第12話

家に着いて、私は勢い良くドアを開た。  「ただいまぁ!!」           母に報告しようと思った。裕達、糞家族が もう帰っていていないなら、母は安心して喜ぶと思ったからだ。           だからドアを開けてまだこの家族がそのままいたのを見て私は驚いた。中には裕、雅子、康男の三人がそのままいたのだ!!    「まだいたの?!」          「当たり前じゃん。どうなったのか心配で、帰れる訳がないでしょう?!」      雅子が凄い切り口上で言った。      「一体何をしてたの?」         母が厳しく問いただした。伯母の雅子もうるさく聞いた。全員が私の答えを緊張しながら待つ。                 私は仕方無く何をしたかを説明した。   答えずに、家を飛び出て逃げれば良かったのだ。だが財布を持たないで出たし、走っても恐らくは裕が、もしかしたら康男も一緒になり、必死で追いかけて来ただろう。    足には自信があったが、とにかく逃げられる雰囲気では無かった。私は丸で蛇に睨まれたカエル状態だった。           だから仕方無く話した。それでも大丈夫だと思う気持があったからだ。なぜなら私は正式に署名をしているので、書類は出来上がり、それはもう生きている。         だが私が署名をした事が分かった途端に、 雅子が大騒ぎをし出した。康夫も裕も物凄く恐ろしい恨み顔で私を睨みつける。    元は自分や自分達の息子が悪い癖に?!  雅子と康男が、特に雅子が母に詰め寄る。 早く警察に電話をかけて、私がした事を撤回しろと。                何度もしつこく、命令調に言う。     母は少しは嫌だった様で、もうしてしまったのだからどうしようもないのではないかと言った。                 すると二人は、そんな事は無いと大騒ぎをした。そしてこのままだと裕が犯罪者になり、前科者になるのだからと騒いだ。そんな事をするのか、自分の娘にさせるのかと。自分の身内を、甥を売るのかと?!そんなに人で無しなのかと?!             愚かな母は、エセ正義感に弱い。又、自分の親や親戚にも弱い。だから段々と又洗脳されて、言われるがままに警察署に直ぐに電話をかけた。                母は馬鹿でお人好しの割には嘘が上手く、 (祖母や雅子、裕や、私のその他の多くの親戚の様に)、平気で嘘を沢山つく事もあった。そして、用途の為には平気だった。  だから電話に出た女の警察官にこう言った。私が無理矢理に連れて行かれて、強制的に その書類に署名させられたと。だから恐くて仕方無くしたと。だから今帰って来て、大泣きをして、とても悔しがったり悲しがったりしていると。              だから本人も母親の自分に、頼むから電話をして、署名したのを無効にして欲しいと懇願して、今はすぐ側で泣き崩れていると。だからどうかその書類に署名した事を無効にしてくれと頼んだ。             相手は駄目だと言った。もう提出してしまったのだからと。             すると母は何度も何度も大声で興奮しながら、怒りながら、必死になって繰り返した。確か20回かそれ以上、相手に対して責めたり泣きついたり、こんな理不尽な事はないだとかを叫んでいた。興奮しながら、顔はもう真っ赤で必死だった。          裕達親子はその様子を冷ややかに、余裕を持って見守っていた。           私だけが落ち込んでいた。違うよ、違うんだよ!!心の中で何度もそう叫んでいた。どうかお願いだから信じないでくれ、そんな事を受け付けないでくれ‼、と。        だが、相手の婦警もついに諦めた。何せ母は絶対に電話を切らないからだ。(警察は、自分のほうからは電話が切れないのか?!いや、又かかってきて誰か他の人間に言われて後から何かを言われるのが嫌だし恐いだとか、面倒だからか?)          そして母の、実際には泥棒家族の要求を飲んだのだ。私がせっかく何とかしたのに!! 一時間かそれ以上警察署にいて、あれだけの思いをして何とかした事を、帰宅したら途端に駄目にした!!あっという間に、上手く操縦されて!!              電話を切ると、母が言った。       「良かったね?もう大丈夫だから。」    雅子と康男は当然だと言う風に黙っている。裕もそうだ。              母は驚いて聞いた。           「何よ、裕。あんた、嬉しくないの?」  裕は一瞬悩んでからこう言った。     「叔母さん、ありがとう!!」     「裕、お前、もう二度とそんな事をするんじゃないぞ!!」             康男が言った。             「そうだよ。又やったら、今度こそ警察沙汰になるよ?!されるからね。」       雅子が言った。             母が裕に言った。           「裕、良かったね。もう大丈夫だよ?」  裕は無言で不服そうだった。何故ここまで こんな事になり、こんなに時間がかかったのかと言う感じだった。だが一寸考えてからこう又言った。              「叔母さん、ありがとう!!」      母は馬鹿だから、ニコニコした。     雅子が言った。             「智子、あんな蝶額なんてそんなに気にする事ないよ?.裕だって反省してるんだし。」「もう良いわよ、あんな物!これからはあんまりあんな物に固執しないで、ドンドン、 誰かにあげたりして、もっと利用するから 良いのよ!!」             母は無理をしている様だが、明るくそう言い切った。                雅子と裕は顔を見合わせて、かすかにだが ニヤリとした。私はそれを見逃さなかった。私は悲しくて情けなくて、その場から離れようとすると康男がいきなり叫んだ。(私は、座っている康男の近くに立っていた。)  「おい、何だ、お前?!警察なんかに息子を売ろうとして!!何がラーメンだ?!何が、ラーメン食べに行こうだ?!」      そうして立ち上り、私を殴ろうとした。  まずい、大変だ!!           だが幾らお人好しで馬鹿な、無能な母でもそれは見逃さなかった。          「一寸、ヤッサン?!あんた何をうちの子にしてるの?!あんたの息子が悪いんでしょう?違うの?!あんたの息子が、人の物をさんざん持ち出して売ってたんじゃないの?!だったら私の娘が、親の物をそんな事されたんだから、何とかしようと思うのは当然でしょう?違うの?!逆だったら、必ずそうするでしょ?だったらうちの子に、何で怒鳴って怒ってんのよ?!こっちは仕方無いから許してやったんだよ、あんたの泥棒息子を!! なのに、人の娘に何やってんのよ?息子が犯罪者にならなかっただけでも、感謝しなさいよ?!本当ならとんでもない事になってんのに!もっとちゃんとに、子供を教育しなさいよ?!しっかり躾しなさいよ、泥棒なんかしない様に!!」             康男は何も言い返せずに、悔しそうに黙っていた。                 あぁ、本の少しはマシかな、ド間抜けなお人好しの母親にしては?!         だが、あんた、死ぬ程馬鹿だよね〜?!今の私なら、絶対にそう思って言ってるよ。   ちなみに私は30代後半か、40代前半位からはやっと‼、母に対しての信頼感は無くなった!!信用出来ないし、仲が悪いとかではなくても、もう若い時の様に、どんなによく虐めや嫌がらせをされていても、それでも良い時も沢山あるから好きだ、と言う気持も丸で無くなっていたから。何とも思わくなったのだ…。                 何故なら、親子でも基本フレネミーな母だとハッキリと分かったからだ。母に、自覚があっても無くてもそうだと。        そして、本人に自覚がある時と無い時とが あるみたいで。私は後にはそう思っていた。そして母の意見を聞かない様になってからは、殆どの事が嘘の様に上手くいった!!笑                   このとんでもない糞野郎の親戚共だが、結果は自分達もちゃんとに‼、ろくでもない事になるのだ!!そうでもなければあんまりだからね!!なので、どうかもう少しお付き合いをして下さい?             続. 

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