第17話 帝都攻防戦②
あちら側から積極的に攻撃をしてくる様子ではないらしいので考え事をしながら正門に向かうと指示通り臨戦態勢で待っていた。
(騎兵までいるのか……流石宮殿ってことかな)
思ったより兵の数が充実していたが少ないより全然いいので考えるのを一度やめて兵士の前に立った。ちょっと怖い……。
「聞け兵士たち。我々は敵より少なく、さらに包囲されている」
兵士の士気を上げる方法はよく分からないけど、クラスメイトのやる気を引き出すのは度々やっていたので、言葉を変えてつらつらと語った。
「――しかし、それは我々が剣を下ろす理由にはならない。奴らは陛下に背いた挙句、剣まで向けた、」
「――その罪は死のみで贖うことのできる大罪だ!」
完全にそれっぽい言葉を熱く語る人だがかなり効果抜群の様で目からは殺気とやる気がみなぎっており、号令をかければ開いてすらいない鉄製の門に突撃しそうな程である。
(ここでピークに持って行こう……)
規模の大きいことをするために少し目をつぶり集中力を高める。
「〈
イメージが像を結ぶと体の中から何かが減り、集まった兵士と門の間に騎兵が現れた。
数は敵が200強だと言っていたのでこちらは100ぐらい出した。足りなければ追加する予定。
兵科も色々で基本は槍持ちだがちょこちょと剣持ちもいれている。効果は不明。
最後に大きく息を吸い込んで叫ぶ。
「門を開けよ‼賊を討て‼」
号令に従い門がゆっくりと開いて行った。隙間から見えるのは俺が教えた構え。
ある程度門が開くと一斉に射撃を開始し、炸裂音と光、扉を引きずるときに出る土煙が混ざり視界が効かない状態になった。
しかし異変に気が付いたのか銃撃が止まり沈黙が訪れた。
門が完全に開き、土煙が流れるとそこには氷でできた無数の騎兵が目だと思われる場所を光らせ、にらみつけている。
「突撃‼」
「「Aaarrrgggghhhhh!!!」」
ゴーレムに指示を出すと雄叫びを上げながら門の外側に流れ出していった。
圧倒的な物量を前にしても銃を撃ち続ける彼らに救いは無かった。
馬が地面を蹴る音よりも大きな叫び声を上げながら倒れていく敵兵を見ながら宮殿にいた兵士たちも唖然としていたが、指揮官風の一番前にいた人の肩を叩くとハッとした顔でこちらを見た後に瞳の奥に恐怖をにじませながら彼らも門の外に向かった。
その後は帝都に地獄がやって来た。
確かに宮殿は彼らに包囲されていたが、帝都外側の居住区画を占拠することが出来ていなかったようで、彼らも二枚の壁に挟まれている状態だった。
そこに突如として
貴族派の奇襲によって始まった内戦の初戦。帝都攻防戦は数時間で皇帝派に軍配が上がった。
わざわざ士気をぶち上げたのにゴーレムのインパクトが強すぎて兵士たちが及び腰になってしまったのはやらかしポイントだが、結果的には帝都に平穏が戻って、貴族たちが作戦を抱えて自分たちの領地に戻っていったから取り敢えずOKってことにしておこう。
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