第23話

 康男の妻の雅子は母の2歳上の姉だが、 もう何年も会っていない。まだ生きているだろうか?もし生きていたとしても、もう永遠に会う事は無いだろうが。凄く勝手者な女だった…。                うちへよく家族と来ては泊まったりしていたが、そうすると勝手に、家の中で好き勝手をした。                 例えば、掃除をするのは良いが、その時に 勝手に人の物を捨てたりしたのだ。    例えば、私がUFOキャッチャーで沢山取った数々のぬいぐるみや人形を、押し入れに入っているのを捨てようとしたり、勝手に半分位を捨てたりした。何でもない物をだ!!  そのもっと前にも、うちの電話帳に勝手に どこかの電話番号を、104の番号案内で調べては、マジックで大きな字で適当なページを開いては乱暴に書いたりをした。     母が文句を言っても無視して相手にしなかった。そんな事は良いじゃないかと言って。 又、昼食を取らずに家族で来ては、私達が食べている所でいきなり冷蔵庫を開けて、勝手に食材を出しては四人分の食事(おかず)を作り、炊飯器からご飯を盛っては家族に出して自分も食べる。台所の隣の畳の部屋にお膳を出しては勝手に食事をする。      どんなに母や祖母が止めたり怒っても完全 に無視して返事をしない。丸で追い剥ぎだ!!                 自分は長女だから何でも許されると思っていたし、又うちには男がいないから良い気になっていたのだ。そしてそんな家庭の母や私を馬鹿にしていたのだ。          夫の康男も男のくせにそんな恥知らずな事を平気でやらせる。うだつが上がらないし、 みっともない、しなびたゴボウの様なつまらない男だったが、中身もつまらなかった。 祖母はこの時はハッキリと康男に言った。「ヤッサン、あんたさ、そんな事を雅子に させないでよ?!あんた、男なんだからさ。お昼ご飯位、外で食べてから来なよ!こんな強盗みたいな真似を自分の女房にさせるんじゃないよ。それ位のお金も無いの?!あんた達が食べているその御飯もおかずも、みんな智子が働いて稼いだお金で買ってるんだよ?全部智子のお金なんだよ?なのに、そんな事をして、女房にさせて、あんた恥ずかしくないの?!ねー、ヤッサン?!」      康男は嫌そうに黙っていた、要は安月給だし妻の雅子は金遣いが荒いしで、だから家族四人で外食するお金もこの夫婦には厳しかったのだ。そして遊びに行くお金も無いから、 うちに来ては泊まり、全員でタダ飯を食い、お風呂に入り、くつろぐ。        康夫は私が幼児の時に、大きな箱の中に貯めていたお金を、まだお金の単位も分からないし自分で買い物をしたこともない私から上手くだまし取った男だ。その時は4千円位あった。                  そのお金は、お年玉だとか小遣いだとかで 他人が来た時にくれたとか何かの、そうしたお金だった。              康男はこのお金をタバコ代にしたのだが、後から祖母や母が非常に驚いた。      又来た時に、まだそうしたお金は無いのかと私にしつこく聞いていて、私が怒りながら、もう無いし、あってもあげたら駄目だと言われたと言っている所に祖母が現れた。   この時も祖母は康男に厳しく注意をした。 小さな子供からお金を騙し取るなんて最低だから、もうそんな酷い事は止めてくれと。 タバコでも酒でも、買いたければ自分のお金を使って買ってくれ、と言って。     この時も康男は嫌そうな顔をして黙っていただけだ。なんとも卑劣な、情けない男だ。 だから息子の裕も、どちらの親にもそっくりではないか?母の物を散々盗んで売っていて、罪悪感は丸で無かった。       妹の恭子もこの同じグループに、成人してから加わるのだが…。

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