Epilogue

 数年前、コロニーMで起きた大規模な爆発と同じような現象が、コロニーJ内でも起こった。現場は『国立ジャパン学園女子部』の校舎内で、建物もドーム型のコロニーの一部も、大破したというのに、ほとんどの生徒が無事だった。


 ただ、少女の失踪事件の調査に潜入していた警察官が一名、教員が一名、事務員が一名、生徒の少女が数名、未だ行方不明である。


 コロニーMの時と同様に、爆発に巻き込まれ、跡形もなく消失したと推測される。その内の『教員』は、表向きは体育教師だったが、ジャパン学園の学長の一人息子であった。


 不思議なことに、それと同じくしてコロニーJのの危険レベルが格段に下がった。まるで砂漠のオアシスのように植物が一部から茂りはじめ、それが凄い勢いで日本列島を、海を超えて世界へと広がっている。


 それにより、コロニー外へ出る者も多くなり、コロニー間の貧富や環境の差も徐々に緩和されていった。『国立ジャパン学園』も、代表者(学長は伏せられていたが、何年も前に亡くなっていた)が不在になったのをきっかけに、徐々に力をなくし、日本の中での特別な立ち位置ではなくなっていった。


 いつしかコロニーの外壁は、一部を除き全て壊された。人々は自然と共に暮らしはじめた。コロニーSにあった天然樹は、コロニー外の汚染がなくなっても、いつまでもいつまでも枯れることはなかった。


 むしろ、近年ますますと成長している。下から見上げると、まるで宇宙そらへ向かって、へ向かって、手を伸ばしているようにも見えた。

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