第75話

 重い金属の塊である大剣が振るわれ、それを盾で受け流しながら剣を突き入れる。


 剣は躱され、その勢いで大剣を引き戻しながらも即座に次の一撃を見舞おうとする。



 お互いに流れるような連撃が繰り返される。


 周囲は決闘がどうなるのかを緊迫しながら見つめていた。


 その緊迫感が壊されたのは突然だった。


 勇者の一人で火属性、水属性、風属性、土属性の合計4属性の魔法が行使できる真城灯火が、〈大鬼将軍オーガジェネラル〉の後ろに待機する〈大鬼オーガ〉達に向かって、それぞれの属性を組み合わせた高威力の魔法を放ったのだ。



 示し合わせたように攻撃を始める勇者陣営に対して、〈大鬼将軍オーガジェネラル〉は無理矢理大剣を振り回して今まで決闘をしていた工藤と距離をとると、激怒した様子で咆哮し〈大鬼オーガ〉達に指示を出し始めた。




 「決着がつきそうになかったから良かったけど、大丈夫か?〈大鬼将軍オーガジェネラル〉からのヘイトの量すごそうだけど。」


 「大丈夫よ、それよりもそっちこそあんなにすごい斬り合いして大丈夫だったの?」



 真城は他の勇者たちの後ろで魔法を連射しながら、少し回復を、と後ろに下がってきた工藤に問う。



 「大丈夫、それよりもあの〈大鬼将軍オーガジェネラル〉の突破方法を考えなきゃだめだな。あれはものすごい強い。全員でかかっても勝利が怪しいぐらいに。」

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