友熱青ショ《ゆうねつせいしょ》
鈴風一希
完結 嫌いな君へ
_____________入学式の日_____________
桜の木を
独りで眺めるのは
嫌いじゃなかった。
※
僕...
家から遠い
理由は明白だ、何でもかんでも否定から入る僕には話こそ出来ても、続くことは無い。
そういう所が、皆は嫌なのだろう。
「こいつと3年間一緒かよ」とどこからか聞こえてきてるような気さえする。
僕は友に熱を持たず青春を堕落しようと思った。
クラスの中心にいた
朝教室に行くと黒板には僕に向けた悪質な言葉が書かれていた。小学生? と思いつつ、僕は周りの目を気にして黒板に書かれたものを消す。
それを見ていた友歌と、周りにいた奴らは笑った。声はそんなに大きくない。クスクスと、小気味悪く笑っていた。
しかも悲しいことに、席替えで僕は、友歌の仲間である
「居心地が悪いったらありゃしない」と勝地が呟く。僕もまさにそんなところだ。早く席替えしないかと僕は考えていたのに、友歌はその道筋を断ったのだ。その方法はとても簡単だった。
席替えの時にただ先生の話も聞かずに、友と話をするだけ。ただそうやって騒がしくしているだけだ。
先生はそれを許しはしなかった。だから席替えは無しと言い張ったのだ。席替えしたかったものはあちこちに不満を漏らすが、元凶はとてつもなく笑顔だった。少なくとも僕にはそう見えた。
その席のまま数日が経つ。いじめ自体はそんなにエスカレートしなかった。だが除け者にされることがとてつもなく多い。季節は変わって秋になる。だが僕は変わらず独りだった。
親に相談するほどのいじめじゃなかったから正直言いづらかった。だが、僕は親に相談をした。すると親は無視しなさいの一点張りだった。
何をどう聞こうともどう訴えようとも、親は意見を変えることは無かった。
確かにと思っていた自分もいたし、もっと他にあるだろと思う自分もいたが、僕が我慢すれば済む話と割り切る事にした。
学校生活に変化はない。だが、まさかの友歌に変化が訪れていた。
気づいたら彼は独りになっていた。
何か雰囲気が違う勝地に話を聞くと、どうやら彼ら...友歌の近くにいた人達は、適当に悪口を言っている友歌のことを常日頃良くは思っていなかったようだ。
そして限界が来て、ある日突然みんなが友歌から離れていったのだとか。その日から、勝地達は、各々で、謝罪をしたいと言って、僕と話をしてくれるようになった。
気づいたら僕はそれとなく学校生活を楽しんでいた。独りで孤独でなんでも抱えて、勝手に病んで、疲れ切っていた僕はもうここにはいなくなっていた。
周りに目を向けられるようになっていたその頃は既にもう冬真っ只中の一月だった。
とても時間がかかっていたが、僕は時々彼が寂しそうに見えた。でも何か楽しそうな、よく分からない顔をしている。
僕はそんな彼を心配していたのだった。
いじめの核を心配する必要あるのと思うかもしれないが、友歌も一人の人間でしかない。寂しいと思う時もあるだろうと思う。
だから僕は沈んでいた彼に手を伸ばしたのかもしれない。気休めだったかもしれない。でもそうしていたのだ。きっと振り払われるだろう。
彼は僕のことが嫌いで僕は彼のことが好きではない。
振り払われて当然と考えていると、彼は僕の手を握って立ち上がったのだった。その時、
___もう独りじゃないな。___
そんなことを言われた気がした。
それからまた時間は過ぎる。楽しい時間はあっという間だった。もうすぐ春休みがやってくるのだ。
気づけば俺は友歌とも仲良くなっている。
来年はそんなにつまらない一年じゃないかもな。そんなことを思いながら終業式が終わり、僕らは別れた。
※
_____________始業式の日_____________
朝一番に学校に着くと桜が綺麗に舞っていた。
独りで立ち止まって見ていると、
「
そんなことを言われて、振り返ると友歌がいた。二人で一年の頃の話をしてると、あっとゆう間に時間は過ぎる。
彼は友に熱を持って青春を謳歌しようとしていたようだ。僕はまんまと彼の作にハマってしまっていたようだ。
桜の木を
二人で眺めるのは
嫌いじゃなかった。
友熱青ショ《ゆうねつせいしょ》 鈴風一希 @suzukazekazuki
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます