第107話 まっまさーびす


一旦帰宅した俺はシャワーを浴びてから樹里に連絡をとる。


♪ピロリロンピロリロン


樹里

『ん、お疲れ様』


絢斗

『お疲れ様、帰ってシャワーしたよ』


樹里

『え?シャワーしたの?なぜ??

じゃ、じゃあ私ももう一度シャワーした方がいいのかしら…』


絢斗

『二回目?そのままでいいよ。』


樹里

『え?あっ…でも…』


絢斗

『じゃあ行くわ』


樹里

『ま、待って!』




樹里side


切れたわ…

秒速でシャワーを!


…無理


ま、マウスウォッシュだけでも!

だ、だめ!もう絢斗が来ちゃう!


部屋は!?


大丈夫。


はっ!?

し、しし、寝室も見とかなきゃ!

そう、これは念の為よ。

いざって時に寝室が汚かったり

匂いが変だったりしたら…


ちっがーーーーう!!


落ち着くのよ樹里!

絢斗はあーとの事で打ち合わせをしにくるのよ!


で、でも…

万が一って事もあるし…


※この間0,3秒


し、下着は!?


ペロン

ジーーーーー

ペロン

ジーーーーー


上下とも大丈夫なはず…よね?


絢斗

「あのぉ…」


樹里

「ひぁっ!」


樹里が驚いて振り向いた先には

顔を真っ赤にして俯いている絢斗が立ち尽くしていた。


樹里

「いやぁぁぁぁぁっっっ!!!」


絢斗

「ひっ!?」


樹里

「な、なんで部屋にいるのよ!

オートロックなんだから鍵がかかっていたでしょう!?」


絢斗

「インターホン押しても全然出てくれないから勝手に入って来いって事なのかなぁとドアノブを回したらロックされてなかったので入ってきたら樹里が下着とにらめっこしていました、マル」


樹里

「なぜそんな早口なの!?」


絢斗

「あっはっはっはっ

よし、無かった事にしてやり直そう。

・・・・・。

インターホン押してくりゅ!」ダッ


樹里

「・・・・・」


ピンポーン


あの人、何故それが通ると思ったのかしら…


ピンポーン


ハァ…

『どうぞ』ピッ


絢斗

「お邪魔しまんにゃわ!」


樹里

「何よその変な挨拶は?」


絢斗

「伝説的劇団員の挨拶だ。」


樹里

「…で?

あなたは女性の家に無許可で侵入てくるとか…

女性に対するマナーとかエチケットとかは持ち合わせていないのかしら?」


絢斗

「そんなもの持ってたらボッチなんかしてませんが?」


樹里

「ハァ…もういいわ。

次からは気をつけてちょうだい。」


ぐぬぬ…インターホンは何度も鳴らしたのにこの理不尽なお説教…


後で少しイタズラしてやろう。

うん、そうしよう。


♪ピロリロ ピロリロ


ん?武井さんから電話?


絢斗

『もしもし』


武井

『イタズラはほどほどにしておかないと樹里様に嫌われますよ。』


絢斗

『…はい。ってなんで!?

なんでわかったの!?』


武井

『悪い顔をしていると虫の知らせがあったもので。

ではほどほどにお楽しみください。』


えっと、

どこから何をどうつっこめばいいんだろう…。


樹里

「どうかしたのかしら?」


絢斗

「い、いや、武井さんが天元突破しすぎてて恐怖を感じていただけ…」


樹里

「そう。武井さんに至ってはいつもの事だと思うのだけれど…

まあいいわ。作業部屋の方に行きましょう。」


・・・・・・・・・・・・・


絢斗

「なるほど…

良くわかった!

これで大量のコメントに悩まされずに済むよ。

ありがとう樹里♪」


樹里

「い、いいのよ、そんなこと」ポッ


ポワッと赤くなる樹里さんが可愛いと思いました。


樹里

「今回はたまたまななんちゅが私のコメントを見つけてくれてたから良かったけれど

これから増えるななんちゅの人数を考えると

偶然では個人のコメントなんて見つけられないもの。」


さて、打ち合わせという名の授業も終わったし…


絢斗

「あ、そうだ、ちょっと待ってて。」


俺は自分の部屋にある洗濯済みのタオルを取りに戻った。


樹里

「????」


・・・・・・・・・・・・・


絢斗

「お待たせ。

リビングに行こうか。」


樹里

「え、えぇ」


樹里をソファへ座らせて


絢斗

「よし、始めようか。

じゃあ樹里は目を閉じて」


樹里

「え!?あ、どどどうしてかしら」


絢斗

「あれ?信用ないなら帰ろっか…」


樹里

「ちょ、ちょと待ちなさい!」


絢斗

「じゃあ目を閉じて?」


樹里

「わ、わかったわよ」ドキドキ


目を閉じて待つ樹里の顔に何かが近づいてきている気配がする。


樹里

(な、何?何なの!?まさかキs)


フワッと目元を覆う感触にビクッと身体を震わせた樹里。


樹里

「ひぅっ!(これはタオルかしら?

え?目隠し!?そんな…

まだ何の経験も無いのに初手が目隠しプレイなの!?

薄い本のネタでたまに描いていたけれどまさか自分がされる側になるなんて。

絢斗の性癖かしら…それなら付き合わないわけにはいかないわ。ホルスタインやロリに差をつけないと!

それもブッチギリな差を!

あぁ、でもこれ

すごくドキドキするわ…)」


※この間0,5秒

思考の回転数が一気にレブリミットまでぶん回るのは樹里さんの特技なのかもしれない。

そして未知なる世界への扉が開きかけている樹里さんなのである。


後編へ続く

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