第3話 戸尾鐘村
「都がこの地にあった頃ですから、ずいぶんと昔の話です」
神主さんが、話してくれた。
昔、ある地方から都のあったこの地に、訪ねてきた者がいた。
戸尾鐘村では、猫又があられて、人を襲っているので、困っているということだった。
都には、人も多く、猫又を退治してくれる人がいるに違いないと、訪ねてきたらしい。
話を聞いた役人は、さっそく猫又退治をしてくれる者を募り、戸尾鐘村に向かわせた。
猫又退治には、二人が、手を挙げた。
ひとりは、坊主で、お経を唱えれば、そんな化け物は、すぐに退治出来ると豪語した。
もうひとりは、武士で、大きな刀と、長い槍を身につけた、桐の
同行する者は、見届け人として、神職の中から選ばれた。
神職の者は、護身用として、弓矢と小さな刀を身につけていた。
姫菜には、身の回りの世話をする女性が、もうひとりついていた。姫菜から
途中、山賊に襲われた。
「猫又退治をされる御身に、怪我でもされれば、見届け役の私が困ります。ここは、私が、引き受けましょう」
そう言うと、十人の山賊をたったひとりで、あっという間に、立てなくしてしまった。
娘は、父親に厳しく武道を仕込まれていたのだ。
それを見た武士も坊主も、娘には、一目置くようになった。
望は、家族を猫又に食われて気力をなくしている農夫をきめ細かく気遣い、徐々に元気を取り戻させた。
村に到着すると、農夫が、村を出てから、五人が犠牲になったと、村長から話を聞いた。
元は、裕福な村だったが、働き手が、少なくなり、徐々に苦しくなってきている。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます