第69話

 戦況は刻一刻と悪化していった。


 魔法やポーションでできる限りの傷を回復した僕が、再び戦線に復帰した時には6人の勇者が、門番の片割れの叫び声で集まってきた20体の〈大鬼オーガ〉を相手に、かろうじての均衡を保っているという、とても危険な状態だった。



 「すまん、遅くなった!!」



 僕の大声を受けて、3体の〈大鬼(オーガ)〉がこちらに向かってくる。



 「これで少しは楽になってくれればいいが・・・。」



 こちらに来た3体の〈大鬼オーガ〉に対し武器を構えてじっと見つめると、それを挑発と受け取ったのか、〈大鬼オーガ〉達は一斉に駆け出してきた。



 「今度は同じようなミスはしない!」



 前と同じく聖光属性をまとわせた剣で、最初の1体に向かって剣をふるう。


 前回と同じように剣は〈大鬼オーガ〉の身体に迫っていくが、前回とは違ってその剣は斬ではなく、突の形をとっていた。


 前回は〈大鬼オーガ〉のその太い腕に阻まれた攻撃も、今回はその腕を通り抜け、見事〈大鬼オーガ〉の右目へと突き刺さった。


 〈大鬼オーガ〉はあまりの痛みに暴れようとするが、それよりも前に剣をさらにぐいと押し込むことでその抵抗は消え、ビクンと1度動いたのを最後にその〈大鬼オーガ〉は絶命した。


 それを見た2体目の〈大鬼オーガ〉が激高して迫って来るが、突き刺さったその剣は〈大鬼オーガ〉の硬い頭蓋骨にがっちりと食い込み、とても動かせる状態ではなかった。

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