第7話 帝国での生活
この世界にやって来て一週間が経ち、生活も安定してきた。
新天地にやって来て一週間で不自由なく暮らせるようになるのに皇帝家のサポートを受けたのだが、その手厚すぎるサポートによって色々と悩みの種を新たに蒔かれたのでそれを紹介しようと思う。
まず最初は住処についてである。
俺と朱音は同じ家に住まわせてもらっているのだが、その家の広さが異常なのだ。
家の表にはロータリーと庭。もちろん裏庭も完備。
家の中には数十の部屋があり、キッチン(というより厨房)とリビング、ダイニングがそれぞれ別々の部屋になっている。
さらにその巨大な家を管理するために王宮で仕えるレベルの使用人さん達が複数人。
……うん。屋敷やね。
最初は宮殿に住む事を勧められたのだが、丁重にお断りした結果がこれである。
アリアノールさんには「ちょっと大きめの家」と紹介されたのだが、これを人は屋敷と呼ぶんだよ……。
しかもこの屋敷は宮殿と目と鼻の先で、本来は皇帝家と宮殿の守護が仕事の近衛騎士が我が家の正門を警備するというVIP待遇である。
(まあ、監視の意味もあるんだろうけどね……)
リビングで朝食後の白湯をチビチビ飲みながらそんなことを考えていると呼び鈴が鳴らされた。
しばらくすると、朱音やアンナ様などの女性陣の楽しそうな話声が聞こえてきた。
そう、もう一つの悩みの種とは”アンナ様”である
この皇女様は近所の幼馴染に会うぐらいの感覚で我が家を訪れるフッ軽皇女なのだ。
我が家が厳重に警備されていることもあって近衛騎士たちもぞろぞろとついてくるわけじゃないし、むしろ「いってらっしゃーい」ぐらいの雰囲気である。
もうちょっと厳しめに宮殿に閉じ込めていてほしいが、それはそれで色々と問題がありそうな感じがするのでこの悩みはどうしようもないのだ。
しかも、アンナ様はご自身を団長とする白百合騎士団を結成しており身辺警護はほとんど白百合の騎士が行っている。
察しのいい人なら騎士団の名前でピンと来ているかもしれないが、この白百合騎士団は構成員全員が女性。初めてアンナ様にあった時は騎士団の訓練中だったということだ。
これのなにが問題なのかと言うと、肩身が狭いのである。
しかも全員貴族のお嬢様方で美しいのだ。
俺が変な気を起こさない……、いや起こせない小心者だからよかったものの、イケイケオラオラな男だったら彼女たちはその毒牙に掛けられたいたかもしれない。
そのことを騎士団の人やアリアノールさんにやんわり伝えたが、
「彼女たちなら大丈夫だろう」
と返答をいただいた。
ついでにアリアノールさんからは
「もし君が襲い掛かっても肉片にされるだけだから気を付けてね」
とありがたいお言葉まで貰った。このモヤシボディーを馬鹿にすることは許されないが広い心で今回は許すことにした。……何様だ俺は。怒られるかな?
話もひと段落したのか足音がリビングに近づいてきた。
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