ウィザーズ コンダクター
秋月良羽
プロローグ
第1回 本当の歴史を知っている青年
あ~あ、眠い。
どうして、こんなに眠いのだろう。
学校の授業というのは、聞くだけで眠くなる。
教師の言葉からは、睡眠に必要な何か新たな物質でも発しているのだろうか。もしも、その物質が発見することができれば、一躍有名人になれるのではないか。
科学的にも有名な賞でもとれるのではないか。
そんなどうしようもないことを俺は考える。
それでも眠い理由は何となくわかる。それは、授業がつまらないからだ。
本当につまらないのだ。歴史という授業は―…。
好きな人もいるからつまらないはずはない!!
そりゃ~、歴史好きであればそうだろう。俺も歴史は嫌いじゃない。好きと言ってもいいぐらいだ。
じゃあ、なぜつまらないと思うのか?
今、教えられている歴史が、本当の世界の歴史じゃないからさ。
聞けばわかるよ。
「ええ~、この世界は神様によって創られたものです。西暦といわれる暦では、2023年に世界は滅びました。
それはなぜか。
神様を西暦の2023年に生きている人々は信じていなかったのです。信じていた人も中にはいるでしょう。
だけど、神様が信じていると認められるほどの数ではなかったのです。
むしろ、神様は、信じていなかった者たちを見て、怒りを感じたのです。
まさに、それは神様に逆鱗を起こしても構わないように―…。
ゆえに、神様は人類を一度滅ぼすことで、人類に教えたのです。
『神を信仰せぬ人類がいる世界は滅びて、新たに創造されなければならない。今度こそ、神を信仰し、神のために生きることによって、人類は救済されるのだから』
と、言って―…。
そして、神様によって新たに創造された世界では、神様によって創られた最初の人類にこう教えたのです。
『神を信仰し、神のために生きよ。それが人類を再度の滅びから守られるための唯一にして最高の方法である』
と。
それ以降、新たな人類は、
これ以上、この歴史の教師の長話を聞いても面倒であろう。
本当に面倒だ。
答えを言えば、この教師が教えている歴史はすべてではないが、真っ赤な嘘だ。
この世界は、神によって創造され、人間を創ったということは事実だが、神を信仰して生きたとしても人類は滅亡からは守られないし、救済されるわけでもない。
ようは、俺は本当のこの世界の歴史を知っている。
教えられたのだ。この世界の神を知っているものに―…。
キーンコーンカーンコーン。
ここで、授業のチャイムが鳴る。
そして、教師もここで区切りがちょうどいいのか、独演会のような授業を終えるために、日直に、起立、礼の号令をかけさせる。
俺もそれに従って、起立、礼をする。
こうして、今日の歴史の授業、厳密にいえば、世界史の授業が終わるのだ。
というか、黒板に重要なことを書けよ、と多くの生徒が思っていたとしても、この教師はそのことを無視した独演会という名の授業を続けるだろう。
世界史の授業が始まって八回目だが、八回ともずっと同じ内容しか授業をしないのだから―…。怠慢も良いところだ。
そして、世界史の授業が終わると、今日は後、掃除をして、ホームルームをして、家に帰っていいのか。
その後、俺は、掃除、ホームルームを終え、荷物を纏め、家に向けて帰るために、教室を出るのであった。
ああ、名前を名乗るのを忘れていた。
俺の名前は、
この
成績は中の上、といった具合で、友達はいない。
なぜ、友達がいないかって?
それは、廊下での生徒たちのヒソヒソ声を聞けばわかる。
俺がどう呼ばれているのかを聞けば―…。
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