第二幕 VTuberは大変なのだ

第101話 新学期だがそれどころじゃないよね?


夏休みが終わり始業式である。


用意してもらったボサボサ頭のヅラをかぶり、決して流行りはしないであろう眼鏡(伊達眼鏡)をかけた猫背男子が通学中である。


目立たぬように気配を消し

静かに暮らしていくのだよ。

まあ、一学期に馬鹿達のおかげで

少々認知された感はあるが

長い夏休みを経て

もうみんな忘れているはずである。



校門付近で人集ひとだかりが出来ているが想像はついている。


ダックスフンドみたいな

ながーい車から見たことのある

美少女が降りてくる。


言わずとしれたあの人が

編入してきたのだ。


校門前には

校長(ハゲ)、教頭(バーコード)、

学年主任?や一年担当の教師?らしき人物達がお出迎えである。


そりゃ人も集まるわ。


「ごきげんよう。

今日からお願いしますね?」


そう話す彼女の目は笑っておらず

完全にハゲ達を見下していた。


かなりの額の寄付金が

あったとか無かったとか…


そんなこんなで

今月はいよいよ七色あーとのデビューである。


グライドのホームページには

カウントダウンが設定されており

七色あーとのチャンネルも先月半ばから稼働しているそうだ。


チャンネル稼働といっても

カウントダウンが続いているだけで

BGMにあーとの歌ってみた動画が断続的に再生されているくらい。


これでデビューして少しだけ実績を積めばスパチャが投げれるようになるそうだ。


チャンネル自体はグライド名義なので

未成年のスパチャ貰えない問題は無いらしい。


広告料とか案件、スパチャみたいなのは一旦事務所を通ってからあーとにおりてくる形だ。


これにあーとのグッズなども売れれば数%が俺の下に入ってくるらしい。


まだ先の話だとおもうけど。


すでに案件も結構な数がきており

あーとチャンネルのカウントダウン画面に小さくスポンサー広告も入ったりしている。


そんな中、俺はというと…


始業式を終え帰宅後。



絢斗

「ハァハァ…樹里…もうダメだ…ハァハァ」


樹里

「ハァハァ…情けないわね…

まだダメよ…ハァハァ…もっとよ…」


絢斗

「もうできないって…ハァハァ…

樹里体力有りすぎ…ハァハァ」


自宅(マンション)の一室で樹里と汗をかいていた。


いつもは1人でやっていたんだが

本日は樹里と…





自宅内のジムで体力作りである。


負荷の設定が鬼レベルな俺は

レディース用の軽負荷の樹里に負けたくない一心で頑張っていたのだが

そろそろ限界である。


絢斗

「樹里やるなぁ」


樹里

「ふふ、運動はできる方なのよ」


ピンポーン


絢斗

「来たかな」


樹里

「私がでるわ。あなたはシャワーしてきなさいな」


絢斗

「ん、わかった。お願いするよ」


俺は浴室へ向かいそのままシャワーを浴びる。


・・・・・・・・・・・・・・



カチャ


樹里

「いらっしゃい。待ってたわ」


虚無

「お邪魔します?

なんで檸檬先生?

なんで汗だくなの?」


樹里

「今まで絢斗と…ね」


東雲

「絢斗くんと!?なに??

なんで???」


虚無

「檸檬先生…不潔です!」


樹里

「…運動してたのよ」


虚無

「2人で?

絢斗くんの部屋で??

組んず解れつ汗だくで!?」


東雲

「サトミン!信じてたのにぃ!」


樹里

「ふふ、いいから入りなさいな。」


東雲

「絢斗くん、絢斗くんは?

なにしてるの!?」


樹里

「絢斗ならシャワーに行ったわよ」


虚無

「ヤッパリしてたんだ…」


・・・・・・・・・・・・・・


絢斗の風呂上がり


絢斗

「やあ、いらっしゃい。」


虚無

「ああ!そんな!

弟子の!絢斗くんの!風呂上がり!

あああ!いい匂いがする!

これがオスのフェロモン!?

いえ、エロモンの香り…クンカクンカ」


東雲

「え!?これがオスのフェロモンの匂いなの!?

いい匂~い…クンカクンカ」


絢斗

「ちげぇし…どう匂ってもボディソープの匂いだろコレ。

樹里も浴びてくれば?

そして変態な2人は帰って?」


樹里

「そうするわ」


東雲「あーしはコロ助と違うし!」


虚無

「おい、東雲・・・・

探偵ナイトス●ープにおっぺぇがデカすぎる妖怪牛女がいるからサイズ計りにきてくださいってハガキだすぞ?

というより・・・

檸檬先生がここに居るのは当たり前みたいな雰囲気出してますよね?

当然のように浴室使おうとしてるし。

嫁かなにかなんですか?」


樹里

「そうよ」


東雲×虚無

「は??(怒)」


絢斗

「んなわけないだろ。

樹里みたいな綺麗な子が

俺の嫁のはずないだろ?」


樹里

「あら、絢斗ったら。お上手ね。

私はあなたのお嫁さんでも全然構わないわよ。」


東雲

「ちょっと!」


虚無

「先生、いつになく今日は押せ押せですね…」


樹里

「さっき絢斗のオスの部分を嫌ってほど思い知らされたもの。

私のメスが顔を出してもおかしくないわ。」


東雲

「やっぱり昼間っから夜の運動会してたんじゃん!

裏切り者ぉ!!」


虚無

「で、本当は?」


樹里

「絢斗の家のジムで

トレーニングしてる絢斗を見ながら私もトレーニングしてたのよ。

絢斗の真剣な顔、無駄のない筋肉…

ハァ…」


虚無

「それは…メスがでてもしょうがない」


東雲

「あんた紛らわしい言い方ばっかしないでよね!」


樹里

「私は男女関係で馴れ合う事はしないわ。

これはいくさよ!

絢斗の場合、特にライバルが多いのだから先手搦め手で攻めていくのは当たり前よ。」


東雲

「うぅ…ずるいじゃん!!

お家も隣だしママだし!!

オギャらせるし!

あーしもオギャりたい!!」


樹里

「あなたみたいなホルスタインにオギャられるってどんな拷問なのよ…」


東雲

「うぅぅぅぅ!!

ずるいずるいずるいぃぃぃ!!!」


絢斗

「樹里、からかうのはそろそろやめなって。

東雲泣きそうだし」


樹里

「あら…まあいいわ。」


虚無

「・・・・・。

私も負けてられないわね。」


今回2人がウチにきたのは

歌枠で歌う時の注意点やボイトレの事を聞きにきたのだが

初っ端からこれだとなぁ・・・



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