2(枠外)

第45話 ここまでの数か月

 獣人族の件から早いことで既に半年強ほど経っている。

 今現在は五月の初めである。つまり俺はこの世界基準では16歳となった。前回の一件が十月入ったばかりで解決したので、大体がそんな感じだ。


 ここでマジかシリーズの時系列を俺の年齢に合わせて説明する。


 初代が15の歳に共通ルート。16の歳に個別戦争ルートだ。

 2が18の歳に始まって1年間ほど。

 3が20の歳に始まり2年間。

 4が22の歳から一年間。

 5が25の歳から28歳までだ。


 しかし現在すでに初代は終了した。しかも何故か2が始まりかけている。

 2の主人公がまさかの覚醒、それを確認した学園の教師陣はシュートを教育係としてチームを組ませた。そこのチームには2の攻略キャラが揃っていた。


 これは早急に旅立たなくては――と思っているのだが、なかなか身動きが取れない立場となってしまった。


 あの後すぐに爵位と領地を貰った俺はその始末に追われ、安定したと思ったら別の問題が――と色々忙しかった。

 何が一番きつかったかと言うと、パーティーだ。今までは社交界などは無視していたが、そうはいかなくなった。娘を嫁に! と言う押し付けには参ったね。


 例の町は『シンカタウン』と勝手に変えられ、俺はそこに住んでいる。三階建ての大きい屋敷に住み込みのメイド十人とアル、メルナと一緒に暮らしている。

 メイドたちは貴族の次女三女などの、言うなれば勉強を兼ねて働いている。


 俺の領地には大きい街が二つあり、その中でも『スクイズシティー』は国境沿いの要塞都市で、スチルでは王都に次ぐ大きさだ。

 そんなもんを俺に寄こすなよ、と思わんでもない。つーか、本来なら俺はそっちに住むべきだろうな。


 王都では俺が入浴の文化を根付かせ、劣化ポーションの入浴剤で癒されるブームが起きた。計画通りである。この世界にはシャワーしかないからね。

 王都の第三商会支部に銭湯を横に付け、新たな財源となった。


 大砲の売れも異常なほど伸び、ボールグループは国家予算並みの予算を手にしていた。俺のポケットマネーはほとんどを寄付している。


 俺たちの状況はそんなもんだが、外見も大きく変わった。

 成長期と言うのは恐ろしいもので、この半年以上でかなり背が伸びた。


 ボールグループの幹部以上には制服を作り、それを着るようになった。その時に測った身長は――。


 俺が174、ナックルが190、シュートが168だ。

 ヴィースラが178、アル、コンサが184、ユアが168だ。

 メルナは188でイガが289だ。

 

 流石異世界と言ったところか、全体的に高い。特に女性陣。

 コンサの成長が凄く、身長もアル並みになり胸や尻が形はそのままに大きさを増した。もはや歩く勃〇促進機。モテまくり、社交界ではかつての悪評はどこに行ったのか、たくさんの男に言い寄られている。


 制服はぴっちりした黒と白を基調としたビジネススーツっぽい感じのだ。


 

 そして今は漸く落ち着いてきて、俺は一週間で一日だけの王都訪問に来ていた。


「――うむ、伸びがえげつないですね……私より才能あるのでは?」

「はぁ……シンカ様の発明を売っているだけですよ」

 ジャインに呆れられた。


 会長室はジャインの部屋となり、つまりジャインが商会の会長になった。俺はボールグループ全体の会長として、無駄に偉そうにふんぞり返っている。


「シュートさまが勝手に発明しては、勝手に売ってますが?」

「ちゃんと売り上げの何割か商会に入れてるみたいですし、良いですよ」

「弟に甘いのでは?」

「貴方より大事なので。私にとっては」

「ぐ……」


 コンサは未だに全裸で商会の一階部分を指揮していた。会うたびに抱き着いてくるのは勘弁してほしいものだ。

 あと、何故か一階にサツカア家の当主が居た気がしたが気のせいかな。


 国王からの第三王女を嫁に押し付けようとする工作にも悩んでいる。


「まあ、この書類をユアに――」


「お前がシンカ・スクリューか……俺と決闘しろ!!」


「「はあ?」」

 俺とジャインは口を開けたまま固まってしまう。


 いきなり会長室に入ってきたのは、黒髪短髪のガタイの良い男だった、顔的には若そうだが何歳だろうか? 同い年くらいかな。


 持っていた剣を俺に向け、ニヤッと笑っている。


 流石異世界、決闘脳だ。

 なんでどいつもこいつも決闘をしたがるんだ、いい加減にしろ。

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