第9話 ラーメンデート

「優頑張れあと一周!!」


 既に走り終えた陸部の友達が声をかけてくれる


 一周200mがやけに長く感じる


 最後の力を振り絞り早く終わらせたい思いから


 最終コーナーで一気にスピードを上げる


「お疲れー!!」


 ゴールラインを踏みトラックの中に入りヨロヨロと歩きバタっと仰向けに倒れる


「はぁ…はぁ…キッツ」


 しばらくし息が整ったら水飲み場へ向かう


 一気に喉に水を流し込む


「かーー!!生き返るぅ!!」


 全員がゴールすると授業は終わり教室に戻る


 既に先生がいて着替えずそのままHRが始まり帰宅


 帰ったらシャワーを浴び着替えてあらかじめ用意していたカバンを持ちすぐに家をでる


 速足で駅へ向かい駅前の時計台の下である人を待つ


「おまたせー! ごめん待たせっちゃったね!」


「ううん。 大丈夫僕もさっき来たとこだから」


 少し息を切らせながら走ってくる七瀬さんに伝える。 ただいまの時刻は12時25分。 集合時間の5分前だ。


「12時半集合だから、そんなに急いで走ってこなくてもよかったのに」


「いやー家に携帯忘れちゃって、取りに戻ってたから間に合うかどうかわかんなかったんだよね。間に合ってよかったー」


「携帯忘れて5分前に来れたってことは忘れなかったらどんくらいに着いてたんだろう?」


「10分前に着くつもりで家出たけどね、早い段階で気づいたからなんとか間に合ったて感じかな」


 そんなことを話しながら俺は七瀬さんを見る。 今日の七瀬さんは私服姿だ。 スーパーで会ったりこの前家に着た時だったり私服姿は何度か見たことはあるけど、やっぱり女の子の私服を見るのは新鮮な感じがする。


「七瀬さん。 今日の服も服似合ってて可愛いね。」


「え、本当!? 男の子にそう言われたの初めてだよ。 やった嬉しいなぁ!」


 僕の言葉を聞いて七瀬さんは笑顔を咲かせる。 もうニッコニコだ。


 やばい可愛すぎる惚れる


「じゃあ行こうか。今日は麵で~行くよ」


「了解です!」


 七瀬さんは右手でビシッと敬礼をする。可愛いなぁ


 線路沿いの道を上り方面に歩いていく


 数分後特急が爆音で僕たちの横を通過していく


「キャ~!」


 この区間は直線距離が続くので速いときは120㎞/hを出す時もあるので特急が通過すると爆風が吹く


 その影響で七瀬さんのスカートがブワッと舞い上がり七瀬さんは必死で手で抑える


「白か…」


 自分はナニとは言わないが色をぼそっと呟く


 いや色呟いただけだからね?


「あー!鏡クン見たでしょ!もう…えっち…」


「!!」


 グハァ!あの顔と声であのセリフは反則だろ!?!?


 今ので自分の顔は一気に赤く熱くなる


 いやほんとズルいですよ。あの子は


 持ってます。ナニかを持ってます。


 最強です。見ましたごめんなさい。だから嫌いにならないでぇ!!!!


 そうこうしていると目的のラーメン屋麵で~に着く


「着いたよ!」


「ここかぁ!麵で~!黄色の看板がいいね!」


 僕たちは引き戸をスライドさせ店内に入る


 席はカウンターのみで全18席、厨房を囲うように作られている


 カウンターのみにしてはかなり人数が入る


 入り口のすぐ左に食券機があるのでそこで食券を買う


 今日は汁なしを食べようと思ったが体力テストで腹がガンガンに減ってるので無料トッピングができる普通の小をのボタンを押す


 七瀬さんは大好きな汁なしのボタンを押した


 食券を買ったら席に着き食券を店員さんに渡す


「小のお客さんニンニク入れますか?」


 ミニや小、大を頼んだとき特有の質問が来るので僕は待ってましたと言わんばかりの勢いで答える


「全マシで!」


「全マシ入りました!ありがとうございます!」


「「ありがとうございまーす!!」」


 店内にいる店員さん全員が声を出す


 ここでは全マシを頼むと店員さん全員が声を上げてくれるにぎやかで楽しいので僕は好きだ


「鏡クン汁なしじゃないんだね」


「体力テストでお腹空いちゃって。汁なしじゃ足り無さそうだったんだ。増せるしスープもあるからその分腹も膨れるし」


「男子持久走最後だったもんね。仕方ないね」


 そんな話をしているとすぐにラーメンが来る


 お昼時のため回転が速い


「はい。小全マシですねー。スタンプカードお持ちですか?」


「はい持ってます。お願いします」


「今日は水曜日なのでスタンプ二つ押しときますねー」


「ありがとうございます」


 そうだ今日はスタンプ二倍の日だったラッキー


 スマホを取り出し一枚写真を撮りSNSに投稿する


「うわーラーメンもすごい美味しそうだね」


「これだよこれー待ってました。じゃあ麺伸びちゃうし先いただいちゃうね」


「うん。どうぞ」


「よし。じゃあいただきまーす」


 僕は合掌したあと箸をどんぶりの底に突っ込む


 そして麺を掴み山盛りになった野菜の上に出し天地返しをする


「これが天地返しかー初めて見た」


 横で七瀬さんが感激の声を上げる


 天地返しを数回繰り返しある程度麺が顔を出したら一気に麺をすする


「うっま」


 思わず声が出る。夢中になってラーメンを食べていく


「はい汁なしですねー最初に卵黄を崩しよく混ぜてお召し上がりください」


「わかりました。ありがとうございます」


 七瀬さんのほうも来たみたいだ


「美味しそ~いただきまーす」


 七瀬さんも合掌し言われた通り卵を崩しよく混ぜてから麺をすする


「美味しい!鏡クンこれすっごい美味しい!」


「ホント?紹介してよかったー」


「うん連れて来てくれてありがとうね」


 笑顔ニッコニコの顔でお礼を言う


 この顔を見ると連れて来てよかったと心の底から思う


 僕が作ったわけじゃないがすっごい嬉しい


 その後二人は夢中で麺をすすりチャーシューを食べ僕はスープまで飲み干した

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