2021_0511
だんだんと、朝起きる時間が遅くなってきた。
朝の一分と夜の一分の長さはきっと違う。とにかく朝はスピーディに、髪の毛をセットして、お弁当を持って、服も前日から用意してあったものを身に着けて、リュックを背負い電車までの道を行く。
電車、人が多すぎてまた立たなきゃいけないんだ。そのことを考えると、朝不快なアラームの音で起きたばかりなのに、と余計に不快な気分になる。
イライラしてるのはかわいくないかな。
そう思い、鉄分グミを食べ電車に乗り込む。
暑苦しい、人ごみの中、30分以上もの時間電車に揺られ学校に到着した。
教室に入るといつもと違う光景がそこには広がっていた。そういえば席替えをしたんだっけ。好きな人もいないから何もドキドキしなかったなぁ。
すると、一番後ろの席に、体育の時にかわいいねと言ってくれた女の子が座っていた。
自分の席に着き、背負っているリュックを机に置き、まだ眠くて脳の整理もついていないから、その女の子のことを考える。
この子も、私と一緒でひとりぼっちである。
だから、正直、かなりデビューに失敗して一か月も出遅れている私がこのクラスで友達になれそうなのはもうこの子くらいしかいないって、思っている。
ちょっとだけ勇気を出して話しかけようか?
いや、相手から来るのを待とうか…でもいつも私は受け身で失敗している!
「おはよう!」
いろいろ考えていたら斜め後ろから、明るい声であいさつをされた。このクラス全員と仲良くしている明るい女の子にすら、私はまともに挨拶を返すことができない。
「おはよう」
女の子はへへ、と笑ってどこかに行った。
まだ私の顔、歪んでいるのかな?
今の自分はどんな姿なのか気になってしまったから、鏡を取り出そうとしたら、鏡をリュックにいれるのを忘れたことに気が付いた。
今日は、ダメな日かな。そう思って、いつも朝に一人ぼっちなのを紛らわすためにやっている勉強をせずに、机に突っ伏して寝ているふりをした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます