第19話 裏方の介入
翌朝は夜中で途中に起きてしまったせいか、日が完全に上がるぐらいまで寝てしまっていた。
時計を確認していないが、確実に寝坊なのでさっさと朝ご飯を食べて宮殿からの迎えを待とうと思い、部屋を出ると朱音が階段を駆け上がってきた。
「おはよう」
「あ、良かった起きてた。今すぐ出発するから着替えて」
「おぅん?」
状況がつかめず中途半端な返事をしてしまったが、急ぎの用が出来たことは間違いなさそうなので、サッと着替えて家を出ると確かに馬車がすでに待機していた。
「お早い時間に申し訳ありません」
「いや、大丈夫です。できれば車の中で説明してくれると」
「もちろんです」
アレスさんの案内で朱音の乗っている馬車に乗り込むと扉を閉じるのと同時に動き始めた。
「それでどうしたんですか?」
屋敷を離れて宮殿までの目抜き通りに入ったところでアレスさんに声をかけると俺たちにそれぞれ紙を渡してきた。
「お二人には帝国北部の反乱軍の鎮圧、並びにその部隊の総司令官の任が下る予定でしたが、朱音様に鎮圧部隊の支援をお願いし、蒼殿には東部国境に向かっていただきます」
何でだろうと思い渡された紙を見ると”トオニス王国軍”の文字があった。
(裏方が出てきたか)
「今朝、トオニス王国の使者より”貴族軍”の支援のために参戦するという文書が陛下に渡り、現在確認中ですがすでに王国軍が帝都に向けて進軍していると思われます」
物資支援だけで終わってくれればいいのにわざわざ軍事介入してくるらしい。
奇襲に横やりとかなりの外道っぷりを発揮している王国だが、それは対処しない理由にはならない。
「それでこれからどうするんです?」
「朱音様には少数ですが近衛兵を連れて移動中の鎮圧部隊に合流していただき、蒼殿には私と共に東部に向かい、移動中の東部貴族を連れて王国軍の迎撃を行っていただきます」
「私が領兵の指揮をしていいの?」
王国軍もやっぱり銃を使うのかな?なんて考えていると朱音がアレスさんに圧をかけ始めた。
(え?)
「そ、その場の貴族の了承が得られればいいと思いますが……」
「じゃあアリアノールさんに指揮権を貰えば了承はいらない?」
(うん?)
「アリア……、陛下のご決定であれば貴族の口を出すものではないと思いますが」
若干言語的な意思疎通が出来てない感があったが、朱音的には自己解決できたようで顎に指を当てて何かを考え始めた。
「蒼」
「はい!」
「速攻で殲滅した後、どうすればいいかな?」
「……、敵の背後を取って補給を脅かせることが出来ればベター、そのまま包囲出来たらベスト」
「分かった」
どうやら紅の剣士は思っていた以上に覚悟が決まった戦闘魔なようだ。
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