んでは、出来る限り母親について触れないで行こうと思っている彼女は軽く冷たく感じてしまう両手を握っては声を上げいた、「いいな…学校は楽しい?」首をかしげながら自分に言葉を尋ねて来ている雨依に目を細めてしまう斗奴雷、軽く唇を噛んでいた彼は恐る恐ると首を縦に振ってしまい、「うん…楽しいよ、」自分の左腕の傷を見てしまうと、クラスの中で誰もが自分の入学する前に既に傷を負ってしまった自分と話をしたがらない事を思いながら、自分も雨依の事が心配で、まともにクラスに打ち解ける事が出来ずにいる事を思いながら、ぽつりと雨依に心配されない事を口にしていた、「いっぱいクラスメートがいたりしするんだ。」


  斗奴雷の少し元気を無くしているような声に戸惑いながら、俯いてしまう雨依は自分の両足に付けていた白い布団は宛ら白い根の如く自分にしがみついては、放そうとしないでいるように思えてはぽつりと呟いていた、「羨ましいな…」ぼんやりと唇を開けている彼女は自分にはあとどれぐらい生きていけるのだろうかと思ってはつい悲しそうに呟いていた、「ういも入学できるのかな…」


  雨依の寂しさと悲しみが混じり合っている一言を聞いてしまうと、もし自分が雨依を部屋から連れ出していなかったら、彼女はきっと無事でいられていたんだと思ってしまう斗奴雷、強く鼻翼に力を入れては両手を握りしめてしまう彼は雨依と一緒に希望を見つめようとしていたはずなのに、彼女の事をどん底まで突き落としていた自分の事を許すことが出来ずにいる、「出来る…!」苦しそうに喉から声を絞り出していた斗奴雷は猛然と両手で雨依の軽く握っている左手を掴んでは揺るぎない眼差しを自分の行動に見開かされている彼女に向けながら迷わずに揺るぎない声を発していた、「出来るよきっと!」


  斗奴雷が自分の事を鼓舞して来ている言葉を耳にしてしまうと、つい自分はまだ彼と長くいられるような夢を見てしまう自分に苦い笑みを浮かべている雨依、「でも…」切なげに目を細めてしまう雨依は斗奴雷が自分の命を救えるのは一回切りで、もう一度自分の事を助けるには、他の鍵を探さないといけない事を思ってしまうと、根拠のないのにやけに輝いている眼差しを自分に向けては、深い紫色の瞳で自分を照らす鏡のように見えてしまう雨依は小首を傾げながら彼に状況を説明しようとしている、「再発してたみたいだよ…?」軽く唇を噛んでは切なげに眉をひそめている彼女は悲しみに苦しめられてはぽつりと声を発していた、「状況はあんまり芳しくないって…」軽く視線を温かく微かに震えている両手で自分の左手を握ってくれていた斗奴雷から閉められていたドアに向けてしまう雨依はぽつりと声を上げていた、「こっそりとナースさんたちがういの事を話してくれていたのを聞いてたんだ。」


  「そう…なんだ…」眉毛に力を入れていた斗奴雷は雨依がプロの大人から病気の事をこっそりと聞いていた事を思うと、やっぱり中々退院出来ずにいる彼女の体の具合はあんまりよろしくないんだと思っては軽く粉雪のような白い歯を噛んでいた、ごくりと固唾を飲み込んでいた彼は自分はまだまだ雨依と一緒にいたいと切に願っては、雨依がいなくなったら自分はあんな家に戻りたくないと思っては眉毛に力を入れつつ揺るぎない眼差しで彼女の困っている姿を迎えている、「でも大丈夫!」

 

  斗奴雷のやけに力が満ちあふれている一言に戸惑っては思わず小首を傾げてしまう雨依はぽつりと声を発していた、「どうして?」雨依の戸惑っている姿が微笑ましく感じている斗奴雷、嬉しそうに口角を上げている彼はゆっくりと雨依から両手を放して行きながら軽く右手を握ってしまい、「忘れてたのかえ?」斗奴雷の右手が自分の手首から離れていた時に微かに硬い布に擦られていた感覚を気にする事無く、ぼんやりと右手を胸元に当てている彼の事を見つけてしまう雨依。


  雨依がまだ自分が何を言おうとしているのかが分からないでいる姿が可笑しく思っては、鈍感な彼女を軽く笑っている斗奴雷は自慢しているように顎を上げては横目で彼女の事を見てしまい、「ぼくにはきみを助けられる鍵を持っているんだ、」斗奴雷のやけに自信に満ちている声で紡いだ一言にビクッと左側の眉毛が跳ねていた雨依、あんぐり口を開けてしまう彼女はつい斗奴雷はまだ彼の骨髄は自分に排斥されていた意味を分からないでいる事を見つめては、ついぱちくりしてしまう彼女、急いで何とか自慢しているような彼に真実を言わないでいようと思ってしまう彼女は驚かされている事を利用しては演技を決めようと思っている。


  マスクの顔の半分ぐらいが隠されている雨依の自分の言葉で驚かされては、宛らヒントを貰えていたかのように軽く頷いている姿に朗らかな笑みを彼女に見せている斗奴雷、「ぼくがいれば、」軽く左目を瞑っては雨依にウインクを送っている斗奴雷は左手でサムズアップしていた、「何度もういの事を助けれるはずだ。」兄が自分のために何度の体に穴を開けられる覚悟をしてくれている事に目を細めては、自分は彼に愛されているんだなと思ってしまう雨依は幸せそうに俯いてしまい、「うん…」斗奴雷の存在に感動を覚えてはもう少し彼と一緒にいたいのにと思ってしまう雨依は軽く唇を舐めては、心の奥からこみ上げて来ている悲しみに苛まれてはつい涙目になり、軽く右手を上げて自分の目尻にある涙を拭いて行く雨依はぽつりと声を発していた、「ありがとう、お兄ちゃん。」


  雨依が自分の言葉に感動を覚えては、死神に囚われていたんだと勘違いしていた彼女はきっとまだ生きていけることに感動を覚えているんだとうと思っては、嬉しそうに両手をベッドに付けて行く斗奴雷は彼女の顔を覗き込みながら彼女に尋ねて行き、「何かしたい事でもあるのかな?」まるで自分の提案に驚かされているかのように眉毛を上げている雨依に微笑んでいる斗奴雷はゆっくりと彼女から目を逸らては、単調な病室を値踏みしているように見ている彼は言う、「ぼくがいればすぐにでもこんな場所から出れるはずなんだから、」横目でぱちくりながら自分の事を見て来ている雨依に微笑んでは右手の親指を立てている彼は雨依を鼓舞しているような声を上げていた、「その前に暇つぶしでも、何でもいいよ?」宛らもう既に雨依がここから離れる事を見えていたかのように嬉しそうに笑っている斗奴雷は小首を傾げながら彼女に尋ねていた、「ぼくに何かして欲しい事でもあるのかえ?」

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