第17話 暇な時間
私は、部屋に戻って来ていた。
食事も終えて、特にやることもなくなったので戻ってきたのだ。
という訳で、私はロコと遊ぶことにした。今は、ベッドの上で寝転がりながら、ロコを撫でている所だ。
「ロコ……」
「クゥン……」
仰向けになったロコのお腹を、私はゆっくりと撫でる。
散歩も朝食も終わったことで、ロコは完全にリラックスしていた。このようにリラックス仕切っているロコが見られるのは、私にとっても嬉しいことだ。
「うーん、でも、ずっとこうしている訳にもいかないよね?」
「クゥン?」
しかし、私はずっとこうしている訳にはいかないとも思っていた。
私は、アムルドさんに保護されている。そのため、働く必要はない。
だが、何もせずにここにいさせてもらうのはなんとなくばつが悪いのだ。
そのため、何かしたいと思っていた。この屋敷の掃除でも、手伝えないのだろうか。
「ああ、でも、せっかくロコと一緒にいられるんだし、そんなことを考えない方がいいのかな……?」
「クゥン……」
だが、私は同時にロコと一緒にいられる時間を減らしたくないとも思っていた。
私が働いていると、ロコは一人になってしまう。できれば、それは避けたいことなのだ。
前の世界でも、ロコは一人で留守番してくれていた。だが、その間は寂しかったはずである。
そのような思いを、またロコにさせるのは嫌だった。せっかく、一緒にいられるような環境なのだから、それを手放したくはないのである。
「こっちで、そういう仕事はあるのかな?」
「クゥン?」
「例えば、在宅業みたいな感じの……」
そこで、私が考えたのは在宅業だった。
それなら、ロコとも一緒にいられるし、お金も稼ぐことができる。
だが、そんな都合がいい仕事がないのは、こちらの世界もあちらの世界も同じだろう。
「でも、色々と相談してみてもいいのかな?」
「クゥン……」
しかし、誰にも相談せずに諦めるのも、なんだか嫌だった。
とりあえず、誰かに相談してみて、それから色々と決めた方がいいだろう。
「こういう時、相談できる人といえば、あの人だよね?」
「クゥン?」
という訳で、私はある人に相談することにした。
何かあったら、頼ることになってしまって申し訳ないが、とりあえずその人に相談してみよう。
◇◇◇
私は相談をするために、ネセーラさんを呼んでいた。
私についているメイドさんのため、ネセーラさんを頼ることにしたのだ。
「なるほど……」
全てを聞き終えると、ネセーラさんはそのように呟いた。
恐らく、色々と考えてくれているのだろう。
「とりあえず、私が言えることなのですが……」
「はい……」
「ミナコ様に、掃除のような業務を行ってもらう訳にはいきません。それは、私達使用人の仕事です。あくまで客人であるあなたに、そのような仕事をしてもらうことはあってはならないのです」
ネセーラさんが最初に言ったのは、そのようなことだった。
掃除の仕事などは、私がやってはいけない仕事であるようだ。
確かに、私は居候状態だが、扱いとしては客人である。そんな私に、使用人の仕事をさせることは、公爵家としてまずいという側面があるのだろう。
「それに、ミナコ様が外で働くことも、少し難しいでしょう。やはり、公爵家として、客人をどこかで働かせるようなことはあってはならないと思います」
「そうですよね……」
同じ理由で、私が外で働くこともできないようだ。
確かに、それも色々と体裁が悪いだろう。
「……外で働けないということは、ここで働くということ自体は、悪くない案なのかもしれません。それなら、ロコ様も寂しくはないでしょうからね」
「クゥン……」
ネセーラさんは、ロコを撫でながらそのように言ってきた。
外で働けない以上は、ここで働くという案は悪くはないようだ。
だが、使用人の仕事をすることはできない。それなら、私に残された選択肢は多くはないということだろう。
「つまり、私がやれるのは、使用人以外のここでできる仕事ということですね?」
「ええ、そうなります。すると、選択肢はほぼ一つしかないのだと思います」
「なるほど……」
だんだんと、ネセーラさんの言いたいことがわかってきた。
恐らく、ネセーラさんはある一つの仕事を言っているのだ。
「つまり、私はアムルドさんの仕事を手伝うくらいしか、できないということですね」
「ええ、ここでできるのはそれだけだと思います」
最終的に出た結論は、そのようなものだった。
アムルドさんの仕事を手伝う。それが、私にできる唯一の仕事なのである。
「しかし、それはアムルド様の許可がなければいけません。それに、ミナコ様が手伝える仕事があるのかという問題もあります」
「そうですね……とりあえず、アムルドさんに聞いてみようと思います」
しかし、それには色々と問題がった。
そもそも、アムルドさんの許可がいるし、私ができる仕事があるのかもわからない。
という訳で、私はアムルドさんに聞いてみることにした。それで駄目だったら、また考えるとしよう。
「ネセーラさん、ありがとうございました。おかげで、少しだけ道が見えました」
「いえ、お役に立てたならよかったです」
ネセーラさんのおかげで、自分が何をすればいいかわかった。
そのことには、感謝の気持ちでいっぱいである。
こうして、私はアムルドさんの元に向かうのだった。
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