第13話 北部の旅行

 作り出したゴーレムで建材を運び、空きが出た商会から借りた馬車で労働者を運ぶことで作業は順調に進んだ。

 予想外だったことは朱音を含む白百合騎士団総勢11名がくっついてきたことだ。

 皇女が簡単に遠出してはいけないのではないかと思って理由を聞いたころ、


「こういう機会が無いとあまり帝都の外には出られないもので」


だそうだ。

 一応アリアノールさんにもこっそり確認を取ったところ、白百合が付いてる上に朱音&蒼の異世界組もいるから大丈夫だろうとの判断が下り、全員で行くことになった。

 とは言え作業は順調に進むし、肉体労働にはモヤシと女子の出る場面はなく、テントの宿営地でお話ししたり、「腕がなまらないように」と剣を振る女子を見て時間をつぶしていた。

そんな感じでテントで暇をつぶしていると馬に乗った一行が宿営地にやって来た。


「――お久しぶりですエヴェラルド閣下」

「蒼殿も元気そうで何より。しかもこんな辺境で皇女殿下にお会いできるとは思いもしませんでした」


どっかのタイミングで来るだろうなと思っていた人物なので対して驚かなかったが、あれだけ大々的に批判したのに建築状況に興味津々だったのはちょっと意外だった。


 「それで今日はどんな用で?」

「蒼殿も建築を監督しに来ると聞きましてな。せっかくこちらに来ていただいたのだから祝宴でも開こうかと、」

「それに稽古をつけていただく約束もありますのでな」

「なるほど。そう言われては断れませんね」


確かに何度か言われていたことだし、マジで断る理由も無いので閣下の領地である帝国北東部へレンシアの州都にお呼ばれすることにした。

 州都は帝都に負けず劣らず綺麗な街で、家紋入りのこの馬車にお辞儀する人がそこそこいることを見ると閣下は領民から慕われる領主なのだろうと思う。

 州都中心にある屋敷に着くと女子グループは広間に連れていかれ、俺は閣下と一緒に客間に向かった。


「どうですか我が都は」

「非常に美しく領民が大きな苦しみなく暮らしている素晴らしい街かと」

「蒼殿にそう言われると嬉しいですな」


エヴェラルド閣下は非常に良い人だろう。

 内乱の首謀者となりえる人物だが、帝国を愛しているように見える。だけど以前に殿下の騎士団のことをおままごとと言っていたから皇帝家には何か思うところがあるのかもしれない。

 そんなことも考えながら話していると鎧を着た男性が部屋に入って来て閣下に何かを伝えた。


「蒼殿、今から指揮官クラスの定例会を行うのですが参加していただけますか?」

「もちろん。そういう約束もありましたからね」


色々考えるのを一時中断して知らせに来た兵士の後ろを閣下と一緒について行った。

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