第5話 ラジオ

声が聞こえる

そうして、安心するのか

あたりまえのことだろうか

近くにいないのに、ヒトが喋っている

あたりまえのことだろうか


声が聞こえるだけでいい

意見の食い違いがあっていい

喋ってくれるだけでいい

相手にされないくらい、ヒトとしての価値がないのはもっとも残酷


見えない相手に語り掛けるくらい、ヒトは孤独に耐えられない

それにあえて挑むヒトは、なんというメンタルの弱さだろうか

しがらみやこだわりを脱ぎ捨てることはわかる

挑むのは、自分のDNAだ。他人には関係ない。


ヒトって、なんてわがままな生き物なんだろう。


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