勇者、初めてのお酒。
勇者は彼我の戦力差と俺の説得?で戦意を失い投降を申し出る。
それを俺は魔王様にお願いして捕虜の扱いではなく客人として扱ってもらうことにした。
最初渋い顔していた魔王様だったが、勇者たちがここに来るまで兵士をみだりに傷つけなかったことを知って了承してくれた。
「私は命に代えても王族の専横を阻止して見せる。」
改めて和平の話をしようとした席で勇者アリシアはブッつぶれていた。
理由は俺が会食の席に出したお酒にある。
そもそもがこの食事の席には伽藍の要望で強い酒を用意していたのだ。
そこに俺が用意したのはレミーマルタンというコニャック・ブランデーだった。
フランス製のコニャックで槍を掲げたケンタウロス(上半身が人間で下半身が馬の幻想種)がエンブレムになっている。
アルコール度数40%の強いお酒だ。
これを伽藍殿が気に入って喜んで飲み続けた。
てかさっきの戦闘で大事に抱いていたお酒でもある。
それを勇者にも呑ませたわけですよ。
そしたらあっという間でした。
てか俺は止めたんだよ。
なのに伽藍に張り合ってストレートで飲んじゃったんだよ。
レミーマルタンは香りがいい。
ちょっと甘い感じの木の匂いがするのだ。
これは熟成に使うオークの木で作られた樽の匂いが移ったものなのだが、アルコールと合わさってしかっりと匂い立つのだ。
お酒を飲んだことのある人ならそのアルコール臭に顔をしかめたかもしれないが、お酒を飲んだことのないアリシアは逆に興味を持ってしまったのだ。
せめて水割りにしてくれればいいのに。
俺がストレートで飲んでたのもあって、いっちゃいました。
決して強要はしてない。ここ大事。
「ハハハ、そこのノンベェも飲んでいるんだ。私に呑めないはずはない。」
ブランデーと言うのはその強さゆえに口に含んだところでは舌がしびれて最初は気が付きにくいが、嚥下すると強烈な刺激が喉を焼く。
だから基本は少し口に含んで舌の上で転がして香りを鼻に送って風味を楽しんでからゆっくりと嚥下する。
のに、
伽藍はこれをゴクリと言っているのだ。
アリシアはそれを真似したのだ。
「ガハ!ゴホ!ゲホ!かーーーーーーーーー。のどがあああああああああああ!」
まぁ、そうなるよな。
はいはい、勇者のお仲間さん毒じゃないからそんな殺気立たない。
で、最初のアレになる訳だけど、どうやらアリシアは酔うとため込んだ鬱憤を晴らすかのように理想を語るのだった。
それを聞いて魔王様も勇者アリシアを味方に引き込むことを考えてくれたようだ。
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