魔女の寄り道

9. 〈fin.〉

　自分らしくも、なりたい自分も、どっちも大事ーー……。ブロンシュさんのその言葉が、アタシを支えてくれている。

　あのね、ブロンシュさんに話したいこと、たくさんあるの。

　たとえば、鷹城くんのこととか。鷹城くんの好みの女の子なんだけどね、あのウワサはガセだったみたい。鷹城くん、「今はまだ恋愛のことはよく分からない」だって。それを聞いて、アタシはなんとなくほっとしたの。

　それに、アタシがこの間、ちょっとがんばっておしゃれをして、かわいい花のヘアピンをつけてたんだけど、慣れてないから落としちゃって。そのヘアピンを拾ってくれたのが鷹城くんだったんだけどね、

「似合ってると思うよ」

って、言ってくれたの！　すっごいうれしかったなあ。

　あとね、月島さんが……、ううん、雲雀ちゃんがね、長かったあの髪をばっさり切ったの！　びっくりだよね。それと最近ではワンピースじゃなく、パンツもはくようになったの。

　雲雀ちゃん、足が長いから、モデルさんみたいでかっこよくて。短い髪もパンツスタイルも、どっちもとっても似合ってるの。

　雲雀ちゃんのお母さんは、短い髪もパンツスタイルも、始めはあまり良い顔をしなかったみたい。だけど、それでも雲雀ちゃん、がんばってお母さんに伝えたんだって。なりたい自分を。本当の、自分らしさを。

　今度また雲雀ちゃんと、二人でカフェ・プランタンに遊びに行くね。学校帰りの寄り道でも、ブロンシュさんだったら、きっと怒らないでくれるよね。

　だから、たくさんおしゃべりしよう。ブロンシュさんの作った、おいしいケーキと紅茶を飲みながら、ねーー。