『第2話』続きの続き

馬鹿な思考を走らせていると恒例の自己紹介が始まった。みんな無難な自己紹介をしている。そろそろ自分の番が回ってきそうだ名簿が早いせいで自己紹介を考える暇もあまりないな。どうしよ、少し緊張してきた。....よし!


「小鳥遊春嬉です。好きなものはゲームとかアニメです。中学では部活は弓道をしてました。高校では文化部に入ろうと思ってます。皆さんこれからよろしくお願いします。」


よし、無難な自己紹介ができたはずだ。ここで下手なことすると一気にボッチまっしぐらだ。それだけはなんとか避けたい。その後も無難な自己紹介が続いたから大丈夫だろう。半分くらいは覚えてないかもしれん。変化があったのは最後の方、そうあいつらがいるとこだ。名簿順なので光の方が先らしい。


「馬場光だ!光ってよんでくれ!好きなのは漫画、ゲーム、運動!中学はサッカーやってたから高校でも続けようと思ってる。みんなこれからよろしくな!」

相変わらず明るいやつだ。ここまでなのはもう才能だな。


「御園ゆりかです。趣味は読書です。これからよろしく。」

......今まで気づかなかったのが不思議なくらいの美少女だ。あまり話さずに座ってしまったが、みんな見とれてしまっている。

そういえばこの名前は朝光から聞いたやつだが、違う人だな。どういうことだ?あとで光に聞いてみるか。

そのあとは普通だったが、


「三谷晴花で〜す。好きなことは話すこと!みんな気軽に私のことはるはるって呼んでね!これから毎日楽しもう!よろしくー!」

はるはるだけは例外だった。テンションお化けかよ。


諸々が終わり下校する頃、玄関を少し出たとこで光を待っているとまたあの人を見た。

やはり学校に用があっただけなのだろうか。

少し疑問が残る。....あ、目があった気がする。向こうはとても驚いているようだったが、どこか悲しげな顔をしている気がする。


「やいっハル、まーたあの子見てんのか?もういっそ告っちまえよ」

そんな無責任なことを言いながら光が玄関からやってきた。


「ちげぇって。それより光、朝の人名前違ったじゃねえか。勘違いでもしたのか?」


「え?そんなはずないって。たしかにあの時いたのは御園さんだったはずだぞ。今もそうだろ?てっきりお前御園さんに気があるのだと思ってたんだが」


「だからぁ....まあいいや、帰ろ。もうくたくただ。」

どうにも話が噛み合わないが、疲れ切っていたこともあってその日は大して気にせず帰ることにした。

それから数日あの女性を見ることはなかった。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

あれから数週間経って少しはクラスに馴染めてきたと思う。その間あの人を見ることはなかった。

ずっと探していたが一度も見つけられなかったのはこの学校が広いからなのか、それともそもそもこの学校の生徒ではなかったのか。

どちらにせよ次見かけたら少しくらい話せたらなぁ。......ってこれじゃまるで恋してる見たいじゃんか!いやいや確かに綺麗だったけどっ、けどっ!


「よっ!ハル、どーしたんだー恋する思春期男子高校生みたいな顔しやがってー。

やっぱ好きこできたんだなー?」


「帰る支度するの待っといてやったのに言うことはそれか?あと俺は恋してない。邪推すんな。うぜえぞ。」


「またまたーハルが誰か探してたのはわかってんだぜー。何年一緒にいると思ってんだ。」


「光......」


「春嬉....」


「正直やっぱうざい」

「おい!今のいい雰囲気返せよ!」


「勝手に浸るのが悪くない?」


「理不尽!」


「さて、じゃあ行くか。早く来ないとおいてくぞー」


「話そらすの下手か!こうなったらずっと聞き続けるからな!」


チッ誤魔化されなかったよう.....だ.........?


「どした、春?急に止まって」


「今、外に...ほらっあの人!」


ちょうど玄関から出たあたりにあの人が立っているのが見える


「どこだよ春?」


「はあ?ついに目までおかしくなったのか光」


「いやいやそんなことねえって」


「もういい!話しかけてくる!」


「えっ、ちょっ...まあ頑張れよー!ハルー!」

......大げさなんだよ光の奴。だが今は頼もしいかぎりだ

確かあそこは校門の近くの桜のはず。いそげばどこかに行く前に会えるかもしれない


「はあ、はあ、.....やっと着いた」

無駄に広いんだこの学校...マジで疲れた。特に玄関から校門までが遠い....

それより....いた!まだ木の下だ!


「あ、あの」

「....!」

勇気を出して話しかける.....だめだ緊張で顔を上げられない

....返事がない、


「す、すみません急に。でも、その少しだけでもお話がしたくて」


今度こそ顔を上げると......誰もいなかった。そんな避けられるのか........


「どうしたんだよハル?マジで頭おかしくなったか?おーいハルー?

おーーーーい..........」



ショックで2日くらい悪夢を見た。





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