わずか4000字の短編の中で、3人の人間が、それぞれ極限の愛情を抱いてそれがみごとにすれ違っている風景がまざまざと浮きあがります。わずかな角度の違いで、ゆくところまで行ってしまった愛情が、数万光年の先まですれ違い続けている。読むだけで、切ない。読むだけで、涙が出てくる。そして読むだけで、こんなひどい愛でもいいから。だれかを愛した記憶が欲しい、と思えてしまいます。