第5話 隣の席の女の子は教科書を忘れちゃったみたいです
「あちゃーやっぱり無いか」
社会の授業が始まっても七瀬さんは落ち着きがない
「七瀬さんどうしたの?」
「あ、鏡クン。社会の教科書忘れちゃったみたいで、悪いんだけどさ、教科書見せてくれない?」
七瀬さん忘れ物しない真面目系だと思ってたけど案外そういうところもあるんだな
なんかレアな七瀬さん見れた気分
「いいよ。じゃあお互いの机の真ん中に置くね」
「ありがとう!恩に着るよ」
そういって七瀬さんは頭を下げる
別にそこまでしなくてもいいのにな
「大したことじゃないからいいよ。ファイルはあるの?」
「うん。多分昨日塾に教科書持ってったからバッグに入れっぱなしだったんだと思う」
「七瀬さん塾言ってるんだ」
「うん。中二なってから行き始めたんだー」
「そうなんだ。あれ、今授業どこまで進んでる?」
「まだ前回のおさらいだから大丈夫。アイヌのところ」
「あ~チンギスハンが出てきたところで終わったんだっけ」
「そうそう。あ、そろそろ進むみたい。集中しなきゃね」
そう言って黒板に目を向ける
七瀬さん横顔も可愛いな~
って何言ってんだ僕は
集中しなきゃ遅れちゃうよ
授業終了____
「加藤ちと来てくれ」
「はい!」
授業終了後社会担当兼剣道部顧問の広瀬先生に加藤が呼ばれていた
多分部活内容を伝えているんだろう
「いや~終わったー。教科書見せてくれてほんとありがとうね」
「どういたしまして。また忘れたら遠慮なく言って。また見せるから。」
「ありがと~。次からは忘れないように気を付けるよ~」
「優~今日アップやったら練習試合打っ通しだって」
七瀬さんと話してると加藤が部活内容を伝えに来てくれた
「え、それ広瀬先生から?」
「うん。今呼ばれたじゃん?部活の事だった」
「おっけサンキュー」
「あれ。二人とも仲良いの?」
七瀬さんが不思議そうにこちらを見つめる
「同じ部活だし。幼馴染だからねー」
「へーそうなんだ」
そう。僕と麗奈は幼稚園の頃からの腐れ縁
お互い小1から剣道を始めてる。
麗奈は筋が良く、小柄な体型を活かし素早くトリッキーな動きで始めて1年で市内の小三以下ブロックで金メダルを取り、翌年には都大会金、最終的に小5で全国二位を取ってしまった。
部内の女子の中でもダントツで一番上手い
僕と違って一年からレギュラーを獲得している。
因みに僕は麗奈以外の女の子とまともに会話したことはない
「それよりも優と鈴ちゃんが仲良いことがあたしはビックリだよ」
「そうなの?」
「そうだよ~。優がアタシ以外の女の子と喋るなんてめったに無いもん」
「ちょ、なに勝手なこと言ってんだよ。」
「だって事実でしょ」
「そうだけど、って言わせんなよ恥ずかしい」
「ウフフ」
「「?」」
「鏡クンと麗奈ちゃんて幼馴染っていうだけあってホント仲良いんだね」
「そう?」
「私からはそう見えるよ」
まあ親同士も仲良いし小さい頃からずっと一緒だったからな
幼稚園の時からずっと一緒だったからもう10年ちょい一緒なのか
そうしみじみと思いながら僕は次の授業の準備をした
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