君が僕から溢れる夜に

カラーボックスの裏側で

絡まったコードに埃が積もっていた

ほどいて吸い込めば終わる

灰色の過去を無視してしまえるほど

僕は強くなれなかった


境界と差異を拒んで地平を見据えて飛ぶ

夢の中でだけ自由を享受し

現で互いが生み出す膿に溺れて

海深くに飲み込まれる残酷さより

濃く黒く浮く君の魂は鈍く光っている


夜に鳴く虫の声が耳障りで

見上げた梢に無数の羽化する蝉を見つけた

蛍光灯の光に黄緑色に照らされた

死刑宣告された弱い生き物に同情し

行進の最前列で覚悟とともに夜を歩く


闇は遠い

心臓が鼓動するたびに前を照らす

君の美しい心こそが偽りだった

美しさはすべて呪いだったのに

どうして夜を照らすのだ

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