第100話 は~い、集合~

差し入れを置いてすぐ帰るつもりだったが結局腰をおろすことになってしまった。



浜崎

「絢斗君、

こういった細やかな気遣いは

皆のやる気に繋がるわ。

ありがとうね。」


絢斗

「いえ、ただの差し入れなんで。」


鈴木

「ここのケーキ美味しいのよねぇ」


幸田

「鈴木さんは食べた事あるんですか?」


鈴木

「あるわよ。

ドライブがてら食べに行ったの。」


中野

「で、デートですか!?」


デートというワードが出た瞬間

部屋の空気が重くなった気がする…


鈴木

「この私に…

彼氏を作る時間があると思うの?

ねぇ、社長?」


鈴木さんの冷たい視線が浜崎社長に突き刺さっている…


浜崎

「は、ははは…」


鈴木

「ねぇ、絢斗くぅん、

酷いと思わなぁい?」


「うっわー、エロモン放出してんでぇ…」


東雲

「こらー!!くっつくなぁ!」


「えっっっろ!」


真白

「お客様、当店は嬢へのオサワリは禁止させていただいておりますのでおひかえください。」


誰が嬢だよ…


虚無

「鈴木!ハウス!!」


樹理

「武井さんのビンタが欲しいんじゃないのかしら?」


樹里の一言でしなだれかかってきていた鈴木さんがビクッと反応してススッと離れていく。


さすがの樹里砲である…

というより武井さん核兵器の威力よ…


浜崎

「絢斗くん、夏休みは楽しめた?」


絢斗

「ん~、そうですねぇ

皆のおかげで忙しい夏休みでしたよ。

でも…

みんなが俺を友達や仲間みたいに扱ってくれて嬉しかったし

充実してたような気がします♪」


絢斗以外の全員が思った。


ええ子やぁ、と。


そして全員が思った。

絢斗には自分が必要なのだ!と。


浜崎

「もうデビューも近いし

準備は万全って感じかな?」


絢斗

「そうですね、

まわりの皆さんがサポートしてくれているおかげで

あとは気持ちの準備だけですね。」


鈴木

「絢斗くん…可愛いわぁ。

今夜はウチに来ない?

思いっきり甘やかしてあげるわ」


樹里

「だ、ダメよ!

絢斗を甘やかしていいのは

ママの私だけのはずよ」


浜崎

「ここは大人の私の出番でしょう」

ハァハァ


東雲

「ハァハァ言ってる人は害しかないし!

絶対却下!」


紅明

「何言ってんの?この年増達は?

絢斗くんには僕が甘やかして貰うんだよ?」


浜崎×鈴木

「園児はだまらっしゃい!」


「甘やかして貰う方なのかよ!?」


真白

「ねぇ、絢斗くん?

ここはうるさいから

私の部屋へ行かない?

なんならお泊まりも」


虚無

「ダメに決まってんでしょ!?」


東雲

「絢斗くんはあーしと帰るんだもんね~?」


樹里

「抜け駆けは許さないわよ」


虚無

「おい、どの口がそれを言うか?

この口か?この口なのか!?

それとも下の…」


絢斗

「言わせねぇよ!?」


紅明

「絢斗くん、

こんなどうしようもない人達は放っておいて僕たちは帰ろ?

絢斗くんの部屋でゲームしたいなぁ?ね?」


桃×空

「ね?じゃねぇ!

おめぇは今夜も配信あんだろ!」


真白

「契約違反はダメよ?

紅明ちゃんだけの問題じゃないの。

だから絢斗くんは今夜配信お休みの私と」


紅明

「えぇ、1日くらい大丈夫だよぉ。

大人になった紅明に

紅民リスナーの皆も

興奮間違い無しだよぉ?」


浜崎

「ダメに決まってるでしょ!」


幸田

「VTuber辞めたかったら早めに申告してくださいね。」


鈴木

「そうね、紅明ちゃんはどうやら全てを捨てて個人勢になりたいみたいだし。」


浜崎×鈴木

(絢斗君を大人にするのは私よ!)


絢斗

「紅明先輩は寝てないでしょ?

帰って仮眠でもとったほうがいいんじゃない?」


紅明

「えぇ…じゃあ添い寝してくれれば」


絢斗

「なにがじゃあなのかわからん」


武井

「坊ちゃま、そろそろ。」


うぉ!?

居たんかい!


当然のように武井さんがストップをかけてくれる。


浜崎さんと鈴木さんは後ずさる。


武井

「バイクは引き取りましたので

車で帰りますよ」


んむ。

仕事が早い。


絢斗

「ふぅ、けっこう疲れたし帰ろっか。」


樹里

「ええ、そうね。

朝も早かったしそうしましょう。」


東雲

「まぁたサトミンだけ!?」


樹里

「ふふふ、仕方ないじゃない。

タンデムしてきたんですもの。」


東雲

「絢斗くん!?次はあーしだかんね!

武井さん!あーしも乗って帰りたいです!」


絢斗

「ははは…」



そんなこんなで高2の夏休みは

バタバタと駆け足で過ぎて行き

終わりを迎えようとしていた。


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