第60話
彼は、剣を後ろに引きながら駆け出し、数秒後にはすぐ目の前にまで来ていた。
そして彼は、僕の目の前で急激にストップをかけ、その勢いで剣をこちらに振りぬいた。
僕はその剣を右手で持った剣で受け流そうとしたが、すんでのところで思いとどまり、ダメージは大きくなる代わりに左手の盾でしっかりと防御した。
何故か、いやな予感がしたのである。
案の定その予想は的中する。
彼の持った剣が盾にぶつかった瞬間、パキパキと折れ曲がったのだ。
彼の取り扱いからして、剣が壊れたのではない。
では何なのか、
それは蛇腹剣。
近づけば剣で、離れれば鞭で攻撃できるという、地球では架空の武器として存在しなかったロマン武器である。
「ハハッ、イイねぇ。その調子だ、簡単にやられてくれるなよ!」
剣が盾と衝突した衝撃を利用し、低姿勢で急いで後ろに下がったところで、鋭利な歯の付いた鞭と化した蛇腹剣が僕のすぐ上を薙ぐ。
距離を取った僕に対し、彼は身体に僅かに赤いオーラを身体に纏い、鞭を剣として格納する。
「その赤いオーラは何?やけに力が強かった気がするけど。」
態勢を整えるための時間稼ぎと、相手の手札を少しでも知るために答えてくれないだろうと思いながらも質問する。
「この赤いオーラぁ?これはなァ、【狂化】のスキルの効果だ!戦闘時に自動発動しちまうのが少しあれだが、それでも発動時には全能力を数倍に引き上げてくれるっていうかーなりいいスキルだな。欠点としては、ちょーっとばかし理性が飛んじまうことだな。ハハハははハはははハハハハハハ!!」
・・・前言撤回、【狂化】の影響で理性でも低下しているのか、かなりしっかりと答えてくれた。
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