第12話 紫煙纏いしオニ

 今、世界で最も忌避されている代物。

 それが、煙草たばこだ。

 過度とも言える健康志向ヘルシズムの高まりにより、その波により煙草を燻らす者スモーカーにも厳しい目が向けられるようになる。

 中でも、特にのが、嗜好品としてだけでなく、医薬品も燻した煙で摂る風習を持つ妖霊種もののけの鬼たちだった。

 その最中で、ある鬼たちがとんでもない事件を起こしてしまった。

 当の鬼たちは特に気にすることなく、享楽の宴ハロウィンへと向かっている。

「大袈裟に騒ぎすぎだとは思わないか?」

 紫煙を燻らせながら、赤い刺青の鬼がぼやいた。

今から行く祭りハロウィンの事か?の事か?」

 同じく紫煙をはく青い刺青の鬼が、自分達を乗せて飛ぶ龍を示しながら言った。

「今のはの事だ」

「下らないとは思うな。ただの煙嫌いヘルシニストの口車に乗っただけの流行り事だからな」

「ああ。無駄に声がデカいただ言いたいだけの奴と、頭の中が真綿な自分で考えない奴は相性がいいから困る」

「気にする必要はない。こいつも喜んでいる」

「当然だ。俺のおススメだからな」

 彼らがした所業。

 それは、妖霊種もののけの神獣である龍に巻き煙草紫煙の味を教えてしまった事だった。

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