第99話 漢の娘(オトコノコ)

まだまだ午前中。


オープンしてすぐのカフェに入り

くつろい…


樹理

「楓(紅明)さん、

少し質問いいかしら?」


紅明

「ん~?なぁに~?」


樹理

「どうしてあなたはさも当然のように絢斗の隣に座っているの?」


紅明

「そこに絢斗くんがいるから?」


俺はあれか?

エベレストとかそんな感じか?


樹理

「はぁ…

なんと返答すればいいのかわからないわ」


同情するよ…


紅明

「ふふふ、

理屈ではないのだよ!理屈では!」


●クとは違うのだよ!ザ●とは!

みたいな?


樹理

「絢斗、全部漏れてるわよ…」


絢斗

「なんと!?」


紅明

「水鳥拳?」


絢斗

「シャウっ!」


紅明

「あはははw 似てる~w」


樹理

「息ぴったりね…」


店員

「お客様ぁ、もう少しボリュームダウンで…」


絢斗×紅明

「ごめんなさい」


樹理

「…息ぴったりね。

まるで兄妹のよう。」


紅明

「!?

ぼ、僕がお姉ちゃんだよね!?」


絢斗×樹理

「・・・・・・」


紅明

「なんで黙るの!!」


店員

「お待たせいたしました。

こちら【ダーマ・テクエ】と

【ウッセ・シャーベンナ】、

こちらが【ブッコ・ロスゾ】

でございます。

ごゆっくりどうぞ♪」


樹理

「悪意の塊のようなスイーツね…」


紅明

「うわー、おいしそ~♪」


絢斗

「うまそうだな!」


樹理

「絢斗、これの選択基準を聞いてもいいかしら?」


絢斗

「選択もなにもスイーツはおまかせ三人分だけど?」


樹理

「…何の疑いも無くスイーツの見た目を誉めるあなた達には脱帽する思いよ。」


絢斗

「写真とろうぜ!」


紅明

「とるとる~!」


樹理

「店員さん、いいかしら?」


店員

「はい、いかがされましたか?」


樹理

「スイーツの本当の名前は?」


店員

「季節のフルーツタルト、

チョコムースのベリー添え、

抹茶のシフォンです。」


樹理

「あなた…いい性格してるわね」


店員

「良く言われますぅ♪」


樹理

「はぁ…騒がしかった私達も悪かったわね。ごめんなさいね。

これから後は普通の接客をお願いしてもいいかしら?」


店員

「お客様次第となっておりますぅ」


樹理

「この店のしきたりみたいな言い方ね?」


店員

「それはもう!

私がオーナーですから♪

こちらを…」スッ


店員(オーナー)が紙を樹理に渡す。


【絢斗ちゃんに手を出したら

命の保証はない。】


絢斗

「カナデさん!今日のスイーツも美味しいよ♪」


店員

「あら~ん、

ありがとうございますぅ♪

では、ごゆっくり~♪」


樹理

「絢斗?お知り合いかしら?」


絢斗

「カナデさん?

俺の後見人の弁護士さんのさんなんだ。」


紅明×樹理

「ちょっと待て(待って)」


樹理

「あなた今…」


紅明

「絢斗くん?弟って言った?」


絢斗

「ああ、あんなコスプレしてるけど25歳のれっきとした男性だ。」


紅明

「えぇ!!25歳!?

高校生のバイトだと思ってたよ!」


絢斗

「ちょっとだけ若作りなとこあるかな」


樹理×紅明

「どこが!?」


樹理

「ホンモノ、あれはホンモノよ…」


紅明

「絢斗くんが…

絢斗くんが掘られちゃう…

掘って掘られてドロッドロのぐっちゃんぐっちゃんに…」


絢斗

「ん?なんか言った?」


紅明×樹理

「難聴系か(なの)!?」


絢斗

「なんかわかんないけど食べようよ?美味しいよ♪」


樹理

「あなたのその笑顔が闇に染まらない事を祈るわ。

東雲さん達にも注意喚起しとかなきゃ…」


紅明

「はわわわわ、絢斗くんの純粋な笑顔が眩しいよ…」


・・・・・・・・・・・・・・


紅明

「美味しかったね~」


樹理

「えぇ、

想像と違って美味しかったわ」


絢斗

「カナデさ~ん、このシフォン

持って帰りたいんだけど」


樹理

「武井さん達の分かしら?」


絢斗

「ブライドの差し入れ分もね。」


カナデ

「あら、絢斗ちゃん優しいのねぇ♪

お前らメスガキも見習えば?」


人数分より多めのケーキをサービスしてもらいホクホクである。


絢斗

「ご馳走様でした♪また来るよ」


バイクのリアボックスに保冷剤を多めに入れてブライドに向かう。


けっこうゆっくりしたけど15時くらいには到着するだろう。


絢斗

「トイレは早めに教えてくれよ?」


樹理

「必要ないわ。

排泄なんてしないもの。」


絢斗

「はいはい。先輩はどうする?」


紅明

「シフォン食べたいから一緒に行く~。山越えたら給油お願いね~」


絢斗

「了解、行こうか。なんならスタンドまで先に走っててもいいよ」


紅明

「この時間は危ないから飛ばさないよぉ」


・・・・・・・・・・・・・・


ブライド社控え室


絢斗

「お疲れ様です」


東雲

「絢斗くん!とサトミンも一緒か」


紅明

「僕もいるよぉ」


真白

「あ、紅明ちゃん

走りに行ってたの?」


紅明

「そだよ~。

途中で絢斗くんにばったり会ったから

●●カフェでスイーツご馳走してもらっちゃった」


「うっそ、いいなぁ~」


「あたしもあそこなスイーツ食べたいなぁ」


東雲

(じと~…)


樹理

「東雲さんから不穏な眼差しを感じるわ…」


東雲

「サトミンばっかりず~る~い~!

しかもそのかっこ、ヘルメットも!

まさか絢斗くんのバイクの後ろに乗ってたとか言わないよね?」


樹理

「私はまだ免許がとれてないから

絢斗の後ろに乗せて貰ったわ。」


東雲

「っきぃぃぃぃ!!!」


樹理

「あら、お猿さんが山から下りてきたみたいね?」


虚無

「まあまあ、愛ちゃん落ち着いて、

檸檬先生も煽らないの。」


絢斗

「ハハハ…さて、そんなわけで

差し入れ持ってきましたよ」


「その箱はまさか…」


「絢斗くんヤってんな!

確実に落としにきてんな!!

そんなんされたら

惚れちゃうだろ!」


絢斗

「それはやめてモロテ…」


紅明

「人数分よりいっぱいあるみたいだからさっそく食べよ~」


真白

「じゃあ、私はお茶淹れてきます」


樹理

「私も手伝うわ」


絢斗

「あ、樹理さん!逃げるのか!?」


東雲

「あ~や~と~く~ん?

お話があるからこっちに来て!」


「わぁ、おいしそ~!

いっぱいあるね!

社長も呼んでくる?」


虚無

「じゃあ鈴木さんも」


「幸田ちゃんと中野っちも呼ぼ」


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