回数券

 久しぶりに実家に帰ると母の背中が随分と小さくなって少し曲がって見えた。前回帰ってきたのは父の墓参りの帰りだったかな、いや娘の就職報告の時だったかな、忙しさを理由にして何年も顔を見せてなかったが、こうして元気でいてくれると安心する。「さてさて肩でも揉んでもらおうかな」母は引出しにしまっていた財布からボロボロになった回数券を持ってきた。それは四十五年前の五月の日付が書いてある肩叩き券だった。

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200字文庫 🍱幕の内🍱 @itahashi

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