2021_0415

通常授業が始まった。朝の電車までの道のりで風が強すぎて前髪が崩れて、学校に行くと身長の低い私に対して、みんながとても大きくて、大人に見えて、よくわからなくなりそうだった。


いつも通り朝の時間は勉強し、休み時間を図書館で過ごし、そして、昼休みが終わると世界一大嫌いな授業…体育が始まってしまった。


昔から体育が嫌すぎて毎回休む理由を探していた。お腹が痛いと言って見学したり、保健室に行ったり、途中から抜け出したり、いろんなことをした。


ただ、これからは新しい環境。休まないと決めたんだ、そう心に言い聞かせて、体育館に向かった。


しばらく体育教師が体育館に来なかった。ラッキー!ずっと来なくていい、そう思っているとこちらに同じクラスメイトの女の子が寄ってきた。


「かわいいね。自己紹介の時から可愛いと思ってたんだ」


嘘だ!私は絶対にお世辞だと思った。

だいたい、自己紹介がかわいいって何だ。

最初に自己紹介カードを書かされたのだが、みんなパソコンなどで文字を打ち込んで持ってきたのに私だけ手書きの、しかも文字の色もカラフルで、悪目立ちしてしまっているあの自己紹介が?


「嘘だ、ありがとう…。」


小さい声で、そうつぶやいた。


「嘘じゃないよ」


もう、いいや。ほめてくれたのなら素直に受け取ろうかな。

たとえお世辞だとしても"かわいい"なんて、言われてうれしい言葉ナンバーワンだ。私はその日、体育が嫌いだとか、友達がいないだとかそんなの気にせず一日を過ごした。

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