第3話 初めてのまともな戦闘
録画をしているので、黙って歩くのではなく後で使えるように今回はとりあえず何を目標にするのか、を話していく。
「まあいつもやってるので今回も具体的な目標を示しておこうと思うけど、とりあえずビルドに関しては色々やってから決めようと思ってます」
知力極振りなら『魔法火力特化』か『知力の攻撃力への変換による超攻撃力』なんかが目的になっていたし、防御力極振りなら『全てを受け止めるタンク』だったり『超攻撃力をカウンターして敵を自滅させる』だったりが目的となっていた。
だが今回はステータス自体がバランス良くなるので、何をしようか決めなくても色々と出来ると思う。だからそれは後で決めたいのだ。
「絶対やってみたいこととしてテイムがあるかな。後は召喚も。他はまあコメントとか見ながらやりたいことをやってみようかと思います。これやってみて欲しいとかあったらコメント欄にお願いしますね」
動画用に話をしながら歩いているとすぐに街の外に着く。このゲームもすでに始まってからそこそこの時間が立っており、この始まりの街に留まっているプレイヤーはあまりいない。初心者にいつも新しい状態を楽しんで欲しいと言う運営の意向もあって、生産職なども拠点を別の街へと移している。まあそれが成功しているか否かは、置いておこう。
「さてと、まずはスキルの取得からだな」
ホームメニューを開き、スキルをチュートリアルに従いながら取得していく。とりあえずは戦うために一番慣れた武器スキルを取得しておこうと思ったのだが、極振りの過程でどれが一番適しているかを試すために大体の武器は使ってしまっているので『これが新しい』という武器が無い。
本当ならそれもコメントを見ながら選んだほうが良いのだろうが、今回は自分のためにゲームをプレイするという意味合いもある。先に決めてしまっておこう。
「うーん、何が楽しいかな」
選択基準はただ一つ。どれが楽しいか。今回はそれでいこう。ステータスに適している、とか、レベルアップがしやすいとか、効率的な事は考えない。非効率でも楽しく。それをやっていく。
「魔法剣士、でいくか。やったことないしな」
初期に獲得可能なスキルは全部で5つ。それ以降はスキルポイントを様々なことで獲得して新たなスキルを取得していくしかない。ひとまず戦うために必要な《剣》スキルと《火魔法》スキルを取得する。
後は今後のお好みで。
「はい、それじゃあ一回目の戦闘やっていきまーす。このあたりの需要ってあるんですかね? まあ俺にとっては全く新しいことなんで動画の方も色々とやってみます」
始まりの街のすぐ外のフィールドには穏やかなモンスターばかりが歩いている。このあたりは『戦うことに慣れる』事を目的としたフィールドであり、ただ歩いていても襲われるわけではない場所でもあるということだ。
近場にいた草食獣という名のモンスターに狙いを定めて魔法を放つ。
「《ファイアボール》」
放たれた火球は、回避する様子を見せない草食獣に直撃した。驚いて鳴き声を上げた草食獣は、俺の方を確認した後突撃してくる。
「草食獣と戦うのはいつぶりかな。本当に懐かしい」
いつも効率を、最速レベルアップをと、草食獣なんかに目を向けず更に先のエリアのモンスターを狩っていた。だからこそ最初のエリアにいるこいつが、新しいものに見える。
突撃してくる草食獣を交わし斬撃を一発横腹に当てる。それで草食獣のHPは三分の二まで減った。
ファイアボールのクールタイムが上がっていないのを確認して、今度は俺の方から斬りかかる。草食獣は防御の手段を持たず、俺の攻撃をそのまま受け入れる。
それを幾度か繰り返すと、草食獣は倒れた。取得したアイテム欄に草食獣のアイテムが追加される。
「よし、やれるな。それじゃあしばらくは普通に戦って見ようと思います。見ても退屈だと思うんで早送りしときます」
その後しばらく街周辺の草食獣相手に戦いレベルを上げる。なんというか、久しぶりに楽しい。いや、極振り企画の際も強力なモンスター相手に無双するのは楽しかったのだが、それとは違う、純粋にゲームを楽しめている気がする。
しばらく戦ってレベルが二つほど上がったので、手始めに筋力と知力にステータスを振っておく。他の数値にはまたレベルが上ったら数値を振っていって、常に均等になるように調整していこう。
そのステータスも録画しておいて、更にしばらく街の外でのんびりと戦いを繰り返す。まったりとした戦いが心地良く、今遊んでるんだなと思う一方で、これ動画になんのかほんとに、と疑問を抱えている自分が頭の中にいた。
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