第102話 歌唱力はウタチカラと読む

絢斗

「とりあえずは…二階に行こっか」


4人で二階に上がり部屋に入る。


収録スペースには色んな機材、

パソコンとオーディオインターフェイスとマイクなど。

楽器一式とカラオケまである。


1人でボイトレや収録するにはじゅうぶんだ。


まずは3人がどれくらいのレベルなのか知っておくために1人ずつ試していくことにした。


まずは虚無師匠こと田所さん


絢斗

「んじゃ、カラオケで好きな曲を好きなように歌ってみて?」


虚無

「そうねぇ、カラオケなんて久しぶりだから悩むわ…

よし、コレで」


前奏…


こ、こ、これは!!!


♪「Listen to my song~」


な・ん・だ・と!?


♪「僕の声は聴こえ●いますか~

please tell me~」


水●姐さんのモノマネ上手すぎん?


師匠の選曲は俺も好きでよく歌った曲だった。


師匠は歌いながら視線をこちらに向けて挑発してくる


くっ…ウズウズする


俺は無意識にもう一つのマイクを手に取っていた


♪「「誰より●熱く 誰より●強く

抱き締めるよ~」」


そして歌っていた

それもノリノリで。


ダブル●樹の歌声が防音室内に響き渡る


曲が終わり・・・・


絢斗

「師匠…やるな」


虚無

「いやぁ、拙者なんてまだまだでござるよ。

絢斗殿と比ぶれば完成度は低いでござる。」


東雲

「武将?武将なの??」


絢斗

「いや、そんな事ないよ!

自分以外のモノマネ聴くのって久々だしむっちゃ興奮したよ!

ウタチカラがハンパねぇな!

やっぱ師匠すげぇよ!

何でもできるよな!」


虚無

「何でもはできないわ。

できる事だけ。」


絢斗

「あぁ羽川さん、可愛いよ、羽川さん!」


樹里

「絢斗、興奮しすぎよ。

少し気持ち悪いわ。

田所さんは本当に上手なのね。

驚いたわ。」


東雲

「羽川さんってなに?

ってかコロ助すごい上手だった!」


絢斗

「よし、次は東雲いってみよう」


東雲

「えっへへぇ♪コロ助ほどじゃないけどあーしもまあまあだよぉ♪

えっと、これこれ!

練習してたのあるんだぁ」


前奏…


ウホッ!まじか!


♪「わっちゅーげ●ちゅー

熱烈うぉ●ちゅー

しゅきしゅぎて弾け●vividマインド」


ぎゃあああああああ!!!!

かわえぇぇぇぇぇ!!!!!!


♪「だいしきゅーだいしゅき●なれ!

アタシじゃ●いなんて

終わって●ね」


誰かのモノマネしているわけじゃないけどとにかく可愛い。

あのおっぺぇのどこからこんなカワボがでているのか…


※おっぺえは関係ありません。


そしてピョンピョンと踊りながら歌うもんだから

ばぃんばぃんと揺れる二匹のスライム。


曲終了


東雲

「どやぁ♪」


樹里

「絢斗、目が血走っているわよ」


虚無

「すごい揺れてたもんねぇ」


絢斗

「ビジュアル抜きで歌声だけでも

ヲタダンスしそうになるくらい良かった!」


東雲

「見た目抜きはひどくね!?」


絢斗

「いやいや、

メジャーデビューとか関係無しで

そのままで全然イケるよ!

これにハマらないリスナーはおらんぜ!」


東雲

「やった♪」


ピンポーン

ピンポーン


絢斗

「ん?誰だろ?」


ピッ

絢斗

「はい。」


??

「僕だよぉ」


絢斗

「え?僕??」


??

「そうそう、僕だよ、僕!」


絢斗

「僕僕詐欺??」


??

「聞いたことないよ!」


絢斗

「で?どうしたんですか?」


紅明

「カラオケぱーちーやってると聞きまして」


絢斗

「やってないのでお引き取りを。」


紅明

「嘘だ!ネタは挙がってんだよ!早く開けろぉ!」


絢斗

「騒ぐな園児!」


ロビーの自動ドア前でジタバタと騒ぎ始めたのでとりあえず部屋まで着てもらった。


樹里

「ハァ…いつもの事だけど

紅明さんはなぜ絢斗の膝に

さも当然のような顔して座っているのかしら?」


虚無

「お膝なら私の方が座り心地良いですよ?こっちおいで?」


紅明

「コロちゃんはその隠しきれてない変態性がにじみ出てるからヤダ!

絶対イタズラするもん!」


虚無

「そ、そんなばかな!?」


東雲

「せっかくだから紅明ちゃんも先輩として一曲歌ってよ」


紅明

「んむ!端末をよこすがいい。

我が輩が貴様等トーシロにプロの仕事を伝授してやろう。」


絢斗

「誰だよ、閣下を召喚したの…」


樹里

「私よ。絢斗のは上手すぎて

VTuberの歌枠のレベルじゃないから参考にならないと思って。」


絢斗

「なるほど。

さすがの樹里さんだ。」


紅明

「よし!おまえら!ペンライトの用意はいいか!?」


前奏…


おぉ!

ナンジョ●ノきたー!!!


♪「放て心に刻●だ夢を

未来さえ置き去り●して~」


上手いな!

特徴をなぞって歌ってる感じだ


紅明

「hey!hey!hey!」


煽りも完璧っすね!

思わず腕が上がっちまうわ!


曲終了


紅明

「どうだ愚民ども?

これがVTuberのウタチカラだ!」


東雲

「紅明ちゃんすごい!

本物の紅明ちゃんみたいだったよ!!

配信の歌枠でも歌ってたもんね!

紅明推しだから超ウレシー!!」


紅明

「本人だよ!生紅明だよ!!

東雲は紅明推しの癖に酷い事ばっか言うな!

泣くぞ!?」


虚無

「うん、確かにすごく上手だし

ノリノリになれたね」


紅明

「ふふふ、そこだコロ助よ。

配信の歌枠は上手いだけじゃダメなんだ。

基本はライブ配信なんだから

リスナーがいる事を忘れちゃダメなんだよ。

歌の上手さなんて二の次でいい。

リスナーに楽しんでもらって

さらに一緒に楽しめるかどうかなのだよ。

配信側が楽しんでなきゃ

リスナーはついて来てくれないよ」


俺の膝の上で力説してる園児が

初めて先輩に思えた瞬間だ。


紅明

「おい!聞こえてるんですけど!」


あれ?また声にでてたか。


絢斗

「てへぺろ?」


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