人類革命、作戦会議。
俺、飲兵衛がその会議に参加して進行役を任されたのは何かの間違いじゃないか。
いいや間違いじゃない。
「勇者が異人同盟に加わってくれたことで、我々は膠着した人類との戦線を打開するめどが立った。」
作戦は簡単だ。
勇者がそのカリスマで戦線に参加している将軍や民兵たちを扇動して革命に持ち込む。
魔王軍はこの革命を後押しして人類も悪逆な王侯貴族からの解放を謡い勇者に協力するという作戦だ。
そんな簡単にいくんか?と思われるだろう。
しかし、戦線が膠着してるのは人類が一致団結できていられればの話で、勇者が寝返り人類側に派閥を生み出せばこのバランスが崩れる。
魔王様は別に人類を滅ぼそうとか支配しようとか考えていない。
それを信用できる者に勇者が伝えて現政権の腐敗を正すために仲間を募るだけでいい。
「というわけで、アリシアの奮戦を激励するためにも――――かんぱああああああああああああああああい。」
作戦会議というのは建前の様な宴会である。
実際に革命の決起まではアリシアに頑張ってもらうしかないわけで、その激励を兼ねた宴会で美味しいもの食べさせて送り出そうという話である。
そしてその会場が―――――焼肉屋さんである。
しかも俺の故郷の日本でだ。
俺の異世界を渡る力で数人を日本に連れて来たのだ。
加えて変装の魔術でみんな人間に化けてもらっている。
参加者は勇者アリシア。
勇者の仲間で、戦士のドラグ。
魔法使いのウェイバーおじいちゃん。
神官のノエル。
異人同盟からは魔王様とアクア様。
伽藍とデュラン殿だ。
俺を入れて計9人での宴会だ。
魔王様達の変装は完ぺきだ。
魔王様は角を隠しただけだが、なかなかダンディーでスーツが良く似合う。
アクア様はこの前と同じロリっ子に見えるが日本人には妙齢の女性に見えるようにしてるらしい。
そうしないとお酒飲めないと言ったら黙ってそうしてくれた。
伽藍は赤みがかった肌と赤い髪をしたやんちゃな兄ちゃんに化けている。
デュラン殿は角刈りに着流し姿のおじさんだ。終始にこにこしている太めの眉がチャームポイントだろうか。
アリシアとドラグはカジュアルな若者の恰好で、ノエルは神官なだけに清楚な白いワンピース姿だ。
ウェイバーもデュランと同じ着流しで、俺は普通にオッサンスタイル。
はたから見たらどんな集まりかと思われるだろう。
それでもまさか異世界の魔王と勇者の飲み会とか思うやつはいないだろうけど。
とりあえず、俺達の飲み会は生中から始まった。
「「「かんぱあああああああああい。」」」
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